阿形 像 を支 え る台 石 は調査 区 の北側 と南側 つ ま り像 の左右 の足下 に 2カ 所設 置 されて いた。 それ ぞ れ礎石 を転用 した径
70cm程
度 の 円形 石2個
と礫 石 に よ り構 成 され て いた。 いず れ も遺存 状況 が良好 で あ ったので,そ の ま ま に して周 囲 の み を掘 り下 げ る こと と した。今 回掘 り下 げ た部 分 に は,上か ら
1層
。三 和土,2層
。明褐 色 砂 質 土,3層
・ 暗黄 褐 色 土
,4層
・ 褐 色 土 とい う層序 が認 め られ た。三 和 土 は台 石 の周 辺 と調 査 区 西側 で はよ く遺 存 して いたが東側 で は痕跡 が残 るのみで あ った。2層
は厚 さ約2〜 4 cmで 調査 区全体 に見 られ た。層 中 に小 礫,漆 喰 片 ,瓦 片 を含 む。
3層
は固 く 締 め られ て い るが,調 査 区東側 で はほ とん ど堆積 して いなか った。掘 り下 げ は調 査 区東側 か ら開始 した た め
,2層
除 去 後 す ぐに4層
が 露 出 した。そ こで全体 を
4層
上 面 まで掘 り下 げ ること と し,調 査 区 西 側 で も3層
まで の除去 を開始 した。 掘 り下 げを進 めて い くと,そ れ ぞ れ の台石 の周 囲 で3層
が4層
に落 ち込 み,台石 据 え付 け掘形 と判 断 で きた。 そ こで,掘形 の外 形 を確 認 して掘 り下 げ を終了 し,そ の後 南側 の掘形 に幅約30cm,深
さ約40cmの
試 掘 坑 を あ け て 断 割 調 査 を行 った。検 出 した遺 構 は以下 の とお りで あ る。 (図 48)
SX512
阿形 像 右 足 元 の東 西 に並 ぶ2石
の 台 石 。 と もに礎 石 を転 用 した もの で,一‑ 89 ‑―
上 面 に径
70cmほ
どの 円形 の作 り出 しを持 つ。 西 側 の台 石 作 り出 しは耳 状 の作 り 出 しを持 つ。 そ れ ぞ れ の台 石 の中央 には,本 来 あ った突起 を削 り,平 らに した痕跡 が あ る。 据 え付 けの た めの掘形 は第4層
を掘 り込 み,長 約 250cm,幅 約 180cm,の 不 整 隅丸方形 を呈 す る。 断割 の断面 か ら見 ると,掘 形 内 に褐 色 砂 を埋 め た後,3層
の暗黄 褐色 土 を充 填 しな が ら台石 を固定 して い る。 台石 保 持 の た め,掘 形 底 部 まで 掘 り下 げて い な い ので根 石 は確 認 して いな い。
SX513
阿形 像 左 足 下 の東 西 に並 ぶ2石
の台 石 。 と もに礎 石 を転 用 した もので,上 面 に径
70cmほ
どの 円形 の作 り出 しを持 つ。 そ れ ぞ れ の上 面 に は突 起 を削 った 痕 跡 が見 られ る。 掘 形 は南 側部分 のみを確認 した。 長 約 200cmで あ る。 一 部 掘形 内部 の3層
を除去 した結果 で は,掘形 埋 土 はSX512と 同様 と考 え られ る。SX514 SX512北
側 に据 え られ た3石
の上面 の平 らな 自然 石。上面 の高 さはSX512
と一 致 す る。SX512の 掘形 内 に3層
に よ って固定 されて い る。SX515 SX513南
側 に据 え られ た2石
の 自然石。 石 の上 面 の高 さはSX513と ほぼ一 致 す る。 SX513の 掘 形 内 に3層
に よ って固定 されて い る。SX516 SX513西
側 の礫 敷 。 長20〜30cm程
度 の 自然 石 を用 い る。 礫上 面 の高 さはS
X513よ り3〜
5 cm程 度低 い。 ここで は掘 り下 げを行 って いな いが,東 側 で は石 は4層
上面 に3層
に よ り固定 されて いた。掘形 内部 で も同様 で あ ろ う。SS517〜
522
台石 周 囲 の6個
の足場穴。平面形 はすべ て径約40cm程
度 の円形 で あ る。 ただ し,SX521の み は,抜 き取 りによ る ものか上 端 が南 側 に伸 び る不 整 楕 円形 を呈 す る。埋土 は明褐 色砂。 昭和5年
の解体修 理 の際 の足 場穴 と思 われ る。SS523
調 査 区南 側 に位 置 す る浅 い皿 状土坑。 埋土 は明褐 色 砂 。 や は り解 体 修 理 の際 の もの と思 われ る。また,調査 区西 南部 で
,4層
上 面 に炭化物・ 焼 土 が広 が って い るの を確 認 した。ただ し,堆 積 は非常 に薄 く,炭化 物・ 焼土 と もに粒 子 状 に ま ば らに分 布 して お り,
火 災 な どに よ る もの とは考 え られ ない。 また,こ の広 が りは台石掘形 に切 られ,台 石 設 置以 前 の堆 積 で あ る。
遺 物 は,足 場 穴 と
2層
中か ら近 世 の陶器 片・ 瓦 片,覚 永 通 費 な どの貨 幣,石片,鉄―‑ 90 ‑一
片
,4層
上 面 でか わ らけの小 片 が 出土 した。3ま
と め今 回 の調 査 で 阿形 像基 底 部 につ い て ,一 定 の知 見 を得 る こ とが で き た 。 まず,
SX512・ 513の掘 形 は
4層
か ら掘 り込 まれ,3層
を敷 き固 めて台石 を固定 し,同時 に SX514〜 SX516を 固定 した ことが確 認 で きた。 基 底 部 の形 成 は昨 形 像 側 で も同一 で あ る。 また前 回 の調査 で は4層
以 下 が創 建 当時 の基壇 と推定 され た。 今 回 はそ れ を裏 付 け る ことはで きなか ったが,4層
上 面 の炭 化物・ 焼上 の広 が りは,あ る時 期 にそ こが基壇 上 面 で あ った可 能 性 を示 して い る。 また,今 回 の調 査 で も火 災 の 痕跡 を検 出 で きず,南大 門焼 失 の可 能 性 は さ らに弱 ま った といえ る。 (臼杵勲)
X
146131
‑146132X
H=10300
‑146128X
―‑146130X
―‑146131X
―‑146132X
(点線内未掘)
│ │
Y‑14423 Y‑14422
図48 第234‑2次調査遺構図 1:50
│
Y‑14421
0 1
―
│
Y‑14420 SX517
│Y‑14424