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調査対象としての在宅医療機器の検討

第 1 章 在宅医療の現状及び在宅医療で使用される医療機器の調査

1.3. 調査対象としての在宅医療機器の検討

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出所)文部科学省調査を基に作成

図 1-3 特別支援学校における医療的ケアが必要な幼児児童生徒数推移(H18-27年)及 び行為別対象幼児児童生徒数(H27年)

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表 1-2 在宅療養指導管理材料加算の対象となる医療機器

在宅療養指導管理料(件数) 在宅療養指導管理料材料加算 加算件数 該当医療機器(一般的名称)

在宅自己注射 (874,862) 在宅小児低血糖症患者(131) 在宅妊娠糖尿病患者(965)

自己血糖測定器

注入器加算 (注射器、注入器、自動ポ ンプ含む)

間歇注入シリンジポンプ加算 持続血糖測定器加算

584,459 3,512 4,774 474

自己検査用グルコース測定器() 汎用輸液ポンプ()

注射筒輸液ポンプ()

グルコースモニタシステム() 在宅自己腹膜灌流 (10,148)

在宅自己連続携行式腹膜灌流頻回指導 管理含む

紫外線殺菌器加算

在宅自己連続携行式腹膜灌流液交換用 熱殺菌器含む

自動腹膜灌流装置加算

5,854 3,894

腹膜潅流用紫外線照射器()

自動腹膜潅流装置() 在宅血液透析(565)

在宅血液透析頻回指導管理含む

透析液供給装置加算 563 個人用透析装置() 在宅酸素療法(125,211)

区分「チアノーゼ型先天性心疾患」と「そ の他」を合算

酸素濃縮装置加算

呼吸同調式デマンドバルブ加算

139,681

102,631 酸素濃縮装置()

呼吸同調式レギュレータ() 在宅中心静脈栄養法(5,807) 注入ポンプ加算 (8,390) 汎用輸液ポンプ()

在宅成分栄養経管栄養法(7,352) 在宅小児経管栄養法(2,693)

注入ポンプ加算 (8,390) 経腸栄養用輸液ポンプ() 在宅人工呼吸(25,184) 人工呼吸器加算 1.陽圧式

2.マスク 3.陰圧式 排痰補助装置加算

5,485 21,256 1,994 83

成人用人工呼吸器() 二相式気道陽圧ユニット() 陰圧人工呼吸器()

気道粘液除去装置() 在宅持続陽圧呼吸療法

(348,466)

経鼻的持続陽圧呼吸療法用治療 器加算 1.ASV 2.CPAP

353,835

二相式気道陽圧ユニット() 持続的自動気道陽圧ユニット() 在宅悪性腫瘍患者 (932)

在宅悪性腫瘍患者共同(2)

注入ポンプ加算 (8,390) 患者管理無痛法用輸液ポンプ() 在宅肺高血圧症患者(126) 携帯型精密輸液ポンプ加算

携帯型精密ネブライザー加算

420

汎用輸液ポンプ() 超音波ネブライザ() 1非能動型医療機器、植込み型医療機器を除く

注2) 加算件数のデータは厚生労働省「社会医療診療行為別統計」の2015年のデータに基づく 3-は2016年からの新規加算項目のためデータなし

4加算件数列の( )は複数の療法で共通の加算となるもの

出所)冨森浩二「在宅医療機器の現在、在宅医療機器のニーズ」17を基に作成

一方、広く在宅で使用される医療機器を挙げると、電気治療器やマッサージ器等の「家 庭用管理機器」、さらに健康管理の目的で血圧や血糖の自己検査を行うための「健康管理機 器」18等がある。

さらに、厳密には医療機器ではないが、医療と介護が一体となって行われる状況におい て、介護ベッドや電動車いす、移動用リフト等の福祉用具や各種介護機器も、広く在宅医 療の環境で用いられる機器という点で、在宅医療機器と共通的な要素を持つ。表 1-3にそ の他の医療機器の例を示す。

17冨森浩二「在宅医療機器の現在、在宅医療機器のニーズ」、『病院設備』、20169月号Vol.58 No.5

18 日本ホームヘルス機器協会ホームページ ホームヘルス機器とは http://www.hapi.or.jp/aboutus/index.html

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表 1-3 その他の医療機器

機器の種類 主な該当機器

家庭用医療機器

-家庭用管理医療機器

-家庭用電気治療機器

(販売/貸与の要件が異なる)

※クラス分類はⅡ

家庭用管理医療機器 家庭用マッサージ器 家庭用指圧代用器

家庭用温熱浴、気泡浴装置 家庭用電気磁気治療器 家庭用吸入器

電解水生成器 等 家庭用電気治療機器

家庭用低周波治療器 家庭用電位治療器 家庭用短波治療器 家庭用紫外線治療器 家庭用温熱治療器 等 健康管理機器

(各種測定機器類等)

※クラス分類は主にⅡ

電子体温計 電子血圧計 電子尿糖計 心拍数モニタ 脈拍数計 等 福祉用具(非医療機器)

※介護保険法上の定義は「心身の機能が 低下し日常生活を営むのに支障がある要 介護者等の日常生活上の便宜を図るため の用具及び要介護者等の機能訓練のため の用具であって、要介護者等の日常生活 の自立を助けるためのもの」

電動車いす

特殊寝台(介護用ベッド)

床ずれ防止用具

認知症老人徘徊感知機器 移動用リフト

自動排泄処理装置

その他 介護ロボット 等

1)家庭用医療機器、健康管理機器等を総称して「ホームヘルス機器」とも呼ばれる。

なお、電動車いすに関しては平成9年に製品評価技術センター(現:独立行政法人製品 評価技術基盤機構)が、日常の生活環境中に存在する電波によって、電動車いすに機能障 害が生じる可能性について試験を行っている 19。試験の結果、電波暗室の試験では、アマ チュア無線機で使用される周波数帯を含むいくつかの周波数領域で電波の照射により、電 動車いすの減速、加速、ブレーキの解除等が確認された。実際の使用環境(屋外)におい て、市販されている無線機によって電波を照射する試験では、50MHz 帯、144MHz 帯の アマチュア無線機でブレーキが解除される等の誤作動が確認されたが、その他のアマチュ ア無線機、携帯電話、パーソナル無線機においては同様の現象は確認されていない。この

19 独立行政法人製品評価技術基盤機構「事故情報特記ニュースNo.11」(1997617日)

http://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/specialnews/011wheel.html

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結果を受けて、当該電動車いすの製造事業者は、各利用者に対する電動車いす使用時に無 線通信機器の使用を控える旨の注意喚起等の措置を既に自主的に講じている。

次年度以降、実際に在宅医療機器への電波の影響の調査を実施する段階では、限られた リソースでより効果的な検証を行うため、優先して調査を行う医療機器を絞り込む必要が ある。上記に挙げた在宅で用いられる医療機器等の優先度を検討する上で考慮すべき点に ついて、以下に述べる。

本調査における前提

まず、本調査は各種電波利用機器からの電波が医療機器に与える影響を検証することが 目的のため、電子・電気部品によって構成される医療機器である「能動型医療機器」(日本 工業規格(JIS)では「医用電気機器」という呼称を用いる。)を想定する。また、植込み 型心臓ペースメーカ等及びその他植込み型医療機器、装着型医療機器の一部に関しては、

既に平成26年度に調査を実施しているため、本調査の対象として検討しない。

医療機器のクラス分類

医薬品医療機等法に定義される医療機器は、人体に与えるリスクの程度により、「一般医 療機器」、「管理医療機器」、「高度管理医療機器」に分類され、さらに厚生労働省通知(平 成16年7月20日付け薬食発第0720022号 20及び平成25年5月10日付け薬食発0510 第8号21)により、国際的な基準に基づくリスクに応じたクラス分類との対応が示されて いる。医療機器のクラス分類を表 1-4に示す。

20平成16720 薬食発第0720022号「薬事法第二条第五項から第七項までの規定により厚生労

働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器(告示)及び薬事法第二条第八項 の規定により厚生労働大臣が指定する特定保守管理医療機器(告示)の施行について」

http://www.pmda.go.jp/files/000158299.pdf

21平成25510 薬食発05108号「高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器に係る クラス分類ルールの改正について」http://www.pmda.go.jp/files/000159623.pdf

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表 1-4 医療機器のクラス分類

クラス分類 医薬品医療機等法分類

クラスⅣ注1)

患者への侵襲性が高く、不 具合が生じた場合、生命の 危険に直結する恐れがある もの

高度管理医療機器

医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合(適 正な使用目的に従い適正に使用された場合に限る。)におい て人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるこ とからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣 が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの クラスⅢ

不具合が生じた場合、人体 へのリスクが比較的高いと 考えられるもの

クラスⅡ

不具合が生じた場合でも、

人体へのリスクが比較的低 いと考えられるもの

管理医療機器

高度管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機 能の障害が生じた場合(適正な使用目的に従い適正に使用 された場合に限る。)において人の生命及び健康に影響を与 えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものと して、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて 指定するもの

クラスⅠ

不具合が生じた場合でも、

人体へのリスクが極めて低 いと考えられるもの

一般医療機器

高度管理医療機器及び管理医療機器以外の医療機器であっ て、副作用又は機能の障害が生じた場合(適正な使用目的に 従い適正に使用された場合に限る。)においても、人の生命 及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものとし て、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指 定するもの

注1)クラス分類ルール において全ての能動型植込み型医療機器はクラスⅣに分類される。

過去の植込み型心臓ペースメーカ等及びその他植込み型医療機器、装着型医療機器に対 する調査においては、電波の影響により機能等に不具合が発生した場合に、人体へのリス クが高い医療機器を調査対象選定の際の基準の1つとして考慮した。なお、能動型の植込 み型医療機器は、患者への侵襲性が高いという点で、クラス分類ルールにおいては最もレ ベルの高いクラスⅣに分類される。一方、今回調査対象として検討する在宅医療機器は、

前述の通り幅広い用途で様々な医療機器が利用されており、クラス分類もそれぞれ異なる。

人体へのリスクを考慮する上で、今回の調査対象の検討においては、原則としてクラス

Ⅲ以上の医療機器(高度管理医療機器)を選定することを想定する。ただし、医療機器に よっては使用状況の実態から、クラス分類が低くても影響を考慮すべきとして優先度を上 げる、または逆にクラス分類が高くても、他の医療機器と比較して優先度を下げる等の調 整を行う必要もある。