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各調査内の回答構造(データの相関関係)の比較

第 8 章 実験調査結果の分析

8.6 各調査内の回答構造(データの相関関係)の比較

職業キャリア)と、そういった関係性がみられない質問項目(福利厚生給与化、生活充実感、

生活不安)があった。しかし、実験調査に近づいてもなお調査

X

ネット利用者と実験調査の 回答内容には乖離があり、概括的にみれば調査

X

ネット利用者の回答内容は、実験調査より は調査

X

ネット非利用者の回答内容のほうに近い。

なお、調査

X

ネット利用者の回答が実験調査に近かった質問項目には、学歴が規定要因と なるもの-今田・池田(

2004

)の分析によれば、終身雇用、年功賃金、努力原理などの項 目では学歴が低いほど支持が高く、複数企業型職業キャリア、リストラの基準を職業能力に することなどでは学歴が高いほど支持が高い-が多い。調査

X

ネット利用者と実験調査回 答者の学歴の差(前者のほうが学歴が平均的に低い)があり、これらについては、学歴要因 を除けば(実験調査と調査

X

ネット利用者の学歴構成が同一になるように補正すれば)、調 査

X

ネット利用者の回答がさらに実験調査に近づく可能性がある。(なお、調査

X

非ネット 利用者は調査

X

ネット利用者よりもさらに学歴が低く、学歴について補正をくわえることで ネット利用者と非利用者間の回答の差が縮小する可能性もある。)

ただし、

7.6

で検討したかぎりでは学歴による補正の効果はさほど大きいものではなかっ たので、属性の差の影響を除いたとしても、調査

X

ネット利用者と実験調査回答者の意識項 目の回答結果にはまだ相当の差が残るのではないかと推測される。

8.6 各調査内の回答構造(データの相関関係)の比較

分析を行っているので、ここでの分析も同様の方法に従った。今田・池田は、意識変数と属 性変数の関係、意識変数同士の関係を分析しているが、ここでは意識変数と属性変数の関係 のみを分析した。

(1)

変数

【意識変数】

4

点尺度、

5

点尺度の回答は、「そう思う」=

1

点、「ややそう思う」=

2

点、「どちらか といえばそう思わない」=

-1

点、「そう思わない」=

-2

点、「どちらともいえない」=

0

点として点数化した。「わからない」は分析から除外した。

・シングルアンサーの設問については、「選択」=

1

、「非選択」=

0

とした。

【属性変数】

・性別は「女性」

=0

、「男性」

=1

・年齢区分、学歴、本人収入-間隔尺度 65

(2)

分析方法

それぞれの意識変数がどのような属性に規定されているか、回帰分析を行った。4点尺度、

5

点尺度の意識変数については重回帰分析を、シングルアンサーの意識変数についてはロジ スティック回帰分析を行った。

なお、従属変数(=意識変数)、独立変数(=属性変数)のうち一つでも「わからない」「不 明」がある場合は欠損値として分析対象から除外した。

8.6.3

分析結果

回帰分析を行った結果は図表

8-6-3-1

から図表

8-6-3-7

に示したとおりである。図表中の太 字で下線を付した数値は、調査

X

で有意とされた説明変数で、実験調査でも有意となったも のである。ただし、斜体字の部分は有意ではあるが係数が正負逆転している説明変数を示す。

例えば、努力原理についての意識(図表

8-6-3-1

)は、調査

X

の回答者では年齢、学歴と 相関関係があり、年齢が高いほど、学歴が低いほど努力原理を支持している。これに対し、

調査

A

では、調査

X

と同様に年齢、学歴は有意な相関関係があるが、年齢要因は、調査

X

とは逆に、年齢が高いほど努力原理の支持が低いという結果になっている。調査

B

でも年齢 要因の係数は負であり同様の関係がみられる。

なお、比較対象とした質問項目は、調査

X

に先立つ

2

年間の同様の調査(日本労働研究機 構「勤労生活に関する調査

1999

年」及び同「勤労生活に関する調査

2000

年」)においても、

65 今田・池田(2004)ではこの3つは連続変数(学歴は教育年数に置き換え)としている。

2001

年調査(調査

X)と同様の相関関係が確認されているもの、すなわち、属性と意識の相

関関係が安定していると考えられるものを選んだ。

図表中、最左列の調査名の下の*印は、各調査の回答結果と調査

X

の回答結果(いずれも 性・年齢補正値)のカイ

2

乗検定又はウィルコクソン順位和検定による有意差検定の結果で ある。*は

10

%水準、**は

5

%水準、***は

1

%水準で

2

つの調査の間に有意な差があ ることを示す。

・「望ましい分配原理(努力原理)」の調査結果については、調査 X

では年齢が正、学歴 が負の相関関係がある。学歴は調査

A

C

E

で同方向の相関関係となっているが、年 齢は調査

A・B

では逆の相関関係を示している。

・「終身雇用慣行の評価」については、調査 X

では性別が負(女性のほうが支持が高い)、

年齢が正、学歴が負の相関関係がある。年齢は調査

A

C

E

で、学歴は調査

E

で同方 向の相関関係があるが、性別は調査

A

C

では逆の相関関係(男性のほうが支持が高い)

となっている。

・「生活満足度」については、調査 X

4

つの属性すべてが満足度と有意な相関関係をも ち、

5

種の実験調査すべてでも同様の相関関係がみられる。

・「地位競争不安」(まごまごしていると、他人に追い越されそうな不安を感じる)につ

いては、調査

X

では年齢が正、学歴が負の相関だった。学歴については調査

A

C

E

が同様の相関関係を、年齢は調査

A

B

がともに逆の相関関係となっている。

・「リストラのルール(高齢者から失職すべき)」については、調査 X

では性別、年齢と 正の相関関係があった。このうち性別については調査

C

で、年齢については調査

C

D

E

で同様の相関関係がみられた。なお、この質問は、調査結果そのものについて調査

X

と実験調査でほとんど有意差がみられなかったものである。

・「日本が目指すべき社会(平等社会)」については、調査 X

では性別及び学歴と負の相 関関係があった。このうち学歴については、5 種の実験調査すべてで同様の負の相関関 係がみられた。

・「複数企業型キャリア志向」では、調査 X

では年齢とは負の相関関係、学歴とは正の相 関関係がみられた。このうち年齢については調査

A

B

C

E

で、学歴は調査

C

E

で同様の相関関係がみられた。

図表 8-6-3-1 「望ましい分配原理(努力原理)」(問 2(2))の規定要因(重回帰分析)

非標準化係数 t 有意確率 R2 調整済み

R2 N

性別 -0.023 -0.398 0.691

年齢区分 0.004 2.095 0.036 **

学歴 -0.047 -2.445 0.015 **

調査X

本人収入 0.007 0.707 0.480

0.008 0.006 2117

性別 -0.158 -2.019 0.044 **

年齢区分 -0.005 -1.954 0.051 *

学歴 -0.051 -2.022 0.043 **

調査A

***

本人収入 -0.034 -2.721 0.007 **

0.036 0.031 943

性別 0.059 0.786 0.432

年齢区分 -0.004 -1.926 0.054 *

学歴 -0.015 -0.659 0.510

調査B

***

本人収入 -0.018 -1.548 0.122

0.006 0.003 1371

性別 -0.015 -0.142 0.887

年齢区分 -0.003 -1.058 0.291

学歴 -0.087 -2.689 0.007 **

調査C

***

本人収入 -0.015 -0.957 0.339

0.019 0.013 634

性別 -0.054 -0.629 0.530

年齢区分 -0.004 -1.496 0.135

学歴 -0.042 -1.574 0.116

調査D

***

本人収入 -0.020 -1.474 0.141

0.013 0.009 948

性別 0.038 0.497 0.620

年齢区分 0.002 1.007 0.314

学歴 -0.040 -1.773 0.076 *

調査E

***

本人収入 -0.030 -2.473 0.014 **

0.012 0.009 1261

(注)(図表8-6-3-7まで同じ。)

1.調査名の下の*は、各調査の回答結果と調査Xの回答結果(いずれも性・年齢補正値)のカイ2乗検定 又はウィルコクソン順位和検定による有意差検定の結果である。*は 10%水準、**は 5%水準、***

1%水準で2つの調査の間に有意な差があることを示す

2.太字で下線を付した項目は、調査Xで有意とされた説明変数で、実験調査でも有意となったものを示す。

そのうち斜字体の項目は、有意ではあるが係数が正負逆転している説明変数であることを示す。

図表 8-6-3-2 「終身雇用慣行の評価」(問 3(1))の規定要因(重回帰分析)

非標準化係数 t 有意確率 R2 調整済み

R2 N

性別 -0.154 -2.390 0.017 **

年齢区分 0.010 4.646 0.000 ***

学歴 -0.077 -3.643 0.000 ***

調査X

本人収入 0.003 0.279 0.781

0.031 0.029 2047

性別 0.221 2.580 0.010 **

年齢区分 0.011 3.901 0.000 ***

学歴 -0.028 -1.014 0.311

調査A

***

本人収入 -0.024 -1.729 0.084 *

0.026 0.022 867

性別 0.094 1.170 0.242

年齢区分 0.002 0.696 0.487

学歴 -0.005 -0.183 0.855

調査B

***

本人収入 0.002 0.183 0.855

0.003 -0.001 1234

性別 0.270 2.362 0.019 **

年齢区分 0.010 2.769 0.006 **

学歴 0.041 1.137 0.256

調査C

***

本人収入 -0.039 -2.260 0.024 **

0.025 0.018 556

性別 0.104 1.155 0.248

年齢区分 0.004 1.559 0.119

学歴 0.029 1.061 0.289

調査D

***

本人収入 -0.002 -0.169 0.866

0.007 0.002 870

性別 0.055 0.648 0.517

年齢区分 0.008 3.218 0.001 **

学歴 -0.056 -2.241 0.025 **

調査E

***

本人収入 -0.004 -0.277 0.782

0.016 0.012 1141

図表 8-6-3-3 「生活満足度」(問 5)の規定要因(重回帰分析)

非標準化係数 t 有意確率 R2 調整済み

R2 N

性別 -0.282 -4.370 0.000 ***

年齢区分 0.007 3.528 0.000 ***

学歴 0.088 4.153 0.000 ***

調査X

本人収入 0.022 2.106 0.035 **

0.019 0.017 2132

性別 -0.410 -4.502 0.000 ***

年齢区分 0.012 3.988 0.000 ***

学歴 0.125 4.208 0.000 ***

調査A

***

本人収入 0.043 2.949 0.003 **

0.053 0.049 930

性別 -0.542 -6.502 0.000 ***

年齢区分 0.009 3.773 0.000 ***

学歴 0.102 3.947 0.000 ***

調査B

***

本人収入 0.043 3.255 0.001 **

0.048 0.045 1369

性別 -0.603 -4.892 0.000 ***

年齢区分 0.012 3.388 0.001 ***

学歴 0.122 3.138 0.002 **

調査C

***

本人収入 0.044 2.403 0.017 **

0.062 0.056 629

性別 -0.394 -4.065 0.000 ***

年齢区分 0.015 4.796 0.000 ***

学歴 0.126 4.150 0.000 ***

調査D

***

本人収入 0.041 2.727 0.007 **

0.057 0.053 952

性別 -0.536 -5.867 0.000 ***

年齢区分 0.007 2.862 0.004 **

学歴 0.072 2.729 0.006 **

調査E

***

本人収入 0.036 2.535 0.011 **

0.038 0.035 1274

図表 8-6-3-4 「地位競争不安」(問 11(1))の規定要因(重回帰分析)

非標準化係数 t 有意確率 R2 調整済み

R2 N

性別 -0.023 -0.398 0.691

年齢区分 0.004 2.095 0.036 **

学歴 -0.047 -2.445 0.015 **

調査X

本人収入 0.007 0.707 0.480

0.008 0.006 2117

性別 -0.158 -2.019 0.044 **

年齢区分 -0.005 -1.954 0.051 *

学歴 -0.051 -2.022 0.043 **

調査A

本人収入 -0.034 -2.721 0.007 **

0.036 0.031 943

性別 0.059 0.786 0.432

年齢区分 -0.004 -1.926 0.054 *

学歴 -0.015 -0.659 0.510

調査B

**

本人収入 -0.018 -1.548 0.122

0.006 0.003 1371

性別 -0.015 -0.142 0.887

年齢区分 -0.003 -1.058 0.291

学歴 -0.087 -2.689 0.007 **

調査C

本人収入 -0.015 -0.957 0.339

0.019 0.013 634

性別 -0.054 -0.629 0.530

年齢区分 -0.004 -1.496 0.135

学歴 -0.042 -1.574 0.116

調査D

**

本人収入 -0.020 -1.474 0.141

0.013 0.009 948

性別 0.038 0.497 0.620

年齢区分 0.002 1.007 0.314

学歴 -0.040 -1.773 0.076 *

調査E

**

本人収入 -0.030 -2.473 0.014 **

0.012 0.009 1261

図表 8-6-3-5 「リストラのルール:高齢者から職を失うべきである」(問 16(4))の規定要因(重回帰分析)

非標準化係数 t 有意確率 R2 調整済み

R2 N

性別 0.143 1.887 0.059 *

年齢区分 0.017 6.690 0.000 ***

学歴 -0.033 -1.338 0.181

調査X

本人収入 0.006 0.449 0.653

0.035 0.033 1963

性別 -0.105 -1.075 0.283

年齢区分 0.003 1.087 0.277

学歴 0.042 1.322 0.187

調査A

本人収入 0.043 2.705 0.007 **

0.014 0.009 827

性別 -0.014 -0.152 0.879

年齢区分 -0.001 -0.260 0.795

学歴 -0.018 -0.626 0.531

調査B

本人収入 0.036 2.426 0.015 **

0.007 0.003 1193

性別 0.206 1.670 0.095 *

年齢区分 0.009 2.357 0.019 **

学歴 0.096 2.429 0.015 **

調査C

本人収入 0.004 0.226 0.821

0.032 0.025 546

性別 0.122 1.188 0.235

年齢区分 0.012 3.755 0.000 ***

学歴 0.028 0.872 0.384

調査D

本人収入 0.016 1.022 0.307

0.029 0.024 851

性別 0.013 0.121 0.904

年齢区分 0.010 3.339 0.001 ***

学歴 0.042 1.348 0.178

調査E

本人収入 0.000 -0.006 0.995

0.011 0.008 1111

図表 8-6-3-6 「日本が目指すべき社会」(問 21)の規定要因(ロジスティック回帰分析)

(平等社会=1、自由競争社会・わからない=0)

係数 有意確率 Exp(B) カイ2 -2対数

尤度 N

性別 -0.364 0.003 ** 0.695

年齢区分 0.001 0.779 1.001

学歴 -0.292 0.000 *** 0.747

調査X

本人収入 -0.022 0.291 0.978

90.706 2456.016 2083

性別 -0.235 0.228 0.790

年齢区分 -0.005 0.469 0.995

学歴 -0.202 0.001 ** 0.817

調査A

***

本人収入 -0.023 0.460 0.977

17.010 859.809 897

性別 0.273 0.117 1.314

年齢区分 0.002 0.695 1.002

学歴 -0.156 0.003 ** 0.856

調査B

***

本人収入 -0.093 0.002 ** 0.911

25.841 1291.248 1330

性別 -0.171 0.508 0.843

年齢区分 -0.012 0.108 0.988

学歴 -0.406 0.000 *** 0.666

調査C

***

本人収入 0.000 0.995 1.000

33.035 605.434 618

性別 0.295 0.164 1.343

年齢区分 -0.012 0.088 * 0.988

学歴 -0.147 0.026 ** 0.863

調査D

***

本人収入 -0.019 0.568 0.981

9.123 832.873 915

性別 0.175 0.343 1.191

年齢区分 0.020 0.000 *** 1.020

学歴 -0.094 0.073 * 0.910

調査E

***

本人収入 -0.036 0.216 0.964

21.898 1296.641 1228

図表 8-6-3-7 「複数企業型キャリア志向」(問 1)の規定要因(ロジスティック回帰分析)

(問1で「雇用型」(選択肢14)を選択した者の中で「複数企業型」=1、「一企業型」=0とし、「わから ない」「独立型」は除いて集計。)

係数 有意確率 Exp(B) カイ2乗 -2対数尤度 N

調査X 性別 0.007 0.961 1.007

年齢区分 -0.020 0.000 *** 0.980

学歴 0.105 0.014 ** 1.111

本人収入 -0.019 0.384 0.981

45.236 1969.558 1482

調査A 性別 -0.221 0.222 0.802

*** 年齢区分 -0.015 0.010 ** 0.985

学歴 0.048 0.411 1.049

本人収入 -0.006 0.844 0.994

10.624 903.015 666

調査B 性別 -0.179 0.265 0.836

*** 年齢区分 -0.008 0.089 * 0.992

学歴 -0.048 0.331 0.953

本人収入 -0.014 0.568 0.986

8.985 1356.287 996

調査C 性別 -0.501 0.051 * 0.606

*** 年齢区分 -0.016 0.025 ** 0.984

学歴 0.142 0.070 * 1.152

本人収入 0.012 0.759 1.012

13.937 578.740 435

調査D 性別 -0.459 0.026 ** 0.632

*** 年齢区分 -0.004 0.565 0.996

学歴 0.007 0.908 1.007

本人収入 -0.020 0.517 0.980

12.144 841.400 645

調査E 性別 -0.643 0.000 *** 0.526

*** 年齢区分 -0.014 0.003 ** 0.986

学歴 0.189 0.000 *** 1.207

本人収入 0.028 0.336 1.028

36.521 1269.932 956