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誘導体化条件の検討

ドキュメント内 大気中微小粒子状物質( (ページ 47-51)

第三章 誘導体化-加熱脱着 GC/MS 法による PM 2.5 中の極性及び非極性有機成分の簡易迅

3.3 結果

3.3.2 誘導体化条件の検討

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析した。この試料は、4 μm以下の大気中微小粒子で、PAHsの保証値(一部参照値)、 およびレボグルコサンの参照値が添付されている。この試料は粉末であるため、10~

30 μg程度を感度1 μgの天秤で量り取り、7.1 mm2 (3 mm径) のポンチでくり抜いた

石英繊維フィルタに薬さじで塗布したものを分析した。

3.2.6 環境試料への適用

東京都江東区にある東京都環境科学研究所及び東京都東大和市一般大気常時監視測 定局において、FRM-2000 ローボリュームサンプラを用い、PM2.5 を石英繊維フィル

タに16.7 L/minで24時間採取した試料を分析した。採取期間は、2008年夏季(7月

28日~8月9日)と2009年冬季(2月2日~2月13日)で、2地点でそれぞれ夏季 10検体、冬季7検体を採取した。この試料については、質量濃度の他、炭素成分をサ ーマル・オプティカル・リフレクタンス法により分析した。また、水溶性有機炭素

(WSOC)、イオン成分を、純水による抽出後、それぞれTOC計、イオンクロマトグ ラフにより分析した(上野ら, 2011)。

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最初に、誘導体化時(一次脱着時)の温度の影響を検討した。Fig. 3-3(a) は、BSTFA

を30 μL添加した標準試料を、ヘリウム流量20 mL/minで10分間加熱した場合の誘

導体化成分のピーク面積である。加熱温度は、加熱脱着装置のバルブの最高使用温度

(300 ℃)等を考慮すると、最高で320 ℃が適当と考えられたため、280~320 ℃で 検討した。その結果、大きな差異ではないが、320 ℃の時にピーク面積が高くなる傾 向が見られたため、これを最適の条件とした。

次に、Fig. 3-3(b) には、加熱温度320 ℃においてヘリウム流量を変えた場合のピー

ク面積を示した。原理的には、ヘリウム流量が少ないと、気化した BSTFA との反応 時間が増加する一方、コールドトラップへの追い出しが不完全になり回収率が低下す

Fig.3-3 Effect of the optimization parameters on 10 minutes’ derivatization yield. Error bar show the standard deviation (n=3) .

(a) He flow : 20 mL/min, BSTFA : 30 μL, three different temperatures tested.

(b) Temperature : 320 ℃, BSTFA : 30 μL, three different He flow rates tested.

(c) Temperature : 320 ℃, He flow rate : 20 mL/min, 30 μL of BSTFA and Pyridine, four mixing rates tested.

(d) Temperature : 320 ℃, He flow rate : 20 mL/min, BSTFA and pyridine: 9:1, four volumes of the reagent tested.

0 1 2

280 300 320

Normalized Peak Area

Temperature ()

(a)

0 1 2

10 20 30

He flow (mL/min)

(b)

Oxalic acid Malonic acid Succinic acid Phthalic acid Levoglucosan

0 1 2

10:0 9:1 8:2 7:3

Normalized Peak Area

Mixing ratio of BSTFA and pyridine

(c)

0 1 2

5 10 20 30

Amount of the regent (μL)

(d)

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ると考えられる。Fig. 3-3(b) を見ると、10 mL/minではシュウ酸の面積が小さくばら つきも大きかった。20 mL/minと30 mL /minでは大きな差はなかったが、ややばら つきが少ない20 mL/minを最適条件とした。

Fig. 3-3(c) には、BSTFAとピリジンとの混合率を変化させた場合のピーク面積を示

した。ピリジンはシリル化反応を促進することが知られているが、有機酸のシリル化 では過剰の添加は効果が低くなるという報告がある(Pietrogrande et al., 2011)。Fig.

3-3(c) からは、フタル酸とレボグルコサンについては、ピリジン添加の効果が大きい

ことがわかる。一方、マロン酸は逆にピリジン添加によりピーク面積が小さくなった また、全体的には、ピリジンを多くするとピーク面積は下がる傾向が見られたことか ら、混合比9:1が適当と考えられた。

Fig. 3-3(d) は、BSTFA:ピリジン(9:1) の添加量を変えて測定した結果である。シュ

ウ酸は5 μLではピーク面積が小さく、シリル化試薬が少ないと反応率が大きく下がる と考えられた。一方、マロン酸、コハク酸、レボグルコサンはシリル化試薬が多いと 逆にピーク面積が小さくなる傾向であった。フタル酸はシリル化試薬が多いとばらつ きが大きくなった。また、多量のシリル化剤の添加は、ピーク形状の悪化や装置の汚 染につながることから、ここでは10 μLにすることにした。

以上のことから、誘導体化の最適条件として、温度320 ℃、ヘリウム流量20 mL/min、

反応時間10 min、BSTFA:ピリジン(9:1)添加量10 μLとした。

この条件において、一度分析した標準試料及び PM2.5試料にシリル化試薬のみを添 加して再度分析した場合のピーク面積は最大でも最初の5 %未満であり、未反応の成 分の残存はほとんどないと考えられた。ただし、高濃度試料の後に低濃度試料を分析 する場合はブランクをはさむ等の注意が必要である。

この条件で1~200 ngの標準試料を分析し検量線を作成した。検量線は全濃度範囲 では直線にはならなかったが、濃度範囲を0~20 ng、20~200 ngに分けると直線と して定量可能であった(Fig. 3-4, Table 3-2)。

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また、標準試料1 ngを繰り返し分析し、標準偏差の3倍として求めた検出下限値を、

保持時間(RT)、MSのターゲットイオン、参照イオンとともにTable 3-3 に示した。

なお、Table 3-3において検出下限値が0.3 ngの場合、ローボリュームサンプラの典 型的な採取条件(47 mm径のフィルタに16.7 L/minで24時間採取)で、試料量を後 述の回収試験結果から7.1 mm2 (3 mm径) のポンチでくり抜いたものとすると、大気 中濃度としては約2 ng/m3に相当し、後述する環境試料の濃度の最低レベル(数ng/m3) と同程度の感度が得られた。検出下限値を誘導体化-加熱脱着法を用いた他の報告と 比較すると、メチル化-加熱脱着GC/MSを用いた方法(Sheesly et al., 2010)では、

フタル酸が1.1 ngに対し、本手法は0.4 ngと良好であった。MSTFAによるシリル化

-GC/TOFMSを用いた方法(Orasche et al., 2011)では、高性能なTOFMSを使用 しており、フタル酸が0.015 ng、レボグルコサンが0.006 ngと、本手法の0.4 ngに 対し一桁以上高感度である。しかし、同報告での測定可能な最も低分子な有機酸はリ ンゴ酸(炭素数4のヒドロキシ酸:HOOC-CH(OH)-CH2-COOH)で検出下限0.5 ng であり、低分子ジカルボン酸については本手法の方が優れているといえる。

Fig. 3-4 Calibration curves of the TMS derivatives.

slope intercept r slope intercept r Oxalic acid 0.0308 -0.0314 0.977 0.0637 -0.9550 0.999 Malonic acid 0.0029 -0.0040 0.998 0.0051 -0.0977 0.995 Succinic acid 0.0101 -0.0047 0.999 0.0119 -0.1157 0.998 Phthalic acid 0.0150 -0.0065 0.999 0.0143 -0.0885 0.997 Levoglucosan 0.0141 -0.0069 0.998 0.0140 -0.0554 0.998

0-20ng 20-200ng

Table 3-2 Linearity of the calibration curves of the TMS derivatives.

0 0.2 0.4 0.6

0 10 20

Peak area ratio

Amount (ng) Oxalic acid/2 Malonic acid Succinic acid Phthalic acid Levoglucosan

0 2 4 6

0 100 200

Amount (ng)

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