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評価項目ごとの現地調査の開始時期の考え方

第 2 章 風力発電所

2.2 調査計画の考え方

2.2.5 評価項目ごとの現地調査の開始時期の考え方

2016 年度までに実証を終えた風力発電の 17 事例において、環境影響評価の項目ごとに 迅速化のための手法を整理し、風力発電所の参考項目ごとに示されている参考手法と発電 所アセス手引で解説されている調査手法の考え方の特性(調査期間、調査頻度、調査地点) や、調査結果を事業計画へ反映させる必要性の大小等に応じて、前倒環境調査を実施する 適切な開始のタイミングを検討した。

検討の結果、前倒環境調査を開始するタイミングは、下表の【Ⅰ-1】から【Ⅳ】に分類 できたことから、環境影響評価の項目ごとにこれらの分類に基づいて迅速化のための知見 を整理した。

表 12 評価項目ごとの現地調査の開始時期の考え方

開始区分 開始時期 評価項目 開始時期の設定の考え方

【Ⅰ-1】

事業計画地の 想定時

(配慮書手続前)

動物(猛禽類) 調査期間が長期にわたること、

環境影響の有無や程度によっては 事業計画に反映する必要があるこ とから、コスト増を許容した上で 幅広い範囲で早い段階から前倒環 境調査を開始する。

【Ⅰ-2】

事業計画地の 想定時

(配慮書手続前)

騒 音 及 び 超 低 周 波 音 ( 供 用 )

【簡易予測】

地形及び地質【事前調査】

風車の影【簡易予測】

動物(渡り鳥の重要な渡来地) 植物(自然度の高い植生) 生態系【事前調査】

景観【簡易予測】

環境影響の有無や程度によって は事業計画に反映する必要がある ことから、コスト増を許容した上 で幅広い範囲で早い段階から事前 調査や簡易予測を行い前倒環境調 査を開始する。

【Ⅱ】

配慮書手続の 開始と同時

動物 植物 生態系

環境影響の有無や程度によって は事業計画に反映する必要がある ことから、事業実施想定区域を設 定できた段階で、ある程度コスト 増を許容した上である程度幅広い 範囲で前倒環境調査を開始する。

【Ⅲ】

方法書手続の 開始と同時 *1

大気質

騒音及び超低周波音(供用) 水質

水中音 景観

人と自然との

触れ合いの活動の場

事業計画・工事計画に対応した 調査地点の設定等が必要な項目で あることから、手戻りリスクを小 さくするために、設備配置を設定 して対象事業実施区域が決定した 後に前倒環境調査を開始する。

【Ⅳ】

方法書への大臣 勧告後に開始 ( 方 法 書 手 続 の 終了後)

騒音(工事) 振動 底質 地下水 地形及び地質 風車の影 電波障害 放射線の量

調査や検討に必要な期間が短い ため、方法書の大臣勧告後に調査 を開始することで、調査の手戻り リスクを回避する。

省令の参考項目と参考項目以外で選定している事例がある項目(表 6 及び表 9 に示した項目)のうち、現地調査が必要 な項目を整理した。

*1:厳密には同時ではなく手続開始の数か月前。「方法書手続開始と同時」に前倒環境調査に着手する工程では、環境 影響評価の手続期間・図書作成期間を考慮すると、厳密には「方法書への大臣勧告から準備書届出まで 8 ヶ月以内」

を達成できない。このため、方法書届出の数ヶ月前で、対象事業実施区域の設定がある程度進んだ段階から前倒環 境調査を開始することになる。

(1) 大気質

(a) 工事用資材等の搬出入[工事]

a) 参考手法における調査手法(調査期間)の考え方

手引では、工事用資材等の搬出入に係る気象及び窒素酸化物濃度の調査は、原則として 1 年間とするものの、窒素酸化物排出量が最も多くなる月を設定可能な場合は、当該月の 調査に限ることが可能とされている。

なお、降下ばいじんの調査については、手引には記載がない。

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○調査期間等について

調査は原則として 1 年間とするものの、工事用資材等の搬出入に用いる自動車の運行に よる窒素酸化物排出量が最も多くなる月を設定可能な場合は、当該月の調査に限ることが 可能である(ただし、工場地域等で窒素酸化物濃度が環境基準の値に近い、あるいは、上回 る地点・月がある場合、かつ、その月に工事を実施する場合にはその高濃度が出る月も調 査をする。)。

出典:「発電所に係る環境影響評価の手引(2017 年 5 月 経済産業省)」

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b) 実証事例から得られた知見

実証 17 事例では、洋上風力である 001 及び 013 を除く 15 事例すべてで実施しており、

気象及び窒素酸化物濃度の調査は、6 事例が 4 季、残り 9 事例が 3 季実施していた。調査 時期を 3 季としている事業については、積雪で休工となる冬季に実施しておらず、工事の 時期に合わせて調査時期を絞ることは可能と思われる。

なお、降下ばいじんの調査については、手引には記載がないが、現況と予測結果との比 較が可能となるため、15 事例すべてで実施していた。また、調査時期は、気象及び窒素 酸化物濃度の調査時期と同様としていた。

交通量の調査は、15 事例のうち 1 事例が気象、窒素酸化物濃度及び降下ばいじんと同 様に 3 季実施していたが、残り 14 事例はすべて 1 季のみの実施していた。年間を通じて 交通量が変化しないような立地の場合は、平日及び休日に 1 日ずつ(又は代表的な 1 日)の 調査とすることが可能と思われる。

表 13 実証 17 事例における気象、窒素酸化物濃度及び降下ばいじん (工事用資材等の搬出入)の現地調査実施状況等

実証番号 立地 開始時期 調査時期 軌道修正 手戻り

001 洋上

002 沿岸 配慮書

4 季

(春,夏,秋,冬) なし なし

003 沿岸 配慮書

4 季

(春,夏,秋,冬) なし なし

004 山間 配慮書

3 季

(春,夏,秋) なし なし

005 山間 配慮書

4 季

(春,夏,秋,冬) なし なし

006 山間 方法書

3 季

(春,夏,秋) なし なし

007 山間 配慮書

3 季

(春,夏,秋) なし なし

008 山間 配慮書

4 季

(春,夏,秋,冬) なし なし

009 山間 配慮書

4 季

(春,夏,秋,冬) なし なし

010 山間 配慮書

3 季

(春,夏,秋) 地点の追加*1 なし 011 山間 配慮書

3 季

(春,夏,秋) なし なし

012 山間 配慮書

4 季

(春,夏,秋,冬) なし なし

013 丘陵

014 山間 配慮書

3 季

(春,夏,秋) なし なし

015 山間 方法書

3 季

(春,夏,秋) なし なし

016 山間 配慮書

3 季

(春,夏,秋) なし なし

018 山間 方法書

3 季

(春,夏,秋) なし なし

手戻り:方法書に対する都道府県知事意見・経済産業大臣勧告等により追加調査等を行ったもの 軌道修正:「手戻り」以外の理由で追加調査等を行ったもの

-:環境影響評価項目として選定していない事業

*1:工事用車両等の走行ルートの事業計画の熟度が高まったため調査地点を追加。

表 14 実証 17 事例における交通量等の現地調査実施状況等

実証番号 立地 開始時期 調査時期 軌道修正 手戻り

001 洋上

002 沿岸 方法書

1 季〔平日、休日〕

(春) なし なし

003 沿岸 方法書

1 季〔平日〕

(春) なし なし

004 山間 配慮書

1 季〔平日、休日〕

(秋) なし なし

005 山間 配慮書

1 季〔平日、休日〕

(秋) なし なし

006 山間 方法書

3 季〔平日〕

(春,夏,秋) なし なし

007 山間 配慮書

1 季〔平日、休日〕

(秋) なし なし

008 山間 準備書

1 季〔平日、休日〕

(春) 地点の追加*1 なし 009 山間 配慮書

1 季〔平日、休日〕

(秋) 地点の追加*1 なし 010 山間 配慮書

1 季〔平日、休日〕

(秋、一部春) 地点の追加*2 なし 011 山間 配慮書

1 季

(秋) なし なし

012 山間 方法書

1 季〔平日、休日〕

(秋) なし なし

013 丘陵

014 山間 配慮書

1 季〔平日、休日〕

(秋)

015 山間 配慮書

1 季〔平日、休日〕

(秋) なし なし

016 山間 方法書

1 季〔平日、休日〕

(秋) なし なし

018 山間 方法書

1 季〔平日、休日〕

(秋) なし なし

手戻り:方法書に対する都道府県知事意見・経済産業大臣勧告等により追加調査等を行ったもの 軌道修正:「手戻り」以外の理由で追加調査等を行ったもの

-:環境影響評価項目として選定していない事業

*1:工事用車両等の走行ルートを変更したことに伴い調査地点を追加。

*2:工事用車両等の走行ルートの事業計画の熟度が高まったため調査地点を追加。

c) 調査の前倒しの考え方

調査地点は、事業計画・工事計画を踏まえて、「工事用資材等の搬出入」による影響が 想定される保全対象(住居等)の代表的な地点に設定する必要がある。

このため、事業計画の熟度が低い段階で調査地点を設定した場合には、工事計画の変更 に伴って追加調査が生じる可能性がある。また、方法書手続で「調査地点の不足」を指摘 されて手戻りが生じる場合もある。

これらのことから、追加調査や手戻り発生のリスクを小さくするために、設備や工事用 道路の配置が概略で決まり、対象事業実施区域の範囲が固まった後に前倒環境調査を開始 することが有効である。(前掲表 12 の開始区分【Ⅲ】に該当。)

図 7 前倒環境調査の実施と期間短縮の考え方:大気質(工事用資材の搬出入) 準備書手続

(6.5ヶ月)

期間短縮

【8ヶ月以内】

事業計画、事業実施想 定区域の設定

事業計

事業計画、対象事業実 施区域の設定に反映

事業計画、対象事業 実施区域の修正

方法書手続

(5.5ヶ月)

環境要素 実証事業の実績 得られた知見

大気質 ・基本的には4季調査を実施しているが、積雪のある地

域で冬季調査を実施していない実績あり。 ・積雪で工事が行われない時期があれば、その 時期を調査時期から除外できる可能性がある。

配慮書手続

(3ヶ月)

環境アセスメントの手続

◆方法書手続と同時期(対象事業実施 区域の設定後)に調査を開始する。

約3ヶ月 予測・

【Ⅲ】大気質 評価等

実証事例の実績

(b) 建設機械の稼働[工事]

a) 参考手法における調査手法(調査期間)の考え方

手引では、建設機械の稼働に係る気象及び窒素酸化物濃度の調査は、原則として 1 年間 とするものの、窒素酸化物排出量が最も多くなる月を設定可能な場合は、当該月の調査に 限ることが可能とされている。

なお、降下ばいじんの調査については、手引には記載がない。

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○調査期間等について

調査は原則として 1 年間とするものの、建設機械の稼働による窒素酸化物排出量が最も 多くなる月を設定可能な場合は、当該月の調査に限ることが可能である(ただし、工場地域 等で窒素酸化物濃度が環境基準の値に近い、あるいは、上回る地点・月がある場合、かつ、

その月に工事を実施する場合にはその高濃度が出る月も調査をする。) 出典:「発電所に係る環境影響評価の手引(2017 年 5 月 経済産業省)」

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b) 実証事例から得られた知見

実証 17 事例では、洋上風力である 001 と保全対象(住居等)からの距離がある 004、005 及び 016 を除く 13 事例で実施しており、5 事例が 4 季、残り 8 事例が 3 季実施していた。

調査時期を 3 季としている事業は、冬季に積雪で休工となる計画であり、このように工事 の時期に合わせて調査時期を絞ることが可能と思われる。

なお、降下ばいじんの調査については、手引には記載がないが、現況と予測結果との比 較が可能となるため、気象及び窒素酸化物濃度の調査を実施した 13 事例すべてで実施し ていた。また、調査時期は、気象及び窒素酸化物濃度の調査時期と同様としていた。

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