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設計結果

ドキュメント内 — 修士学位論文 — (ページ 38-55)

第 6 章 HDD のベンチマーク問題への適用 29

6.5 設計結果

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

図 6.8: 重み関数W1(s)の周波数応答

ここで,ϕFIR,ρFIRは(6.9),(6.10)式のように定義する。

ϕFIR(z) = [z1z2. . .,z14] (6.9)

ρFIR = [ρ1ρ2. . .,ρ14]T (6.10) 今回は,これらのパラメータをサンプリングタイムTs= 3.788×102 msで離散化した ものを用いる。ここで,HDDに対する設計指標として一般に制御帯域は1000 Hz,位

相余裕は20 deg,ゲイン余裕は5 dB程度の制御性能を有することが望まれているため,

(4.5)式における確保したい制御帯域ωx = 1000 Hz,(4.11)式における確保したい位相 余裕θ= 20 deg,(4.16)式における確保したいゲイン余裕GMd = 5.0 dBとした。

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

図 6.9: 参照モデルM(s)の周波数応答

ρFIR =



























1.6704×101

8.7187×102

6.8277×102

4.7580×102

3.5125×102

2.7982×10−2

1.2424×102

9.0652×103

1.2164×10−2

2.3586×103

6.7485×103 2.2911×103

2.5818×103

2.7604×103



























(6.12) 10 

5  0 

‑5  cq  ‑10‑

~ ‑15  .@  ‑20 

‑25 

‑30 

‑35  40 

10‑ 10

OU  AI

4  

︐ J ' ' ' ' ' '  

d

3

r i  

AU r

L  

1

e  n  c 

u v

2 u  

o q  

I e

r i  

 

EA

nu

 

EA 10 10

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

一方で,H制御器設計法では(6.13)式に示す20次の制御器が設計された。

K = NK(s)

DK(s) (6.13)

NK(s)= 2.528×104s19+ 3.184×109s18+ 6.335×1014s17+ 6.991×1019s16

+5.853×1024s15+ 5.457×1029s14+ 2.608×1034s13+ 1.984×1039s12+ 6.248×1043s11 +3.805×1048s10+ 8.445×1052s9+ 4.09×1057s8+ 6.465×1061s7+ 2.467×1066s6 +2.644×1070s5+ 7.741×1074s4+ 4.757×1078s3+ 9.736×1082s2+ 1.496×1086s +7.279×1087

DK(s) =s20+ 6.97×105s19+ 2.638×1011s18+ 5.56×1016s17+ 8.734×1021s16 +1.023×1027s15+ 9.565×1031s14+ 7.162×1036s13+ 4.43×1041s12+ 2.286×1046s11 +9.995×1050s10+ 3.726×1055s9+ 1.186×1060s8+ 3.23×1064s7+ 7.433×1068s6 +1.434×1073s5+ 2.244×105s4+ 2.752×1081s3+ 2.379×1085s2+ 1.199×1089s +1.199×1083

そして,各設計手法により設計した制御器の周波数応答を図6.10,6.11に示す。また,

文献[6]にて示されているサンプリングタイムTs = 3.788×102 ms で離散化された PID制御器を(6.14)式に,サンプリングタイムTs/2 ms で離散化されたマルチレート ノッチフィルタを(6.15)式に示す。その周波数応答を図6.12,6.13に示す。

Kpid= 0.03279(z0.9765)(z0.9306)

(z1)(z0.2698) (6.14)

N F(z) = NN F(z)

DN F(z) (6.15)

NN F = 0.6174(z21.826z+ 0.9489)(z21.687z+ 0.9102)

(z21.638z+ 0.9778)(z21.208z+ 0.9539)(z20.2065z+ 0.9317)

DN F = (z21.811z+ 0.9325)(z21.615z+ 0.8286)

(z21.489z+ 0.7984)(z2−z+ 0.6184)(z20.1783z+ 0.6683)

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

図 6.10: 提案手法にて設計した制御器

図 6.11: H制御器設計法にて設計された制御器

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

図 6.12: 文献[6]で示されているPID制御器

図 6.13: 文献[6]で示されているマルチレートノッチフィルタ

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

図 6.14: H制御器を用いたときのPESの3σ値 表 6.1: 3σ値の比較

H control PID+notch filter Proposed method

3σvalue 10.896 9.3487 8.8603

各制御器用いて10種の変動モデルに対して制御系を構成し前述の2項目を評価した。

両手法とも10種の変動モデルをすべて安定化できており,ロバスト安定性は確保でき ている。各制御器に対するy[k]の3σ値を評価した結果をそれぞれ図6.14,6.15,6.16 に示す。 また,10種の変動モデルに対するノミナルループゲイン時における位置誤差 の非同期成分の3σ値の平均値を評価した結果を表6.1に示す。

H制御問題として混合感度問題を解いた場合,20次の制御器が設計されているの にかかわらず提案手法では16次の制御器構造で良好な制御性能を達成できていること がわかる。その理由として,本手法では乗法的変動が最小となるように各周波数点で ノミナルモデルを設定することによる保守性の削減が行える点と,制御性能と安定性 の双方を評価するロバスト性能条件を満足している点が挙げられる。また,文献[6]で 用いられているPID制御器にノッチフィルタを付加した制御器と比較しても良好な性 能を実現していることがわかる。ここで,文献[6]で用いられている制御器の次数は12 次と提案手法のものより低次数ではあるが,共振の抑制に用いるPID制御器やノッチ フィルタの設計にパラメータの調整やモデルの構築といった制御器設計に伴う労力を

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

図 6.15: PID制御器+マルチレートノッチフィルタを用いたときのPESの3σ値

図 6.16: 提案手法を用いたときのPESの3σ値 ハ ‑ E

v v b v b Q

U

VO

i

E i 

Q d Q U

i

z u d H

# ¥ 言 ︒ υ H U ( 同 一

2

Z

E

u v hd

v b Q

U

v hd

i

‑ E

Qd

Ui

一 也 君 #

¥ 言

︒ υ H U ( 同 一

E H

mH

Z

1 %

%  

・ 刀

O O

qd'EL1Ei 

陀 + 一

日 旧

m

m v

mmMmγ 

h h b  

一 + +

2  4  5  6  7 

Model number 

10 

3  8 

一 一 一

Nominalloopgain 

& loopgain

=  + 

10% 

‑‑eー loopgain

‑10% 

2  3  4  5  6  7  9  10 

Model number 

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

表 6.2: 諸特性の比較

H control PID+notch filter Proposed method Control bandwidth 500.5 Hz 1019.1 Hz 1095.0 Hz

Phase margin 42.0 deg 38.9 deg 38.1 deg

Gain margin 10.6 dB 2.7 dB 5.0 dB

多く必要とする。一方で,提案手法では凸最適化により図6.10に示すようにノッチフィ ルタの特性を伴う制御器を試行錯誤なく設計可能であることは大きな利点であるとい える。また,提案手法において制御器の高次数化の要因として,制御器構造を制御器パ ラメータに線形に記述するため分母多項式の調整が行えないことより高次のFIRフィ ルタを利用している点が大きな原因として考えられる。

各制御器を用いて10種類の変動モデルに対して開ループ特性を評価した結果を図6.17,

6.18,6.19に示す。また,提案手法により設計された制御器を用いて描いたNyquist線

図を図6.20に示す。ここで,文献[6]で示されているPID+マルチレートノッチフィ ルタ制御器についてはPID制御器と等しいサンプリングタイムTs msで離散化された

(6.16)式に示すマルチレートノッチフィルタN FTsを制御対象に付加したものを新たな

1つの制御対象とみなし,開ループ特性を評価する。

N FTs(z) = NN FTs(z)

DN FTs(z) (6.16)

NN FTs = 0.60524(z2+ 1.94z+ 0.985)(z21.441z+ 0.9064)

(z21.035z+ 0.8467)(z20.7298z+ 0.9635)(z20.4582z+ 0.9433) DN FTs = (z2+ 1.875z+ 0.9184)(z21.419z+ 0.8771)

(z20.9617z+ 0.7158)(z2+ 0.3651z+ 0.5485)(z20.6269z+ 0.6868) 図6.20より,L(jω)の軌跡が20 degの位相余裕を定義する直線の下側に存在すること より,望みの位相余裕が確保できていることが分かる。同様にL(jω)の軌跡が原点を 中心とする単位円内に存在する際に5 dBを確保するように定義された直線ζの下側に 存在しており,望みのゲイン余裕が確保できていることがわかる。そして,変動モデル に対して制御帯域,ゲイン余裕と位相余裕をの最悪値を評価した結果を表6.2に示す。

表6.2からも,本手法では制御帯域,位相余裕,ゲイン余裕共に設計指標を満足してい ることが確認できる。これより,提案手法が有効性が検証であるといえる。

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

図 6.17: H制御器を用いた時の開ループ特性

図 6.18: PID制御器+マルチレートノッチフィルタを用いた時の開ループ特性

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

図 6.19: 本手法を用いた時の開ループ特性

図 6.20: 変動モデルに対するNyquist線図 100 

80  60 

p:~ 40  20 

‑200

40 

‑60  80  720  54 τ4E360 

180 

4αC

ι‑180 

‑360  54

10

[/) 

:> 

ro 

営‑1

ド『

10 10 10 10 10

FrequeI 

i/ 

,戸・・+J /'  ¥

ノ i ah k¥

‑一一一‑一一」一一

/ 、

. .

  Straight line defines phase margin 

2ト一 ‑Straight line ( 

一‑

Trajectory of L(jω) 

1::.. 

L (

υJCωd

k )

around least c

ontro011ban

‑3 

/ , 

Real axis 

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

図 6.21: 感度関数の周波数応答

表 6.3: ロバスト性能条件値γの比較

H control Proposed method

∥|W1S|+|W2T|∥ 0.5506 0.9467

感度関数T の周波数応答を図6.21,6.22に示す。また,ロバスト性能水準値γを評価 した結果を表6.3に示す。 図6.21より提案手法では低周波帯域において感度関数Sの ゲインを低減できていることがわかる。そのため,提案手法では3σ値の低減が行えて いると考えられる。一方で,図6.22より高周波帯域において提案手法による相補感度 関数T のゲインが高くなっていることがわかる。この理由として,提案手法では図6.7 に示すように,設計したノミナルモデルPnにより不確かさW2を最小化することで保 守性を低減している。そのため,高周波帯域においてT のゲインを下げる必要がなく なったためだと考えられる。また,提案手法においてγが大きな値となる理由として,

提案手法では制約を課すことによりH制御器と比較して2倍以上の制御帯域や望み の安定余裕を有していることが考えられる。これにより,開ループ特性のゲインを引 き上げることとなりγの値が大きくなるものと考えられる。また,H制御では混合 感度問題を解き,その値が最小となるような制御器を導出するが,提案手法ではγ <1 となる範囲で最適化問題の目的関数である|L(jω)−Ld(jω)|を最小化する制御器パラ メータを導出するという点もこの要因の一つとして考えられる。しかしながら,表6.3

50 

‑50

0

100 

‑150 

200 10‑ 10‑

一 一‑

S for H∞ method 

一‑ S 

for proposed method 

10 10 10

Frequenc y  [ r a d / s ]  

第 6章 HDDのベンチマーク問題への適用

図 6.22: 相補感度関数の周波数応答

よりγ <1を満足するため所望の制御性能と安定性は保証される。

7 章 結言

本研究では従来のロバスト制御手法に生じる問題点を解決する手法について検討し た。本研究では文献[1]にてKarimiらが提案した制御器設計法を利用する。本研究に おける主張は次のとおりである。

まず,第一に制御対象の周波数応答を用いた乗法的不確かさを最小とするノミナル モデルの設計法を提案した。LMIを利用して最適化問題としてノミナルモデルの周波 数応答を導出することが可能であり,ノミナルモデルの設計に伴う試行錯誤や設計コ ストを削減することが可能である。また,不確かさを最小化することによって制御器 設計時に伴う保守性を削減することが可能となり,制御性能の向上を図ることが可能 となる。第二に,文献[1]の方法がNyquist線図を利用するという点に着目し,産業界 で広く用いらている性能指標である制御帯域,位相余裕,ゲイン余裕の3点をNyquist 線図上において保証する性能制約を提案した。これらの制約式は制御対象の周波数応 答のみを利用するため数式モデルを必要とせず,制御器のパラメータベクトルに線形 に定義されるため,凸最適化問題として内点法による求解が可能である。これにより,

設計者による制御器の精巧な作りこみや経験による制御器パラメータの調整が不要と なり,簡易に所望の制御性能を実現する制御器を設計できる。第三に,提案手法の有 効性を二慣性速度制御装置に対する実機実験を通して確認し,実プロセスへの適用可 能性を示した。第四に,提案手法の有効性をハードディスクドライブのベンチマーク 問題を通して確認し,実用化への可能性を示した。本ベンチマーク問題は多くの技術 者に用いられており,信頼性の高いものとされている。そのため,これら一連の結果 は実用化に大きく寄与するものと考えられる。

今後の課題としては,以下の点が挙げられる。まず,第一に,分母多項式のパラメー タ調整を可能とする必要がある。本研究において制御器構造は制御器のパラメータベ クトルに対して線形に記述する必要があり,分母多項式の直接的な調整は行えない。そ のため,多共振系のような複雑な制御対象である場合,所望の制御性能を実現するた めに制御器の高次数化をもたらす。よって,制御器の実装,現場におけるパラメータ 調整の観点からみて分母多項式を調整することによる制御器次数の低次数化が望まれ

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