第 5 章 計算結果の信頼性 111
5.3 非均一凝縮のモデルを含む計算結果の検証
5.3.2 計算結果
図5.5と図5.6は,Heiler(60)が行った計算結果を示している.縦軸は圧力,液相の質量比,および 核生成率をそれぞれ示している.横軸はスロートからの距離を示している.黒の破線は凝縮が生じな い場合の圧力,黒の実線は凝縮が生じる場合の圧力,赤の実線は均一,および非均一凝縮による液相 の質量比の和,赤の破線は非均一凝縮による液相の質量比,および青の実線は均一凝縮による核生成 率をそれぞれ示している.
図5.5は,均一凝縮の場合の分布を示している.スロート下流側において核生成率が最大となる位 置において,凝縮が生じ,液相の質量比が急激に増加している.凝縮による放出潜熱の影響により,
凝縮衝撃波が発生し,圧力は凝縮が生じない場合の分布からはずれ急激に増加する.
図5.6は,非均一凝縮の場合の分布を示している.均一凝縮の場合とほぼ同様であるが,液相の質 量比が増加し始める点が,非均一凝縮の影響により上流側へ移動していることがわかる.しかし,そ の増加の仕方は極めて緩やかであり,核生成率が最大となる位置において,均一凝縮が生じ急激に増 加する.
図5.7は,本計算による均一凝縮の場合の結果を示している.図5.5と比較すると,核生成率の分 布はほぼ一致している.しかし,圧力分布は凝縮衝撃波の位置までは一致しているが,それより下流 側では,本計算結果の圧力がHeilerが行った結果より大きくなっている.その影響によって,生ずる 液相の質量比も小さくなっている.これは用いた乱流モデルの違いによる影響と考えられる.Heiler による結果は,修正k-Rモデルを用いているが,本計算ではBaldwin-Lomaxモデルを用いている.
これらの二つのモデルでは,境界層の厚さに違いが生ずる.そのため,凝縮衝撃波の下流側において 境界層の厚さの違いが顕著に現れ,流路の実質断面積が異なるために,このような違いが現れるもの と考えられる.
図5.8は,本計算による非均一凝縮の場合の結果を示している.図5.6と比較すると,凝縮衝撃波 より下流の圧力と,均一と非均一凝縮による液相の質量比の和の大きさ以外はほぼ一致している.こ れら両者間の違いは,前述した乱流モデルの違いによるものであると考えられる.
Heilerが行った結果と本計算結果を比較すると,核生成率の分布は一致しており,非均一凝縮によ
る液相の質量比の分布もほぼ一致している.また,最も重要である液相の質量比が増加を始める位置 が一致しており,本計算結果による議論は十分可能であると考えられる.
Fig. 5.1 Complete size distributions of natural aerosols(79)
(a) Computational grids (Unit : mm)
(b) Boundary conditions Fig. 5.2 Computational domain
(a) Schlieren photograph
(b) Contour map of density gradient
(c) Distributions of static pressure (Flat wall side)
Fig. 5.3 Comparisons between experimental and calculated results (φ01= 60 %)
(a) Computational grids
(b) Boundary conditions Fig. 5.4 Computational domain
Fig. 5.5 Distributions of static pressure, condensate mass fraction, and nucleation rate (φ01= 35 %, Homogeneous condensation)
Fig. 5.6 Distributions of static pressure, condensate mass fraction, and nucleation rate (φ01= 35 %,nhet,01= 1.0×1013 m−3)
Fig. 5.7 Distributions of static pressure, condensate mass fraction, and nucleation rate (φ01= 35 %, Homogeneous condensation)
Fig. 5.8 Distributions of static pressure, condensate mass fraction, and nucleation rate (φ01= 35 %,nhet,01= 1.0×1013 m−3)