銀河の回転曲線を観測する際には、視線方向で見て我々に近づくプラス側の速度と我々 から遠ざかるマイナス側の速度の両方が観測されるので、通常、回転曲線と言えば既にプラ ス側とマイナス側の速度が平均してある事が多い。しかし、下図は
M31
の回転曲線である が、これを見るとそれぞれプラス側とマイナス側が青と赤でプロットしてあり、平均された 回転速度が黒い点としてプロットしてある。ここで更にM31
の中心部を見てみると、青い 点と赤い点が非常に大きくずれている事が分かる。外縁部が対称的あるのに中心部がこの 様に大きい非対称性を持つ原因としては、銀河外から降ってきたガスなどが銀河中心を直 撃した場合や銀河同士が中心部で合体している事が考えられる。このM31
の中心付近の様 に、あまりにもプラス側とマイナス側の差が大きい場合、言い換えれば左右で銀河の歪みの ずれが大き過ぎる場合は平均化された回転曲線のfittting
にはあまり意味がない。図28 M31の回転曲線。赤い点と青い点はそれぞれマイナス側とプラス側の視線速度から求められた回転 曲線であり、黒い点が平均化された回転曲線。Chemin et al .2009
そこで、
M51
の回転速度の差についても考えてみる。下図は観測されたM51
のプラス 側、マイナス側の速度と、それを平均化した回転曲線の図である。図29 Sofue et al .1996
図30 Sofue et al .1996
この図より、
NGC5195
との重力相互作用によるものと予測される8Kpc
以遠の回転速度 が低下よりも、寧ろ平坦な5
〜8Kpc
付近の方が速度の差は大きい事が分かる。これは、後 述の相互作用のシミュレーションで、NGC5195
がM51
を通過した場所に等しい。そして、この結果から、多少の歪みのずれは存在するが回転曲線の
fitting
が意味を成さない程大き くはないと言える。また、大きいところでは±
30
〜40Km/s
程の速度の差が存在し、inclination
では約2
〜4
°程度の差になる。よって、ここで導き出した
inclination
についてはプラス側とマイナス 側の速度差が存在する場所では最大で4
°変化する可能性も考えられる。ic342
については先に図15
で示した通り、速度差はプラス側とマイナス側で殆ど見られない。よって、
ic342
については回転曲線が対ほぼ対称的であるので、非対称性によるinclination
の変化については言及しない。
ドキュメント内
重力相互作用銀河M51 の回転曲線と質量分布について
(ページ 32-35)