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視覚的密度感指標(天空遮蔽率)による街路景観分析

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. はじめに

前章では、 2次元の景観画像から得られる情報を定量化して、 景観の特性を評価す る物理的指標を提案した。 ここでは、 街路と建物で構成される3次元の空間を、 視覚 量によって景観の特性を表示しうる物理指標を検討する。

都市街路空間の基本的な構成要素は道路と建物である。 これらの要素は、 旧来より 都市の景観 ・ 空間を論じる上で、 議論の中心として取り上げられてきた。 とりわけ、

ヨーロ ッパでは古くから建物高さと道路幅員あるいは広場の幅の関係性が重要視され ており、 カミロ ・ ジッテは、 その著書「広場の造形J 1)において、 歴史的都市の広場と 建物の関連を分析し、 芸術的原理にもとづいた建物の高さと広場の幅の比率に関する 見地を考察している。 また、 芦原は、 「続 ・ 街並みの美学J 2)において、 街路景観にお ける建物高さ(H) 、 道路幅員(D )と建物の正面幅(W)の関係をD/H、 W/D という指標を提案し、 景観の特徴を明瞭に表現している。 しかしながら、 建物と道路 の物理的な関係が人間の視覚的環境に対してどのように影響を及ぼしているのか、 正 確に計量していないことから、 定性的な議論に終始している。

一方、 都市の外部空間における視覚環境を計量化する手法として、 一般的に用いら れるものが魚限レンズを使用した計量方法でで、ある3九)」o 武井

空率の指標により、 街路空問の開放性を記述している0 本章でで、は、 CGを用いてこれ らの手法を補完しうる新たな指標を提示する。

本章の目的は、 都市の街路空間における景観特性を定量的に表示しうる指標を提案 することである。 具体的には、 3次元コンビュータグラフィックスの技術を用いJ

「天空遮蔽率」という指標を提案する。 本指標は、 街路上の任意の点からの視野の広 がりが建物によって遮蔽される割合を指標化したものであり、 この指標が既往の魚眼 レンズを用いて計量したものより優れている点は、 建物の形態 ・ 道路幅員を操作する ことで擬似的な街区空間をシミュレーションし視覚環境を計量できる点と、 建物や街 路の3次元座標データから容易に街路空間の物理的特性と視覚環境との関係を定量的 に把握することができる点である。

本章の構成としては、 2節で天空遮蔽率の算定手法を提示し 、 3節で仮想、のモデル 街区で天空遮蔽率の特性を確認し、 4節で事例として大分市街地を取り上げて妥当性

を検討し、 5節で本章のまとめを述べている。

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3 - 2. 天空遮蔽率の算定手法について

本研究では、 建物が天空を遮蔽する指標として「天空遮蔽率」を定義した。 これは ある任意の地点において建築物が視界全体に占める割合を示すものである。

この計算手法を図3 - 1に示す。 まず視点を3次元空間の任意の点q 1におく。 次 に視界の範囲を距離10 0 m、 水平方向360度、 垂直方向0""90度の半球 と仮定 し、 その球面上に無数の点をとる。

それらの点q 2の座標を決定する式は、 次式で示される。

X = r X cos ( i ) X cos( j )

Y = r X cos ( i ) X sin( j )

Z = r X sin( i )

rはq 1とq 2の距離、 iは地平面からの仰角、 jは地平面における水平方向の角 度である。

次に、 この座標q 2 と視点q 1とを結ぶ線分を決定し、 これらの線分が建物の壁面 と交わるかどうかの判定をおこなう。 具体的には、 建物の壁面を形成する4点の内3 点をそれぞれp 1、 p 2、 p 3、 壁面と線分の交点をsとし、 ベクトルによって形成

される平面とq 1とq 2を結ぶ線分をベクトルによる式で表現すれば、

一一歩 一一歩 一一今 一一歩 一一 一一

s = P 1 + (p2 -pl) u + (p3 -pU v

s=

+

(手-U)

ここでの各ベクトルは、 ある任意の点から各点までのベクトルを表し、 u、 v、 tは スカラーである。

両者の交点は上記の2つの方程式を満足するこ とから、 3次元座標系に直すと3次 元連立方程式となる。 これをu、 v、 tについて解く。 なお交点が建物壁面に含まれる か否かは、 u、 vが0以上かつ1以下を満たすかどうかにより判別するコ この手法によ り天空遮蔽率を算出した。

3 - 3. rモデル街区jでの算定事例

まず「モデル街区Jを用いてその天空遮蔽率の平均値を算出し、 指標の基本的性質 を把握した。 モデル街区は、 図3 - 2に示すように、 規則性をも った均一な街区と立 方体の建物により構成される街区であり、 街区の一辺の長さは210m、 建物は1街区あ たり49棟からなる。 本モデルは、 建物の物理量、 すなわち建ぺい卒、 階数、 道路幅

-

43-

....---員を操作することが可能であり、 これ らの3つのパラメータのうち2つのパラメータ を変化させ天空遮蔽率を計測した。 その組み合わせのパターンは、 表3 - 1に示す6 種である。 なお天空遮蔽率の計測は図3 - 2に示す視点移動距離の範囲の4 3地点で おこなった。

まず、 階数に着目して各図の天空遮蔽率の特性を考察すると、 図3 - 3、 図3 - 4 より、 階数を増加すれば天空遮蔽率の平均値は増加するが、 その増加率は階数が増加 するほど減少しており、 その傾向は建蔽率が大きいほど、 もしくは道路幅員が狭いほ ど顕著である。 次に道路幅員に着目すると、 図3 - 5、 図3 - 6より、 道路幅員が増 加すれば天空遮蔽率の平均値は減少し、 道路幅員が増すにつれ 、 その減少率は小さく なる。 図3一7、 図3 - 8の建蔽率の傾向を考察すると、 建蔽率が増加すると、 天空 遮蔽率の平均値 も増加するが、 建蔽率が増すごとにその増加率は減少し、 道路幅員が 狭いほど、 階数が高いほどその変化は著しい。

次にH/Dと天空遮蔽率の関係をみる。 図3 - 9の折れ線グラフは、 天空遮蔽率の 平均値の変化を示し、 棒グラフはH/Oが 0.2刻みの天空遮蔽率の平均値変化の度合い を示している。 H/Oが1.0ま では、 天空遮蔽率の平均値 の増加が著しく、 0.2から 0.4までは6.40/0から28.80/0と22.4ポイント、 また 0.4から0.6までは28.80/0から45.8%と 17.0%の増加を示している。 しかし、 H/Oが1.0から3.0になるにつれてその増加率 は徐々に小さくなり、 H/Oが2.0を越える範囲では、 かなり微小な伸びにとどまる。

しかし現状の都市空間においては、 道路斜線制限によりH/Oが1.25、 1.5 と規制 されていることから80

%以上の高遮蔽率は現実的な数値ではないが、 日/0が1.5であっても天空遮蔽率は約 75%にも達することが伺え、 高容積の建築群からなる街路空間は、 非常に閉鎖的であ

ることが伺えるD

つまり、 景観指標の1つであるH/Oではカバー出来ない部分が、 この天空遮蔽率 で表現出来るのである。

3 - 4. 大分市街地への適用事例

大分市中心部の東西2 km、 南北2kmの範囲の市街地の街区と建物を3次元コンビ ュータグラフィックスにより表現する。 街区と建物の平面形状は、 1/2.500の地図によ り、 建物高さは建物階数の調査データをもとにしたっ このシミュレーション対象地域

を示した図が図3 -10である。 天空遮蔽率を計測した街路はこのうち1 5街路であ り、 各用途地域内の代表的な街路を選択している。

この対象区域の街路景観分析をおこなうにあたり、 まず最初にある1つの街路を例 に取り上げ視覚的環境の特性を詳細に考察する。 次に15の街路のうち天空遮蔽率の高 い街路、 低い街路について比較をおこない、 建築物の規模、 道路幅員との関係に着目 して考察する。 また1992年と1987年の大分市街地の街路を比較し、 時間の経緯ととも に街路の視覚環境がどのように変化したのか分析をおこなう。

( 1 )代表的街路における景観特性分析

各類型化地区の比較 、 検討を行う前に、 ある1つの街路を例に取り上げ考察を行 つ。

ここでは商業地 域(容積率制限500% )の区域にある 街路12を選定した。 街路12 は、 東西に走る大分市街地の主要道路の一つであり、 街路に面した建築物は、 主に事

務所ピルである。 この天空遮蔽率の変動図を図3 - 11に示す。 この街路では、 北側建 築物群、 南側建 築物群における天空遮蔽率が100/0 '"'"'20%前後の狭い範囲で緩やかに変 動している。 その結果、 天空遮蔽率の平均値が33.20/0、 標準偏差が4.9で、 相対的に低 い値を示し、 街路に対する両側の建築群の視覚的バランスが保たれ、 開放的で落ち着 いた街路景観であることが伺える。 街路12の天空遮蔽率の最大、 最小となる位置を天 空射影CG画像で表した場合、 図3 - 12となる。

( 2 )現状の街路における比較考察

天空遮蔽率の値は、 「モデル街 区Jを用いたシミュレーションにおいても明らかな

ように、 建物のボリュームと道路幅員に大きく影響される。 したがって街路に面する 建物群の物理的な特性が、 天空遮蔽率に どのように影響を及ぼしているのか分析をお

こなった。

表3 - 2は、 1992年の各街路における天空遮蔽率の特性と街路の物理的な特性を指

標化し、 それの関係を比較した表である。 天空遮蔽率の特性は、 街路移動にともなう 天空遮蔽率の平均値と標準偏差の値で示している。 街路の物理的な特性は以下の項目

を指標化している(図3 - 13参照)。

①街路に面する建物のファサード面の壁面幅の平均値

②壁面幅の総計を街路の全長で除した値

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