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規格データと貿易データの接合

ドキュメント内 非関税障壁と国際貿易 (ページ 43-46)

第 3 章 国内規格の国際化を通じた技術的障壁の削減

第 3 節 規格データと貿易データの接合

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仮説1:輸入国における国内規格と国際規格の整合性が高まるほど貿易は促進される 仮説2:両国において国内規格と国際規格の整合性が高まるほど貿易は促進される

次節では,WTO/TBT 協定の概要を確認し,日本と EU における規格発行の現状を概観し た後,規格データと貿易データの接合方法に関して説明する.

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表1 国内規格と国際規格の整合性判断

資料:工業技術院標準部(1999)を参考に筆者作成.

(2) 貿易分類と規格分類の接続

規格分類と貿易分類の接続に関して,まずはそれぞれの分類を説明する必要がある.規格 分類に関しては,国際規格の分類として採用されいてる国際規格分類 International Classification for Standards (ICS)が存在し,JIS規格も本分類が付与されている.また,貿易分 類に関しては,多くの先行研究では HS 分類及び Standard International Trade Classification

(SITC)分類が使用されている.例えば,Moenius (2000)では ICS と国際標準産業分類

(International Standard Industrial Classification: ISIC)2 桁分類の接続を試みており,Blind

(2004)も同様に SITC分類と ICS2桁分類の接続を行なっている.さらに,Shepherd (2006)で

はHS分類と1995年から 2003年におけるEU域内規格データとの接続を行っている.しか し,彼らの接続方法には問題が含まれている.

HS分類と比較するとSITC分類では財の数が圧倒的に少なく,財の特性としての規格数を 正確に把握できない可能性が高い.さらに,HS 分類を使用している接続方法においても,

最も詳細な6桁分類を使用していない場合や,農業のみを対象としている分析のみが存在し ている.そのため,本分析では最も詳細な貿易分類である HS6 桁分類を使用して規格デー タと貿易データの接続を行う.次に,その手法について説明する.

本研究で使用した手法は,先行研究においても採用された方法であるが,それぞれのHS6 桁分類の定義文とJIS規格の規格名のマッチングである(Ijiri and Haneda 2020).この作業を製 造業に該当するISIC分類29-35において行った.ここで,29産業は機器設備の製造,30産 業はオフィス,経理,計算機の製造,31 産業は電気機械の製造,32 産業はラジオ,テレビ,

通信機器の製造,33 産業は医療,精密,光学機器,時計の製造,34 産業は自動車,トレー ラー,セミトレーラーの製造,35 産業はその他の輸送機器の製造を意味する.この変換表 を使用することで,産業別の国内規格の国際整合性の度合いや,国際規格との調和が貿易に

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与える影響を実証的に分析可能となる.次に.日本と EUにおける WTO/TBT協定の達成度 に関して概観する.

(3) 国内規格の国際整合性

日本とEUは,お互いの経済成長の停滞や悪化するマクロ経済環境を改善することを目的 として,2019年2月に日・EU経済連携協定を発効した.外務省ウェブサイト「日EU・EPA 概要」によると,本協定では,農業品・工業品の関税撤廃に加えて,サービス貿易・投資・

電子商取引,国有企業・補助金,知的財産,規制協力などの分野において,取引の円滑化に 関するルールを規定している.また,本論文の対象である TBT 協定に関しては,特別委員 会が設立されている.そこで,まず日本とEUにおけるTBT 協定達成の現状を確認する.そ して,日・EU 経済連携協定における特別委員会が非関税措置削減に貢献する可能性を考察 する.

ここからは,製造業における日本の現状について再確認する.図 2は ISIC第3.1版の 29 分類に該当する産業に関して,日本における国内規格と国際規格の整合性についてまとめた ものである.ISIC29分類には機械製品が含まれており,日本とEU間で活発に取引が行われ ている分野であるため,日本と EU間の非関税措置削減が必要である部門と言える.左軸は 日本における規格の発行数(折れ線),右軸は日本における国内規格と国際規格の整合性の 達成度(棒グラフ)を示している.1997 年まで,日本は国内規格と国際規格の整合化達成

度は 10%未満であったが,1998 年以降に急激に同等性確保に向けて動き始めた.2000 年に

はその数値は約 20%となり,2012 年時点で約 35%まで上昇した.しかし,依然として当該 分野では達成度が低く,強制規格・任意規格の議論以前の問題となっているのが現状である.

また,ここでは強制規格と任意規格の議論は入っていない.次に,EU における国内規格と 国際規格の同等性達成度について概観する.

EU の域内規格は,欧州標準化委員会,欧州電気標準化委員会,そして欧州電気通信標準 化機構によって構成されている.このEU域内規格が強制規格であった場合,EU域内へ財

出所:Mangelsdorf et al. (2016) Figure 2.

注記:数値はPERINORM Database 2013より取得.

図2 日本における国内規格と国際規格の整合性(ISIC29産業)

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

0 5000 10000 15000 20000

1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011

Pct. of ISO/IEC No. of JP Stds. ISIC 29

42

出所:Mangelsdorf et al. (2016) Figure 3.

注記:数値はPERINORM Database 2013より取得.

図3 EUにおける域内規格と国際規格の整合性(ISIC29産業)

を輸出するためには当該規格の要件を満たす必要がある.さらに,EU 加盟国独自の規格も 存在することから,解釈には注意する必要がある.図3はEUにおける域内規格と国際規格 の整合性についてまとめたものである.EUのTBT協定達成度の現状は,日本の状況とはか なり異なっている.1995年時点において,EUはTBT協定に記載されている国内(域内)規 格と国際規格の同等性に関して既に 50%以上を達成していた.しかし,1997 年以降は低下 傾向にあり,2007 年には約 40%まで低下している.その後は上昇傾向にあるが,国際規格 との整合性は50%以下となっており,当初の水準には戻っていないのが現状である.これは,

加盟国数増加や環境問題への配慮,国際規格考案に関する委員会における議長・幹事国の問 題など,多くの問題が複合的に関わっていると考える.また,日本と同様に対応する国際規 格が存在しないケースも想定できる.

本節では,日本とEUにおけるTBT協定の目標到達度を概観し,いずれの地域においても 依然として達成度は低いことが明らかとなった.次節では,TBT協定の目標を達成するため に,さらに国内規格と国際規格の調和を進めるべきなのかを議論する.そのために,本研究 が設定した仮説を検証するために実証分析を行う.

ドキュメント内 非関税障壁と国際貿易 (ページ 43-46)