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国政的商標申請の動向

ドキュメント内 非関税障壁と国際貿易 (ページ 77-80)

第 5 章 国際的商標申請に関わるマドリッド協定議定書の効果

第 2 節 国政的商標申請の動向

特許や商標データを使用して分析を行う際,いかに経済データを接続するかという点が重 要となる.第4章において既に説明しているが,一般的に特許分類や商標分類に関する公的 な接続表は存在しない.そのため,経済学者や他分野の研究者はこれらのデータを複合的に 使用することが困難であった.しかし,Lybbert et al. (2014)が開発した接続表によって,商 標データと経済データの接続が可能となった.彼らは国際的商標分類であるニース(NICE)

分類と SITC分類の接続を,Lybbert and Zolas(2014)と同様に ALP手法によって行ってい る.NICE分類は2つのパートによって構成されており,1-35までは製造業,36-45までがサ

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ービス産業を対象としている.この2つの分類を接続することで,産業レベルでの経済デー タとの接続が可能となる.また,特許データに関しても第 4章にて SITC分類との接続が行 われているため,全てのデータをまとめて分析に加えることが可能となる.本研究では,

NICE2桁分類とSITC2桁分類の対照表を使用することでデータの接続を行う.また,国際的

商標申請のデータに関しては,世界知的所有権機関のデータベースである IP Statistics Data

Center から取得する.本データには国際商標申請に関して,申請国,申請先国,該当する

NICE2 桁分類,申請年が確認できるため,2004-2014 年における商標申請数に関する変数を

使用することで実証分析を行う.

次に,上記のデータを使用して国際的商標申請数の動向を概観する.

(2) 国際的商標申請数の動向

国際商標申請数は継続的に増加傾向にある.図2は2004-2014年における国際商標申請件 数をまとめたものである.まず,全体的に国際商標申請数は本分析期間において増加傾向に あることが確認できる.2008 年及び 2009年の金融危機時を除いて,全ての年において申請 数が増加している.2004年では 286万件であった申請数が,2014年では 518万件となって おり,国際商標申請が活発に行われていることが確認できる.このことから,国際商標申請 のシステムが企業にとっていかに重要であるかが理解できる.次に,企業の知的財産権保護 戦略において同じように重要となる国際特許申請数の動向に関して概観する.

図3は国際特許申請数の動向をまとめたものである.図2と同様に,分析期間における国 際特許申請は増加傾向にあり,企業の知的財産保護戦略において重要な役割を担っているこ とが分かる.金融危機が発生した直後の 2009年は若干の減少が見て取れるが,2004年では 157万件であった申請数は,2014年においては268万件へと増加している.つまり,どちら の知的財産権保護戦略に関してもその必要性及び重要性は増し続けていることが確認できる.

次に,どのような属性の国で国際商標申請が増加しているかを,OECD加盟国・非加盟国に 分けて確認する.

表1は,所得水準別,産業別の平均的な国際商標申請数をまとめたものである.まず,合 計値で確認する平均的な国際商標申請数に関しても,緩やかではあるがその申請数を増加さ せている.2001年では全体で37.6件であった申請数が,2014年では54.3件まで増加してい る.次に,OECD加盟国と非加盟国を比較したとき,全産業に関しては非加盟国の平均的な 申請数の方が加盟国の申請数と比較して多いことが分かる.理由として,既にOECD加盟国 は 2004 年時点で多くの国際商標登録を完了させていることが予想される.つまり,国際商 標登録数をストックによって確認した場合,OECD加盟国において数値が高くなることが予 想される.最後に,OECD加盟国は産業別に確認すると,製造業よりもサービス産業におい て平均的に国際商標申請数が多い状況である.その一方で,OECD非加盟国に関しては製造 業においてより国際商標申請数が多く,これは産業構造の違いを暗に示していると考えられ る.

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出所:IP Statistics Data Centerの数値を参考に筆者作成.

図2 国際的商標申請数の変化(2004-2014年:件数)

出所:IP Statistics Data Centerの数値を参考に筆者作成.

図3 国際的特許申請数の変化(2004-2014年:件数)

表2 所得水準別,産業別平均国際的商標申請数(2004-2014年:件数)

出所:IP Statistics Data Centerの数値を参考に筆者作成.

本節では,データクリーニングの手法に関して説明し,国際商標申請数の動向を概観した.

次節では,これらの数値を使用し,マドリッド協定議定書加盟が新規加盟国の国際商標申請 数に与える影響を実証的に明らかにする.

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