セカンド・オピニオンがほしいときに活用!
ある日、T雄さんのお父さんは、がんと診断されました。お医 者さんの説明はていねいでしたが、気が動転してしまったお父さ んは、専門的で難しい医学用語について尋(たず)ねることもでき ずに、帰ってきました。治療方法を選ばなくてはいけないのに、
どうも、受けた説明の内容をほとんど忘れてしまっているようで す。すっかり弱気になったお父さんはT雄さんに決めてくれとい います。とはいえ、T雄さんも特別、医学にくわしいわけではな く困ってしまいました。
一方、子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)と診断されたA子 さんは、担当のお医者さんに手術を勧められましたが、数年前同 じ病気にかかったB代さんは、確かなにもしないでようすをみる ことにしたことを思いだしました。しかも、B代さんはいまも元 気そうです。どうして、私には手術が必要なのかしら、とA子さ んは少し納得がいきません。
こんなとき、T雄さん(か、お父さん本人)もA子さんも本来 は、担当のお医者さんにそのままの気持ちを告げて、十分納得の いく説明を受けるべきなのでしょう。
しかし、日本の医療では、まだまだ、医師と患者が対等の関係 で話し合えるという環境が整っていないのが現実です。また、質 問はしたいのですが、なにをどのように聞いたら知りたいことが わかるのか、それがわからないという人も少なくないでしょう。
病気や薬に対する情報は、いまや巷(ちまた)にあふれています
本製品に搭載している「EBM 正しい治療がわ
かる本」 (法研)は、2003年10月に刊行された 書籍を元に収録しております。
本製品では177の病気に対して、現在一般的に 行われている治療や、おもに使われている薬の 効果を「EBMでチェック」する問題として設定 しました。それらについて、医学論文を検索・
検証し、その結果から、根拠を評価していま す。根拠の強さを☆の数で示し、「評価のポイ ント」を解説しました。どんな治療や薬が信頼 性が高く、行うべき治療なのか、あるいは使う べき薬なのかが一目でわかるようになっていま す。セカンド・オピニオンとしてお役立てくだ さい。なお、本製品で検索した医学論文は、
2003年春までのものです。
ご注意!
※ セカンド・オピニオンについての解説は、131ページの最初の画面か ら、次の順に項目を選んでご参照ください。
「 4 EBM について」―「 3 EBM キーワード」―最後の項目「 セ カンド・オピニオン」
が、量が膨大なだけに、本当に信頼できる情報がどれなのかを見 極める目が、求められるようになっています。
本コンテンツは、病気に対してなにかしら不安があるとき、あ るいは診断や治療にどうも納得がいかないといったときに、確か な情報を得るために、ご利用ください。
EBMで医療への不安や不満を解消する
本コンテンツでは、一般的にかかりやすく、医療機関を受診す る理由となることが多い177の病気を取り上げ、それら一つひと つの病気に対してEBM(Evidence-based Medicine 科学的根 拠に基づく医療)の手順にしたがって、いま、もっとも適切と考 えられる治療を示しています。
EBMという言葉をはじめて聞く方も多いかもしれませんが、
EBMは、まさにT雄さんやA子さんがもつような医療に対する 不安や不満を解消し、信頼できる確かな情報を提供してくれるも のなのです。
EBMとその手順については、「はじめに」でくわしく述べられ ていますが、ごく簡単にいうと、医師が日常の診療をするうえで なにかしらの疑問点(問題の設定)にであったとき、その疑問点に ついてそれまでに世界中で発表された医学論文をでき得る限り検 索し、それらの結論(エビデンス=根拠)を評価し、そのなかで もっとも信頼できると考えられる結論を知ったうえで、実際の診 療を行おうというものです。
☆の数で評価がひと目でわかる
本コンテンツは、医師が実際に用いる手順にしたがって構成さ れています。それぞれの病気の治療の一つひとつについて、「お 医者さんと同じプロセスで、同じ情報を共有する」画期的な試み です。
まず、177の病気に対して、現在一般的に行われている治療 や、おもに使われている薬の効果を「EBMでチェック」する問題 として設定しました。それらについて、医学論文を検索・検証 し、その結果から、根拠を評価します。根拠の強さ(=どれくら い信頼性が高いか)を☆の数で示し、「評価のポイント」を解説し ました。☆の数で根拠の強さがひと目でわかる、これが大きな特 色です。そして、根拠の強さは、もっとも信頼性の高いものから 5段階で示しています(「治療と薬の評価基準」)。どんな治療や薬 が信頼性が高く、行うべき治療なのか、あるいは使うべき薬なの か、この判断についても専門家が実際に医学論文の結論を評価す る際に用いる基準を参考にしました。本コンテンツを有効に活用 し、正しい情報を得るためには、☆の示す意味の理解が欠かせま せん。
☆☆☆☆☆〜☆☆☆は行う根拠が明確である
☆☆☆☆☆で示された治療や薬は、ランダム化比較試験(「研究 方法(研究デザイン)の種類」)と呼ばれる研究方法や、そうした研 究方法による成果を複数集めて、統計学的に統合するといった研 究方法によって効果が確認されたものです。臨床研究のデータが 豊富で、非常に信頼性の高い根拠に裏づけられた治療や薬といえ ます。
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☆☆☆☆で示された治療や薬は、ランダム化比較試験などより は少し信頼性が劣りますが、十分信頼性の高い臨床研究によっ て、その効果が確認されているものです。
☆☆☆で示された治療や薬は、効果を認める研究論文はあるの ですが、臨床研究の規模が小さかったり、比較試験ではなかった りするもので、信頼性の高さからいうとやや低くなります。ただ し、新しい治療などは、効果は期待されていても、それを確認す るための十分な裏づけ(臨床研究の結果)が揃うまでには、ある程 度の時間が必要となる場合もあります。☆☆☆には、今後のさら なる研究成果が待たれるものなどが含まれます。
このように、☆☆☆☆☆〜☆☆☆は、実際の患者さんを対象に した医学研究で有効性が示されている治療や薬です。
一概に評価するのが難しい☆☆、やってはいけない★
一方、☆☆には、いくつかの意味が含まれています。まず、今 回の検索では根拠となる医学論文が見つからなかったものの、そ の有効性が専門家の意見や経験から支持されている治療や薬で す。
医学論文が見つからない、つまり臨床研究が行われていない理 由には次のようなものがあります。経験的に効果がすでに明らか であって、あまりにも医学的に当然と考えられているため、改め て治療や投薬を行わない患者さんのグループをつくって、治療や 薬の効果を検討することができないもの(ペニシリンなど)、妊婦 や胎児への影響が大きいと考えられたり、救急時の対応でそれを 行わないと生命にかかわる可能性が高く、臨床研究は倫理的に行 えないもの(心停止時の心肺蘇生(そせい)法など)、などです。
また、臨床研究が行われ、医学論文は発表されているのです が、相反する結論がでていて、統一した見解が得られないものも
☆☆で示しました。
さらに、効果がはっきりしないこと(あるいは害があること)を 示す医学論文が見つかったのですが、その信頼性がそれほど高い わけではない場合や、効果を認めるにしても非常にわずかなもの であったり、副作用が大きすぎたりして勧められない場合にも☆
☆で示しています。
そして、わが国で市販されている薬については、その承認審査 で用いられたときの研究データや論文が簡単に入手できないもの はすべて☆☆で示しました。
このように、☆☆には効果があると考えられるものと、注意深 く検討しなければならないものが含まれています。これらのどれ に当たるかは、評価のポイントに解説していますので、よくお読 みください。
★で示された治療や薬は、取り上げた病気に対して効果がな い、あるいは害があるという結論の医学論文があるか、専門家の 意見や経験から否定されているものを示します。
このようにして治療や薬の科学的な評価をふまえたうえで、最 終的には著者の視点から判断して、「総合的に見て現在もっとも 確かな治療法」を病気ごとにまとめています。177の病気に対し て、現時点で適切と考えられる治療の一つの指標となるものであ り、読むセカンド・オピニオンとして活用していただければと思 います。