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見かけ上のピンポテンシャルを用いた比例係数の導出

ドキュメント内 平成 30 年 2 月 (ページ 72-77)

次に、従来用いていた正弦波型のU-j依存性と線形近似させたU-j依存性の対応について考 える。U0*U0の関係は、式(1.21)と式(3.9)を連立させることで以下の式が導出できる。

j j

j U j

U

0 0 2 1

cos 1

* 1

 

(3.15)

また、磁束フローのみを考慮したパーコレーション転移モデルによって、ある電界基準Ecにお けるn値の評価が可能であり、解析式は次式のようになる。

m

J J J E

n J  

 

 

0 cm c c

c

FF

(3.16)

68

このことからEc = Ec0におけるn値、すなわちU0*/kBTを導出することができる。従って、式

(1.23)の比例係数は、

T k j j

j j J

J J E J

U m

1 B 0 2

cm c0 c0 FF c0

0

cos 1

1

 

 

 

 

(3.17)

となる。ここで、式(3.17)中のJc0Ec0に対応した値であり、Jc0の決定のためにはクリープに 移り変わるクロスオーバー電界であるEc0の決定が必要となる。そこで、E > Ec0における電流 輸送特性をパーコレーション転移モデルにて記述し、E < Ec0における電流輸送特性をU0*をも とに導出したE-J特性にて記述し連結させたモデルを考える。U0*E = Ec0のときのn値より 導出する。また、式(3.10)は片方向のみに磁束バンドルがホッピングする場合を考えており、J が小さくなるにつれてその反対方向へのホッピングの寄与が大きくなる。従って、両方向にホ ッピングするとして式(3.10)に反対方向へのホッピングの寄与を加えた次式を用いる。















 

 







 

 

c0 B

0 c0

B 0

c0 1

* exp

1

*

exp J

J T

k U J

J T

k E U

E    

(3.18)

本モデルを用いて、実験結果との比較を行うことで、クロスオーバー電界 Ec0の導出を行う。

Ec0を8×10-6 V/mと固定した時の記述結果と実験値との比較を図 3.23の実線に示す。破線は磁 束フローのみを考慮した場合のパーコレーション転移モデルの記述結果であり、8×10-6 V/mを 境に低電界領域において磁束クリープによるE-J特性と乖離していく様子が確認できる。また、

65 K, 1.0 Tにおける実線と実験値との交点から10-9 V/mの時の電流密度をJc0で割った値をj

した。この電界はEc0と同様に温度・磁界によらず一定とし、式(3.18)より導出する。

Ec0が定まったため、式(3.17)により比例係数を解析的に導出可能となる。そこで、図 3.24に 各温度において本手法により導出した比例係数(実線)と、3.2.5項にて決定した比例係数(シ ンボル)を示す。65 Kの結果をもとに各温度・磁界における比例係数を導出することができ、

3.2.5項にて決定した比例係数との比較により本導出法の妥当性が確認できる。しかし、図 3.23

に示したE-J特性は、Ec0を導出するモデルはU-jを直線近似させたものであり、また磁束クリ ープ領域を記述する際にピンポテンシャルの分布を考慮していない。従って、低電界領域の特 性は実験結果と必ずしも良い一致が得られていない。そこで、導出した比例係数をもとに第 1 章にて説明した磁束クリープを考慮したパーコレーション転移モデルにより記述した結果を

図 3.25及び図 3.26に示す。導出した比例係数による記述結果は、実験結果と良い一致を示し

ていることがわかる。このことから、少なくともある一点の温度・磁界における低電界領域の 実験結果を得ることで、任意の温度・磁界での比例係数を導出でき、四端子法の計測により導 出されるパラメータを用いることで低電界領域を含めて広い電界範囲の特性を定量的に記述

69 できることを示した。

10

-11

10

-9

10

-7

10

-5

10

-3

10

-1

10

9

10

10

10

11

T = 65 K B//c

B = 5.0, 4.0, 3.0, 2.0, 1.0 T

E le c tr ic F ie ld, E [V /m ]

Current Density, J [A/m

2

] FF & FC

FF only

Ec0=8x10-6 [V/m]

図 3.23 実験値との比較によるクロスオーバー電界Ec0の導出

0 1 2 3 4 5

0 1 2 3 4 5 6

U

0

/ k

B

J

c

[x10

-7

K m

2

/A ]

Magnetic Field, B [T]

77 K

70 K 65 K 60 K 50 K 40 K 30 K

図 3.24 65 Kの結果をもとに導出した各温度における比例係数(実線)と、磁界によらず一

定として各温度にて実験値と比較して決定した比例係数(シンボル)の比較

70 10-11

10-9 10-7 10-5 10-3 10-1

108 109 1010 1011

T = 77 K B//c

B = 4.0, 3.0, 2.0, 1.0 T

Electric Field, E[V/m]

Current Density, J [A/m2]

10-11 10-9 10-7 10-5 10-3 10-1

109 1010 1011

T = 70 K B//c

B = 5.0, 4.0, 3.0, 2.0, 1.0 T

Electric Field, E[V/m]

Current Density, J [A/m2]

10-11 10-9 10-7 10-5 10-3 10-1

109 1010 1011

T = 65 K B//c

B = 5.0, 4.0, 3.0, 2.0, 1.0 T

Electric Field, E[V/m]

Current Density, J [A/m2]

10-11 10-9 10-7 10-5 10-3 10-1

109 1010 1011

T = 60 K B//c

B = 5.0, 4.0, 3.0, 2.0, 1.0 T

Electric Field, E[V/m]

Current Density, J [A/m2]

図 3.25 65 Kの結果をもとに導出した比例係数により記述したE-J特性(実線)と実験値

(シンボル)との比較(77, 70, 65, 60 K, 1.0, 2.0, 3.0, 4.0, 5.0 T)

71 10-12

10-10 10-8 10-6 10-4 10-2

1010 1011

T = 50 K B//c

B = 5.0, 4.0, 3.0, 2.0, 1.0 T

Electric Field, E[V/m]

Current Density, J [A/m2]

10-10 10-8 10-6 10-4 10-2

1010 1011 1012

T = 40 K B//c

B = 5.0, 4.0, 3.0, 2.0, 1.0 T

Electric Field, E[V/m]

Current Density, J [A/m2]

10-10 10-8 10-6 10-4 10-2

1010 1011 1012

T = 30 K B//c

B = 5.0, 4.0, 3.0, 2.0, 1.0 T

Electric Field, E[V/m]

Current Density, J [A/m2]

図 3.26 65 Kの結果をもとに導出した比例係数により記述したE-J特性(実線)と実験値

(シンボル)との比較(50, 40, 30 K, 1.0, 2.0, 3.0, 4.0, 5.0 T)

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