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行列の正定値

ドキュメント内 線形代数(数学II) (ページ 89-93)

第 3 章 ベクトル空間の性質 46

4.6 行列の正定値

第4章 固有値と固有ベクトル 86

第4章 固有値と固有ベクトル 87 は正値(半正値)エルミート行列になり、これは確かにB2 =Aを満たしているので。

ところで任意の複素数u= a+ ibは

uue とかけた。行列には似たようなことが できるのであろうか?そこで0でない数を正則行列に対応づけ、、正の実数は正値エル ミート行列、eはユニタリ行列に対応させて考えると、次の定理が成り立つことが予 想される。

Theorem 4.14 任意の正則行列Aは正値エルミート行列Hとユニタリ行列U の積と して一意的にあらわすことができる。

証明) H =

AAは正値エルミート行列。ここでU =H1Aとおくと、

U U =H1AA(H1)=H1H2H1 =I となり、U はユニタリ行列となる。

一意性は以下のようにして示せば良い。別のあらわ仕方が有ったとしてA=HUと すると、

HU =HU →H =HU U 一方、H =H =UUHより、

H2 =HU UUUH =H2 となる。このH2, H2をユニタリ行列V で対角化すれば

VH2V = (VHV)2 = (VHV)2= diag(α1, α2,· · · , αn) となり、

VHV =VHV = diag(

α1,· · · ,√ αn)

が示されるので、H =H。これからU =Uが導かれるので結局一意的にあらわされ ることがわかる。

4.6.1 実対称行列

エルミート行列の中で行列要素がすべて実数のものを実対称行列とよぶ。固有値は 実数で、特性方程式det(A−αI)の解をαiとすると、

(A−αiI)ui =0

の解は実の非自明解を持つ。つまり固有ベクトルは実数ととれる。よって変換行列U も行列要素を実数とすることができる。このように成分が実のユニタリ行列を直交行 列とよび、通常Oと書く。ゼロ行列と紛らわしいので注意。

第4章 固有値と固有ベクトル 88

問 ⎛

⎜⎝

1 1 0 1 0 1 0 1 1

⎟⎠

を対角化せよ。

4.6.2 2次形式

x1, x2,· · ·, xnの2次関数、

f(x1, x2,· · · , xn) = n i,j=1

aijxixj

を2次形式と名づける。ここでxixjの係数は(aij+aji)xixjなのでaijの選び方は任意 性がある。そこでaij = ajiという条件を付け加える。するとaij を行列要素とするA は実対称行列になり

f(x1, x2,· · · , xn) =xtAx となる。ここでAを対角化する行列をOとおくと、

f(x1, x2,· · ·, xn) = xtOOtAOOtx

= ytdiag(α1,· · · , αn)y

=

i

αiyi2

となる。ここでy=Otxである。さらにyi =zi/

i|とおくと、固有値を大きさの順 にならべて

f =z12+· · ·+zp2−z2p+1− · · · −z2p+q

をうる。これを二次形式の標準形とよぶ。上式のように係数が正のものがp個、負の ものがq個あるとき、2次形式の符号は(p, q)であるという。

4.6.3 主小行列

Akとは行列Aの最初のkk列をとってきたものである。これを使うと、行列の正 値性がわかる。

第4章 固有値と固有ベクトル 89 Theorem 4.15 実対称行列Aにたいして、xtAx>0がすべての0でないxに対して 成り立っているためには、detAk >0が必要十分条件である。ここで|Ak|は主小行列 式である。

必要条件)

xとして最初のk行以外はすべて0のベクトルxkをとると、

0<xtAx=xtkAkxk

Akは実対称行列なので対角化でき、定理4.13より固有値はすべて正ということがわか る。よってdetAk>0。

十分条件)

数学的帰納法で示す。n1のとき、この定理が成立していると仮定する。(n= 1なら 確かに成立している。)この仮定より、|A1|,|A2|,· · · ,|An−1|>0が成り立っていれば、

xtn−1An−1xn−1 >0が成立。そこで(n, n)型行列A

An−1 B Bt c

とかく。cはスカラーである。

A=

In−1 0 BtA−1n−1 1

An−1 0

0t c−BtA−1n−1B

In−1 An−11 B

0t 1

とかけるので D=

An−1 0

0t c−BtAn−11B

, P =

In−1 An−11B

0t 1

とすると、

xtAx=ytDy Dが正定値ならxtAxも正定値。

|A|=|An−1|(c−BtAn−11B), |A|=|An|>0, |An−1|>0 より、e=c−BtAn−11B >0となる。こうして

ytDy=ytn−1An−1yn−1+ey2n>0 こうして正値が示される。

問 逆にxtAx<0のためには(1)k|Ak|>0が必要十分であることを示せ。

第4章 固有値と固有ベクトル 90

4.6.4 アダマール (Hadamard) の不等式

正値エルミート行列の性質を用いて、以下のことがわかる。

i) Aを正値エルミート行列とする。このとき A=

An−1 b bt ann

とし、

detA=anndetAn−1btadjAn−1b よって、

|A| ≤ann|An−1| ≤annan−1n−1|An−2| ≤ · · · ≤!

i

aii

が成立する。等号は各ステップでb=0なら成り立つので対角行列の場合である。

ii) Aを任意の行列とする。このとき 1. detA= 0ならdetAA= 0

2. detA= 0ならB =AAは正値エルミート。よって、

detAA =|detA|2 !

i

bii, bii=aiai =|ai|2 こうして

0<|detA| ≤ ||a1|| × ||a2|| × · · · × ||an||=

!n i=1

||ai||

等号が成立するのはbij = (ai,aj) = 0(i = j)、すなわちaiが互いに直交すると きである。

以上はアダマールの不等式と呼ばれている。

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