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ベクトルの一次独立性

ドキュメント内 線形代数(数学II) (ページ 50-55)

第 3 章 ベクトル空間の性質 46

3.2 ベクトルの一次独立性

(1,0)と(0,1)をe1e2とおくと、xe1+ye2 = (x, y)は平面上のすべての点をあら わす。

一方、(1,0)と(1,1)もc1(1,0) +c2(1,1)という線形結合を考えると、平面上のすべて の点を表すことができる。

しかし、(2,1)と(4,2)をどう足しあわせても、c1(2,1) +c2(4,2) = (c1+ 2c2)(2,1)と なり、直線y = x2 上の点しか得られない。

本章ではこれを一般化した議論を行う。

まず、線形結合

c1a1+c2a2+· · ·cnan

を考える。この線形結合が0になるとき、すなわち

c1a1+c2a2+· · ·+cnan =0 (3.2) となるのは、c1 =c2 =· · ·=cn = 0という自明な解以外にない場合、a1,a2,· · · ,an

一次独立(線形独立)と呼ぶ。もし、自明な解以外を持っている場合は、一次従属(線形

従属)と呼ぶ。

第3章 ベクトル空間の性質 48

一次独立でない場合、つまり一次従属の場合、c1, c2, (m)

· · ·, cnのうち、どれかは0で ないという解が存在する。その0でないものをcmとおくと、

am =−c1

cma1 c2

cma2− · · · − cn

cman (3.3)

となる。ここで右辺ではm番目の項を除いてある。こうして一次従属でない場合、あ るベクトルamが他のベクトルの線形結合で書き表せることがわかる。

問 (ai,aj) =δij (1≥i, j ≥n)を満たすベクトルを正規直交系という。正規直交系 は一次独立であることを示せ。

Theorem 3.2 a1,a2,· · · ,anが一次独立、a1,a2,· · · ,an,an+1が一次従属なら、an+1

a1,a2,· · · ,an の線形結合で表せる。

証明)

c1a1+c2a2+· · ·+cnan+cn+1an+1 =0 の解は、自明でないものを含む。その非自明 解はcn+1= 0である(なぜならもしこれが0ならa1からanの一次独立性により自明 解になってしまうから)。これより、

an+1 = c1

cn+1a1 c2

cn+1a2− · · · − cn cn+1an

この表し方は一意的である。というのはもしan+1 =n

i ciai =n

i ciai というよう に二通りに表せていたら、n

i(ci−ci”)ai =0となり、一次独立性よりci =ci”となる ので。

この対偶命題は

a1,a2,· · · ,anが一次独立で、an+1a1,a2,· · ·,anの線形結合で書くことができなけ れば、a1,a2,· · · ,an,an+1は一次独立である

ということである。

こうしてa1,a2,· · · ,akが与えられたとき、一次独立のベクトルを選ぶには

1. a1から順番に調べていき、0でないものをみつける

2. それをai1 とおき、ai1 の定数倍でないものをai1+1,ai1+2· · · から選び、これを ai2とおく。

3. 次にai1, ai2 の線形結合で表せないものをai3 とおく。

第3章 ベクトル空間の性質 49 4. これを繰り返す

とすればよい。こうしてできたベクトルの集合を極大集合、もしくは極大線形独立系 と呼ぶ。

Theorem 3.3 a1,a2,· · · ,anb1,b2,· · · ,bn はそれぞれ一次独立で、a1,a2,· · · ,an

b1,b2,· · · ,bn の線形結合で表せ、逆にb1,b2,· · · ,bna1,a2,· · ·,anの線形結合 で表せるとき、

n=n である。

証明)

題意より

bj = n

i=1

cjiai

ai =

n

j=1

dijbj

なので、

bj = n

i=1 n

j=1

cjidijbj

ai =

n

j=1

n i=1

dijcjiai

となる。ここでcij は(n, n)型、dij は(n, n)型である。bの一次独立性から 0 =

n i

n

j

cjidijbjbj

= n

i n

j

cjidijbj

n

j

δjjbj

=

n

j=1

( n

i=1

cjidij −δjj)

となる。よって係数cij, dijを成分とする行列をそれぞれC, Dと書くと CD=In

第3章 ベクトル空間の性質 50 同様に

DC =In

をうる。Binet-Cauchyの定理より、n=nでないときは、CDかDCのどちらかの行 列式が0になってしまい、左辺の|I|= 1と矛盾する。よってn =n

これより、二つの独立な集合間の変換行列(CとかDのこと)は正則であることもわ かる。

以上の議論をまとめると

Theorem 3.4 a1,a2,· · · ,anからai1,ai2,· · · ,aim というm個の一次独立なベクトル の集合を選び出し、a1,a2,· · · ,anをこれらの線形結合で表すことができる。この選び 方は何通りもありうるが、mの値は一通りに決まる。

今まで示したことから「n次元ベクトルのうち、一次独立なものはn以下」というこ とがわかる。

証明)

e1,e2,· · · ,en は一次独立で、これですべてのベクトルを表すことができる。ここで

{e1,e2,· · · ,en,a1,a2,· · ·,am} のなかで一次独立なのはn。また

{a1,a2,· · · ,am,e1,e2,· · ·,en} のなかで一次独立なものはm+sなので

n=m+s≥m

Theorem 3.5 m個のn次元ベクトルaj(1 ≤j ≤m)があったとする。これより行列 (A)ij =aijを考える。Aは(n, m)型。これが一次独立なためには、Aのn個の行から m個とったm次行列式がすべて0ということはないことが必要十分。

証明) 十分条件)

a1c1+a2c2+· · ·+amcm = (a1 a2· · ·am)

⎜⎜

⎜⎝ c1 c2 ... cm

⎟⎟

⎟⎠=0

第3章 ベクトル空間の性質 51 を考える。Aからm行だけ取り出した行列をAとおくと、

Ac=0 detA = 0なのでc=0となり、確かに一次独立。

必要条件)

{a1,a2,· · · ,am,e1,e2,· · ·,en}から極大線形独立系を選ぶと {a1,a2,· · · ,am,ei1,ei2,· · · ,eis}, n=m+s

となる。また{a1,a2,· · · ,am,ei1,ei2,· · · ,eis}{e1,e2,· · · ,en}の線形結合で表せる。

もしi1 =m+ 1, i2 =m+ 2,· · · , is =nなら二つの基底の間の変換行列の行列式は0 でないので

a11 · · · a1m

... . .. ... 0 am1 · · · amm

am+1,1 · · · am+1,m 1 0 · · · ... . .. ... 0 . ..

... ... ... · · · 1

= det

⎜⎝

a11 · · · a1m ... . .. ... am1 · · · amm

⎟⎠= 0

一般には1からnのなかで{i1,· · · , is}をとりさったのこりを{j1,· · · , jm}とおき、

1 2 · · · m m+ 1 · · · n j1 j2 · · · jm i1 · · · is

という置換を施すと、

aj11 · · · aj1m

... . .. ... 0 ajm1 · · · ajmm

ai1,1 · · · ai1,m 1 0 · · · ... . .. ... 0 . ..

... ... ... · · · 1

= det

⎜⎝

aj11 · · · aj1m ... . .. ... ajm1 · · · ajmm

⎟⎠= 0

よって、少なくともある行列式が0でないことが必要であることが示された。

Theorem 3.6 (Gramの行列式) m個のn次元ベクトルaj(1≤j ≤m)が一次独立で あるための必要十分条件は

(a1,a1) · · · (a1,am)

... ... ...

(am,a1) · · · (am,am)

= 0(>0) (3.4)

第3章 ベクトル空間の性質 52 が必要十分条件である。この行列式をGramの行列式と呼ぶ。この行列はエルミート 行列で行列式の値は非負である。

証明)

{yk}を正規直交系とする。

aj = n

k=1

αjkyk

と表せる。そこでAαjkを成分とする行列とすると (aj,ak) =

n j=1,k=1

αjkαkj(yk,yj)

= n j=1

αjjαkj

= (AAt)jk = (AA)tjk

|AA|はBinet-Cauchyの定理よりベクトルのn個の成分からm個とったものの行列式 の積で表せるが、この積は互いに複素共役の関係にあるので必ず正か、0。これが0と いうことは行列Aからm個の列を選んで作った行列の行列式がすべて0ということ。

よって定理3.5から、このGramの行列式が0でないことが、aj(1≤j ≤m)が一次独 立であることの必要十分条件。

ドキュメント内 線形代数(数学II) (ページ 50-55)

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