1.血中濃度の推移・測定法
(1)治療上有効な血中濃度 該当資料なし
(2)最高血中濃度到達時間
Ⅶ-1-(3)の項参照
(3)臨床試験で確認された血中濃度 1)単回投与(健康成人)14)
日本人及び外国人健康成人各6例に、トファシチニブ1、5及び30mgを空腹時単回経口投与し たときの血清中薬物濃度推移(図)及び薬物動態パラメータ(表)を示す。
全身曝露量(AUC0-∞)はほぼ用量比例的に増加し、日本人と外国人で同様な結果が認められた。
日本人被験者に 5mg及び 30mg を単回投与したときの平均 Cmaxは、外国人被験者と比較して約 19%高い値を示した。
薬物動態パラメータ
日本人 外国人
1mg 5mg 30mg 1mg 5mg 30mg
(N=6) (N=6) (N=6) (N=6) (N=6) (N=6)
Cmax (ng/mL)
幾何平均値 7.32 41.3 315 7.36 34.9 265
%CV 14 35 25 22 27 18
比a) 0.99 1.18 1.19 - - -
AUC0-∞
(ng·h/mL)
幾何平均値 22.0 111 754 22.8 119 788
%CV 28 22 26 11 14 16
比a) 0.97 0.93 0.96 - - -
tmax
(hr)
中央値 0.75 0.50 0.50 0.75 0.50 0.50
範囲 0.50-2.00 0.50-1.00 0.50-1.00 0.50-1.00 0.50-2.00 0.50-1.00
差b) 0.00 0.00 0.00 - - -
算術平均値 1.96 2.49 3.14 2.14 2.85 3.50
2)反復投与(日本人健康成人)14)
日本人健康被験者6例に、トファシチニブ5日間15mg1日2回空腹時反復経口投与したとき、
反復投与開始後 24 時間以内に定常状態に到達し、累積係数(単回投与時のAUC0-12に対する反 復投与5日目のAUC0-12の比)は1.15であった。
5mg 単回及び15mg BIDを5日間反復経口投与したときのPK パラメータ 単回投与 反復投与a) 1日目(N=6) 8日目(N=6)
Cmax (ng/mL)
幾何平均値 141 136
%CV 34 32
AUCτb) (ng·h/mL)
幾何平均値 387 445
%CV 32 25
tmax (hr)
中央値 0.75 0.75
範囲 0.05-1.00 0.05-1.00
T1/2
(hr)
算術平均値 3.14 3.28
範囲 2.36-4.06 2.58-3.97
累積係数c) 幾何平均値 - 1.15
%CV - 10
a)投薬スケジュール:1日目 単回投与、2~3日目 休薬期間、4~8日目 反復投与(8日目は朝1回のみ投与)
b)投与間隔(τ):12時間 c)8日目のAUCτ/1日目のAUCτ N:被験者数 %CV: 変動係数(%)
3)RA 患者6)、33)
国内外で実施した第Ⅱ相試験5 試験についてポピュレーションPK 解析を実施し、日本人RA 患 者(男性、70 kg、55 歳)のポピュレーション PK パラメータを推定したところ、見かけのク リアランス(CL/F)は18.4 L/h、見かけの分布容積(V/F)は96.0 L であった。また推定値よ り計算した本剤5mgを1日2回経口反復投与注)したときの定常状態における各患者の薬物動態 パラメータ[幾何平均値(変動係数%)]は、最高血漿中濃度(Cmax,ss)60.4(17)ng/mL、ト ラフ濃度(Cmin,ss)4.39(51)ng/mL 及び投与間隔における血漿中濃度時間曲線下面積(AUCτ) 262(20)ng h/mLと推定された。
<参考>
4)高齢者(外国人データ)33)
165例の高齢患者(65歳以上)及び905例の非高齢患者(65歳未満)を組み入れた第Ⅱ相5試 験を併合したポピュレーションPK 解析の結果から、80歳の高齢患者では、標準的な55歳の患 者に比べてCL/Fが2%低下する。V/Fに関しては、標準的な80歳の高齢患者では、55歳の患 者に比べて標準的V/Fが11%低下した。高齢群と非高齢群の2群として解析した場合(高齢 vs 非高齢)、Cmaxの幾何平均値(121 vs 116ng/mL)及び Cavgの幾何平均値(45.2 vs 42.2ng/mL)
は、高齢群において、それぞれ約4%及び7%高かった。
5)肝機能障害(外国人データ、A3921015)3)
軽度及び中等度の肝機能障害患者各6例、肝機能正常被験者6例にトファシチニブ10mgを単回 経口投与したとき、軽度肝障害群のCmaxの幾何平均値は肝機能正常群よりも0.6%低く、AUC0-∞の 幾何平均値は3.2%高かった。中等度肝障害群のCmaxの幾何平均値は肝機能正常群よりも49%高 く、AUC0-∞の幾何平均値は65%高かった。t½の平均値については、肝機能正常群の4.1時間から 中等度肝障害群の5.4時間まで延長した。
軽度~中等度肝機能障害者及び肝機能正常者における血中濃度の推移
肝機能障害者及び肝機能正常者に単回投与したときの薬物動態パラメータ
薬物パラメータa)
肝機能障害別の投与群例数
正常 軽度 中等度
6 6 6
Cmax
(ng/mL)
幾何平均値 60.5 60.1 89.9
(標準偏差) (14.2) (17.0) (30.6) 幾何平均の比b) - 99.39 148.75
比の90% CI - 75.01、 131.70 112.26、 197.11 AUC0-∞
(ng·h/mL)
幾何平均値 355 366 584
(標準偏差) (82.6) (55.9) (280) 幾何平均の比b) - 103.15 164.57
比の90% CI - 78.31、 135.85 124.95、 216.75 tmax
(hr)
中央値 3.0 2.5 0.8
(範囲) (1.0 – 6.0) (0.5-4.0) (0.5-2.0) t1/2
(hr)
算術平均値 4.09 4.37 5.41
(標準偏差) (0.94) (0.41) (1.08)
6)腎機能障害(外国人データ、A39210006)2)
軽度、中等度、重度(CLcr<30mL/min)の腎機能障害患者各 6 例及び腎機能正常被験者
(80mL/min<CLcr)各6例にトファシチニブ10mgを空腹時単回経口投与したとき、全被験者で Cmaxの平均値は類似していた。腎機能正常被験者と比べ、軽度、中等度及び重度の腎機能障害被 験者におけるAUC0-∞の平均値の比は、それぞれ137%(90%信頼区間:97~195%)、143%(90%
信頼区間:101~202%)及び 223%(90%信頼区間:157~316%)であった。t1/2の平均値は、
腎機能正常被験者における2.4時間から重度の腎機能障害被験者における3.8時間まで延長し た。
軽度~重度腎機能障害者及び腎機能正常者における血中濃度の推移
腎機能障害者及び腎機能正常者に単回投与したときの薬物動態パラメータ
薬物パラメータa)
腎機能障害別の投与群例数
正常 軽度 中等度 重度
6 6 6 6
Cmax (ng/mL)
幾何平均値 91.2 84.9 95.0 107
(標準偏差) (25.3) (23.2) (47.5) (28.6) 幾何平均の比b) - 93.15 104.17 117.65
比の90% CI - 67.22、129.06 75.18、144.34 84.91、163.02 AUC0-∞
(ng·h/mL)
幾何平均値 260 357 370 579
(標準偏差) (71.5) (109) (154) (214) 幾何平均の比b) - 137.26 142.59 222.71
比の90% CI - 96.77、194.69 100.53、202.24 157.02、315.89 tmax
(hr)
中央値 0.8 1.0 0.8 0.8
(範囲) (0.5-1.5) (0.5-1.5) (0.5-2.0) (0.5-1.5) t1/2
(hr)
算術平均値 2.37 2.83 2.88 3.77
(標準偏差) (0.36) (0.86) (0.65) (0.48)
%CV:変動係数(%)、CI:信頼区間
a) Cmax及びAUC0-∞は幾何平均(標準偏差)、tmax は中央値(範囲)、t1/2は算術平均(標準偏差)
(4)中毒域 該当資料なし
(5)食事・併用薬の影響
1) 食事の影響(外国人データ)34)
外国人健康被験者16例を対象とし、空腹時あるいは食後(各8例)にトファシチニブ10mgを 単回経口投与し、PKに対する食事の影響を評価した。AUC0-∞を指標としたトファシチニブ平均 曝露量は、食後では約6%(90%信頼区間:3~10%)増大したのに対し、Cmaxは約32%(90%
信頼区間:20~42%)減少した。
食後及び空腹時に単回投与したときの薬物動態パラメータ
食後 空腹時
8例 8例
AUC0-∞
(ng·h/mL)
幾何平均値 285.7 269.5 幾何平均の比a) 106.03 -
比の90% CI (102.62、109.56) - Cmax
(ng/mL)
幾何平均値 63.10 92.55 幾何平均の比a) 68.18 -
比の90% CI (58.39、79.61) -
%CV:変動係数(%)、CI:信頼区間
a) 対照群(空腹時)に対する試験群(食後)の比
(注意)国内で承認された本剤の用法及び用量:通常、トファシチニブとして1回5mg を1日2回経口投与する。
2) 併用薬の影響(外国人データ)
① メトトレキサート(A3921013)35)
トファシチニブとメトトレキサート(15~25mg 週1回投与)の併用投与によるトファシチニ ブのAUC の増加は3%(90%信頼区間:-1~7%)、Cmax の増加は3%(90%信頼区間:-6~
12%)であり、トファシチニブの薬物動態に対する影響は認められなかった。また、トファ シチニブとメトトレキサートの併用投与により、メトトレキサートのAUCが10%(90%信頼 区間:-4~23%)減少し、Cmaxが13%(90%信頼区間:-0.1~24%)減少した。
② ケトコナゾール(A3921054)36)
CYP3A4の阻害薬であるケトコナゾールとの併用投与により、トファシチニブのAUC及びCmax
は、トファシチニブ単独投与時と比較して、それぞれ103%(90%信頼区間:91~116%)及 び16%(90%信頼区間:5~29%)増加した。
③ フルコナゾール(A3921014)37)
CYP3A4及びCYP2C19の阻害薬であるフルコナゾールとの併用投与により、トファシチニブの
AUC及びCmaxは、トファシチニブ単独投与時と比較して、それぞれ79%(90%信頼区間:64
~96%)及び27%(90%信頼区間:12~44%)増加した。
④ タクロリムス及びシクロスポリン(A3921020)38)
CYP3A4の阻害薬であるタクロリムス(Tac)との併用投与により、トファシチニブ単独投与 時と比較して、トファシチニブを単回投与したときのAUCは21%(90%信頼区間:13~30%)
増加し、Cmaxは9%(90%信頼区間:1~17%)低下した。CYP3A4の阻害薬であるシクロスポ リン(CsA)との併用投与により、トファシチニブ単独投与時と比較して、トファシチニブ を単回投与したときのAUCは73%(90%信頼区間:62~85%)増加し、Cmaxは17%(90%信頼 区間:3~29%)低下した。
⑤ リファンピシン(A3921056)39)
CYP3A4の誘導薬であるリファンピシンとの併用投与により、トファシチニブのAUC及びCmax
は、トファシチニブ単独投与時と比較して、それぞれ84%(90%信頼区間:82~86%)及び 74%(90%信頼区間:69~77%)低下した。
⑥ ミダゾラム(A3921059)40)
トファシチニブ(30mg 1日2回投与)注)とミダゾラムの併用投与によるミダゾラムのAUC の 増加は4%(90%信頼区間:-4~13%)、Cmax の増加は2%(90%信頼区間:-4~9%)であ り、ミダゾラムのCmax又はAUCに影響は認められなかった。
⑦ 経口避妊薬(A3921071)41)
健康女性被験者において、トファシチニブ(30mg 1日2回投与)注)の併用投与により、経口 避妊薬(レボノルゲストレル及びエチニルエストラジオール)の薬物動態に影響は認められ なかった。トファシチニブとの併用時のレボノルゲストレルのAUC は1%(90%信頼区間:
-5~7%)増加し、Cmax は12%(90%信頼区間:5~20%)増加した。トファシチニブとの併
用時のエチニルエストラジオールのAUC は7%(90%信頼区間:-1~15%)増加し、Cmax は 10%(90%信頼区間:2~18%)減少した。
(6)母集団(ポピュレーション)解析により判明した薬物体内動態変動要因33)
日本人及び外国人RA 患者1070例から得られた第Ⅱ相5試験のデータを併合し、ポピュレーショ
ンPK(PPK)解析を実施した。PKデータは、非線形混合モデル(NONMEM)法によって解析し、見か
けの経口クリアランス(CL/F)、見かけの分布容積(V/F)及び0 次吸収時間(D1)のパラメータ で表した線形1コンパートメントモデルを用いて記述した。
PPK解析の結果、年齢及び体重ならびに人種及び性別の全範囲にわたって、トファシチニブのCL/F に大きな差はないと考えられる。
2.薬物速度論的パラメータ
(1)コンパートメントモデル
第Ⅰ相試験でのPKパラメータ算出にはノンコンパートメント法を使用した。
第Ⅱ相、Ⅲ相試験でのポピュレーションPKには、非線形混合効果モデル(NONMEM)法により解析し、
線形1コンパートメントモデルを用いた。
(2)吸収速度定数 該当資料なし
(3)バイオアベイラビリティ(外国人データ)42)
外国人健康被験者にトファシチニブ10mgを単回経口及び静脈内(IV)投与しトファシチニブの絶 対的バイオアベイラビリティを評価した。トファシチニブ10mg経口投与時の絶対的バイオアベイ ラビリティは74.14%(90%CI:70.32%~78.16%)であった。
(注意)国内で承認された本剤の用法及び用量:通常、トファシチニブとして1回5mg を1日2回経口投与する。
(4)消失速度定数 該当資料なし
(5)クリアランス33)
ポピュレーション PK解析により推定されたRA 患者に経口投与したときの見かけのクリアランス
(CL/F)は、18.4±8.48 L/hであった。