1.警告内容とその理由
【警告】
1. 本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしく は悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されて いる。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者 が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与 すること。
また、本剤投与により重篤な副作用が発現し、致命的な経過をたどることがあるので、緊急時の 対応が十分可能な医療施設及び医師が使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医 に連絡するよう患者に注意を与えること。[「重要な基本的注意」「重大な副作用」の項参照]
<解説>
トファシチニブは免疫抑制作用を有する薬剤であり、他の免疫抑制作用を有する薬剤同様、感染症(帯 状疱疹、重篤な感染症、結核及びその他の日和見感染を含む)のリスクを伴う。感染症は、国内外で 実施された本剤に関する臨床試験において最も多く発現した有害事象であり、重篤な感染症も報告さ れている。また、RA 患者は健康成人より感染症のリスクが高く、十分な注意が必要であることから、
設定した。
さらに、臨床試験においては悪性腫瘍の発現も報告されており、本剤の安全性プロファイルは既存の 生物製剤と類似していると考えられることから、既存の生物製剤と同等の安全対策として設定した。
2.感染症
(1)重篤な感染症
敗血症、肺炎、真菌感染症を含む日和見感染症等の致死的な感染症が報告されているため、十 分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」
の項参照]
<解説>
国内外第Ⅲ相試験[(A3921032試験、A3921044試験、A3921046試験、A3921064試験及びA3921045 試験)(本剤5mg 1日2回投与群1216例、本剤10mg 1日2回投与群1214例、プラセボ群681例)
以下、国内外第Ⅲ相試験5試験]では、投与開始から3ヵ月時までに本剤5mg群ではニューモシステ ィス肺炎、播種性帯状疱疹各1件、本剤10mg群ではサイトメガロウイルス血症1件、帯状疱疹13件 などが認められた。
国内外長期投与試験[(A3921041試験及びA3921024試験)(本剤5mg 1日2回投与群1321例、本 剤10mg 1日2回投与群1906例)以下、国内外長期投与試験2試験]では、食道カンジダ症3件、サ イトメガロウイルス感染1件、クリプトコッカス性髄膜炎1件、ヘルペスウイルス感染4件、マイコ バクテリウム・アビウムコンプレックス感染1件、ニューモシスティス肺炎1件、結核1件などが報 告された。
以上のように、感染症は、国内外で実施された本剤に関する臨床試験において最も多く発現した有害
(2)結核
播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(脊椎、脳髄膜、胸膜、リンパ節等)を含む結核が報告 されている。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立 って結核に関する十分な問診、胸部レントゲン検査及びツベルクリン反応検査を行い、適宜胸 部CT検査、インターフェロンγ応答測定(クォンティフェロン)等を行うことにより、結核感 染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する患者及び結核の感染が疑われる患者には、結 核等の感染症について診療経験を有する医師と連携の下、原則として本剤の投与開始前に適切 な抗結核薬を投与すること。
ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告さ れている。[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]
<解説>
本 剤 は 、JAK/シ グ ナ ル 伝 達 兼 転 写 活 性 化 因 子 (STAT:Signal Transducer and Activator of Transcription)阻害により、インターフェロン(IFN:Interferon)-γ産生を抑制するのみでなく、
TNF誘発性のケモカインの発現を阻害することにより、間接的にTNFの作用を抑制すると考えられてい ることから、本剤により結核感染防御における主要なサイトカインが広範に抑制されると考えられる。
臨床試験では、潜伏又は活動性結核感染の兆候を有する患者を除外し、本剤投与を開始する前に標準 的な抗抗酸菌療法による治療を受けた後、試験に組み入れた。しかしながら、国内外長期投与試験2 試験でトファシチニブ10mg 1日2回投与群に1例、結核が発現し、曝露量あたりの結核の発現率は 0.11/100人・年であった。
他のTNF阻害剤投与時の結核の高い発病率をふまえ、本剤使用に際してもTNF阻害剤と同様に結核感染 の有無を確認する必要があることから、設定した。
本剤投与中は、胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意す ること。ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告 されている。患者に対しては、結核を疑う症状が発現した場合には速やかに主治医に連絡するよう指 導すること。なお、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与しないこと58)。
3.関節リウマチ患者では、本剤の治療を行う前に、少なくとも1剤の抗リウマチ薬等の使用を十分 勘案すること。また、本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使用するこ と。
<解説>
本剤の「効能・効果」は、「既存治療*で効果不十分な関節リウマチ」である。また、本剤の重篤 な感染症発現リスクは既存の生物製剤と同様と考えられるため、生物製剤のRA 治療薬の添付文書を 参考に設定した。
2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
<解説>
本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある患者に対しては、アレルギー反応及びアナフィラキシー反 応を含む潜在的なリスクをもたらす可能性があるため、薬物療法の一般原則として設定した。
2.重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
<解説>
本剤において重篤な感染症が報告されている。本剤は免疫反応を減弱させる作用を有するため、感染 症の症状を悪化させるリスクがより増加する可能性があることから、設定した。
3.活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
<解説>
本剤により結核感染防御における主要なサイトカインが広範に抑制されると考えられ、活動性の結核 の症状を悪化させる可能性があるため設定した。
4.重度の肝機能障害を有する患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
<解説>
国内外で実施された臨床試験において重度の肝機能障害を有する患者は除外されており、安全性が確 認されていないこと、さらに中等度の肝機能障害を有する患者に投与した場合に本剤の曝露量が増加 するとの外国第Ⅰ相試験(A3921015試験)成績があるため設定した3)。
5.好中球数が500/mm3未満の患者[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]
<解説>
好中球数が500/mm3未満の患者は易感染状態にあり、さらに本剤は免疫反応を減弱させる作用を有す るため、感染症のリスクをより増加させる可能性があることから、設定した。
6.リンパ球数が500/mm3未満の患者[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]
<解説>
7.ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]
<解説>
本剤の作用機序と非臨床試験データから、ヘモグロビン減少(貧血を含む)のリスクを有すると考え られること、臨床試験においてヘモグロビン減少が報告されていることから、ヘモグロビン値が8g/dL 未満の患者には本剤を投与すべきではないと考え、設定した。
8.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[動物試験において催奇形性が報告されている。「妊婦、
産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
<解説>
臨床試験において催奇形性が疑われる症例報告はないが、生殖発生毒性試験において催奇形性が認め られていることから、設定した。
3.効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由
「Ⅴ.治療に関する項目」の「1.効能又は効果」の項参照
4.用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由
「Ⅴ.治療に関する項目」の「2.用法及び用量」の項参照
5.慎重投与内容とその理由
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)感染症の患者又は感染症が疑われる患者[本剤は免疫反応を減弱する作用を有し、正常な免疫 応答に影響を与える可能性があるので、適切な処置と十分な観察が必要である。「重要な基本 的注意」の項参照]
<解説>
国内外第Ⅲ相試験 5 試験及び国内外長期投与試験 2 試験で最も多く発現した有害事象の器官別大分類 はいずれも「感染症及び寄生虫症」であった。したがって、他の RA 治療薬の添付文書を参考に、慎 重投与としての注意喚起を設定した。
(2)結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患 者)[結核を活動化させるおそれがあるので、胸部レントゲン検査等を定期的に行うなど、結 核症状の発現に十分注意すること。「重要な基本的注意」の項参照]
<解説>
本剤により結核感染防御における主要なサイトカインが広範に抑制されると考えられ、結核の既感染 者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)に本剤を投与した 場合、結核を活動化させるおそれがあることから、慎重投与としての注意喚起を設定した。
(3)易感染性の状態にある患者[感染症を発現するリスクが増加する。]
<解説>
国内外第Ⅲ相試験5試験及び国内外長期投与試験2試験で最も多く発現した有害事象の器官別大分類 はいずれも「感染症及び寄生虫症」であった。本剤は免疫反応を減弱する作用を有し、易感染性の状 態にある患者は感染症を発現するリスクがより増加することから、慎重投与としての注意喚起を設定 した。
(4)高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
<解説>
国内外で実施された臨床試験において、65歳以上の高齢者では感染症の発現頻度が高かったことから、
慎重投与としての注意喚起を設定した。
(5)腸管憩室のある患者[消化管穿孔があらわれるおそれがある。「重大な副作用」の項参照]
<解説>
国内外で実施された臨床試験において消化管穿孔の発現が報告されており、免疫抑制剤の投与下にお