~薬剤師会の業務~
● 薬剤師班は、東京都及び区市町村との協定に基づき、要請を受けた東京都薬剤師会及び区市町 村薬剤師会が派遣する。
● 薬剤師班に参加する薬剤師がより円滑に活動することができるよう、薬剤師会の災害時の役割 及び業務を把握する。
Point
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⑤ 被害が大きい地域の場合
①以外の未登録薬剤師等の申出を受け付けるための窓口を設置し、原則と して 3 名を 1 班として薬剤師班を編成し緊急医療救護所に派遣します。
発災から 72 時間は、他の地域からの支援が間に合わない可能性がありま すので、できる限り地区内の薬剤師で対応することが求められます。
薬剤師班の編成が不可能な場合は、ただちに災害薬事コーディネーターが 支援要請(P16)をします。⑥ 被災が小さい地域の場合
参集した薬剤師班は、ただちに被害が大きい近隣地区薬剤師会に先遣隊と して出動し、東京都薬剤師会に調査状況を報告します。(様式1-1 活動報告・業務引継書、様式1-3 薬局被災状況報告書)
災害活動薬剤師登録者リストに基づいて出動準備要請を行い、その結果に 基づいて薬剤師班を編成します。
東京都薬剤師会の要請により、編成された薬剤師班のリストを提出します。(様式1-2 災害活動薬剤師班名簿)
長期化に備え、地区内の薬剤師に対し救護活動の参加要請を継続して行い ます。(3)薬剤師班の集合手段・通信手段等の事前準備
① 集合手段の事前検討
<被害想定が大きい地域の場合>
交通インフラがほぼ機能しないことが想定されますので、地区内の薬剤師 が参集する手段を検討しておく必要があります。
徒歩、自転車、オートバイ等で参集する場合も、危険個所を確認し、安全 なルートを選択しておきます。<被害想定が小さい地域の場合>
移動手段の安全性を最優先し、他地区への移動手段を選択しておきます。
自家用車の場合、必ず災害時緊急通行車両証を最寄りの警察署から取得し ておいてください。② 通信手段の事前準備
薬剤師班活動をする上で、下図の連絡体制を確保する必要があります。
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東京都薬剤師会薬災害対策対本部 東京都災害対策本部
東京都災害医療コーディネーター 医療圏災害医療コーディネーター 地区薬剤師会災害対策本部 区市町村災害対策本部
災害薬事センター 区市町村医療救護活動拠点
災害薬事コーディネーター 区市町村災害医療コーディネーター 薬剤師班班長 各薬剤師
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発災当初は、無線基地被害、通信線断裂、通信量オーバーなど様々な要因か ら、通信インフラが機能しないと考えられます。本マニュアルに従って独立 した行動を行えるようにする必要があります。
通信インフラが復旧した後は、主に、固定電話・携帯電話・スマートホン等 による通信とメールによるネット通信を利用します。
業務用無線は、有効範囲が最大でも5㎞程度(未確認)であるので、限定さ れた範囲であれば非常に有効です。③ 携行品等の事前準備
別表6を参照して、携行品等を準備します。
医薬品供給のために医薬品を携行することも考えられるので、搬送用のバッ クパック、背負子、キャリーバッグ等も備えておくと便利です。④ 活動用食料の備蓄
災害時には、食料品等の物流も影響を受けます。
薬剤師班活動を支援する東京都薬剤師会、地区薬剤師会は業務を継続するため に、役員や職員が泊まり込みで活動すると予測されます。したがって最低でも3 日間は食料が調達できないことを想定した準備が必要です。
備蓄する食品は、保存期間が長く、調理を必要としない食品等が中心になりま す。また、お湯を沸かしたり、レトルト食品を温めたりするためにカセットコン ロや鍋等の調理器具も必要になります。
2.東京都薬剤師会の役割
(1)平時からの準備
① 通信手段の確保 P35(3)②
② 災害対策用資材等の備蓄 P36(3)③、④
③ 東京都との事前協議
(2)発災直後~超急性期(~72 時間)
① 東京都薬剤師会BCPに従い、発災直後に都薬災害対策本部を設置します。
② 都薬災害対策本部長の直轄下に、都災害医療コーディネーターを医薬品供給面 から補佐する東京都薬剤師会薬剤師班担当副本部長を置きます。
東京都薬剤師会薬剤師班担当副本部長は、都災害対策本部に常駐します。
③ 都薬災害対策本部の体制整備
災害対策本部の機能維持のための人員を招集します。
震度5強以上で、災害担当役員及び職員は自動参集します。
朝:活動開始前に、医療活動拠点又は災害薬事センターに集合し、当日 の行動を確認します。
夕:活動終了後、医療活動拠点又は災害薬事センターに集合し、当日の 活動を報告します。
例
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地区薬剤師会の被害情報や緊急医療救護所の設置状況等を把握するため の情報収集体制の確保に努めます。④ 先遣隊の派遣
甚大な被害を受けた地区に、通信手段の状況やマスコミ等の情報をもとに、速やかに先遣隊を派遣し状況を把握します。
⑤ 安否確認の実施及び薬剤師班編成の要請
安否確認メール又は災害時優先電話により、東京都薬剤師会役員・職員・地区薬剤師会役員等の安否確認を行います。
都内の被害が小さかった薬剤師会に対して、薬剤師班の編成要請及び出動 準備要請を行います。⑥ 情報の収集
道府県薬剤師会や他団体からの問い合わせに対応するため、地区薬剤師会等か らの情報収集に務めます。
・地区薬剤師会等への情報収集及び報告の依頼
・先遣隊からの情報収集
⑦ 情報の分析と薬剤師班の派遣
収集した情報を元にして、都内全体の被災状況及び医療救護活動状況を東 京都災害医療コーディネーターと打合せ、薬剤師班の編成及び派遣場所を 検討します。
収集した情報に基づき被害の小さかった地区の薬剤師会へ派遣要請を行 います。(概ね 72 時間を目途)
都外からの支援が必要と判断した場合、日本薬剤師会災害対策本部に応援 要請を行います。
支援薬剤師班の派遣先は、東京都薬剤師会が区市町村の災害薬事センター を指示し、区市町村の災害薬事センターにおいて、災害薬事コーディネー ターが、医療救護所等の活動場所を指定します。⑧ 支援体制整備までの時間
情報の収集及び東京都災害対策本部(東京都災害医療コーディネーター)等との打合せに必要な時間は、概ね 72 時間と想定します。
※ この間の医療救護体制は、地区薬剤師会のみであらかじめ決められた 地域の防災協定に従って初期活動をすることが求められます。
● 被災状況(薬剤師会、薬局、医療機関等)
● 地区災害対策本部との連携状況
● 災害薬事センターに関する状況
● 緊急医療救護所に関する状況
● 医療救護所に関する状況
● 避難所に関する状況
● 医薬品等の供給状況
● 電気・ガス・水道等のライフラインの被災状況 情報収集項目
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(3)急性期~亜急性期(4日目から1カ月)
① 東京都薬剤師会BCPに従い、都薬災害対策本部の機能を維持します。
都薬災害対策本部の機能維持のための人員を確保するため、災害担当以外 の役員及び職員も出動します。② 地区救護活動機能の維持のための支援
甚大な被害を受けた地区が適切に活動できるよう、薬剤師班の派遣を継続 します。③ 安否確認の実施及び薬剤師班編成の要請
東京都薬剤師会会員の安否確認を地区薬剤師会に要請します。
都内の被害の小さかった地区薬剤師会に対して、薬剤師班の編成要請及び 出動要請を継続して行います。④ 情報の収集と分析
地区薬剤師会、支援薬剤師班、道府県、他団体から医療救護活動等に関す る情報を収集・分析し、収集した情報の概要と分析結果を都災害対策本部 に報告します。(様式1-1~1-4)収集する情報はP34 のとおり。⑤ 問題点の抽出と薬剤師班の派遣
問題が発生した場合は、東京都(医療圏)災害医療コーディネーターと協 議して問題解決を図り、結果を都災害対策本部に報告します。(様式1-5 問題発生・解決報告書)
医薬品等の円滑な供給を確保するため、東京医薬品卸業協会と医薬品等の 流通に関する協議を行い、結果を都災害対策本部に報告します。(様式1-5 問題発生・解決報告書)
被害の状況に応じた薬剤師班の派遣場所等の割り振りを行います。
日本薬剤師会との連携により、道府県薬剤師会支援班の活動場所(原則と して区市町村の災害薬事センター)を指示します。区市町村の災害薬事セ ンターにおいて、災害薬事コーディネーターが医療救護所等の活動場所を 指示します。(4)慢性期以降(1カ月~)
① 東京都薬剤師会BCPに従った東京都薬剤師会機能の回復
機能回復のための人員確保と環境整備を行います。
慢性期には、東京都薬剤師会全機能の回復を目指します。② 地区救護活動の機能維持のための派遣
地区薬剤師会が対応する救護活動の機能維持のため、薬剤師班を継続的に 派遣します。薬剤師班の派遣は慢性期(3カ月)までを目安とします。③ 情報の収集と分析
④ 問題点の抽出と薬剤師班の派遣