• 検索結果がありません。

はじめに ( 災害時における薬剤師の役割 ) 1 災害医療における薬剤師の必要性災害時には 建物の倒壊や火災により負傷者が多数発生することが予想されます また 医療機関や薬局も被害を受けるため通常の医療提供体制は確保できません そのため 東京都は 東京都地域防災計画 の中で 災害時の医療体制の確立や

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "はじめに ( 災害時における薬剤師の役割 ) 1 災害医療における薬剤師の必要性災害時には 建物の倒壊や火災により負傷者が多数発生することが予想されます また 医療機関や薬局も被害を受けるため通常の医療提供体制は確保できません そのため 東京都は 東京都地域防災計画 の中で 災害時の医療体制の確立や"

Copied!
47
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

このマニュアルは、今後改訂する可能性があります。 最新版は東京都福祉保健局のホームページで御確認ください。

災害時における

薬剤師班活動マニュアル

平成26年9月

東京都福祉保健局

(2)

i

はじめに(災害時における薬剤師の役割)

1 災害医療における薬剤師の必要性 災害時には、建物の倒壊や火災により負傷者が多数発生することが予想されます。ま た、医療機関や薬局も被害を受けるため通常の医療提供体制は確保できません。そのた め、東京都は「東京都地域防災計画」の中で、災害時の医療体制の確立や医薬品・医療 資器材の確保等について対策を定めています。 薬剤師は、所属する機関(薬局・病院等)の機能回復に努めることはもちろん、区市 町村が設置する(緊急)医療救護所での調剤業務や、災害薬事センターで医薬品供給業 務等に従事する等、自治体の医療救護活動を担うことがが求められます。 医薬分業率が70%を超えた現在、災害医療は医薬品の専門家である薬剤師の参加が なくては成り立たないといっても過言ではありません。 全ての薬剤師に、災害時の医療救護活動に参加していただきたいと思います。 このマニュアルは、「東京都地域防災計画」に定められた医療救護対策のうち、医薬 品・医療資器材の確保及び薬剤師班の活動について、より詳細に関係者の役割や基本的 な業務手順を示したものです。 しかし、被害の規模や、情報通信設備の使用の可否等により、災害現場における最適 な対応は当然異なってきます。このマニュアルを、状況に応じて臨機応変に対応するた め、御活用ください。また、活動現場では、このマニュアルを基に地元自治体等と協議 の上作成される、地区ごとのより具体的な活動マニュアルに従って活動していただくよ うお願いします。 2 災害時における薬剤師活動 東京都は、東京都薬剤師会との間で、また、各区市町村は地区薬剤師会との間で災害 協定を締結しています。災害時に医療救護活動に参加する全ての薬剤師は、東京都薬剤 師会又は地区薬剤師会の指示に従って薬剤師班活動を行ってください。 ※東京都では平成 26 年 7 月に東京都地域防災計画を時点修正し、 ・「医薬品ストックセンター」を「災害薬事センター」に ・「医薬品ストックセンター長」を「災害薬事コーディネーター」に 名称変更しています。そのため、このマニュアルでは修正後の新しい名称である「災害 薬事センター」「災害薬事コーディネーター」を用いています。 <薬剤師班活動の主な内容> ● 被災地内に設置された緊急医療救護所、医療救護所での調剤業務 ● 避難所における医薬品(OTC 等)の供給や衛生管理 ● 災害薬事センターにおける医療用医薬品等の供給体制の確保 ● 巡回医療救護班に帯同しての調剤業務 ● 災害拠点病院等の支援

(3)

ii

目 次

第1章 都の災害医療体制の概要 1

第1 都の災害医療体制

1.医療機関の分類と役割分担

2.災害医療コーディネーターを中心とした情報連絡体制

第2 災害時の医薬品供給体制

第2章 薬剤師班活動への従事 5

第1 薬剤師班従事の準備

1.救援のための心構え

2.救援のための備え

3.連絡手段の確保

第2 薬剤師班への参加方法

1.薬剤師班への登録及び参集場所

2.薬剤師班の編成

3.参集にあたっての注意

4.薬剤師班の被服

第3 薬剤師班の指揮命令系統

1.災害薬事センター

2.緊急医療救護所・医療救護所

3.避難所

第4 交代時の引継ぎ及び連絡

10

第3章 災害薬事センターの業務

11

第1 災害薬事センターにおける活動の概要

11

1.災害薬事センター

11

2.災害薬事コーディネーター

11

第2 医薬品等の供給に関する業務 12

1.発災直後~超急性期(~72時間)

13

2.急性期(72時間)以降【卸売販売業者が復旧した状態】

13

第3 薬剤師班活動の調整に関する業務

16

1.薬剤師班の支援要請

16

2.支援に来た薬剤師班への指示

16

3.直接災害薬事センター等へ来た薬剤師への対応

16

第4 薬事関係者の調整に関する業務

17

(4)

iii

第4章 医療救護所での業務 18

第1 医療救護所における活動の概要

18

第2 医療救護所での活動準備

20

第3 情報収集及び医薬品・医療資器材等の確保

22

1.情報収集、情報報告

22

2.医薬品・医療資器材等の確保

22

3.医療救護班との調整

23

第4 調剤と服薬指導

24

1.災害用処方箋の設計補助

24

2.調剤

24

3.服薬指導等

26

4.OTC医薬品の供給

27

第5 トリアージ

28

1.トリアージの概要

28

2.トリアージ後の対応

29

3.薬剤師とトリアージ

29

第5章 避難所での業務 30

1.服薬指導等

31

2.医療救護班との連携

31

3.避難者の健康管理(OTC医薬品等の供給)

31

4.医薬品等の管理

31

5.避難所の衛生管理

31

6.情報収集

31

第6章 医療機関との連携 32

第1 薬剤師班と災害拠点病院薬剤部等との連携

32

第2 薬局と医師会・歯科医師会・医療機関等との連携

33

第7章 薬剤師班の活動を支える業務 34

1.薬剤師班の編成

34

2.東京都薬剤師会の役割

36

3.地区薬剤師会の役割

39

(5)

iv

資料編

ページ 表番号 表タイトル 43 別表1 東京都災害拠点病院と東京都及び東京都地域災害医療コーディネーター 45 別表2 区市町村における災害用の医療用医薬品備蓄リスト(案) 48 別表 3 区市町村における災害用の医療資器材等の備蓄リスト(案) 52 別表 4 備蓄用OTC医薬品リスト 53 別表 5 調剤所必要資材リスト 54 別表 6 薬剤師班携行品等リスト 55 別表 7 薬剤師班登録先リスト(地区薬剤師会事務所) 57 別表8 薬剤師班参集場所 58 様式 1-1 活動報告・業務引継書 60 様式 1-2 災害活動薬剤師班名簿 61 様式 1-3 薬局被災状況報告書 63 様式 1-4 活動状況総括報告書 65 様式 1-5 問題発生・解決報告書 66 様式 2 医薬品等供給要請書(医療救護所等⇒災害薬事センター) 67 様式 3 医薬品等発注書(災害薬事センター⇒卸売販売業者) 69 様式 4 入出庫管理票 71 様式 5 災害用処方箋 72 様式 6 災害用薬袋 75 様式 7 OTC医薬品薬歴簿 76 災害対応関連通知

(6)

v

(7)

1

第1 都の災害医療体制

1.医療機関の分類と役割分担

(1)病院・診療所

病院は、その機能や役割に応じて、3つに分類されます。 災害拠点病院では主に重症の患者の治療を行い、災害拠点連携病院では中等症の 患者の治療を行います。専門的医療を行う災害医療支援病院は、病院での業務を継 続し、その他の災害医療支援病院は発災直後は各区市町村の地域防災計画に基づく 医療救護活動が主体になり、1週間以降に平時の業務へ徐々に移行します。 診療所も、機能や役割に応じて以下の 2 種類に分類されます。 専門的医療を行う診療所は、診療所での業務を継続し、透析等の患者の医療にあ たります。また、その他の医療を行う診療所(一般診療所)は発災直後は各区市町 村の地域防災計画に基づく医療救護活動が主体になり、1週間以降に平時の業務へ 徐々に移行します。

第1章 都の災害医療体制の概要

1.医療機関等の分類と役割分担 災害拠点病院 ← 診療の継続(主に重症者の治療) 災害拠点連携病院 ← 診療の継続(主に中等症者の治療) 災害医療支援病院 ← 診療の継続 又は 地域の医療救護活動への参加 診療所・薬局 ← 地域の医療救護活動への参加 (緊急)医療救護所 ← 主に軽症者の治療 2.災害医療コーディネーターを中心とした情報連絡体制 東京都災害医療コーディネーター (3 名の医師、都内全域を担当) 東京都地域災害医療コーディネーター(12 名の医師、2次医療圏を担当) 区市町村災害医療コーディネーター (区市町村ごとに任命、区市町村を担当) Point →主に重症患者の治療(70病院、P43 別表 1 参照) →主に中等症患者の治療 (災害拠点病院、災害拠点連携病院以外の全ての病院) 専門医療(小児、周産期、透析等)を行う病院 その他の医療を行う病院 →専門医療の継続 区市町村で定める 医療救護活動 → 災害拠点病院 災害拠点連携病院 災害医療支援病院 病 院 専門的医療(救急、透析、産婦人科等)を行う診療所 その他の医療を行う診療所(一般診療所) 診 療 所 →専門医療の継続 →区市町村で定める医療救護活動

(8)

2

(2)薬局

薬局は、発災直後は各区市町村の地域防災計画に基づく医療救護活動が主体にな り、1週間以降に平時の業務へ徐々に移行します。

(3)緊急医療救護所・医療救護所

災害拠点病院等には、発災直後から患者が殺到することが予想されますが、全て の患者を災害拠点病院等で治療することは不可能であり非効率です。そのため、区 市町村が発災後速やかに災害拠点病院等の近接地(病院敷地内を含む)に緊急医療 救護所を設置し、医師会・薬剤師会等が派遣した医療救護班・薬剤師班により主に 軽症者の治療を担います。 なお緊急医療救護所の開設は、基本的に発災から 72 時間までとし、以降は避難 所に隣接して設置される医療救護所へ役割を引き継ぎます。

2.災害医療コーディネーターを中心とした情報連絡体制

災害医療に関する情報連絡の要として、「東京都庁… 二次保健医療圏 … 区市町村」 の三段階それぞれに、災害医療コーディネーター(医師)が任命されています(P43 別表 1 参照)。 災害医療では区市町村の現場対応が大切ですが、近接地域からの支援や、さらには地 域を超えて都や国レベルの支援が必要になってきます。コーディネーター制度によって 被災現場の情報が各災害医療コーディネーターに迅速に伝わり、医療班の配置や医薬品、 医療資器材を被災現場に効率的に配分していきます。 ・東京都災害医療コーディネーター :都全域を担当 ・東京都地域災害医療コーディネーター:二次保健医療圏を担当 ・区市町村災害医療コーディネーター :各区市町村を担当 表1 フェーズごとの医療提供施設の役割分担

(9)

3

3.医療救護活動拠点・災害薬事センターの役割

各区市町村は発災後すみやかに災害薬事センター(旧称:医薬品ストックセンター) を、また、急性期(発災 72 時間)以降に医療救護活動拠点を設置します。 ・災害薬事センター:薬剤師班活動や医療救護所、避難所等への医薬品等の発注・ 供給を調整し、災害時の薬事の拠点となる場所。災害薬事セン ターのセンター長(=災害薬事コーディネーター)は地区薬剤 師会から選任する。 ・医療救護活動拠点:区市町村災害医療コーディネーターを中心に、医療支援に関 する調整・情報交換の拠点となる場所。 区市町村内では、医療救護活動拠点を中心に災害医療の情報共有や方向性の検討が進 められます。区市町村災害医療コーディネーターが様々な調整をしていく中で、医薬品 に関する情報は極めて重要で、災害薬事コーディネーターが区市町村災害医療コーデ ィネーターを薬事の観点からサポートします。 図1 超急性期(発災72時間)までの体制 図2 急性期(発災72時間)以降の体制

(10)

4

第2 災害時の医薬品供給体制

○ 医療救護所や避難所で使用する医薬品は、それらの設置者である区市町村が災害薬 事センターを通して卸売販売業者から調達します(P13 参照)。 ○ 卸売販売業者は、原則として以下のように納品します。 ・ 医療救護所で使用する医薬品 直接医療救護所へ納品 ・ 巡回医療救護班が使用する医薬品 ・ 避難所で使用する OTC 医薬品 ○ ただし、卸売販売業者も被災するので、発災から1週間程度は通常のような供給が できません。 ○ 業務の再開には最短でも3日程度かかると想定されるため、各区市町村は、少なく とも発災から3日間に緊急医療救護所等で必要になる医薬品等(P45~53 別 表2~5参照)の備蓄を行うように努めています。 ○ また、被害の規模によっては、4日目以降であっても、卸売販売業者が全ての注文 には応えることができない状態が続く恐れがあります。 ○ その場合、どの施設(病院、医療救護所、薬局等)へ医薬品を納入されるか、が災 害医療における役割分担の根幹に関わるため、災害医療コーディネーターの判断を 踏まえて供給優先順位が決定されます。 ● 発災から 72 時間は自治体での備蓄を使用する。 ● 72 時間以降は災害薬事センターを介して卸売販売業者への発注する。 ● 医薬品等の供給優先順位は災害医療コーディネーターの助言に基づいて決定さ れる。 Point 災害薬事センターへ納品 巡回医療救護班や薬剤師班が避難所等へ持って 行き、診察・服薬指導をしたうえで患者に配布 協定締結 団体 東京都災害医療コーディネーター 供 給 発 注 発 注 依頼 東京都 相 談 要請* 供 給 発注* 都 災 害 対 策 本 地域災害医療 コーディネーター 病院・診療所・ 歯科診療所・薬局 医療 救護所 供 給 区市町村(災害薬事センター) 災害薬事コーディネーター:薬剤師会 避難所 * 原則として区市町村が卸売業者に発注するが、区市町 村における調達が困難な場合 には、都へ要請する。 図3 災害時の医薬品等供給体制

(11)

5

第1 薬剤師班従事の準備

1.救援のための心構え

救援活動の際は、「早く救援に向かいたい、もっと仕事をしたい」という個人の感情 で行動すると、支援者自身が被災者になる恐れがあります。災害救援活動の基本を守り、 急な状況変化にも対応できるよう気をつけて行動してください。

(1)災害救援活動の基本

 必ず指揮命令系統に従って行動する。  薬剤師班の安全が確認できない、危険を招くような無謀な行動は慎む。  夜間の単独行動は絶対に行わない。  交通ルールを守る。

(2)状況の変化への対応

 予震や現場の環境急変に備え、対応策を想定しながら行動する。  自身の生命の確保を最優先する。

2.救援のための備え

被災地では、食糧供給が充分ではないことが想定されます。支援に入る薬剤師は、宿 泊手段等も考慮しつつ「別表6 携行品等リスト」(P54)を参考にし、活動日数分の 食料や水など、生活及び活動に必要な物資を揃えてください。 なお、活動日数は4泊5日を原則とし、現地で必ず交代時の引継ぎを行います。 図4 引継ぎイメージ 班 1 日目 2 日目 3 日目 4 日目 5 日目 6 日目 7 日目 8 日目 9 日目 10 日目

3.連絡手段の確保

被災地での活動中は、安否確認や活動状況の報告が必要になるので、携帯電話やスマ ートフォン、パソコン等を持参してください。 ☞ 忘れがちな携行品 ・携帯電話機等の補助充電器(電気の復旧に時間がかかる場合があります。) ・薬剤師の身分を証明する書類(P8参照)

第2章 薬剤師班活動への従事

● 薬剤師班活動は 4 泊 5 日を基本とする。 ● 食料や生活用品等、救援活動に必要な物資はあらかじめ揃えておく。 ● 携帯電話やパソコン等、連絡手段を確保しておく。 Point 移 動 現地 で 引 継 移 動 現 地 で 引 継 移 動 現地 で 引 継 A 班 B 班

(12)

6

第2 薬剤師班への参加方法

薬剤師班は、協定等に基づき、区市町村から各地区の薬剤師会、又は東京都から東京 都薬剤師会への要請により編成され、医療救護所や避難所等へ派遣されます。 そのため、薬剤師班として活動するためには、東京都薬剤師会又は地区薬剤師会へ の登録が必要になります。発災前に登録をしていない薬剤師は、発災後、以下の手順 に従って登録し、薬剤師班活動に従事してください。 なお、薬剤師班への登録は薬剤師会の会員に限定したものではなく、全ての薬剤師 が登録可能です。 図5 薬剤師班への登録のイメージ

1.薬剤師班への登録及び参集場所

(1)事前に登録している薬剤師の場合

発災前に東京都薬剤師会又は地区薬剤師会へ薬剤師班として登録している薬剤師 は、東京都薬剤師会又は地区薬剤師会があらかじめ指定する場所に自動的に参集して 下さい。 なお、事前の登録を希望する方は、地元の地区薬剤師会(P55 別表7参照)へ御 相談ください。 ≪例≫  地区薬剤師会の役員や防災委員等は、震度 5 強以上で、あらかじめ指定された場所に参集。  災害活動薬剤師班登録者は、震度 6 弱以上で、あらかじめ指定された活動場所に参集。 東京都薬剤師会 地区薬剤師会 薬剤師 登録 ①事前登録 又は ②発災後登録 東京都 区市町村 薬剤師班として活動 《活動場所》 ・(緊急)医療救護所 ・災害薬事センター ・避難所 ・災害拠点病院 等 派遣要請 ● 薬剤師班として活動するためには、東京都(又は地区)薬剤師会への登録が必要。 ● 薬剤師の身分証明書類を携行する。 ● 参集場所は、災害の規模や場所、フェーズに応じて異なるので、あらかじめ確認 しておく。 Point

(13)

7

(2)発災後に登録する薬剤師の場合

①発災から72時間まで

・被害が大きかった地域(目安:震度6弱以上)の区市町村は、発災後速やかに緊 急医療救護所を災害拠点病院等の近接地に設置します。被害が大きい地域の薬剤師 は、すみやかに地元の緊急医療救護所へ参集してください。被害が小さい地域では 緊急医療救護所は設置されませんので、被害が大きい地域の緊急医療救護所へ参集 し被災地を支援してください。 ・現地で、地区薬剤師会が参集した薬剤師を薬剤師班へ登録します。 ☞ 主要幹線道路は「緊急通行車両」の登録がない車両は通行禁止になります。

②72時間以降

・東京都薬剤師会又は地区薬剤師会へ薬剤師班へ登録したい旨を申し出て、薬剤師 会が指定する場所へ参集してください。 ・参集場所は基本的に被害が大きい区市町村の医療救護活動拠点になります。 都内 都外 被害が大きい区市町村 に在勤(在住)の薬剤師 被害が小さい区 市町 村 に在勤(在住)の薬剤師 都外に在勤(在住) の薬剤師 発災 ~24 時間 緊急医療救護所に参集 ⇒現地で登録 24 時間 ~72 時間 東京都薬剤師会に 登録⇒指定する場 所へ参集 72 時間以降 (1)登録先:東京都薬剤師会又は地区薬剤師会に登録 ① 東京都薬剤師会の登録先 住 所:東京都千代田区神田錦町1-27 電 話:03-3294-0271 F A X : 03-3294-7359 E-mail : info@toyaku.or.jp W e b : http://www.toyaku.or.jp/ ※メールのタイトルは「薬剤師班登録希望」にしてください。 ② 地区薬剤師会の登録先(P55 別表7参照) (2)登録の際に必要な情報 氏名、住所、所属先、連絡先、電話番号、メールアドレス、 活動希望日、性別、おおよその年齢(例:40代) ※メールで申し込む場合はこれらの情報を記載してください。 (3)参集場所:薬剤師会が指定する場所に参集 ≪例≫ ・都内在勤(住)者:薬剤師会が指定する区市町村の医療救護活動拠点 ・都外在勤(住)者:薬剤師会が指定する医薬品管理センター(P57 別表8参照) 在勤 (在住)地 フェーズ 地元薬剤師会が復旧した場 合は、地区薬剤師会に登録 し地区薬剤師会が指定する 場所へ参集 道府県薬剤師会に登 録している場合は、 その薬剤師会の指示 に従う

(14)

8

2.薬剤師班の編成

○ 薬剤師班は3名1班で活動します。 ○ 活動前に班の中から班長を決めて、災害薬事コーディネーターへ氏名を報告して ください。

3.参集にあたっての注意

○ 夜間は、単独行動を避けて複数で行動してください。 ○ 最低限の安全が確保できていることを前提とします。 ○ 活動に必要な資材等(P54別表6参照)、5 日分程度の食糧・飲料、薬剤師の身 分を証明する書類を持参してください。

4.薬剤師班の被服

東京都では、職種ごとに被服の色を定めており、薬剤師は『青』となっています。 薬剤師班に登録して業務に従事する薬剤師は、東京都薬剤師会(又は地区薬剤師会) が貸与する青色のベストを着用してください。 ☞ 医師・歯科医師:赤、 看護師・歯科衛生士・歯科技工士:緑、 臨床検査技師・放射線技師:白、 柔道整復師:紺、事務:黄 ● 発災直後に、緊急医療救護所に直接参集する場合は、緊急医療救護所の薬 剤師班責任者が身分確認を行います。また、薬剤師会に登録する場合は、 それぞれの本部の責任者が、身分確認を行います。 ● そのため、薬剤師班として従事する方は、必ず身分を証明する書類等を持 参して下さい。 薬剤師の身分確認 <身分を証明する書類等の例> ・災害時医療従事者登録証 ・薬剤師会等の会員証 ・薬剤師である旨が記載された社員証 ・保険薬剤師登録証及び運転免許証又は健康保険証等 ● 道府県薬剤師会に登録されている場合は、地元の薬剤師会の指示に従ってく ださい。それ以外の場合は、東京都薬剤師会(又は都内の地区薬剤師会)へ 登録してください。 ● 主要幹線道路は通行禁止となり、環状7号線より内側は一般自動車が通行禁 止となるため、薬剤師会が、環状7号線付近の医薬品管理センター等を集合 場所として指定します(P57 別表8参照)。 ● 当該医薬品管理センターで、現況及び東京都における薬剤師班活動方針等に ついて説明を受け、その後の指示に従って活動してください。 都外から支援に来てくださる方へ

(15)

9

第3 薬剤師班の指揮命令系統

薬剤師は主に「災害薬事センター」「緊急医療救護所・医療救護所」「避難所」で活動 します。それぞれの場所での指揮命令系統は以下のとおりです。

1.災害薬事センター

○ 薬剤師班は災害薬事コーディネーターの指示に従います。 ○ 災害薬事コーディネーターは、毎朝、薬剤師班全体の情報共有のためのミーティ ングを行い、必要な指示を出します。

2.緊急医療救護所・医療救護所

○ (緊急)医療救護所内の全体の運営・行動に関しては医療救護活動拠点での決定(区 市町村災害医療コーディネーターによる調整)に従います。 ○ 医薬品等の供給要請に関しては災害薬事コーディネーターの指示に従います。 ○ (緊急)医療救護所内の調剤等に関しては、救護所で活動する薬剤師班班長の指示 に従います。 ○ 薬剤師班班長は医療救護所において、調剤、トリアージ(緊急医療救護所)、不足 医薬品への対応、医師等との連携など、状況に応じて必要な業務に人材を配置す るとともに、それぞれの薬剤師に役割を指示します。

3.避難所

○ 災害薬事コーディネーターは避難所管理責任者(自治体職員)と協議し、避難所 での薬剤師班の業務の範囲をあらかじめ決めておきます。 ○ 薬剤師班は、上記の内容に基づいて、薬剤師班班長の指示で活動を行います。 ○ なお、現場状況の急変等の場合は、避難所管理責任者(自治体職員)の了解を得 て状況の変化に対応します。 ● 災害薬事センター:災害薬事コーディネーターの指示に従う。 ● (緊急)医療救護所においては、活動内容に応じて以下のとおり指示に従う。 ・ 全体の運営,調整に係ること :区市町村災害医療コーディネーター ・ 医薬品等の供給要請に係ること :災害薬事コーディネーター ・ 救護所内の調剤に係ること :薬剤師班班長 ● 避難所:薬剤師班班長の指示に従う。 Point

(16)

10 図6 薬剤師班の指揮命令系統図

第4 交代時の引継ぎ及び連絡

1.後継の薬剤師班に「様式1-1 活動報告・業務引継書」(P58)等を使いなが ら、活動状況や使用医薬品の状況を正確に引継ぎます。 2.薬剤師班の活動終了時には、災害薬事コーディネーター及び派遣元の薬剤師会へ 活動終了の連絡を行います。 区市町村 災害医療コーディネーター 災害薬事コーディネーター 班長 薬剤師班 班長 薬剤師班 班長 薬剤師班 班長 薬剤師班 班長 薬剤師班 巡回 医療救護所 医療救護所 医療救護所 医療救護活動拠点 避難所 協 力 災害薬事センター 医薬品の供給等 の管理

(17)

11

第1 災害薬事センターにおける活動の概要

1.災害薬事センター

災害薬事センターは、各区市町村が災害発生後速やかに設置します。医療救護所、 避難所への医薬品等の供給拠点であるとともに、医療チームに医薬品に関する情報 や薬剤師の活動状況等の情報を提供する役割も担っています。 そのため、災害薬事センターを、医療活動拠点内(又は近接した場所)に設置する と効率的です。

2.災害薬事コーディネーター

災害薬事センターのセンター長は「災害薬事コーディネーター」として、薬事の観 点から区市町村災害医療コーディネーターをサポートし、地域医療活動が円滑に進む よう、必要な情報収集や薬剤師班の活動の調整を行います。 そのため、災害薬事コーディネーターは地域の事情に精通していることが求められ るため、地区薬剤師会の会員から選任されます。 なお、一つの行政区域(区市町村)内に複数の災害薬事センターが設置される場合 は、中核となる災害薬事センターのセンター長を災害薬事コーディネーターとします。 表2 災害薬事コーディネーターの業務 災害医療コーディネーター及び災害拠点病院薬剤部等に協力し、地域の災害医療が 円滑に進むよう薬事に関する調整を行う。 ① 医薬品等の管理に関する調整業務 救護所等で必要になる医薬品等の受給状況 の把握、卸売販売業者への発注、在庫管理 等 ② 薬剤師班に関する調整業務 薬剤師班の差配、支援要請等 ③ 薬事関係者の調整業務 病院薬剤部、薬局、卸売販売業者等地域の 薬事関係者の復旧状況や医薬品過不足状況 の把握。薬事関係者の調整等。

第3章 災害薬事センターの業務

セ ン タ ー の 業 務

● 災害薬事センターは、各区市町村が発災後速やかに設置し、医薬品供給の拠点や 薬剤師班活動に係る情報拠点としての機能を担う。 ● 災害薬事センターの主な業務 ①医薬品等の発注・供給管理 ②薬剤師班活動の調整 ③薬事関係者の情報収集・調整 ● 災害薬事センターのセンター長は災害薬事コーディネーターとして調整を行う。 Point

(18)

12

第2 医薬品等の供給に関する業務

発 災 直 後 か ら 72 時 間 ま で の 供 給 体 制 急 性 期 ( 72 時 間 ) 以 降 の 供 給 体 制 班長 薬剤師班 班長 薬剤師班 班長 薬剤師班 区市町村の備蓄医薬品 緊急医療救護所 緊急医療救護所 緊急医療救護所 医 療 救 護 所 救 護 所 災害薬事センター 状況報告 <発災直後~超急性期(72時間)> ● 発災後 72 時間は、区市町村が備蓄する医薬品等で救護活動を行う。 ● 区市町村と災害薬事コーディネーターは協議のうえ、必要に応じて近隣の薬局 等に医薬品等の供出を要請する。 <急性期(72時間)以降> ● 災害薬事センターは、医療救護所等からの医薬品供給要請を取りまとめ、卸売 販売業者に発注する。 Point 救護所からの情報を集約 区市町村が搬入 不足する場合は区市町村 の要請で薬局が供出 薬局 医療救護所 医療救護所 医療救護所 災害薬事センター 班長 薬剤師班 班長 薬剤師班 班長 薬剤師班 卸売販売業者 ①医薬品の供給要請 ⑤納品の報告 ③発注 ④納品 (医療救護所 分) ④納品(避難所、 巡回救護班等分) ②要請内容のチェック

(19)

13

1.発災直後~超急性期(~72時間)

少なくとも72時間は、区市町村が備蓄する医薬品等を用いて無補給で緊急医療救護 所での治療を行うことが求められます。災害薬事コーディネーターは緊急医療救護所の 薬剤師班班長はから医薬品の使用状況等を報告を受け、過不足状況を把握します。 緊急医療救護所で医薬品等が不足する場合、災害薬事コーディネーターは区市町村に 対し、区市町村との協定に従って薬局等に医薬品等の供出要請をするよう依頼します。

2.急性期(72時間)以降【卸売販売業者が復旧した状態】

卸売販売業者による物流が復旧した後は、区市町村が協定を締結している卸売販売業 者の営業所(以下「卸店」という。)に対して、災害薬事センターが医薬品等を発注し ます。

(1)受発注業務の準備

① 災害薬事コーディネーターは、卸店の責任者と連携し、卸店の復旧状況を把握 します。 ② 医療救護所等からの供給要請等についてあらかじめルールを決めておき、災害 薬事センターで毎朝開かれるミーティング等で救護所等の薬剤師班班長へ伝達 します。 ③ 卸店責任者と、発注した医薬品が欠品の場合の納入ルールを決めておきます。 Ca 拮抗剤 ⇒ 後発品 ⇒ 他の Ca 拮抗剤 ⇒ 降圧剤のどれか ア イ ウ ア 発注医薬品が欠品の場合、後発品を代納する。 イ 後発医薬品も欠品の場合、同分類の医薬品を代納する ウ それでも対応できない場合は、同効の他分類の医薬品を代納する ※ イ,ウの場合は、具体的な商品名又は一般名を指示する。 例  医療救護所等からの供給要請締切時間(例:毎日午後6時で締切)  医療救護所等の供給要請者の指定 ※ 供給要請者は、基本的に薬剤師班の班長 ※ 医療救護所での要請や医薬品等の受領 を確認するために、ゴム印等を作成し それぞれの医療救救護所に対して配布 しておきます(区市町村に事前に作成 を要請します)。 例 班長名 ゴム印の例 供給要請・受領印 ○○区××医療救護所 薬剤師班 第1選択 第2選択 第3選択 第4選択

(20)

14

(2)医療救護所等からの受注

① 要請書の受理:災害薬事センターは、医療救護所等から供給要請書(P66 様式 2参照)を受け取り、指定された者からの供給要請であることをゴム印の有無 や班長名等で確認します。そのうえで、全ての供給要請書を整理します。 ② 救護所間の調整:医療救護所等の間で在庫や要請量に過多がある場合は、全て の医療救護所等に必要な医薬品や資材が行き渡るよう、可能なかぎり調整を行 います。

(3)卸店への発注

① 卸店の選定:供給要請書の内容を精査したうえで、災害薬事コーディネーター が卸店の復旧状況に応じて、各卸店へ注文を割り振ります。 ② 卸店への発注:医薬品等発注書(P67 様式3)を用いて、必要最小量を卸店へ 発注します(複数の災害薬事センターがある場合は、統括災害薬事センターか らの発注になります。)。 ③ 卸店との調整:在庫不足の場合は、代替薬を提案する等の調整を卸店と行いま す。

(4)卸店からの納品

卸店からの納品は、原則として、  医療救護所で使用する分:医療救護所へ卸店が納品  避難所、巡回診療等で使用する分:災害薬事センターへ卸店が納品 します。医療救護所分は直接納品されるため、適切に受領されているかを医療救護 所の薬剤師班長から報告を受け確認します。

(5)災害薬事センターの在庫管理

入出庫管理は「入出庫管理票」(P69 様式4)を用いて、パソコン又は手書き帳 票をで行います。

(6)災害薬事センターからの医薬品等の供給

① 身分確認:医療救護活動拠点には、巡回医療救護班、薬剤師班、医師会、行政 職員等が多数出入りし、各班が必要な医薬品等を近接する災害薬事センターで 受け取ることになります。医薬品等を供給する場合は、身分確認を行い、受領 印等を用いて受渡しの記録が残る体制を確保します。 ② 医薬品等の供給  全体の状況を勘案して供給量を災害薬事コーディネーターが決めます。 ● 新薬に関しては商品名 ● 長期収載品に関しては商品名及び一般名を併記 発注品目の記載方法

(21)

15  特に、向精神薬は、巡回医療救護班等が一日で必要とする最少量を供給し、 受領者の確認を確実に行います。  医薬品の出庫数量および出庫先(医療救護班等の場合はその責任者名)を「入 出庫管理票」(P69 様式4)に記載(又は入力)します ③ 欠品の報告:災害薬事センターで医薬品等が欠品している場合は、医療救護活 動拠点で開かれるミーディングで報告します。 ④ 生活物資等の供給:医薬品・医療資器材だけでなく、医療従事者が必要とする 生活物資(食料等)や医療に使用する資材(乾電池、濡れタオル等)等につい てもニーズを確認し、区市町村と協議のうえ補給できる体制を確保しておきま す。 ⑤ 残薬の管理:支援に来た医療救護班・薬剤師班等が持参した医薬品の残薬は、 原則として災害薬事センターに集約し、管理します。

(22)

16

第3 薬剤師班活動の調整に関する業務

1 薬剤師班の支援要請

① 災害薬事コーディネーターは、薬剤師班が不足すると想定される場合、区市町村 災害医療コーディネーターに相談の上、区市町村医療救護活動拠点(又は災害対 策本部)に報告します。 ② 区市町村医療救護活動拠点(又は災害対策本部)が東京都災害対策本部に薬剤師 班派遣要請を行います。 ③ 東京都災害対策本部は、東京都薬剤師会災害対策本部に薬剤師班派遣要請を行い ます。 ④ 東京都薬剤師会災害対策本部は、被害の小さい地域の地区薬剤師会及び日本薬剤 師会に対して派遣を要請し、薬剤師班の派遣調整を行います。要請の際、必要薬 剤師班数、活動場所、活動場所の状況を明確に示します。

2 支援に来た薬剤師班への指示

東京都薬剤師会等から派遣された薬剤師班に対して、災害薬事コーディネーターが区 市町村内での活動場所を指示します。

3 直接災害薬事センター等へ来た薬剤師への対応

発災72時間以降は、原則としてまず東京都薬剤師会又は地区薬剤師会に薬剤師班の 登録をしたうえで、被災地へ支援に来てもらいますが(P6 参照)、場合によっては登 録せずに直接、被災地の災害薬事センターへ来る薬剤師もいることが想定されます。 その場合、薬剤師の身分確認(P8 参照)を行ったうえで、災害薬事コーディネータ ーの状況判断で対応します。 薬剤師班として活動をすることになった場合は、東京都薬剤師会に対し、当該参加者 の氏名、所属先等を後日報告します(P60 様式1-2参照)。 災害薬事センターは薬剤師班が不足する場合の派遣要請、区市町村内での薬剤師 班の配分等の調整を行う。 Point

(23)

17

第4 薬事関係者の調整に関する業務

(1)区市町村災害医療コーディネーターとの連携

区市町村災害医療コーディネーターと連携を図るため、ミーティングを開催又は災 害医療活動拠点のミーティングに参加し、医薬品の供給状況、薬剤師班の活動状況等 を報告します。また、ミーティングで得られた情報等に基づいて、必要に応じて薬剤 師班への指示を行うため、地域内の薬事情報を収集しておきます。

(2)行政との連携

災害時には、区市町村が緊急医療救護所、医療救護所、災害薬事センター、避難所 を設置し、その運営を行います。薬剤師班の活動に必要な医薬品や、物資の備蓄、補 給も区市町村の業務になるので、円滑な薬剤師班活動のために、災害薬事コーディネ ーターは常に自治体職員と連携を取る必要があります。

(3)薬事関係者との連携

毎朝、災害薬事センターでの薬剤師班のミーティングを開催し、医療活動全般に関 する情報等を報告し、各薬剤師班から情報を収集します。得られた情報は、東京都薬 剤師会へも報告します。(P58 様式1-1参照) また、発災1週間以降は徐々に地域医療の平常化に向けた調整も必要になります。 例えば医療機関がいつから院外処方箋の発行を再開するか等は、災害薬事コーディネ ーターを中心に薬事関係者・医療関係者の意見を調整します(「第6章 医療機関等 との連携」参照)。 ● 開設されている医療救護所及び避難所等についての状況 ● 医薬品の在庫及び供給状況 ● 薬剤師班の活動状況(スキーム外薬剤師等の活動状況を含む) ● 医療機関・薬局等の診療・開局状況及び連携状況等 ● 電気・ガス・水道等のライフラインの状況 収集する情報 災害薬事センターは ● 地域の病院薬剤部・薬局・卸売販売業者等の薬事関係者との情報収集・情報共 有、調整 ● 薬事関係者とその他の医療・行政関係者との情報収集・情報共有、調整 を行う。 Point

(24)

18

第1 医療救護所における活動の概要

○ (緊急)医療救護所内に設置された調剤場所で、『災害用処方箋』(P71 様式5)に基 づいた調剤・服薬指導や、使用する医薬品の管理、軽症者への OTC 医薬品の供給 などの業務を行います。 ○ 災害時には、使用できる医薬品が限られていることから、処方箋記載方法等の調剤 ののルール作りや、医師の処方した医薬品が欠品の場合の代替薬の提案がとても重 要です。 ○ 緊急医療救護所においては、初期の活動として医師が行う一次トリアージの補助を 求められこともあります。 ○ 発災 72 時間以降は、医療救護所で不足する医薬品を災害薬事センターへ供給要請 します。

第4章 医療救護所での業務

● 「災害用処方箋」に基づく調剤・服薬指導、OTC 医薬品の提供 ● 医薬品等の管理、災害薬事センターへの供給要請。 ● 医師が行う一次トリアージの補助を行う。 Point ○ (緊急)医療救護所内の全体の運営・行動に関しては医療救護活動拠点での決定 (区市町村災害医療コーディネーターによる調整)に従います。 ○ 医薬品等の供給要請に関しては災害薬事コーディネーターの指示に従います。 ○ (緊急)医療救護所内の調剤等に関しては、救護所で活動する薬剤師班班長の指示 に従います。 ○ 薬剤師班班長は医療救護所において、調剤、トリアージ(緊急医療救護所)、不 足医薬品への対応、医師等との連携など、状況に応じて必要な業務に人材を配置す るとともに、それぞれの薬剤師に役割を指示します。 (緊急)医療救護所での薬剤師班の指揮命令系統(再掲 P9)

(25)

19 (緊急)医療救護所での薬剤師班の業務 発 災 直 後 ~ 超 急 性 期 【 72 時 間 ま で 】 (区市町村が緊急医療救護所、災害薬事センターを立ち上げ) (区市町村が備蓄医薬品等を緊急医療救護所等へ搬入) ■準備 ・緊急医療救護所の薬剤師班の責任者を決める ・医薬品保管場所、調剤場所、OTC 等の交付場所等の設営 ・緊急医療救護所内にある医薬品等の確認、リスト化 ・医療救護班との調整:処方箋記載方法等の調剤ののルール作り ・災害拠点病院薬剤部、近隣薬局等の被災情報収集 ■患者対応 ・災害用処方箋設計の補助 ・服用薬、アレルギー歴等の聞き取り ・調剤・服薬指導 ・OTC 医薬品等の交付 ・トリアージの補助 急 性 期 以 降 【 72 時 間 以 降 】 (緊急医療救護所から医療救護所へ以降) (区市町村が医療救護活動拠点を立ち上げ) ■準備 ・医療救護所の薬剤師班の責任者を決める ・医療救護所内にある医薬品等の確認、リスト化(随時更新) ・医療救護班との調整:新しく来た医療救護班へ調剤ルールの伝達 ■災害薬事センターとの情報共有 ・薬剤師班の責任者が災害薬事センターでの毎朝ミーティングに参加 ・救護所、災害拠点病院等薬剤部、近隣薬局等の情報をコーディネーター へ報告 ■患者対応 ・災害用処方箋設計の補助 ・調剤・服薬指導 ・OTC 医薬品等の交付 ■医薬品の発注、受領 ・不足する医薬品等を災害薬事センターへ供給要請 ・卸から納品された医薬品の検品、災害薬事センターへの報告 ■新たに来た薬剤師班への引継ぎ ・新たな薬剤師班責任者を決め、薬事コーディネーターへ報告 ・重要事項、注意点等を伝達

(26)

20

第2 医療救護所での活動準備

(1)薬剤師班は、医療救護所に到着後速やかに薬剤師班の責任者を決め、氏名を医療 救護所の責任者、災害薬事コーディネーターへ報告します(薬剤師班が 1 班のみ の場合は、責任者=班長)。 (2)災害薬事センターにミーティングの開催時間、供給要請の締切時間及び供給の際 の注意事項等を確認します。 (3)発災後、備蓄している医薬品等を区市町村が緊急医療救護所へ搬入しますので確 認したうえで、緊急医療救護所内にある医薬品・医療資器材のリストを作成し、リ ストを医療救護班の医師責任者に渡します。 (4)薬剤師班責任者は、業務の円滑な遂行のため、当該救護所内における業務の内容 等について医療救護班と調整を行います。 ・処方箋の記載方法(投与日数等)のルール ・疑義照会のルール ・医薬品等が欠品する場合の対応 ・巡回診療の有無及び薬剤師班の同行の有無 (5)原則として医療救護所内に、次の 3 区分のスペースを確保し、レイアウトを決 めます。地区医師会・地区薬剤師会と区市町村は、発災前に協議して医療救護所内 のレイアウトを検討しておくことが望まれます。 ・医薬品等の保管場所 ・調剤場所(服薬指導、相談窓口を併設する) ・OTC 医薬品、衛生材料等の交付窓口 ※レイアウト検討の注意点 ① 調剤を行う場所に関係者以外が立ち入ることのないよう、パーティション等 により他の場所と明確に区別します。 ② 医療救護所の状況に応じた医薬品等の保管・管理方法を検討してください。 特に向精神薬は、管理が十分に行き届く調剤所内の鍵のかかる場所に保管す る等、取扱いに注意してください。 ③ 医薬品等を保管する場所では、風雨や温度、温度による品質劣化を防止する 対策を講じます。特に調剤を行う場所では医薬品等の汚染防止に十分留意し てください。 患者動線の確認や調剤場所のレイアウト等、体制整備を行う。 Point

(27)

21 図7 医療救護所での患者動線のイメージ図 主に中等症患者 調 剤 所 災害用処方箋 外 傷 等 の 患 者 その他の患者 (慢性疾患等)

OTC の交付

ト リ ア ー ジ 災害拠点病院へ 災害拠点連携病院へ 主に重症患者 (緊急)医療救護所へ 主に軽症患者 診 察 カ ウ ン タ ー 薬剤師カウンター 薬剤師のメモ 患者名 ●●●● 主訴 救護所にある 医薬品の例 その他(普段 の服用薬等) 傷病者 ● OTC 医薬品等の交付窓口では、医師の診断・治療を必要としない軽症患者に、 薬剤師が OTC 医薬品の供給等を行います。 ● 薬剤師カウンターを医療救護所の入り口付近に設置すると、軽症患者と受診の必 要な患者の振り分けや、普段の服用薬等についての聞き取りが診察前に行えるな ど、医療救護班の負担を軽減できます。 レイアウトの参考

投薬

(28)

22

第3 情報収集及び医薬品・医療資器材等の確保

1.情報収集、情報報告

薬剤師班責任者は「活動報告・業務引継書」(P58 様式1-1)を作成し、毎朝災 害薬事センターで開かれるミーティングに参加し、以下の情報を収集し、災害薬事コ ーディネーターに報告します。

2.医薬品・医療資器材等の確保

(1)発災~72 時間 ① 区市町村が下記リストを参考に備蓄していた医薬品等を緊急医療救護所へ搬入 します。 ・ 備蓄用医療用医薬品リスト(P45 別表2) ・ 備蓄用医療資器材リスト(P48別表3) ・ 備蓄用 OTC 医薬品リスト(P52 別表4) ・ 調剤所必要資材リスト(P53 別表5) ② 緊急医療救護所内にある医薬品等をリスト医療救護班の医師責任者に渡します。 ③ 医薬品等が不足する場合は、災害薬事コーディネーターに報告し、区市町村か ら近隣薬局へ医薬品等の提供を要請をします。 (2)発災 72 時間以降 ① 必要な医薬品等の品名・数量等を医薬品等供給要請書(P66 様式2)に記入し、 薬剤師班責任者が災害薬事センターへ供給要請します。 ※文書(ファックス、メール等)による供給要請が想定されているが、困難な場 合は電話・無線・携帯電話等により連絡します。 ※災害薬事センターが設定した締切時間までに供給要請をしないと、翌日分にな ることに注意してください。 ● 開設されている医療救護所及び避難所等についての状況 ● 医薬品の在庫及び供給状況 ● 薬剤師班の活動状況 ● 近隣医療機関・薬局等の業務継続状況及び連携状況等 ● 当該地域における電気・ガス・水道等のライフラインの状況 収集する情報 ● 新薬に関しては商品名 ● 長期収載品に関しては商品名及び一般名を併記 供給要請品目の記載方法 物資が限られている中では、医療救護班との調整が重要。 Point

(29)

23 ② 卸店から納品された医薬品を検品し、納品伝票に当該医療救護所の受領印(P13 参照)を押印し、受領者の氏名を記名押印又は署名して、災害薬事センターへ届 けます。 ※ 卸店での在庫状況によっては、発注した商品名とは異なる商品(後発医薬品 等)や、ときには成分の異なる同種同効薬が納品される場合もあります。ま た、数量も注文量を下回ることがあるので、これらを踏まえ検品は慎重に行 います。

3.医療救護班との調整

(1)医薬品等の確保状況や調剤用資材の搬入状況等を勘案の上、対処可能な処方の内 容等について活動開始前に医療救護班の責任者と調整を行ってください。 (2)同種同効薬一覧表を作成しておくなど、災害用医薬品等の有効活用を図ります。 (3)医療救護所での調剤業務については、医療救護班と協議し、その決定に従います。 (4)薬剤師班の班長はできるだけ多くの患者へ医薬品を供給するため、あらかじめ医 療救護班の責任者と協議し標準投与日数を設定しておきます。

(30)

24

第4 調剤と服薬指導

1.災害用処方箋の設計補助

災害時には限られた人的、物的資源で多数の患者の治療にあたらなければなりませ ん。医師が処方を希望する医薬品の在庫がない場合は、代替薬を提案する等、医薬品 の有効活用に努めます。 また、患者の中には普段から医薬品を服用している人も多くいます。こうした人た ちから事前に服用歴、アレルギー歴等を聞き取り、お薬手帳を持参している場合はそ の情報もあわせて医師へ伝えることで、医師の診療効率が上がります。

2.調剤

(1)当該(緊急)医療救護所の医師が発行した『災害用処方箋』により、調剤所におい て調剤を行います。医療機関が発行した通常の院外処方箋は、原則として薬剤師班 ではなく薬局が対応することとします。 急性期までに、(緊急)医療救護所に近接する災害拠点病院等が入院が必要ない患 者に災害用処方箋を発行する場合があり、病院薬剤部・近隣薬局の状況によっては (緊急)医療救護所の調剤所で調剤する必要が生じる可能性もあります。その場合は、 病院薬剤部・薬剤師班責任者・災害薬事コーディネーターで相談して対応を決めま す。 【災害用処方箋の様式】(P71 様式5) ● 当該(緊急)医療救護所の医師が発行した『災害用処方箋』によって調剤を行う。 ● 医療機関から発行された処方箋は、原則として医療救護所では調剤せず、薬局 が応需する。 Point

(31)

25 (2)調剤済みとなった『災害用処方箋』には、調剤日及び薬剤師氏名を記入し、薬 剤師の所属薬剤師会名(又は所属機関名等)も記入し、調剤日別に保管してく ださい。 (3)災害用薬袋(P72様式6)を用いて交付します。 【災害用薬袋の様式(表)】(様式6)

(32)

26 【災害用薬袋の様式(裏)】(様式6)

3.服薬指導等

(1)医薬品の交付に当たっては、患者や代理人へ十分な服薬指導を行うとともに、(緊 急)医療救護所で調剤・交付した薬剤名等を災害用薬袋(お薬手帳があれば手帳に も)記載し、継続して医療機関等を受診する際には、薬袋又はお薬手帳を医師に提 示するよう指導します。 (2)特に普段服用している医薬品と異なる医薬品(同種同効薬等)を交付する場合は、 十分に説明を行い、患者の理解を得るよう努めます。

(33)

27

4.OTC医薬品の供給

医師の診断・治療を必要としない軽症患者に、薬剤師班が OTC 医薬品を交付する ことで、医師の負担を軽減することができます。 (1)区市町村が OTC 医薬品を備蓄(P52別表4参照)している場合は、発災後、 医療救護所へ搬入します。 (2)OTC 医薬品を供給する場合は、患者の申し出等を十分に聞いた上で、必要最 小量を交付し、お薬手帳に交付した医薬品名・数量を記載します。 また、「OTC 医薬品薬歴簿」(P75様式7)を作成します。

(34)

28

第5 トリアージ

1.トリアージの概要

トリアージとは、災害などで多数の傷病者が発生した場合に、傷病の緊急度や程度 に応じ、適切な搬送・治療を行うことです。 災害時には、医療スタッフや医薬品等の医療資源が限られているため、できる限り 多くの患者を助けるために、トリアージを実施します。 図8 START式トリアージ

保留群(Ⅲ)

可能

不可能

自発呼吸

なし

気道確保

自発呼吸

無呼吸群(0)

あり

あり

呼吸回数

30回/分以上 9回/分以下

最優先治療群(Ⅰ)

10~29回

/分

橈骨動脈触知

毛細血管再充満時間

・触知不可

・2秒を超える

・触知可能

・2秒以内

簡単な指示

応じない

応じる

なし

待機的治療群(Ⅱ)

保留群(Ⅲ)

可能

不可能

自発呼吸

なし

気道確保

自発呼吸

無呼吸群(0)

あり

あり

呼吸回数

30回/分以上 9回/分以下

最優先治療群(Ⅰ)

10~29回

/分

橈骨動脈触知

毛細血管再充満時間

・触知不可

・2秒を超える

・触知可能

・2秒以内

簡単な指示

応じない

応じる

なし

待機的治療群(Ⅱ)

=緑

=黒

=赤

=黄

(35)

29

2.トリアージ後の対応

3.薬剤師とトリアージ

トリアージは、基本的には医師が行うが、大勢の患者がいる場合などには薬剤師もト リアージの補助をすることが求められることがあります。 東京都では医療従事者を対象としたトリアージ研修会を開催しているので、地区薬剤 師会をとおして積極的に参加し、トリアージ補助を行うのに必要な知識を身に付けてお いてください。 識別色/分類 内容 赤/最優先治療群(Ⅰ) 応急処置後、災害拠点病院に搬送します。 黄/待機的治療群(Ⅱ) 応急処置後、災害拠点連携病院に搬送します。 緑/保留群(Ⅲ) (緊急)医療救護所で応急処置を行います。 黒/無呼吸(0) 医師が死亡診断し、遺体安置所に搬送します。

(36)

30 ○ 避難所では、多数の被災者が限られたスペースで生活しています。そのため、避難 生活中に体調を崩す方も少なくありません。 また、慢性疾患等で継続的に服薬している方が、服薬を中断し症状の悪化を招くこ とも予想されます。 ○ 薬剤師班は巡回医療救護班や保健師等と連携の上、避難所を巡回し、服薬指導や健 康相談を行い、必要に応じて OTC 医薬品の供給を行います。また、断水による水 不足から、手洗いや清掃が出来ないなどの避難所の衛生管理の問題にも、適切に対 処することが必要になることもあります。 ○ 巡回は、原則として災害薬事センターに属する班が行います。ただし、必要に応じ て医療救護所に属する薬剤師班が巡回することもあります。 ○ 避難所は、「避難者の方の家」とも言えますので、活動する場合は、プライバシーに 配慮することが求められます。

第5章 避難所での業務

● 薬剤師班は必要に応じて避難所を定期的に巡回して被災者の服薬状況を調査し、服薬指導 を行う。 ● 医師の判断・治療を必要としない軽症患者から OTC 医薬品等を求められた場合は、患者 の申し出等を十分に確認したうえで必要最小量を交付する。 ● 区市町村職員と連携し、避難所の衛生管理を行う。 Point ○ 災害薬事コーディネーターは避難所管理責任者(自治体職員)と協議し、避難 所での薬剤師班の業務の範囲をあらかじめ決めておきます。 ○ 薬剤師班は、上記の内容に基づいて、薬剤師班班長の指示で活動を行います。 ○ なお、現場状況の急変等の場合は、避難所管理責任者(自治体職員)の了解を 得て状況の変化に対応します。 ○ 避難所での薬剤師班の指揮命令系統(再掲 P9)

(37)

31

1.服薬指導等

薬剤師班は、避難所の規模や設置場所に応じて、避難所を定期的に巡回し、避難所 の被災者の服薬状況を調査し、必要に応じて服薬指導を行います。特に避難所生活が 長期にわたる場合は、薬事に関する相談に積極的に応じ、治療が必要と思われる患者 に対しては、医療救護所での受診を勧めるなど適切な指導を行います。

2.医療救護班との連携

巡回医療救護班や保健師班から薬剤師班へ協力要請があった場合には、対応可能な 業務内容等を勘案の上、巡回医療救護班に同行するなど、関係機関との緊密な連携を 図り、医療救護活動への支援を行います。

3.避難者の健康管理(OTC医薬品等の交付)

医師の診断・治療を必要としない軽症患者から、OTC 医薬品や衛生材料等の供給 の要請があった場合は、薬剤師班が OTC 医薬品等を供給することにより対応します。 OTC 医薬品等を供給する場合は、患者の申し出等を十分に聞いた上で、必要最小 量を交付し、お薬手帳に交付した医薬品名・数量を記載します。 また、交付した記録「OTC 医薬品薬歴簿」(P75様式7)を作成します。

4.医薬品等の管理

避難所にセルフケア用セットなど災害用の備蓄医薬品が配置されている場合は、そ れらの品質確保や使用方法の指導等に努めてください。避難所において不足している 医薬品等があると思われる場合には、災害薬事センターを通じて供給を要請します。

5.避難所の衛生管理

区市町村は避難所開設後、速やかに防疫班・消毒班を派遣し、トイレやごみ保管場 所等の消毒及び適正管理のための助言・指導を行うとともに、適宜消毒等を実施しま す。 薬剤師班は、防疫班・消毒班と連携して、避難所の衛生管理の対応をします。

6.情報収集

避難所等での活動時に、自主的避難施設等の情報を入手した場合、「活動報告・業 務引継書」(P58 様式1-1)を記載し、速やかに災害薬事コーディネーターに報告 します。

(38)

32

第1 薬剤師班と災害拠点病院薬剤部等との連携 ~災害拠点

病院等での支援業務~

(1)発災直後~超急性期(72 時間まで)

① 災害拠点病院等には、発災直後から患者が殺到することが予測されるため、災 害拠点病院等の近接地(病院敷地内を含む。)に緊急医療救護所が設置されます。 緊急医療救護所では、医師会・薬剤師会が派遣した医療救護班・薬剤師班等が、 主に軽症者の治療を行うことにより、災害拠点病院等が重症・中等症の患者の 治療に専念できるよう支援します。 ② 発災直後から緊急医療救護所の薬剤師班班長と病院薬剤部又は当該病院の責任 者とで定期的にミーティングを行い情報の共有を計り、対応を検討します。

(2)急性期(72時間)以降

災害拠点病院等は、多数の災害による傷病者を受け入れるため、薬剤部の負担が大 きくなった場合、必要に応じて支援のため薬剤師班を派遣します。 ① 病院から薬剤師の支援要請があった場合、災害薬事コーディネーターは区市町 村災害医療コーディネーターに報告の上、区市町村医療活動拠点(災害対策本 部)に報告します。 ② 区市町村医療活動拠点(災害対策本部)が東京都災害対策本部(都災害対策本 部)に災害拠点病院を支援する薬剤師班派遣要請を行います。 ③ 都災害対策本部は、東京都薬剤師会災害対策本部に病院支援薬剤師の派遣要請 を行います。 ④ 都薬災対本部は、東京都病院薬剤師会と連携して申し出のあった病院支援薬剤 師班の派遣調整を行います。 ※ 平常時において、病院薬剤部の業務と薬局薬剤師の業務は異なるため、災害時 に薬局薬剤師が病院薬剤部を円滑に支援できるよう、災害拠点病院等の薬剤部 と地区薬剤師会は、事前に協議しておく必要があります。

第6章 医療機関等との連携

● 緊急医療救護所は、災害拠点病院等の近接地に区市町村が設置し、災害拠点病院等の機能を守 る役割があるので、薬剤師班は病院薬剤部等との緊密な連携が必要になる。 ● 状況に応じて、災害拠点病院等と連携し、病院薬剤部の支援を行う。 Point ● 災害拠点病院薬剤部、近隣薬局等の被災状況 ● 薬剤師の参集状況 ● 医薬品等の在庫状況及び不足する医薬品の情報 共有する情報

(39)

33

第2 薬局と医師会・歯科医師会・医療機関等との連携

医療機関は発災1週間以降、徐々に平常の業務に移行していきますが、薬局の復旧 や医薬品等の供給体制の復旧がまだ完全ではないことが予想されます。このような状 態で院外処方箋の発行が再開された場合、患者が適切に医薬品を受け取れない可能性 が高いことが想定されます。 そうした事態を防ぐために、災害薬事センターで地域の薬事関係者の情報収集を行 い、災害薬事コーディネーターが院外処方箋の発行について医師会・歯科医師会・医 療機関(災害拠点病院等を含む)と協議の上、以下のとおりに調整します。  周辺状況を勘案し、院外処方箋の発行タイミングを計ります。(安易に院外 処方に踏み切ると、薬局が対応できない場合があります。)  院外処方箋発行に関する注意点 ① 通信が十分に復旧していない場合、医師に疑義照会ができない可能性も あります。事前に医薬品の変更、代替調剤について医薬品の供給状況に 応じたルールを作っておきましょう。 ② 医療救護所で発行された処方箋は、原則として救護所内の調剤所で調剤 しますが、薬局で応需する必要がある場合は、災害処方箋の調剤のルー ルを薬局に周知しましょう。 ● 災害時は、平常時以上に医療機関との緊密な連携が必要になる。 ● 地域医療の平常化に向け、院外処方箋発行のタイミング等を災害薬事コーディネーターを中心 に医療機関と協議しながら進める。 Point

(40)

34 ※

1.薬剤師班の編成

(1)東京都薬剤師会による薬剤師班編成

① 薬剤師班は、参加期間 4 泊 5 日(急性期を除く)を原則として編成します。 ② 都内の被害が小さかった地区薬剤師会に対して、薬剤師班の招集を要請します。 ③ 地区薬剤師会からの報告を受け、②のそれぞれの薬剤師班に対して活動地区及 び参集日を指示します。 ④ 原則として、同一地区薬剤師会が同一場所で活動することを原則とします。 ⑤ 救護活動に切れ目がないように、薬剤師班の交代時は、活動場所で引継ぎを行 います。 (様式1-1 活動報告・業務引継書) ⑥ 災害の規模が大きく、都内の薬剤師だけでは対応できないことが予測される場 合は、日本薬剤師会災害対策本部に対して、他県薬からの支援を依頼します。 ⑦ 道府県薬剤師会の支援班が活動する場合、原則として派遣地区を東京都薬剤師 会が指示し、地区薬剤師会の災害薬事コーディネーターが活動場所の指示を行 います。 ⑧ 日本保険薬局協会及び日本チェーンドラックストア協会と情報を共有し、各組 織で編成された薬剤師班が効果的に行動できるよう配慮します。 ⑨ 東京都病院薬剤師会と連携し、病院支援薬剤師班の派遣調整を行います。

(2)地区薬剤師会による薬剤師班編成

① 事前準備として、会員非会員を問わず、地区内に在住・在勤の薬剤師に災害時 活動の登録を要請し、登録者リストを作成しておきます。 ② 発災時に登録者の出動要請をするための担当者を決定しておきます。 ③ 発災時、速やかに事前登録をしてある薬剤師に出動要請を行い、出動可能な薬 剤師名のリストを作成します。 (様式1-2 災害活動薬剤師班名簿) ④ 薬剤師班の自動参集  震度5強以上の場合、地区薬剤師会の役員等(役員、防災委員等)はあら かじめ指定した場所に自動参集します。  震度6弱以上の場合、災害活動薬剤師班登録者はあらかじめ指定された活 動場所(緊急医療救護所等)に自動参集します。

第7章 薬剤師班の活動を支える業務

~薬剤師会の業務~

● 薬剤師班は、東京都及び区市町村との協定に基づき、要請を受けた東京都薬剤師会及び区市町 村薬剤師会が派遣する。 ● 薬剤師班に参加する薬剤師がより円滑に活動することができるよう、薬剤師会の災害時の役割 及び業務を把握する。 Point

参照

関連したドキュメント

全国の緩和ケア病棟は200施設4000床に届こうとしており, がん診療連携拠点病院をはじめ多くの病院での

在宅医療の充実②(24年診療報酬改定)

○防災・減災対策 784,913 千円

第1章 防災体制の確立 第1節 防災体制

東京都環境局では、平成 23 年 3 月の東日本大震災を契機とし、その後平成 24 年 4 月に出された都 の新たな被害想定を踏まえ、

 医療的ケアが必要な子どもやそのきょうだいたちは、いろんな

道路の交通機能は,通行機能とアクセス・滞留機能に

医療保険制度では,医療の提供に関わる保険給