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⑴ 法律援助国連原則・指針においては,その目的のためには,「法律援

助(legal aid)」の語は,被拘禁者,被逮捕者または被収監者,被疑者また

は被告人もしくは刑事犯罪により弾劾されている者のための,および刑事 司法過程における被害者や証人のための,法的な助言,援助および代理を 含み,それらは,十分な資力がない者のため,もしくは司法の利益がそう 要求するときは無償で提供され,さらに「法律援助」は,法律教育,法的 情報へのアクセス,および裁判外紛争解決手続および修復的司法を通して 人に提供されるその他のサービスの概念を含むよう意図されている(序 項)とされている。すなわち,法律援助国連原則・指針においては,「法 律援助(legal aid)」は,法的な助言,援助および代理を含む様々なサービ スという第一の部分と,資力がない場合と,司法の利益が要求する場合の 法律援助の無償の提供という第二の部分からなっていると見ることができ る。

これに対して,法律扶助

EU

指令では,「 条 定義」により「この指 令の目的のためには,『法律扶助(legal aid)』とは,弁護人に対するアク セス権の行使を可能にする,弁護人の援助(assistance)への加盟国による 財政支援(funding)を意味する。」とされている。EU には先行して 年

EU

指令 号(弁護人に対するアクセス権と第三者および領事との連 絡権)があるので,法律扶助

EU

指令では,それを前提として,いわばそ れが定める弁護人アクセス権の行使を可能にする財政支援(funding)が,

資力がない場合について,この法律扶助

EU

指令として採択されたと考え られる。法律援助国連原則・指針に対比すれば,そこでの法律援助のふた つの場合の「無償の提供」という第二の部分が,法律扶助

EU

指令では,

資力がない場合についての「財政支援(funding)」として採択されたもの と見ることができる

⑵ 弁護人アクセス権の行使を可能にする「財政支援」・「法律扶助」の論

議は,その対象たる「弁護人アクセス権」の内容,さらには弁護人アクセ

ス権が援助する「被疑者・被告人・被拘禁者の権利」を前提とするもので

ある。法律扶助

EU

指令においても,「弁護人アクセス権」,「被疑者・被

告人・被拘禁者の権利」を前提にしているものと見ることができる。

法律扶助

EU

指令では, 年

EU

指令 号(弁護人に対するアクセ ス権と第三者および領事との連絡権)が前提とされているが,前示のよう に,さらに具体的に,参考人・証人取り調べ中に被疑者もしくは被告人に なった場合を取り上げ,その者は「EU 法およびヨーロッパ人権条約によ り,自己負罪しない権利および黙秘権を持つことになり,したがって,当 該の者が被疑者もしくは被告人になったことを認識し,かつこの

EU

指令 が保障する権利を十分に行使することができる場合を除き,警察などによ る取調は直ちに中止されなければならない」(法律扶助

EU

指令前文 項)として,自己負罪しない権利および黙秘権を根拠に,取調において弁 護人アクセス権が保障されなければならないことを明らかにしている。法 律扶助の決定が,「不当な遅滞なく,そして少なくとも警察官などによる 取り調べ(questioning),および

EU

指令が言及している捜査または証拠収 集の行為が行われる前に」,行われなければならないとするのも同様の趣 旨である(法律扶助

EU

指令前文 項)。これらは, 年

EU

指令 号(弁護人に対するアクセス権と第三者および領事との連絡権)が根拠と する,ヨーロッパ人権裁判所の 年サルダズ判決から認識されたサル ダズ原則を再確認し,それに依拠するものと解される

法律援助国連原則・指針の基礎には,法律援助は「公正な裁判を受ける 権利を含む他の諸権利を行使する前提」との認識があり(法律援助国連原 則・指針を採択した国連総会決議文,本稿 頁),法律援助国連原則自体 も,「原則 .告知を受ける権利(Right to be informed)」において「 . 国家は,あらゆる質問の前に,かつ自由の剝奪に際しては,人が法律援助 の権利および他の手続的保護およびそれらの権利の任意放棄の可能な結果 について告知されることを確保しなければならない」,と法律援助の権利 のみならず,他の手続的権利の保護を確認している。

さらに法律援助国連原則・指針の,指針 ないし は「被疑者・被告

人・被拘禁者の権利」の保護についてのガイドラインを示している。繰り

返しになるが確認すると,指針 は「被拘禁者,被逮捕者,被疑者または

被告人もしくは刑事犯罪で弾劾されている者のその他の権利」であって,

当局により質問を受ける前に,法律援助提供者の助言を受ける権利につい て告知するための措置( .⒜),弁護人の不在の場合の警察による人のい かなる質問も禁じるための措置( .⒝)が,そして「指針 .公判前段 階における法律援助」においては,「すべての公判前手続き及び聴聞にお いて法的代理を確保する措置」( .⒞)が認められている。これらは,自 己負罪の決定までの弁護人アクセスや,被疑者取り調べにおける弁護人立 会いの必要などを示しているもので,内容的には,法律扶助

EU

指令前文 項,さらには 年

EU

指令 号,と軌を一にするものである。前 示の 年サルダズ判決から生まれたサルダズ原則の内容をなすもの が, 年の法律援助国連原則・指針の段階で,国際的には広く受け入 れられていたことを示すものと思われる

⑶ 「指針 .公判段階における法律援助」においては,法律援助へのア クセスの文脈からも,「被告人が,被告人に対する事件と公判により生じ うる結果について理解することを確保する措置」 ( .⒜)が示されている。

被告人に対する弾劾(charge)の告知が求められているものと解される

。 また,「指針 .公判後段階における法律援助」では,「国家は収監され ている者および自由を剝奪されている子供が法律援助にアクセスすること を確保すべきである」として,それらの者の法律援助にアクセスする権利 が認められている。被告事件についての上訴,再審に止まらず,収容され てからの処遇や措置,早期釈放,懲戒など全般について法律援助へのアク セスを認めるものである

。それらが法律援助国連原則・指針の,「原則 . 法律援助に対する権利」における「刑事司法過程」( .項)の一環をなす ものと解されたものと思われる。なお, 年の国連総会決議において 国連被拘禁者処遇最低基準規則( 年)が改訂され,マンデラルール と呼ばれることになったが,その採択の際にもこの法律援助国連原則・指 針が参照されている

⑷ 法律扶助(法律扶助

EU

指令第 条 項)ないし法律援助(法律援助

国連原則・指針の指針 . 項

g

及び指針 . 項

C)の「無償の提供」

についてみれば,それらが資力がない場合もしくは司法の利益(the intrests

of justice)がそれを要求する時に行われる点は,一見すると,法テラスに

よりそれが行われている我が国の場合と同様のように見える。しかしなが ら,法律扶助

EU

指令においても法律援助国連原則・指針においても,

「法律扶助に対する権利(the right to legal aid)」(法律扶助

EU

指令 条 項),「法律援助に対する権利(Right to legal aid)」(法律援助国連原則・

指針の原則 )と,少なくとも,資力がない場合の権利が明確に確認され ている。法律援助の「無償の提供」を受ける「権利」は,今日では国際的 に広く認められつつあるということになるのでなかろうか。我が国で考え れば,国選弁護を,法にアクセスできる社会を目指す法律上の仕組みと考 えるのみならず,人権としての国選弁護を受ける権利に応える仕組みとし て立法されていると見ることになる。

なお,有益性テスト(merits test)についても,法律扶助

EU

指令 条は,

事件の複雑性と制裁の重大性を挙げ,また「⒜ 被疑者又は被告人が,こ の指令の範囲内における刑事手続きのあらゆる段階で拘禁について決され るために権限ある裁判所または裁判官の前に連れてこられ」たとき,また は「⒝ 拘禁中である」ときは,有益性テスト(merits test)に合致した と見なされるべきとして,被疑者・被告人の側からの見た指標を挙げてい る。

法律扶助(法律扶助

EU

指令)ないし法律援助(法律援助国連原則・指 針)の「無償の提供」については,女性,子供,弱者(vuluunerable)を 始め特別なニーズのある人々を広く捉えたうえで,経済的および社会的に 条件不利な地域に住む人々に対し,そして経済的および社会的に条件不利 なグループのメンバーである人々を含め,特別な措置が取られるべきこと が確認されている

なお,法律扶助(法律扶助

EU

指令)ないし法律援助(法律援助国連原

則・指針)の「無償の提供」については,その提供者の独立性を尊重しつ

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