(略)
③ 船速の影響
波高を5.0m、波長を78.0mとし、船速を変えた場合の船体横揺角
の計算結果は、図2.10-5に示すとおりであった。
波長が78.0mの波を出会角が60°及び70°で受けた場合、減速 することで船体横揺角が小さくなるが、出会角を50°で受けた場合は、
減速すると船体横揺角が大きくなると推測された。
出会角50°
出会角60°
出会角70°
船 体 横 揺 角
(°
)
船速(kn)
図2.10-5 船速を変化させた場合の船体横揺角 (3) 操舵室に設置された傾斜計の指示角
操舵室に設けられた傾斜計の最大傾斜角を記録する針は、約35°を示し ていたが、傾斜計は重心から高い位置にある操舵室に設置されており、横揺 れの加速度により実際の傾斜より大きく指示される傾向にあるので、速力 18.60kn、出会角60°で航行していたとし、波長が50.0m及び 78.0mについて、傾斜計の設置場所で生じる船体横揺に伴う横揺れの加 速度が影響する傾斜計の指示と実際の傾斜との違いを解析した結果は、表 2.10-2に示すとおりであった。
表2.10-2 実際の船体傾斜角と傾斜計が示す船体傾斜角
実際の船体傾斜角(°) 25.0 27.0 28.0 30.0 波長 50.0mの場合の傾斜計が示す船体傾斜角(°) 32.7 35.0 36.2 38.5 波長 78.0mの場合の傾斜計が示す船体傾斜角(°) 32.5 34.9 36.1 38.4 解析結果から、傾斜計の最大傾斜角を記録する針が約35°の傾斜を示し ていたという本事故時の傾斜は、実際には約27°であったものと推測され た。
(4) 操舵に伴う船体傾斜
操舵角4°~6°において、操舵に伴う傾斜角は2°~4°であり、傾斜
方向は舵を取った側と逆方向の外方傾斜であった。なお、操舵に伴う船体傾
斜については、操舵直後には舵を取った側へ傾斜する内方傾斜が発生すると
されているが、計測結果から内方傾斜は判読できなかった。
(5) フィンスタビライザの影響
本船は、本事故発生時、フィンスタビライザを作動させていたが、本事故 時の状況下での効果は限定的と推測される。
(6) 本事故発生時に生じた船体傾斜(まとめ)
船長の口述によれば、本事故発生時、本船は、波高約4~5mで波長が本 船の全長より若干短い波を右舷正横の若干後方から受けて左舷側に傾斜した とのことであった。このため、本事故発生時の状況について、波高5.0m、
波長78.0m、出会角60°~70°と想定し、船速を18.60kn とす れば、波による船体横傾斜角は14.2°~24.3°と推測された。
本事故発生場所付近の風速は、15~17m/s であったので、風による船 体横傾斜角は2.2°~2.8°と推測された。
以上により、本事故発生時、本船は、波及び風により、16 .4°~
27.1°横傾斜したと推測された。
出会角
船首方向 90°
0° 本船
波
60~70°