国立図書館的機能
公共図書館と専門情報機関からは,その活動をバックアップすることの期待が示された。
洋雑誌の収集,古い資料を頼りたい,民間・小規模研究機関への支援,レファレンスの提 供のような具体的な要求だけでなく,「…毎年タイトルを減らしている。そのため国会図書 館への依存度が高くなっていくと思われる」のように漠然とした期待も含まれている。企 業や公共図書館から大学図書館に対するILL の依頼が謝絶されることも国立国会図書館へ の期待が強まる要因の一つである。「大学図書館・専門図書館の資料も広く国民で共有でき るようなシステムを作って欲しい」(都道府県立)というように,公共図書館や専門情報機 関の代弁者として,情報提供を支援する体制づくりが期待されている。
国内有数の収集態勢を背景に,科学技術雑誌の集中所蔵や ILL の中枢を期待する意見も あり,「最後の砦」として何でも揃えていること,という期待がある。
国立医学図書館的機能
(外国)医学雑誌の収集保存を行うことに対する期待が多数の館から示されている。一 方で,「かつて…医学関連雑誌の保存について話し合いの場を持ったが,…貴館に期待する 事はまったく出来ないことが明確になった」や「医学関係の雑誌について国立国会図書館 のサービスは現在何もみえてこない」のように,現在のサービス内容・協力関係の薄さに 対して強い不満を表明する例がある。それら全てが,国内における医学雑誌の収集保存に ついての深い危機感を示しており,この問題において国立国会図書館がどのような役割を 果たそうとしているかを注目している。
電子ジャーナルの提供
電子ジャーナルのリモート利用,一般市民への提供のように国立国会図書館が利用者に 対して行うサービスとしての期待と,ナショナルサイトライセンスの提供のように,自館 が提供するための支援を期待する意見の両方がある。支援という点からはコンソーシアム の形成,アーカイビング,バックファイルの提供という意見も寄せられた。
他機関との連携
「とにかく,国立情報学研究所との連携を深めていただきたい」という表現に代表され る,他館との連携を深めて欲しいとする意見である。より具体的には分担収集の推進であ ったり,国立情報学研究所による各種サービスから国立国会図書館が利用できないことへ の不満である。
その他
これまでのまとまりに分類できなかったものとして,図書館の財政問題の議論,価格高
騰問題への国家的対応,著作物の電子化にかかわる法整備のように図書館の代弁者として 国政への働きかけを期待する意見がある。また,国内学術雑誌の翻訳出版支援や機関レポ ジトリの集約的提供,NII,JST,NDLにおける様々な事業のプラットフォームを一本化す る,電子ジャーナルの検索インターフェースの統一・横断検索などの意見があった。
2.9.3 国立国会図書館の業務に対する意見
以下の各項目は国立国会図書館に期待する役割ではなく,現在遂行している各種業務に 対する,具体的な改善要求に分類できるものである。
・蔵書検索結果の電子的利用の要件緩和
・速やかな対応
・文献複写に時間がかかる
・書籍貸出の手続きが煩雑
・日曜休館が利用機会を減らしている
・雑誌記事索引の採録誌増加
・不要資料の交換仲介の場の設定
・遡及的な著作権の承諾が困難なためWARPへの協力が困難
・NDL-OPACにおけるWebcatとの連結表示
・NIIの相殺サービスへの参加
・NACSIS-ILLへのデータベースレベルの参加,Webcatへの参加
・雑誌記事索引・医中誌Web・Webcatの目録の取り方の統一
・雑誌記事索引DVD版において電子情報通信学会技術報告の誌名表記に部門名を含めて 欲しい
・雑誌の契約にまつわるFAQの整備
・会議録やテクニカルレポート等でOPACで検索できないものが多い
・会議録の受入が遅い
・受入が遅い
・科学技術関係欧文会議目録の再提供
・ホームページをシンプルにして欲しい
・電子ジャーナルとしての提供タイトルも郵送複写の対象に
・ILLの梱包が過剰で余分な郵送コストがかかっている
・公費での支払いが不便