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コンソーシアムに対する評価

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3.  電子ジャーナル・コンソーシアムの現状  3.1 はじめに

3.5 コンソーシアムに対する評価

3.2において述べたように,コンソーシアムによる電子ジャーナル契約交渉の目的は,冊 子も含む雑誌の価格高騰問題への対処にあった。学術雑誌出版は完全に出版社主導で行わ れており,今日に至るまで驚くべきスピードで学術雑誌の価格は上昇し続けている。コン

ソーシアムはその動きに歯止めをかけるべく図書館側が一丸となって交渉するという構図 に基づいて形成されたものである。価格高騰に対する危機感は以前から認識されていたが,

コンソーシアム設立当時,その意識がピークに達したということであろう。

しかし,実際には価格高騰を食い止めるまでには至っておらず,インタビューでは,彼 らもそのことを意識している様子がうかがえた。そのことは, 結果的に価格上昇を食い止 められていないのは残念なことであるが であるとか, 価格上昇には,いろいろ問題があ る [電子ジャーナル・タスクフォース・主査]といった発言から読み取ることができる。

彼らが共通に感じているのは,現状の学術情報流通制度の下で価格上昇を食い止めるこ との難しさである。 ページ数の大幅増加や内容充実を伴わない単なる値上げにはついてい けない [電子ジャーナル・タスクフォース・主査]という意識に基づいて,それに歯止め をかけるべく形成されたコンソーシアムであるが,現状では,価格高騰はとどまるところ を知らず,印刷版・電子版の両方の形態を持つ学術雑誌については,印刷版のほうを切ら ざるを得ない状態になりつつある。すなわち,価格高騰への対処という当初の目的に基づ いて評価した場合には必ずしも成功しているとは言えないということである。

しかし同時に,この価格高騰について, SPARC など新しい動きによっても,これを止 めることは不可能ではないか [電子ジャーナル・タスクフォース・主査]という意見も表 明されている。SPARCはコンソーシアムの活動と連動して始まった活動であり,新たな学 術情報流通を変化させるものとして期待されている。そのことは十分認識したうえで,そ れでもなお,価格高騰問題は解決されないのではないか,という危機感があるということ だろう。言い換えれば,既存の学術情報流通制度の抱える問題は予想以上に根が深い,と いうことに気づいているということである。それはすなわち,コンソーシアムに価格高騰 に対する抑制という目的を持たせようとしたこと自体に無理があった,ということをコン ソーシアムの活動を通じて気づいたということがいえるのではないだろうか。

価格高騰を食い止める手段として有効であったのはむしろ,電子ジャーナルの契約をき るという実力行使である。例えば,医図協のコンソーシアムに参加しているある大学では,

資料購入の予算が削減されたことを受けて,エルゼビア・サイエンス社の雑誌を 1,000 万 円分カットしたそうだ。すなわち,コンソーシアムにおいて一定の価格を設定した上で,

各大学が契約を行う際に予算に応じて契約を解消するという形になる。アメリカでも例え ばコーネル大学などが行っている方法であり,契約する側が意識的に実行していけば,価 格高騰に歯止めをかける有効な手段になりうるのではないか,という手ごたえのようなも のも表明されている。

 電子ジャーナルと価格高騰問題の関係については,現在の価格モデルは図書館の支出額 抑制に対する回答にはなり得ていないが,パッケージ契約による利用可能タイトルの増加 によってサービス向上の効果は現れてきている。さらに,今回の調査で明らかになったの は,コンソーシアム形成が価格問題とは別のところで効果をあげているということであっ た。それは例えば,次の言及に顕著に現れている。

 

 コンソーシアムには,値引き交渉や契約業務の代行というよりは,大学図書館とし て学術情報のあり方を社会に提示する役割と使命があるのだと思う。[電子ジャーナ ル・タスクフォース・主査]

エルゼビアとの交渉によって多くのことを学んだ。ローリングの問題,価格のキャ ップ制といった今ではあたりまえのテーマも当時は明確に意識されていなかった。 

これら要求項目のリストアップができただけでもコンソーシアムの効果だといえるの ではないか。また,お金の話以外の重要な問題も認識できるようになった。例えば,

統計のことやアーカイブについても少しずつ成果が得られている。実際,アーカイブ を国立情報学研究所におくことになった。これはつまり,単なる契約交渉だけではな く,それをとりまく周辺状況をも整備したということだ。[電子ジャーナル・タスクフ ォース・主査]

 これらの発言から言えるのは,電子ジャーナルの提供を媒介として,周辺状況を含めた グループの強化または再構成が効果として意識されているということである。むろん,国 大図協,医図協,薬図協というそれぞれのグループは,以前から存在しているものである が,それらのグループが電子ジャーナル導入という作業をとおして強化されている,もし くは再構成されている,と見ることができるのではないか。そして,その再構成に関わる 諸々の活動を評価するからこそ,上記のような発言が出てくると考えられる。

コンソーシアムを通じた活動は個々の図書館の活動にも及んでいる。それは例えば,次 の言及に見ることができる。

購入タイトルを決める権限が,図書館ではなく学部や学科の教官にあるところが多 いが,コンソーシアムができたことによって,タイトルの選択は大学の知的インフラ の整備という大きな目で見る必要があるという認識が芽生え,決定権はインフラ整備 を担う図書館が持つべきであるという動きが全国で進んでいる。[電子ジャーナル・タ スクフォース・主査]

  3.3において述べたように,電子ジャーナル導入のために,学内での予算獲得や利用者で ある教員に対する説明を行うという各図書館の努力が,図書館の学内での役割を変化させ ることにもつながっているのである。

 ただし,コンソーシアムに参加している個々の大学のレベルで,どの程度コンソーシア ムに対する帰属意識があるのかということは,また別の問題である。人的貢献をしている ところとそうでないところとの間には,かなりの意識の違いがあるようである。コンソー シアムの活動を高く評価する声が聞こえる一方で,新しいシステムに便乗しているだけ,

というような消極的な意識の参加館があることもまた確かである。

3.6 今後の発展可能性

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