第4章 分野別振興開発事業計画
9 自然環境の保全及び再生並びに公害の防止
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小笠原諸島は、平成 23 年6月に世界自然遺産に登録される前から、豊かで貴重な 自然環境の保全のため、行政機関・関係団体等による自主ルールの運用や、南島及び 母島石門一帯における東京都版エコツーリズムの実施等により、自然環境の適正な利 用と保護の取組を推進している。
また、国や都、小笠原村、NPO、関係団体、住民等の総力を挙げて、外来種対策 や植生回復事業など、自然環境の保全・再生事業の取組を行った結果、平成 26 年 5 月には、媒島において戦後初めてアホウドリの可能性の高いヒナを確認するなど、一 定の成果も見られている。
一方で、平成 25 年3月には、父島・母島でしか生息が確認されていなかった特定 外来生物であるグリーンアノールが兄島で発見され、行政機関や関係団体の強力な連 携により緊急対策を実施している。
○ 兄島へのグリーンアノールの侵入をはじめ、自然環境保全上の重要地域に、新たな 外来生物が侵入・拡散するリスクが依然として高い。小笠原諸島の自然的価値を損な う最大の脅威は外来生物であり、継続的な外来種対策が必要である。
○ 外来種対策の継続は、世界遺産委員会からの要請事項であり、既に侵入している外 来生物と在来生物が複雑な相互関係を形成している。このため、外来種対策に伴う生 態系の変化などを推定しながら、継続的・順応的な生態系保全管理と計画的な取組が 必要となっている。
○ 自然保護地域と集落地域が重なり合う父島・母島では、住民生活と自然環境は密接 な関係にあり、人と自然環境の共生が求められている。
○ 小笠原諸島の優れた自然景観及び世界的にも貴重な自然環境、海洋島の特異な生態 系を守るため、生息・生育する固有動植物の保全や植生回復等に取り組むほか、絶滅 のおそれのある野生動植物の保護増殖事業を行う。 【都】
○ 唯一父島に生残するノヤギの排除は、外来植物の増加抑制への対策を講じながら、
着実に実施していく。
また、グリーンアノール対策については、環境省、林野庁、都、小笠原村など関係 機関と調整し、適切な役割分担のもと、効率的に進めていく。 【都・村】
○ 自然環境を保全するための外来種対策等について、行政機関、NPO、住民等と連 携・協力を強化し、引き続き各種事業を実施する。
また、外来種の侵入・拡散を防ぐため、保全管理に関する普及啓発や学習機会を提 供するなど環境教育の充実を図り、住民や来島者の自然保護の意識を高める。【都・村】
○ 自然環境の保全と利用との両立を図るため、住民や来島者などに対する利用マナー の普及啓発に取り組むとともに、ルールに基づく利用の徹底や自然ガイドの養成、自 然環境のモニタリング等に引き続き取り組む。 【都・村】
具体的な取組 H26 H27 H28 H29 H30 固有動植物の保全・再生
外来種対策等
利用マナーの普及啓発
継続 継続
継続
外来種対策の取組による生態系の変化を捉え、順応的に事業を進める必要があ る。例えば、野ネコはアカガシラカラスバト(以下「ハト」という。)などの鳥類 やクマネズミなどネズミ類(以下「ネズミ」という。)を食べている。野ネコの排除 が進むとハトの生息状況が改善するが、ネズミも増える。ハトとネズミは植物の種 子を巡り競合関係にあり、ネズミはハトの卵やヒナを食べる捕食者でもある。
コラム:外来生物と在来生物との複雑な相互関係
~野ネコ・ネズミ・ハトの食物連鎖~
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小笠原諸島は、優れた自然の景観と特異な生態系を持ち、集落地域、農業地域以外の大 部分が自然公園区域に指定されている。自然公園とは、優れた自然の風景地を保護すると ともに、その利用の増進を図り、国民の保健、休養、教化に資するとともに、生物の多様 性の確保に寄することを目的とする制度で、小笠原国立公園は昭和47年に指定された。
小笠原国立公園においては、小笠原国立公園計画に基づき、次の2点に重点を置き整備 を進めている。
① 小笠原諸島の優れた自然景観を保全し、固有動植物の保全を図るなど、自然の保 護及び適正な利用の両立を図る。
② 老朽化した施設の適正な更新を行うことで、観光客を含めた利便性の向上及び安 全の確保を図る。
それらにより、世界自然遺産登録やエコツーリズムの推進により増加する観光客に配慮 した施設設置等を実施した。
○ 整備に当たっては、自然の保護と適正な利用の推進の観点から、国や村など関係機 関と連携を図っていく必要がある。
○ 公園施設の整備・更新について、「小笠原(父島・母島)における景観に配慮した公共 施設整備指針」(平成20年7月都市整備局)に基づき引き続き実施する必要がある。
○ 自然公園の整備に当たっては、適正利用の推進と保護との両立を図る観点から、各 団体等と意見交換会を通じて情報提供・調整を図りながら進めていく。 【都】
○ 「小笠原(父島・母島)における景観に配慮した公共施設整備指針」に基づき、Ⅰ.
自然環境と共生した景観づくり、Ⅱ.眺望に対応した景観づくり、Ⅲ.小笠原の振興 に資する景観づくり、Ⅳ.小笠原の穏やかな時の流れを感じる景観づくり、を基本方 針とした整備を今後も引き続き進めていく。 【都】
具体的な取組 H26 H27 H28 H29 H30 自然公園の整備
9 自然環境の保全及び再生並びに公害の防止 (2)自然公園
継続
現状と課題
今後5年間の取組
整備に当たっては、住民の憩いの広場として、更には観光客の利用拠点としての場を 提供していくよう、自然公園との連携を図りながら進めてきている。
大神山公園においては、来園者に対する小笠原諸島の自然アプローチとしての亜熱帯 景観や住民の日常的な散策の場を提供するととともに、自然公園と同様に、世界自然遺 産登録やエコツーリズムの推進により増加する観光客へ配慮して整備を進めてきている。
○ 整備に当たっては、外来種対策を実施するとともに、景観に配慮する必要がある。
○ 外来種の駆除を効果的に行うなど、生態系の維持に配慮しながら小笠原諸島固有の植 物が生育できる環境づくりを目指し、各団体と意見交換会を行い情報提供・調整を図り ながら整備を進める。
また、「小笠原(父島・母島)における景観に配慮した公共施設整備指針」に基づき、
引き続き事業を実施していく。 【都】
具体的な取組 H26 H27 H28 H29 H30 都市公園の整備
(3)都市公園
継続
現状と課題
今後5年間の取組
大神山公園:大神山地区 大神山公園:大村中央地区
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海岸における良好な景観及び環境を保全するため、都では、海岸漂着物対策の必要 な島しょ地域を対象に、海岸漂着物処理推進法に基づく地域計画を作成しており、小 笠原諸島における海岸漂着物対策推進計画が平成25年7月に策定されている。
また、海岸漂着物については、海岸管理者及び住民のボランティアが中心となって 回収活動を行い、海岸管理者及び小笠原村が協力して処理を行っている。
小笠原諸島における海岸漂着物対策推進計画の概要
○ 海岸漂着物の回収活動を行っている住民等の活動が継続的に実施されるよう支援を 行っていくことが必要である。
また、普及啓発などの長期的な取組や、効果的なモニタリング手法の確立が必要で ある。
○ 海岸漂着物の処理については、補助金が時限で措置されており、適正な処理を継続 するに当たり、今後の財源確保が課題である。
○ 小笠原諸島における海岸漂着物対策推進計画に基づき、関係者間の連携により事業 を実施していくとともに、おおむね3年程度の実績を踏まえ、社会環境の変化に対応 した計画内容の見直し等を行っていく。 【都・村】
○ 海岸漂着物への対策は、関係する主体が役割分担の下相互に協力し、継続的に適正 な処理を実施するため、関係機関と調整していく。 【都】
H26 H27 H28 H29 H30 海岸漂着物への対策
9 自然環境の保全及び再生並びに公害の防止
(4)海岸漂着物対策
継続
(1) 対象を重点的に推進する海岸(重点区域海岸)の40海岸を設定
(2) 海岸漂着物対策の方向性
母島南京浜
現状と課題
今後5年間の取組
小笠原諸島における公共事業が自然環境や景観などへ与える影響を極力低減すること を目的に、都では「小笠原諸島の公共事業における環境配慮指針」等を定めている。
また、環境関連法をはじめ、環境確保条例に基づく規制指導が実施されており、小笠 原諸島の環境が良好に保たれている。
なお、小笠原海上保安署では、「小笠原管内排出油等防除協議会」が設置されており、
小笠原諸島周辺海域において、油等の排出に対する防除活動を実施する体制が整備され るなど、小笠原諸島の自然環境の保全に向けた取組が実施されている。
○ 世界自然遺産登録後、観光客の増加等に伴う事業活動の活発化により、環境負荷の 増加が懸念される。
○ 小笠原諸島の生活環境及び自然環境を維持するため、引き続き、環境関連法及び環 境確保条例に基づく規制指導を実施するとともに、今後、環境負荷の増加により、生 活環境及び自然環境に悪影響を及ぼすおそれがある場合は、適切な対応策を講じる。
【都】
具体的な取組 H26 H27 H28 H29 H30 法令・条例に基づく規制指導
(5)公害の防止
継続