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3. 参考資料 既往研究・文献の整理

3.2. 自治体財政分析

今回、「生涯活躍のまち」の構成要素に関連する分野の施策を講じることによる自 治体財政への影響について分析している既往研究を収集・整理した。その結果、自治 体財政への影響分析の前提条件設定の考え方や推計に活用している元データについて、

以下の点が明らかになった。

前提条件設定の考え方

前提条件については、ヒアリングや関連する統計から取得可能なデータを考慮して、

データの類型に合わせて分析対象のケース設定を行うことが多い。

自治体財政影響項目の対象については、プラス面では住民税・固定資産税・都市計 画税を対象とした税収、マイナス面では医療費・介護費を扱ったものが多い。一部の 研究では、プラス面で社会保険料や地方税基準財政需要額、マイナス面でごみ処理費 などを扱った研究が存在する。

活用しているデータ

ほとんどの研究において、国が実施している統計調査を活用している。特に家計の 消費について多数のサンプルを扱っている「全国消費実態調査」や調査時点がきめ細 かい「家計調査」を活用している研究が群を抜いて多い。

このほか世帯類型については「国勢調査」、医療費については「医療給付実態調査」、

介護費については「介護給付費等実態調査」などを用いるケースが多い。

観光については、アンケート調査などを通じて、独自データを収集するケースも見 られる。

経済波及効果分析に関する既往研究に見られる傾向

財政影響項目 前提条件設定の考え方 活用しているデータ 住まい <プラス>

・住民税

・固定資産税

・都市計画税

<マイナス>

・医療費負担額

・高齢者向けの住まいのニーズ 予測と建設投資や雇用拡大に 伴う税収増加の分析を行った 研究がある。

・建設投資額の設定は、地域内 の実際の供給事例の額を使 い、高齢者の消費活動につい ては高齢単身無職世帯の消費 支出を用いている。

○家計調査

○医療給付実態調査

○同一地域内の供給事 例 など

アクティ ビティ

<プラス>

・市民税(個人)

・固定資産税

<マイナス>

・ごみ処理費

・観光関連への 公費支出

・観光客の来訪や回遊による効 果・影響を、税収増加という 観点とごみ処理費・観光関連 の公費支出という両面から分 析している。

○観光客数データ

○アンケート調査を通 じた観光客の消費単価

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財政影響項目 前提条件設定の考え方 活用しているデータ ケア <プラス>

・市民税(個人・

法人)

・固定資産税

・都市計画税

・社会保険料

<マイナス>

・医療費

・介護費

・国民健康保険歳出や要介護発 現率の抑制から、自治体財政 への寄与度を算出している。

○医療給付実態調査

○介護給付費等実態調 査

移住促進 <プラス>

・住民税

・固定資産税

・都市計画税

・社会保険料

・地方交付税基 準財政需要額

<マイナス>

・医療費

・介護費

・ごみ処理費

・大半の既往研究が、移住する 世帯の規模や世帯構成・住居 購入の有無などを、現実的な 可能性を勘案しつつ、仮定で 設定している。

・設定した前提条件については、

ヒアリングや関連する統計を 検証して1つのケースを設定 しているもの、考えられるケ ースを複数設定して推計を行 い、後から絞り込むものなど がある。

○家計調査

○医療給付実態調査

○介護給付費等実態調 査

○移住意向に関するア ンケート調査 など

既存研究・文献で取り扱っている自治体財政分析の整理

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参考 No. カテゴリ タイトル 実施主体 分析対象 財政影響項目 前提条件 前提条件設定の考え方 計算方法 出所(URL等)

1 住まい

高齢者向け住まいのニーズ予測 と供給効果に関する調査研究

(2014年)

株式会社 市 浦ハウジング

&プランニング

・大阪府下の市町(モデル都市)が対象

・サービス付き高齢者向け住宅の建設と住み替えに伴 う高齢者の増加による、地方財政の税収増加の試算。

(1)雇用拡大による税収増加

(2)建設による固定資産税等の増加

【プラス要素】

・市町村民税

・固定資産税

・都市計画税

【マイナス要素】

・転出超過・転入超過分の医療費負担額(市町負担額)

各モデル都市において、目標年(2020 年)まで過 去の供給実績通りに高齢者向け住宅が供給された 場合

過去の供給実績(2011年~2014年) をもとに、近 似直線を用いて目標年(2020年)における高齢 者向け住宅の将来供給戸数を推計

・既往調査や「2011年介護事業経営実態調査」を元に、地域別のサービス付き高齢者 向け住宅1棟での常勤給与総額を推計、給与に係る市町村民税のシミュレーションを実 施。

・サービス付き高齢者向け住宅の建設(1戸あたり延床面積、建築費延床単価を府内供 給事例より推計)による固定資産税を推計。

・転入・転出者分の医療費負担額 =1人当たり医療給付費(年齢別)×転出入者数(年 齢別)×地方(市町)負担割合

http://www.ichiura.co.jp/upload/project/4-8-5koreiniizuyosoku.pdf

2 アクティビティ

観光客がもたらす経済効果調査(観 光客と市民との共生を目指して~観 光客がもたらす経済効果調査~)

(2013年)

鎌倉市

「観光客が鎌倉に来訪する」ことによる効果・影響につ いて、便益帰着構成表という概念を用いて、市民、交 通事業者、観光事業者、非観光事業者、行政等の主 体毎にメリット・デメリットを整理。

※便益帰着構成表は土木工学の分野で登場した概念 で交通インフラの整備や首都機能移転などでの利用 例は見られるが、観光の側面で利用された例はあまり 見られず、新しい試みと言える。

【プラス要素】

・個人市民税

(観光客来訪による雇用者所得(二次波及による雇用者所得増 分も含む)から計算された市民税収入)

・固定資産税

(観光振興による地価・地代の上昇により、固定資産税を収受す る行政にとってはプラス)

【マイナス要素】

・ごみ処理費

・観光関連の公費支出

「観光客実数の推計結果」やアンケート調査から明 らかになった「観光客の消費単価」を基に推計。 記載なし

・個人市民税:雇用者所得増加額×所得に対する市税の割合。

・固定資産税:定性的な効果や影響について、具体的事例の収集や関連データを整理。

・ごみ処理費(市で回収する拠点ゴミ箱の処理費用):2011年観光拠点(鎌倉駅東口・西 口、北鎌倉駅東側・西側、大船駅東口・西口、由比ガ浜海岸石碑広場の7箇所)のゴミ 処理量×1t当たりゴミ処理費用(新聞等、カン・ビン、ペットボトル、燃やすごみ)。

・観光関連の公費支出:2012年度決算資料より、観光総務費+観光振興費+海水浴場

https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/se

isaku-souzou/documents/06_25nendo_kamakur asousoujyuku_kenkyukekkahoukokusyo_2 -2kankoukyaku.pdf

3 ケア

健康増進事業の社会的効果と経済 的効果~福島県西会津町の事例か ら~

(2007年)

ニッセイ基礎 研究所 岸田 宏司

福島県西会津町の健康増進事業の取り組みによる国 民健康保険歳出と要介護発現率の抑制効果から経済 効果を算定。

【プラス要素】

・国民健康保険歳出の抑制

・要介護発現率に基づく介護保険歳出の抑制

・健康増進施策の実施前と実施後のトレンドを比較

して、その差額を推計 記載なし 1989年~94年までの歳出額(施策実施前)のトレンドと1993~98年までの歳出額(施策 実施後)のトレンドを比較。

http://www.nli-research.co.jp/files/topics/35421_ext_18_

0.pdf

4 ケア

福祉サービスとしての徳島県上勝町 のいうどり事業のイノベーション普及 分析

(2009年)

摂南大学

徳島県上勝町いろどり事業(料理のつまものとする葉 などを出荷する「葉っぱビジネス」)を、高齢者の自立に よる新しい福祉サービスの提供の事例として検証。

【プラス要素】

・医療費

(高齢者が生産労慟へ復帰することにより、2006年度には高齢 者医療費は1人あたり県内で最低となった)

・市民税

(いろどりに参加する高齢者には年間1000万以上売り上げる人 もおり、年金需給から逆に納税者となっている。高齢者の割合が 大きいにも関わらず、市民税の納付割合は徳島県でトップであ る。)

・高齢者の女性でも使いやすいICTシステムを導入

・防災無線を使ったFAXによる「葉っぱ」の注文を取 る仕組みを構築して防災FAXによる受注を拡大し、

1999年度から通産省(現:経済産業省)から総額1 億6000万円の補助事業を受け、シス テム構 築を 行った。

・町内には光ファイバーによる超高速ブロードバンド 環境が整備されており、農家はPCを駆使して注文 を受注している。(総務省サイトより)

記載なし

2004年の上勝町の高齢化率は75歳以上が1位、65歳及び60歳以上が3位。1人あたり の医療費は約26万円で50市町村中32位。医療費が最も多かった一字村では約46万円 でその差は20万円であった。上勝町の人口が当時65歳以上が約1200人( ちなみに60 歳以上1171人、65歳以上984人、75歳以上528人) であり、差は約2億4千万の医療費 節約になる。

http://ci.nii.ac.jp/els/110007539894.pdf?id=

ART0009374916&type=pdf&lang=jp&host

=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=

&no=1478072358&cp=

5 ケア

神戸医療クラスターの経済的インパ クト~経済効果推計~

(2012年)

加藤恵三 神戸医療産業都市による経済波及効果、税収効果を 試算。

【プラス要素】

・固定資産税

・都市計画税

・市民税(個人・法人)

・事業所税

記載なし 記載なし

・固定資産税、・都市計画税

 対象施設の用途及び面積を基に積み上げ。

・市民税(個人・法人)

 市内総生産と市民税収額の比率により推計。

・事業所税

 市民税額 と事業所税額の比率により推計。

http://www.city.kobe.lg.jp/information/pres s/2012/06/img/20120614041701-1.pdf

6 移住促進

長崎県への「 団塊世代移住政策」の 意義について

(2007年)

財団法人なが さ き 地 域 政策 研究所

「65歳未満の夫婦世帯」「65~69歳の夫婦世帯」「70 歳以上の夫婦世帯」のモデルについて、1世帯あたり の移住による市町村財政への影響度を算出。

【プラス要素】

・住民税

・固定資産税

・都市計画税

・地方交付税基準財政需要額

【マイナス要素】

・国民健康保険にかかる自治体負担介護保険にかかる自治体 負担

・移住者の50%が新築の住宅またはマンションを購 入すると仮定

・基準財政需要額の増加が、新たな地方交付税の 増加をもたらすと仮定

記載なし

「70歳以上の夫婦世帯」については、年間介護費の違いに基づいて、70~74歳・75~

79歳・80~84歳・85歳以上の5歳刻みでさらに1世帯あたりの移住による市町村財政へ の影響度を算出。

本人より文献を受領

7 移住促進

山梨市定住促進事業に係る経済波 及効果試算結果

(2007年)

(財) 山梨総合 研究所

山梨市定住促進事業に係る、二地域居住や移住に伴 う経済波及効果及び行政負担を算出。

【プラス要素】

・市県民税

・固定資産税

・介護保険料

【マイナス要素】

・国民健康保険特会への繰出金

・介護保険給付費

・ゴミ処理費

・1年間に20帯、5年間で100世帯の移住を想定 し、世帯構成・住居購入の有無・居住地について、

現実的な可能性を勘案し、A~Lまでの12パターン を設定

・消費額は、総務省統計局「家計調査」 により、1世 帯当たり年平均1か月間の支出を求め、それに設 定された世帯数を乗じて、産業連関表の32分類に 振り分け

記載なし

①収入市県民税は、B、Dパターンで、293,100円を想定。固定資産税について、A、B、

Eパターンで124,300円、C、Dパターンで127,500円を想定。G、H、Kパ タ ーン で 100,300円を、Iパターンで100,500円、Jパターンで110,000円を想定。介護保険料に ついては、40歳~64歳は一人当たり46,233円、65歳以上は一人当たり36,461円を 想定。

②支出国保特会への繰出金は、一般会計繰入金を保険者数で除して、一人当たり 14,600円を想定。介護保険給付費は、保険給付費(9割分)のうち12.5%( 市負担分)

を年度末要介護認定者数で割り、一人当たり給付費を算出し、それに実利用者の割合 をかけてリスク補正して、40歳~64歳は一人当たり551円、65歳~74歳は一人当た りゴミ処理費は、一人当たり7,295円を想定。5,632円、75歳以上は一人当たり38,558 円を想定。

http://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/g over/grapple/bank/house/files/hakyukokas hisankekka.pdf

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