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8 業界における自律船関連プロジェクト

8.6 JSMEA ・ ClassNK

ータモデル、データ交換及び「スマートシップ」コンセプトの開発に向けて必要とされる 標準規格を調査検討するものである。SSAP は様々なソースからの情報の統合を可能にし、

プロトタイプシステムを構築・試験するための船内及び船陸間の情報インフラに焦点を当 てた。

SSAPには27社のパートナーと9社・団体のオブザーバーが参加し、2012年12月から2015 年3月に様々な項目を実施した。4つの主要実施項目は、1)マスターデータベース仕様要 件とインターフェース仕様要件の開発、2)マスターデータベースの試作と陸上、船上試験、

3)船陸間通信システム仕様の開発、4)他の国際規格に準拠した標準化と、ISO への標準 規格提案策定であった。

マスターデータベースの実船試験は総トン数11,400トンのフェリー「さんふらわあ しれ

とこ」と5,500dwtタンカー「新旭東丸」で実施された。

8.7 現代重工業 —「コネクティド・スマートシップ」

大手造船事業者は選択的な協業を通して、造船所がデジタル技術を取り込み、運航効率や 船舶/フリート管理を向上させる設計を船主に提供することが競争力強化につながると認識 しはじめている。

これを目的として、現代重工業(HHI)は「コネクティド・スマートシップ」の設計で米国 ベースのコンサルティング会社であるアクセンチュアと協力している。そのコンセプトは 広い範囲の船種を横断して応用することができる。

コネクティド・スマートシップでは現代重工業の船載プラットフォームを通して展開され るIoTと陸側から制御されるAccentuate Connected Platforms as a Service(CPaaS)の両方が使 用される。スマートシップは現代重工の造船、設計、製造に関する経験とアクセンチュア のデジタルテクノロジーや実行デジタルプロセスのノウハウを融合させて開発される。

「スマートシップ」は幅広いセンサーを組み込み、位置、海流データ、船体ストレス(hull

stress)及び動揺、機械装置作動及び状態、貨物状況を含む一連の船舶情報や航海情報を取り

込む。データはHHIの船載プラットフォームから衛星を介してアクセンチュア社のCPaaS に基づく陸側監視制御センターに送られる。

CPaaS は航海追跡、遠隔機関監視、船舶情報、港湾との同期化された情報を含む「基本」

サービス、また最適航海ガイダンス、状態ベースの保守、予期的船舶診断、燃費分析を含 む「上級」サービスの両方をカバーする。

リアルタイムのアナリティクスと過去のフリートデータを用い、データを「見える化」す ることにより知見が船主に提示され、船主は船舶の動静と状態を監視し、リアルタイムの データ駆動型の意思決定をすることができる。ネットワークはリアルタイムの警報・警告 を提供し、予期保守やより効果的な船舶運航及び運航計画を支援する。

この共同プロジェクトは重工業製品のモノづくり企業(HHI)がデジタル技術とデータアナ リティクスを活用することにより、ビジネスモデルをいかに柔軟に改変し得たかを示す例 である。ビッグデータと IoT を利用することにより顧客にとっての価値を創出すことがで きる。HHI はモノづくりベースの組織からサービスベースの組織へと移行することにより ビジネスを拡大する長期的戦略計画をたてている。リアルタイムでデータを収集し、船舶、

港湾、貨物、陸上ロジスティクスを通じてデータ交換することにより、HHI は船舶のライ フサイクルを通じて顧客に追加的サービスと収入の流れをつくりだすことができると信じ ている。

8.8 UK MARINE INDUSTRIES ALLIANCE —自律艇規則

自律・無人化船舶はすでに石油ガス産業においてサブシーポジショニング、測量、環境監 視、海洋学データ収集の目的で使用されている。防衛部門では射撃訓練や機雷除去のよう な任務に使用されている。自律/無人化船の数もサイズも小さいが、技術的には進歩してお

り、SOLAS適用船のサイズにスケールアップすることが可能である。

これまでの舶用自律システム(MAS)船の運用実績により実用上、経済上、科学上、防衛上 大きな利益があることがわかってきた。UK Marine Industries Allianceは世界のすべての海 事ゾーンにおける舶用自律システムの運用に関する問題を洗い出す目的で MAS 規制作業 部会を組織した。同作業部会は UK やその他の国により、また海事規制の責任を持つ国際 機関によりも採用されうる規制の枠組を策定する。

8.9 英・仏無人艦船プロジェクト

UK企業であるPortchester(Portsmouth)のAutonomous Services Vehicles(ASV)Ltd.は一連の 小型無人艇(USV)を軍用及び商用に開発した。既存の試作艇の1つはC-Sweep設計として 知られており、無人で長耐航性の機雷除去ミッションを行う能力がある。

2015年9月にASV Ltdは英国とフランスの防衛省向けに初めての実用可能な無人対機雷シ

ステムを開発、供給する契約を受注した。これはASV Halcyon多機能無人艇に基づくもの

となる。Halcyon/C-Sweepコンセプトは2014年に英国防衛省により実証された。

UKとフランス主管庁は自律船を技術開発の主要分野と考えている。新プロジェクトでASV

Ltd.はThales-BAE産業コンソーシアムの一部として参加している。計画されている新しい

無人対機雷船及びシステムは2017年に建造段階に達する見込みである。