3.3 評価
3.3.1 自動配置機能の有効性
従来の手作業による配置と,Relis-G を用いた場合の配置におけるユーザに生じ るコスト,特に配置に要する時間を比較する.また,デバッグなどの頻繁なライブ ラリ更新を必要とする場合を考慮し,同一環境に対して複数回配置作業を行う場合 のコストも比較する.配置時間は,コマンド入力等のユーザのキーボード入力に要 する時間(以下,キーボード入力時間)と,指示された計算処理の実行するのに要 する時間(計算機処理時間)の和として算出された.キーボード入力時間は以下の 前提に基づき算出された.
• 1文字あたりの入力時間は1秒
• 入力ミスの頻度は30字に1回
3.3 評価 27
表 3: 適用実験環境における従来手法の配置時間 正しく入力すべき文字数 2741
ミス修正文字数 182 総入力文字数 2923 キーボード入力時間 48分43秒
総入力コマンド数 121 計算機処理時間 1分22秒
配置時間 50分5秒
計算機処理時間は,gettimeofday関数を用いて測定した各コマンドに要する時間の 和として算出された.
手作業の配置作業では,ssh,scp 等の遠隔操作コマンドを用いて全サーバに対して 逐次的に配置作業を行うものとした.
Relis-G の配置作業では,サイト1のサーバ4台とサイト2のサーバ4台のホス
ト名が連番であったため,インストール環境定義ファイルにおいて正規表現による 略記(3.2.1節を参照)により,8ホスト分(48行)の設定記述のコストを省くこと ができた.本実験で用いたインストール環境定義ファイルとインストールワークフ ロー定義ファイルは,それぞれ図5(全50行)および図6(全24行)にあげたもの である.
配置時間の内訳
表3に従来手法における適用実験環境のサーバ群に対する配置時間とその内訳を 示す.また,表4に同環境のRelis-Gにおける配置時間とその内訳を示す.
表4から,Relis-Gの配置時間の大部分を定義ファイルの作成のためのキーボード 入力時間が占めていると分かる.
多数サーバにおける配置時間の比較
適用実験環境よりも多数のサーバを用いる場合の従来手法と本機構の配置時間を,
適用実験環境の測定データに基づき算出した.サーバの台数が12台を超える場合に は表2のサーバ群が同じ構成比で複数群存在するものと仮定して算出を行った.
算出結果を図9に示す.従来手法と,Relis-Gにおける1回目の配置時間を比較す ると,サーバ台数が12台以上の場合,従来手法よりもRelis-Gの方が配置時間が短 いと分かる.この差は,Relis-Gのインストールワークフロー定義ファイルによって,
配置用コマンド列の入力コストが抑えられているためである.また,Relis-G の配
3.3 評価 28
表 4: 適用実験環境におけるRelis-Gの配置時間の内訳 正しく入力すべきコマンド用文
字数
180 インストール環境定義ファイル
の文字数
1571 インストールワークフロー定義
ファイルの文字数
679 ミス修正文字数 162 総入力文字数 2592 キーボード入力時間 43分12秒
総入力コマンド数 4 本機構以外の計算機処理時間 0.35秒 本機構のシェルスクリプトの処理時間の内訳
初期化処理 0.57秒 インストール環境定義ファイル
の変換・読み込み
0.55秒 インストールワークフロー定義
ファイルの変換・読み込み
0.55秒 パッケージ自動作成 1.13秒 運用方針自動取得 10.63秒
(並列)配置 29.86秒 終了処理 0.01秒 計算機処理時間 43秒
配置時間 43分55秒
置時間が台数によらずほぼ一定になっているのは,インストール環境定義ファイル の記述量がサーバの構成の違いに応じて増加するためである(同じ構成のサーバ群 の指定を1つの記述に略記できる).
定義ファイルの再利用の効果
本機構では,いったんインストール環境定義ファイル・インストールワークフロー 定義ファイルを作成すれば,同じサーバ環境に対して再度配置を行う際にそれらの ファイルを再利用できる.
図9に定義ファイルを再利用した場合の配置時間を示す(Relis-G配置2回目以降 の棒).この結果から,ユーザが複数回配置を行う際,Relis-Gは,2回目以降の配 置におけるユーザのコストを大幅に軽減すると分かる.
3.3 評価 29
図 9: 従来手法とRelis-Gにおける配置時間