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有効性及び安全性に関する評価資料として、RRMS患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(CTD 5.3.5.1-4: 109MS305試験)、海外第Ⅲ相試験(CTD 5.3.5.1-2: 109MS301試験、CTD 5.3.5.1-3: 109MS302 試験)の成績が提出された。また安全性に関する評価資料として、日本人及び外国人健康成人を 対象とした第Ⅰ相試験(CTD 5.3.3.3-1: 109HV108試験)の成績が提出された。その他、参考資料 として海外臨床試験成績(海外第Ⅱ相試験(参考CTD 5.3.5.1-1: C-1900試験)、海外長期投与試

験(参考CTD 5.3.5.2-1: 109MS303試験)等)が提出された。なお、以下においては主要な臨床試

験(109HV108試験、109MS305試験、C-1900試験、109MS301 試験、109MS302試験)の概略を 記載する。

7.1 第Ⅰ相試験(CTD 5.3.3.3-1: 109HV108試験< 年 月 日~ 年 月 日>)

海外在住日本人、中国人及び白人の健康成人(目標症例数72例(各人種24 例))を対象に、

本剤を反復経口投与したときの安全性及び薬物動態を検討するため、非盲検並行群間比較試験が 実施された(薬物動態については、6.2参照)。

用法・用量は、本剤240 mg/日又は480 mg/日を標準食摂取後に10時間間隔で2回経口投与する と設定された。

総投与症例71例(240 mg/日群36例、480 mg/日群35例)全例が安全性解析対象集団であった。

中止例は認められなかった。

有害事象(臨床検査値異常を含む)は本剤240 mg/日群63.8%(23/36例)及び本剤480 mg/日群

80.0%(28/35例)(以下同順)に認められた。死亡及びその他の重篤な有害事象は認められなか

った。

治験薬との因果関係が否定されなかった有害事象(臨床検査異常を含む)は、61.1%(22/36例)

及び74.3%(26/35例)に認められ、主な事象は潮紅(15例、23例)、頭痛(6例、4例)、傾眠

(3例、5例)、そう痒症(3例、5例)、悪心(0例、4例)、錯感覚(3例、3例)、浮動性め まい(3例、0例)等であった。

バイタルサイン(血圧、脈拍数、体温及び呼吸数)並びに心電図検査について、臨床的に問題 となる変動は認められなかった。

以上より申請者は、日本人、中国人及び白人の健康成人に本剤240~480 mg/日を反復経口投与 したときの安全性に大きな問題はないと考えることを説明した。

7.2 探索的試験

7.2.1 国際共同第Ⅲ相試験(CTD 5.3.5.1-4(パート 1)及び5.3.5.2-2(パート 2): 109MS305試験

< 年 月 日~継続中( 年 月 日データカットオフ)>)

RRMS患者37)(目標症例数[パート1]202例(各群101例(日本人50例以上))、[パート

2]パート1の来院を完了した被験者(ただし日本人は100例以上))を対象に、本剤の有効性及

び安全性を検討するため、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が 5つの国又は地域

(日本27施設、韓国6施設、台湾3施設、チェコ9施設及びポーランド9施設)で実施された。

[パート1(二重盲検期)]

用法・用量は、プラセボ又は本剤480 mg/日(120 mg/回の1日2回投与から開始し、1週間後か

ら240 mg/回の1日2回投与に増量)を食後に経口投与すると設定され、投与期間は24週間と設

定された。また、パート1の来院完了例は、パート2(継続投与期)へ移行するか、投与を終了す ると設定された。

無作為化症例225例(プラセボ群113例、本剤群112例、以下同順)のうち、治験薬未投与例 1例(本剤群)を除いた224例(113例、111例)が安全性解析対象集団及び有効性解析対象集団 のITT 集団であった。中止例は12例(6例、6例)であり、主な中止理由は有害事象4例(3例、

1例)及び同意撤回4例(3例、1例)等であった。

主要評価項目である、ITT 集団における投与12、16、20及び24週目の頭部MRI検査における 新規Gd造影病巣の総数は表20のとおりであり、本剤群とプラセボ群との間に統計学的な有意差 が認められた(p < 0.0001、地域及びベースライン時のGd造影病巣数により調整した負の二項回 帰モデル 38))。

20 投与121620及び24週目の頭部MRI検査における新規Gd造影病巣の総数(IT TLOCF38) 評価

例数

病巣総数 病巣総数の比a)

[95%信頼区間] pa) 平均値±標準偏差

中央値(最小値、最大値) 点推定値a)

プラセボ群 113 4.3 ± 8.20

1 (0, 55) 3.257 0.164

[0.101, 0.266] <0.0001

本剤群 111 1.1 ± 5.46

0 (0, 55) 0.534

a) 地域(日本/日本以外)及びベースライン時のGd造影病巣数により調整した負の二項回帰モデルに 基づく

有害事象(臨床検査値異常を含む)は、プラセボ群77.0%(87/113例)、本剤群86.5%(96/111 例)に認められたが、死亡は認められなかった。その他の重篤な有害事象は、プラセボ群 16 例

(MS再発15例、MS再発・卵管癌1例)及び本剤群15例(MS再発12例、腎盂腎炎、不安、上 腕骨骨折・脛骨骨折・交通事故各1例)に認められ、プラセボ群のMS再発2例、本剤群のMS再 発1例については、治験薬との因果関係は否定されていない。

治験薬との因果関係が否定されなかった有害事象(臨床検査値異常を含む)は、プラセボ群 26.5%(30/113例)、本剤群55.9%(62/111例)(以下同順)に認められ、主な事象は潮紅(8例、

23例)、下痢(1例、10例)、悪心(3例、7例)、腹痛(0例、7例)、ほてり(1例、6例)、

ALT増加(1例、6例)、そう痒症(0例、6例)等であった。

バイタルサイン(体温、脈拍数、血圧)について、臨床的に重要な変動として、本剤群で体温上 昇(1例)、脈拍数増加(1例)、拡張期血圧低下(2例)が認められた。また、心電図について は、臨床的に重要な異常がプラセボ群と本剤群の各10例に認められ、このうちベースライン時に

37) 改訂McDonald診断基準(2005年)(Ann Neurol 2005; 58: 840-6)に基づきRRMSと診断された患者

38) 地域(日本/日本以外)ベースライン時のGd造影病巣数で調整した負の二項回帰モデルに基づく。頭部MRI検査における

新規Gd増強病巣数の欠測値はLOCFにより補完を行ったが、欠測値が2回連続し、次の測定時に有効な測定値がある場合

は、次の測定値で補完した。補完可能な測定値がない場合は、同じ群及び測定時における他のすべての被験者の平均値で欠 測値を補完した。

異常はなく治験薬投与後に異常となった症例はそれぞれ3例及び6例であった。

[パート2(継続投与期)]

用法・用量は、本剤480 mg/日(パート1の投与群によらず、120 mg/回の1日2回投与から開 始し、1週間後から240 mg/回の1日2回投与に増量)を1日2回に分けて食後に経口投与すると 設定された。有効性及び安全性の解析は、投与48週(パート2における24週)までのデータに 基づき実施された。

総投与症例213例(プラセボ群からの移行例(以下、プラセボ-本剤集団)108例(日本人53例)、

本剤群からの移行例(以下、本剤-本剤集団)105例(日本人53例)、以下同順)が安全性解析対 象集団及び有効性解析対象集団のITT集団であった。中止例は24例(17例、7例)であり、主な 中止理由は同意撤回9例(6例、3例)及び有害事象8例(7例、1例)等であった。

有効性評価項目である、ITT集団における投与24及び48週(パート2における0及び24週)

の頭部MRI検査におけるGd造影病巣数は表21のとおりであった。

21 投与24及び48週の頭部MRI検査におけるGd造影病巣数(IT T、OC)

24 48

プラセボ-本剤集団 1.4 ± 3.3 (106) 0 (0, 22)

0.4 ± 1.0 (95) 0 (0, 6) 本剤-本剤集団 0.2 ± 0.5 (102)

0 (0, 3)

0.3 ± 1.2 (101) 0 (0, 8) 上段:平均値±標準偏差(評価例数)

下段:中央値(最小値、最大値)

有害事象(臨床検査値異常を含む)は、プラセボ-本剤集団86.1%(93/108例)、本剤-本剤集団

82.9%(87/105例)に認められたが、死亡例は認められなかった。その他の重篤な有害事象は、プ

ラセボ-本剤集団14例(MS再発7 例、虫垂炎、下痢、胃腸障害、妊娠、骨盤内炎症性疾患・MS 再発、慢性扁桃炎、ミクロアルブミン尿・MS再発各1例)、本剤-本剤集団12例(MS再発8例、

2型糖尿病、自殺企図、アルコール中毒・薬物毒性、急性心筋梗塞各1例)に認められ、プラセボ

-本剤集団の下痢1例及び胃腸障害1例については、治験薬との因果関係が否定されていない。

治験薬との因果関係が否定されなかった有害事象(臨床検査値異常を含む)は、プラセボ-本剤

集団59.3%(64/108例)、本剤-本剤集団31.4%(33/105例)(以下同順)に認められ、主な事象

は潮紅(32例、0例)、上腹部痛(11例、1例)、悪心(8例、1例)、下痢(8例、0例)、発 疹(2例、6例)、嘔吐(6例、1例)等であった。

バイタルサイン(体温、脈拍数、血圧)について、臨床的に重要な変動として、プラセボ-本剤 群で拡張期血圧低下(1例)、本剤-本剤群で収縮期血圧低下(1例)、拡張期血圧低下(1例)が 認められた。なお、心電図については測定されていない。

以上より申請者は、RRMS患者に対して本剤480 mg/日を投与したときの有効性が示され、安全 性について大きな問題はないと考えることを説明した。また申請者は、パート2(継続投与期)の 成績から、本剤480 mg/日を長期投与したときの安全性に大きな問題はなく、有効性も維持された と考えることを説明した。

7.2.2 海外第Ⅱ相試験(参考CTD 5.3.5.1-1: C-1900試験< 年 月 日~ 年 月 日

>)

RRMS患者39)(目標症例数260例: 各群65例)を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討する ため、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施された。

[パート1]

用法・用量は、プラセボ又は本剤120 mg/日(120 mgを1日1回)、360 mg/日(120 mgを1日 3回)若しくは720 mg/日(120 mg/回の1日3回投与から開始し、1週間後から240 mg/回の1日 3回投与に増量)を24週間経口投与すると設定された。また、パート1終了後、希望する患者で は継続投与期(パート2)への移行が可能とされた。

無作為化症例257例(プラセボ群65例、本剤120 mg/日群64例、360 mg/日群64例、720 mg/日 群64例、以下同順)のうち、未投与例1例(本剤720 mg/日群)を除いた256例(65例、64例、

64例、63例)が安全性解析対象集団であった。このうち、12、16、20及び24週の頭部MRI検査 が実施され、併用が禁止されたMS治療薬を使用していなかった症例223例(54例、59例、56例 及び54例)が有効性解析対象集団であった。中止例は30例(6例、6例、8例、10例)であり、

主な中止理由は有害事象16例(0例、4例、6例、6例)及び同意撤回6例(3例、0例、1例、2 例)等であった。

主要評価項目である、有効性解析対象集団における投与12、16、20及び24週目の頭部MRI検 査における新規Gd造影病巣の総数は表22のとおりであり、本剤360 mg/日群及び720 mg/日群の 併合群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められた(p < 0.001、Wilcoxon順位和検定)。

22 投与12、16、20及び24週目の頭部MRI検査における新規Gd造影病巣の総数(有効性解析対象集団)

評価

例数 病巣総数 プラセボ群との比較 群間差[95%信頼区間] pb) プラセボ群 54 4.5 ± 7.37

2 (0, 42) 本剤併合群a) 110 2.3 ± 5.04

0 (0, 30) -2.2 [-4.4, 0.0] < 0.001 本剤120 mg/日群 59 3.3 ± 5.14

1 (0, 22) -1.2 [-3.6, 1.2] -

本剤360 mg/日群 56 3.1 ± 5.93

1 (0, 30) -1.4 [-3.9, 1.1] -

本剤720 mg/日群 54 1.4 ± 3.78

0 (0, 24) -3.1 [-5.4, -0.9] -

上段:平均値±標準偏差、下段:中央値(最小値、最大値)

a) 本剤360 mg/日群と720 mg/日群の併合群 b) Wilcoxon順位和検定

有害事象(臨床検査値異常を含む)は、プラセボ群75.4%(49/65例)、本剤120 mg/日群85.9%

(55/64例)、360 mg/日群92.2%(59/64例)、720 mg/日群87.3%(55/63例)に認められたが、死 亡例は認められなかった。その他の重篤な有害事象は、プラセボ群8例(MS再発5例、回転性め まい、子宮平滑筋腫、下肢骨折各1例)、本剤120 mg/日群4例(MS再発3例、MS1例)、360 mg/

日群7例(MS再発6例、骨盤内炎症性疾患・静脈炎1例)、720 mg/日群7例(MS再発5例、尿 閉、腹痛各1 例)に認められ、プラセボ群の 5例(MS 再発3 例、回転性めまい、下肢骨折各1 例)、本剤120 mg/日群のMS再発1例、本剤360 mg/日群の3例(MS再発2例、骨盤内炎症性 疾患・静脈炎1例)、720 mg/日群のMS再発3例については、治験薬との因果関係が否定されて いない。

治験薬との因果関係が否定されなかった有害事象(臨床検査値異常を含む)は、プラセボ群 30.8%(20/65例)、本剤120 mg/日群68.9%(44/64例)、360 mg/日群65.6%(42/64例)、720 mg/

39) McDonald診断基準(2001年)(Ann Neurol 2001; 50: 121-7)に基づきRRMSと診断された患者