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6.1 生物薬剤学試験成績及び関連する分析法の概要

評価資料として、外国人健康成人を対象とした本剤及び本薬初期カプセル製剤の薬物動態比較

22) MedDRA PTで「retina」「retino」又は「retinitis」を含む事象

試験(CTD 5.3.1.1-1: 109HV105試験)、生物学的同等性試験(CTD 5.3.1.2-1: 109HV107試験)及 び食事の影響に関する試験(CTD 5.3.1.1-2: C-1903試験、CTD 5.3.1.1-3: FAG-201-FG-PK-02/02試 験)の成績が提出された。また、参考資料として、生物学的同等性試験(参考 CTD 5.3.1.2-2:

109HV109試験)の成績が提出された。

血漿中未変化体及び代謝物(MMF及びフマル酸)濃度は、LC/MS/MS(定量下限: 10.0 ng/mL)

又はHPLC(定量下限: 0.10~0.27 µg/mL)を用いて測定された。血漿中9α, 11β-PGF濃度及び尿

中PGD-M濃度はGC/MS(定量下限: 1 pg/mL)を、血漿中セロトニン及びヒスタミンはLC/MS/MS

(定量下限: 0.100~0.200 ng/mL)を用いて測定された。なお、本薬は活性代謝物であるMMFに速 やかに代謝されることから、主に MMF の薬物動態を対象に検討が行われた。特に記載のない限 り、薬物動態パラメータのうち tmaxは中央値で、その他は平均値±標準偏差で示している。本剤 の主な臨床試験においては申請製剤と同一のマイクロ錠を、市販予定製剤とは色が異なるカプセ ルに充てんした製剤が使用されている。

6.1.1 バイオアベイラビリティ(CTD 5.3.1.1-1: 109HV105試験)

外国人健康成人男性(薬物動態評価例数14例)を対象に、本剤240 mg又は本剤(初期カプセ

ル製剤 23))240 mgを絶食下で単回経口投与し、交叉比較法にて両製剤の薬物動態を比較したとき、

血漿中 MMFの Cmaxはそれぞれ1.75±0.34 及び1.41±0.97 µg/mL、tmaxは 3.00及び2.00 時間、

AUC0-∞はそれぞれ3.05±0.78及び3.02±0.69 µg·h/mLであった。

6.1.2 生物学的同等性

外国人健康成人(薬物動態評価例数77例)を対象に、本剤240 mgカプセル1個又は本剤120 mg カプセル2 個を絶食下で単回経口投与し、交叉比較法にて両製剤の生物学的同等性を検討したと き、血漿中MMFのCmax及びAUC0-12hの幾何平均値の比(240 mgカプセル1個/120 mgカプセル 2個)とその90%信頼区間は、それぞれ1.06[0.96, 1.16]及び1.02[0.98, 1.06]であったことか ら、両製剤は生物学的に同等であると申請者は判断している(CTD 5.3.1.2-1: 109HV107試験)。

6.1.3 食事の影響

外国人健康成人(薬物動態評価例数33例)を対象に、本剤240 mgを絶食下又は高脂肪食摂取 後に単回経口投与し、交叉比較法にて本剤の薬物動態に及ぼす食事の影響を検討したとき、血漿 中MMF のCmax及び AUC0-∞の幾何平均値の比(絶食下投与時/食後投与時)とその 90%信頼区間 は、それぞれ1.60[1.41, 1.82]及び1.03[0.96, 1.10]であり、高脂肪食の摂取時にCmaxは低値を 示した(CTD 5.3.1.1-2: C-1903試験)。

外国人健康成人男性(薬物動態評価例数12例)を対象に、本剤240 mgを絶食下又は標準食摂 取後に単回経口投与し、交叉比較法にて本剤の薬物動態に及ぼす食事の影響を検討したとき、血 漿中MMF のCmax及び AUC0-∞の幾何平均値の比(食後投与時/絶食下投与時)とその 90%信頼区 間は、それぞれ1.05[0.86, 1.28]及び1.03[0.95, 1.11]であった(CTD 5.3.1.1-3: FAG-201-FG-PK-02/02試験)。

6.2 臨床薬理試験

23) 原薬を直接カプセルに充填した製剤

評価資料として、外国人MS患者を対象とした第Ⅰ相試験(CTD 5.3.3.2-1: 109MS101試験)、

日本人及び外国人健康成人を対象とした第Ⅰ相試験(CTD 5.3.3.3-1: 109HV108試験)、外国人健 康成人を対象としたマスバランスに関する試験(CTD 5.3.3.1-4: 109HV102試験)、外国人健康成 人を対象としたThorough QT試験(CTD 5.3.4.1-2: 109HV101試験)及び外国人MS患者を対象と した第Ⅲ相試験(CTD 5.3.5.1-2: 109MS301試験)の成績が提出された。また、参考資料として、

外国人健康成人を対象とした第Ⅰ相試験 24)、薬物相互作用試験 25)及び薬力学試験(参考 CTD 5.3.5.4-2: FAG-201-BG-PK-01/02試験)の成績等が提出された。その他、ヒト生体試料を用いたin

vitro試験26)の成績も提出された。特に記載のない限り、薬物動態パラメータのうちtmaxは中央値

で、その他は平均値±標準偏差で示している。

6.2.1 ヒト生体試料を用いた試験

ヒト血漿、ヒト血清アルブミン及びα1-酸性糖タンパクに本薬(1.25~10 µg/mL)又はMMF(1.25

~10 µg/mL)を添加し、限外ろ過法によりタンパク結合率を検討したとき、本薬及びMMF の血 漿タンパク結合率は58.0~68.5%及び27.1~29.5%、ヒト血清アルブミンへの結合率は17.3~23.0%

及び35.3~39.5%、α1-酸性糖タンパクへの結合率は2.6~4.5%及び0.0~4.1%であった(参考CTD 5.3.2.1-1: PD-05-01試験)。

ヒト血漿にMMF(0.05~5 µmol/L)を添加し、平衡透析法によりタンパク結合率を検討したと き、MMFの血漿タンパク結合率は33.9~44.9%であった(参考CTD 5.3.2.1-2: P00012-10-05試験)。

ヒト全血にMMF(0.05~5 µmol/L)を添加したとき、MMF の血液/血漿中濃度比は 0.70~0.83 であった(参考CTD 5.3.2.3-3: P00012-10-07試験)。

ヒト血漿に本薬(50 µmol/L)又はMMF(0.5~5 µmol/L)を添加し、37℃で20分間又は92.5時 間インキュベートしたとき、本薬及びMMFのt1/2はそれぞれ33.2分及び67.9~72.3 時間と推定 された(参考CTD 5.3.2.3-2: P00012-10-06試験、参考CTD 5.3.2.3-4: P00012-10-09試験)。

ヒト肝細胞に14C標識体(本薬)10 µmol/Lを添加してインキュベートしたとき、主な代謝物は MMFであり、その他にフマル酸、グルコース、MMFのグルタチオン抱合体及び2種の未知代謝 物が検出された(参考CTD 4.2.2.4-1: P00012-12-04試験)。

ヒト肝ミクロソームに14C標識体(本薬)10 µmol/Lを添加してインキュベートしたとき、代謝 物のほぼ100%がMMFであった(参考CTD 4.2.2.4-1: P00012-12-04試験)。

ヒト肝ミクロソーム及び各 CYP 分子種の発現系(CYP2D6 及び CYP3A4)において、本薬

(50 µmol/L)又はMMF(50 µmol/L)の代謝について検討したとき、本薬はヒト肝ミクロソーム において15 分以内に代謝を受け、主要代謝物である MMF に変換されたが、各CYP 分子種によ る代謝は認められなかった。また、MMF はヒト肝ミクロソーム及び各CYP 分子種により代謝さ れなかった(参考CTD 5.3.2.2-1: P00012-04-12試験)。

24) 参考CTD 5.3.3.1-2: FAG-201-FG-PK-03/04試験、参考CTD 5.3.3.1-3: 109HV106試験、参考CTD 5.3.4.1-1: IKP/ID33試験 25) 参考CTD 5.3.3.4-1: 109HV103試験、参考CTD 5.3.3.4-2: 109HV104試験、参考CTD 5.3.3.4-3: 109HV113試験

26) 参考CT D 5.3.2.1-1: PD-05-01試験、参考CT D 5.3.2.1-2: P00012-10-05試験、参考CTD 5.3.2.2-1: P00012-04-12試験、参考CTD 5.3.2.2-2: P00012-04-13試験、参考CT D 5.3.2.2-3: P00012-04-14試験、参考CT D 5.3.2.2-4: P00012-06-04試験、参考CTD 5.3.2.2-5: P00012-06-05試験、参考CT D 5.3.2.2-6: P00012-10-03試験、参考CT D 5.3.2.2-7: P00012-10-04試験、参考CTD 5.3.2.2-8:

PD05-28試験

CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1 及び CYP3A4 に対する 特異的基質 27)を用いて、各 CYP 発現系に対する本薬(0.01~300 µmol/L)及び MMF(0.023~

300 µmol/L)の阻害能を検討したとき、本薬及びMMFはこれらの代謝酵素を阻害しなかった(参

考CTD 5.3.2.2-2: P00012-04-13試験、参考CTD 5.3.2.2-4: P00012-06-04試験、参考CTD 5.3.2.2-8:

PD05-28試験)。

CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1 及び CYP3A4 に対する 特異的基質 28)を用いて、ヒト肝ミクロソーム中の各 CYP 分子種に対する MMF(7.6 nmol/L~

50 µmol/L)の阻害活性を検討したとき、MMFはこれらの代謝酵素を阻害しなかった(参考CTD

5.3.2.2-6: P00012-10-03試験)。

OATP1B1、OATP1B3、OCT1、OCT2、OAT1、OAT3、MATE1 及び MATE2K に対し、MMF

(100 µmol/L)は阻害作用を示さなかった(参考CTD 5.3.2.3-5: P00012-12-03試験、参考CTD 5.3.2.3-6: P00012-12-05試験)。

BCRPに対し、本薬(500 µmol/L)は阻害作用を示さなかった。また、BCRP及びBSEPに対し、

MMF(50 µmol/L)は阻害作用を示さなかった(参考CTD 5.3.2.3-7: P00012-12-06試験)。

LLC-PK1細胞及びCaco-2細胞単層膜に本薬(0.01~500 µmol/L)又はMMF(0.01~300 µmol/L)

を添加し、P-gpのジゴキシン輸送に対する阻害能について検討したとき、P-gp阻害作用は認めら れなかった(参考CTD 5.3.2.2-7: P00012-10-04試験、参考CTD 5.3.2.3-1: P00012-06-03試験)。

ヒト肝細胞にMMF(1~200 µmol/L)を添加し、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、

CYP3A4及びP-gpに対するMMFの誘導作用を検討したとき、MMFは20及び200 µmol/Lにおい て1例のドナーでCYP2C9及びCYP2C19の誘導作用(約1.4倍)を示したが、誘導倍率が小さい こと、同一の核ホルモン受容体(PXR)により調節されるCYP2C9 及び CYP2C19 とCYP3A4 の 間に一貫した誘導の傾向は認められなかったことを踏まえると、臨床的意義がある薬物相互作用 を示す可能性は低いと申請者は考察している(参考CTD 5.3.2.2-3: P00012-04-14試験、参考CTD 5.3.2.2-5: P00012-06-05試験)。

6.2.2 健康成人における検討

日本人、中国人及び白人の健康成人(薬物動態評価例数: 日本人: 24例、中国人: 23例、白人: 24 例)を対象に、本剤1回120又は240 mgを標準食摂取後に10時間間隔で2回経口投与したとき、

血漿中MMFの薬物動態パラメータは表13のとおりであり、日本人、中国人及び白人において薬 物動態パラメータに大きな差異は認められなかった(CTD 5.3.3.3-1: 109HV108試験)。

27) CYP1A2: 3-シアノ-7-エトキシクマリン、CYP2B6: ブプロピオン、CYP2C8: パクリタキセル、CYP2C9: 7-メトキシ-4-トリフ ルオロメチルクマリン、CYP2C19: 3-シアノ-7-エトキシクマリン、CYP2D6: ブフラロール、3-[2-(N, N-ジエチル-N-メチルアミ )エチル]-7-メトキシ-4-メチルクマリン、CYP2E1: 7-メトキシ-4-トリフルオロメチルクマリン、CYP3A4: ミダゾラム、テス トステロン、7-ベンジルオキシ-トリフルオロメチルクマリン、7-ベンジルオキシキノリン

28) CYP1A2: タクリン、CYP2B6: ブプロピオン、CYP2C8: アモジアキン、CYP2C9: トルブタミド、CYP2C19: S-メフェニトイ

ン、CYP2D6: デキストロメトルファン、CYP2E1: クロルゾキサゾン、CYP3A4: ミダゾラム、テストステロン

13 日本人、中国人及び白人の健康成人に本剤を反復経口投与したときの血漿中MMFの薬物動態パラメータ 評価

例数 Cmax

(µg/mL) tmax

(h)a) t1/2 (h) AUC0-24h

(µg·h/mL) 日本人 120 mg/ 12 1.35 ± 0.64 4.0 0.86 ± 0.85 4.91 ± 0.98

240 mg/ 12 2.37 ± 1.35 5.0 0.66 ± 0.22 8.24 ± 2.91 中国人 120 mg/ 12 1.65 ± 0.68 3.9 0.60 ± 0.14 5.57 ± 1.11 240 mg/ 11 3.23 ± 1.66 3.9 0.59 ± 0.18 10.63 ± 2.56 白人 120 mg/ 12 1.24 ± 0.59 4.5 0.93 ± 0.42 4.22 ± 1.08 240 mg/ 12 2.39 ± 0.68 5.0 0.81 ± 0.59 9.29 ± 1.79 平均値±標準偏差

a) 中央値

外国人健康成人男性(薬物動態評価例数12例)を対象に、本剤120、240又は360 mgを標準食 摂取後に単回経口投与したとき、血漿中未変化体及びフマル酸は検出されなかった。血漿中MMF のCmaxはそれぞれ0.58±0.17、1.43±0.29及び1.90±0.57 µg/mL、AUC0-9hはそれぞれ1.21±0.37、

2.41±0.58及び3.78±1.11 µg·h/mLであった(参考CTD 5.3.4.1-1: IKP/ID33試験)。

外国人健康成人(薬物動態評価例数51例)を対象に、本剤240又は360 mgを絶食下で単回経 口投与したとき、血漿中 MMF の薬物動態パラメータは表14 のとおりであった(CTD 5.3.4.1-2:

109HV101試験)。

14 外国人健康成人に本剤を単回経口投与したときの血漿中MMFの薬物動態パラメータ 投与量 (mg) 評価例数 Cmax (µg/mL) tmax (h)a) t1/2 (h) AUC0-∞ (µg·h/mL)

240 50b) 2.15 ± 0.95 2.5 0.57 ± 0.12 c) 3.37 ± 1.01 c) 360 51 2.74 ± 1.07 2.0 0.63 ± 0.19 d) 5.01 ± 1.43 d) 平均値±標準偏差

a) 中央値

b) 1例ですべての測定時点において血漿中MMF濃度が定量下限以下であったため、解 析対象から除外された。

c) 49例、d) 48

外国人健康成人男性(薬物動態評価例数18例)を対象に、本剤120 mg/回を標準食摂取後に 1 日3回2日間反復経口投与し、7日間休薬した後、本剤240 mg/回を標準食摂取後に1日3回2日 間反復経口投与したとき、各投与期の最終投与時における血漿中MMFのCmaxは120及び240 mg においてそれぞれ0.84±0.32及び1.52±0.40 μg/mL、AUC0-14hはそれぞれ1.89±0.68及び4.07±

1.28 μg·h/mLであり、Cmax及び AUC0-14hは用量に比例して増加した。また、反復投与による蓄積 は認められなかった(参考CTD 5.3.3.1-2: FAG-201-FG-PK-03/04試験)。

外国人健康成人(薬物動態評価例数24 例)を対象に、標準食摂取後に本剤1 回240 若しくは 360 mgを1日2回、1回240 mgを1日3回又は1回360 mg(120 mgを1時間おきに3回投与)

を1日2回の用法・用量にて4日間反復経口投与29)したとき、血漿中MMFの薬物動態パラメー タは表15のとおりであった(参考CTD 5.3.3.1-3: 109HV106試験)。

29) 各投与日において、12回投与群では8及び18時、13回投与群では812及び18時、本剤120 mg1時間おきに3 回投与した群では89101819及び20時に本剤を投与し、投与1日目及び4日目の88.599.51010.511 121314151617及び18時において経時的に血漿中MMF濃度を測定した。