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評価資料として、国内で実施された第Ⅰ相試験及び第Ⅱ相試験、並びに海外で実施された第Ⅰ相試験 9試験、第Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験の計 13試験の成績が提出された(薬物動態については、「6.生物 薬剤学試験及び関連する分析法、臨床薬理試験に関する資料並びに機構における審査の概略」の項参照)。

主な試験成績を以下に示す。

7.1 第Ⅰ相試験

7.1.1 国内第Ⅰ相試験(NS304/P1/01試験、CTD 5.3.3.1-1、実施期間20 年 月~20 年 月)

本薬単回投与時及び反復投与時の安全性及び薬物動態を検討する目的で、日本人健康成人(本薬群36 例、プラセボ群12例)及び健康高齢者(本薬群12例、プラセボ群4例)を対象に、無作為化二重盲検 試験が国内1施設で実施された。用法・用量は、単回投与試験では、治験薬を空腹時又は朝食後に単回 経口投与し、反復投与試験では、1日目の朝食後、3~9日目の朝夕食後、及び10日目の朝食後に治験薬 を経口投与することとされた。なお、反復投与試験の0.6 mg群は、1~4日目までは1回0.4 mgを投与 し、5~12日目までは1回0.6 mgを投与した。無作為化された64例(本薬群48例、プラセボ群16例)

全例に治験薬が投与され、全例が安全性解析対象集団とされた。

安全性について、有害事象の発現状況は、表23(単回投与時)及び表24(反復投与時)のとおりであ った。

表23:日本人健康成人及び高齢者に本薬を単回投与したときの主な有害事象(安全性解析対象集団)

健康成人 高齢者

空腹時投与 食後投与 空腹時投与

プラセボ群 0.2 mg 0.4 mg 0.6 mg プラセボ群 0.4 mg プラセボ群 0.2 mg

例数 6 6 6 6 2 4 2 6

有害事象 33.32 50.03 66.74 83.35 50.01 50.02 00 50.03 頭痛 00 16.71 50.03 66.74 00 25.01 00 16.71

悪心 00 16.71 16.71 83.35 00 00 00 00

嘔吐 00 16.71 16.71 50.03 00 00 00 00

下痢 00 00 00 33.32 00 00 00 00 因果関係が否定

できない有害事象 00 16.71 50.03 83.35 00 25.01 00 16.71 頭痛 00 16.71 50.03 66.74 00 25.01 00 16.71

悪心 00 00 16.71 83.35 00 00 00 00

下痢 00 00 00 33.32 00 00 00 00

嘔吐 00 00 16.71 50.03 00 00 00 00

いずれかの群で複数例に認められた有害事象

%(例数)

表24:日本人健康成人及び高齢者に本薬を反復投与したときの主な有害事象(安全性解析対象集団)

健康成人 高齢者

プラセボ群 0.2 mg 0.4 mg 0.6 mg プラセボ群 0.4 mg

例数 6 6 6 6 2 6

有害事象 00 33.32 1006 66.74 50.01 83.35 頭痛 00 00 16.71 50.03 50.01 66.74 緊張性頭痛 00 00 00 00 00 33.32 下痢 00 00 33.32 33.32 00 50.03

関節痛 00 00 100.06 50.03 00 83.35

筋痛 00 00 00 00 00 33.32

ALT増加 00 33.32 00 16.71 00 00

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健康成人 高齢者 プラセボ群 0.2 mg 0.4 mg 0.6 mg プラセボ群 0.4 mg 因果関係が否定

できない有害事象 00 33.32 100.06 66.74 50.01 83.35 頭痛 00 00 16.71 50.03 50.01 66.74 下痢 00 00 33.32 33.32 00 50.03

関節痛 00 00 100.06 50.03 00 83.35

筋痛 00 00 00 00 00 33.32 いずれかの群で複数例に認められた有害事象

%(例数)

死亡及び重篤な有害事象は認められなかった。

中止に至った有害事象は、単回投与試験の本薬0.4 mg群1例(血中CK増加・血中LDH増加)に認 められたが、治験薬との因果関係は否定された。

7.2 第Ⅱ相試験

7.2.1 国内第Ⅱ相試験(AC-065A201試験、CTD 5.3.5.2-1、実施期間20 年 月~継続中、データカッ

トオフ:20 年 月 日)

PAH患者における本薬の有効性、安全性及び薬物動態を検討する目的で、非盲検非対照試験が国内26 施設で実施された(目標症例数:30例)。

投与開始から12週目までが用量調節期、12週目から 16週目までが用量維持期、16週目以降が長期 投与期とされた。いずれの期間においても1日2回食後に本薬を経口投与することとされ、用量調節期 においては1回量として本薬0.2 mgから開始し、同一用量を3日以上投与して、被験者の忍容性に問題 がなければ1回量として0.2 mgずつ増量することとされた。1回0.8 mgに増量以降は、同一用量を7日 以上投与して、忍容性に問題がなければ1回量として0.2 mgずつ増量し、可能な限り1回量として1.6 mg まで増量することとされた。長期投与期は維持用量(用量維持期(投与12~16週目)に投与された用量)

にて投与を継続するが、治験責任(分担)医師の判断により1回量として1.6 mgを上限として増減可能 とされた。

主な選択基準は、以下に該当する18歳以上のIPAH、HPAH、薬物又は毒物誘発性肺高血圧症、並び に結合組織病、先天性心疾患又はHIV感染症に関連するPAH患者とされた。

• WHO機能分類クラスⅠ~Ⅳ

• 右心カテーテル検査で以下の基準を満たし、PAHと診断されている

 mPAPが25 mmHg以上

 PCWP又は左室拡張末期圧が15 mmHg未満

• 右心カテーテル検査によるPVRのベースライン値が400 dyn・sec・cm5を超える

ERA、PDE-5阻害薬、カルシウム拮抗薬を併用する場合は、治験薬投与開始90日以上前から治験薬投

与期間を通して一定用量とすることとされた。なお、PGI2製剤の投与は治験薬投与開始4週間以上前か ら、またベラプロストナトリウムの投与は治験薬投与開始1週間以上前から禁止された。

治験薬が投与された37例全例が安全性解析対象集団とされ、投与16週目のPVRが得られなかった4 例を除く33例がPPSとされ、有効性の主要な解析対象集団とされた。投与16週目までの中止例は4例 であり、中止理由は、併用制限薬の新たな投与、重篤な有害事象の発現、併用禁止薬の投与及び同意の 撤回(各1例)であった。安全性解析対象集団におけるベースラインでのWHO機能分類の内訳は、ク ラスⅠが2例、クラスⅡが21例、クラスⅢが14例であり、クラスⅣの患者は登録されなかった。

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本薬の平均1日投与量及びカットオフ時(最長136週)の1日投与量(平均値±標準偏差)は 1.8± 0.89 mg/日、2.1±0.89 mg/日であり、維持用量(1回量)の分布は0.2 mg 5.4%(2/37例)、0.4 mg 5.4%

(2/37例)、0.6 mg 13.5%(5/37例)、0.8 mg 18.9%(7/37例)、1.0 mg 16.2%(6/37例)、1.2 mg 8.1%

(3/37例)、1.4 mg 5.4%(2/37例)、1.6 mg 18.9%(7/37例)であった。

①有効性評価期間

有効性の主要評価項目であるベースラインから16週時までのPVRの変化量、及び副次評価項目であ るベースラインから16週時までのPVRIの変化量は表25のとおりであった。

表25:16週時におけるPVR及びPVRIのベースラインからの変化量(PPS) PVRdynseccm5

33例)

PVRIdynseccm5m2

33例)

ベースライン

平均値±標準偏差 683.2±237.3 1076.7±390.5

中央値 671.8 1020.9

16週時

平均値±標準偏差 560.3±238.7 881.9±405.2

中央値 491.4 825.3

変化量

平均値±標準偏差 122.9±115.2 194.9±182.6

中央値 120.9 185.2

pa 0.0001

aWilcoxon符号付順位検定

また、副次評価項目である6MWD(平均値±標準偏差及び中央値、以下同様)(例数)は、ベースラ イン時で445.0±102.2 m及び460.5 m(30例)、16週時で459.1±112.8 m及び468.0 m(30例)であり、

ベースラインから16週時までの変化量は14.1±44.1 m及び19.5 mであった。

安全性について、有効性評価期間中に有害事象は97.3%(36/37例)に認められ、10例以上に認められ た有害事象は、頭痛(24例)、下痢(17例)、顎痛(16例)、悪心(13例)であった。

治験薬との因果関係が否定できない有害事象は94.6%(35/37例)に認められ、10例以上に認められた 有害事象は頭痛(23例)、下痢及び顎痛(各16例)、悪心(11例)であった。

死亡は認められなかった。その他の重篤な有害事象は4例(嘔吐、肺動脈性肺高血圧症、低酸素症、

及び血圧低下(各1例))に認められ、嘔吐、低酸素症及び血圧低下については治験薬との因果関係は 否定されなかったが、いずれも転帰は回復であった。

投与中止に至った有害事象は1例(血圧低下)に認められ、治験薬との因果関係は否定されなかった。

②長期投与期間

有効性について、6MWDのベースラインからの変化量(平均値±標準偏差及び中央値、以下同様)(例 数)は、24週時で8.8±46.2 m及び14.0 m(29例)、48週時で15.2±33.4 m及び17.0 m(25例)、72 週時で30.7±51.0 m及び37.0 m(21例)、96週時で38.0±49.1 m及び37.0 m(10例)、120週時で61.8

±85.8 m及び61.5 m(4例)であった。

安全性について、有害事象は100%(37/37例)に認められ、10例以上に認められた有害事象は、頭痛

(29例)、下痢及び鼻咽頭炎(各19例)、顎痛(17例)、悪心(16例)、潮紅(12例)であった。

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治験薬との因果関係が否定できない有害事象は、100%(37/37例)に認められ、10例以上に認められ た有害事象は、頭痛(27例)、下痢及び顎痛(各17例)、悪心(14例)、潮紅(12例)であった。

死亡は2例(いずれも死亡理由は右室不全)に認められ、1例は治験薬との因果関係が否定されなか った。その他の重篤な有害事象は11例(肺動脈性肺高血圧症、右室不全、甲状舌管嚢胞、潰瘍性大腸炎、

骨壊死、胆道仙痛・結腸腺癌・胆管結石・食道静脈瘤、浮動性めまい・肺動脈性肺高血圧症、呼吸困難・

右室不全、胸部不快感、インフルエンザ性肺炎及び帯状疱疹各1例)であった。浮動性めまい及び胸部 不快感については治験薬との因果関係は否定されなかったが、いずれも転帰は回復であった。

投与中止に至った有害事象は8例(肺動脈性肺高血圧症5例、右室不全2例、全身性エリテマトーデ ス1例)に認められ、右室不全1例を除き治験薬との因果関係は否定された。

7.2.2 海外第Ⅱ相試験(NS-304/-02試験、CTD 5.3.5.1-1、実施期間20084月~20096月)

PAH患者における、本薬単回投与時の薬力学、安全性及び忍容性を検討する目的で非盲検非対照試験

(Acute hemodynamic study)、並びに、それに引き続いて本薬反復投与時の有効性、安全性及び薬物動態

を検討する目的で無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験が海外7施設で実施された(目標症 例数:本薬群33例、プラセボ群11例、計44例)。

非盲検非対照試験では、最初の12例に本薬0.2 mgを単回投与後、これらの12例の被験者の安全性評 価に基づき、残りの被験者に本薬0.4 mgが単回投与された。

Acute hemodynamic studyの翌日から17週間が二重盲検期とされ、本薬又はプラセボを1日2回食後 に経口投与することとされた。1回量として本薬0.2 mgから開始し、35日目までに最終至適用量となる よう、被験者の忍容性が良好であれば1回あたり0.2 mgずつ増量することとされたが、1回0.4 mgの投 与は3日目以降、0.6 mgの投与は7日目以降、0.8 mgの投与は21日目以降に開始し、最高用量は1回

0.8 mgとされた。その後、試験終了まで最終至適用量が投与された。なお、忍容性に問題がある場合は

治験責任(分担)医師の判断により減量を可能としたが、投与13週目以降は一定用量とした。

主な選択基準は、以下に該当する18歳以上のIPAH、家族性PAH、膠原病性血管疾患、修復済みの先 天性短絡疾患又は食欲抑制剤の使用に伴うPAH患者とされた。

• WHO機能分類クラスⅠ~Ⅲ

• 抗凝固薬、カルシウム拮抗薬、利尿薬、強心薬、酸素吸入、ERA及び/又はPDE-5阻害薬による治 療を受けているにもかかわらず症候性のPAHを有する

• 右心カテーテル検査で以下の基準を満たし、PAHと診断されている

 mPAPが25 mmHgを超える

 PVRが240 dyn・sec・cm5を超える

 PCWP又は左室拡張末期圧が15 mmHg未満

• 右心カテーテル検査によるPVRのベースライン値が400 dyn・sec・cm5を超える

• その他の PAH 治療を受けているにもかかわらず、スクリーニング及びベースラインの 6MWD が 150~500 mであり、2回の試験結果の差が15%以内である

ERA及び/又はPDE-5阻害薬は併用必須とし、スクリーニング時から二重盲検期終了時まで、ベース

ライン時の治療薬に関連する有害事象(肝機能検査値異常、網膜症、視覚障害)による一時的な中断及 び減量を除き、一定用量とすることとされた。PGI2製剤の投与はスクリーニングの3カ月以上前から禁 止された。

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