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提出された資料から、本品目の肺動脈性肺高血圧症に対する有効性は示され、認められたベネフィッ トを踏まえると安全性は許容可能と考える。本剤は肺動脈性肺高血圧症の治療に新たな選択肢を提供す るものであり、臨床的意義があると考える。また機構は、効能・効果、用法・用量、添付文書における 注意喚起の内容、製造販売後の検討事項等については、さらに検討する必要があると考える。

専門協議での検討を踏まえて特に問題がないと判断できる場合には、本剤を承認して差し支えないと 考える。

以上 76

審査報告(2

平成28年8月15日

申請品目

[販 売 名] ウプトラビ錠0.2 mg、同錠0.4 mg

[一 般 名] セレキシパグ

[申 請 者] 日本新薬株式会社

[申請年月日] 平成28年1月7日

1. 審査内容

専門協議及びその後の医薬品医療機器総合機構(以下、「機構」)における審査の概略は、以下のと おりである。なお、本専門協議の専門委員は、本品目についての専門委員からの申し出等に基づき、「医 薬品医療機器総合機構における専門協議等の実施に関する達」(平成20年12月25日付け 20達第8 号)の規定により、指名した。

1.1 安全性について

1.1.1 低血圧について

低血圧に関するリスクについて、申請者が予定している注意喚起に加えて、セレキシパグ(以下、「本 薬」)の血管拡張作用により病態が増悪する可能性のある特定の基礎疾患を有する患者では慎重に投与 する旨を追加で注意喚起することにより、一定の管理が可能とした機構の判断は、専門委員に支持され た。

以上を踏まえ、機構は、本薬の血管拡張作用により病態が増悪する可能性のある特定の基礎疾患(体 液減少、重度左室流出路閉塞、自律神経障害等)を有する患者では慎重に投与する旨を注意喚起するよ う求めたところ、申請者は適切に対応した。

1.1.2 甲状腺機能異常について

甲状腺機能異常に関するリスクについて、申請者が予定しているように、ウプトラビ錠(以下、「本 剤」)を使用中は、甲状腺機能検査を実施する等十分な観察を行うよう注意喚起することにより、一定 の管理が可能とした機構の判断は、専門委員に支持された。

1.1.3 網膜障害を含む眼障害について

網膜障害を含む眼障害の発現リスクについて、申請者が予定しているように、添付文書の副作用の項 で情報提供する必要があるとした機構の判断は、専門委員に支持された。

1.1.4 その他の安全性について

頭痛、潮紅、浮動性めまい、悪心等は既存のプロスタサイクリン製剤でも発現することが報告されて いる既知の事象であり、これら全身性の副作用に係る安全性プロファイルは臨床的に許容できるとした 機構の判断は、専門委員に支持されたが、専門委員より、頭痛や下痢が国内外の臨床試験で高頻度に発 現していること、海外臨床試験では因果関係が否定できない重篤な有害事象や投与中止に至った症例も

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認められたこと等を考慮し、本剤の投与にあたっては、患者の状態を十分に観察しながら、慎重に漸増 する必要があるとの意見が出された。

以上を踏まえ、機構は、頭痛、下痢等の有害事象が投与初期に多く報告されていることから、患者の 状態を十分観察しながら慎重に漸増する旨注意喚起するよう求め、申請者は適切に対応した。

1.2 効能・効果について

本剤の効能・効果を、基礎疾患及びWHO機能分類によらず「肺動脈性肺高血圧症」とすることは可 能とした機構の判断は、専門委員に支持された。以上の意見及び国内外の臨床試験成績を踏まえ、機構 は、試験に組み入れられたクラスⅠ及びⅣの患者に対する本剤の有効性に関して、添付文書上での注意 喚起は特段要しないと判断した。

1.3 用法・用量について

本薬を1回0.2 mg、1日2回食後経口投与から開始し、患者の忍容性を確認しながら、段階的に増量

し、患者毎の最大耐用量に調節することは妥当とした機構の判断、及び増量間隔は7日間以上とするこ とが適切とした機構の判断は、専門委員に支持された。

以上を踏まえ、機構は、本剤の用法・用量は、以下のようにすることが妥当と判断し、修正するよう 求めたところ、申請者は適切に対応した。

[用法及び用量]

通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2 mgを1日2回食後経口投与から開始する。忍容性を確 認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2 mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定す る。なお、最高用量は1回1.6 mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投与する。

1.4 医薬品リスク管理計画(案)について

専門協議では、審査報告(1)「7.R.8 製造販売後の検討事項について」の項における機構の判断は、

専門委員に支持された。また、専門委員より、小児及び肝機能障害患者等、臨床試験でのデータが限ら れる集団における安全性の迅速な情報収集と提供は重要であり、特に小児については、速やかに有効性 及び安全性並びに適切な用法・用量について検討することが適切であるとの意見が出された。

以上を踏まえ、機構は、現時点における本剤の医薬品リスク管理計画(案)について、表49に示す安 全性検討事項及び有効性に関する検討事項を設定すること、表 50 に示す追加の医薬品安全性監視活動 及びリスク最小化活動を実施すること、並びに表 51 に示す特定使用成績調査を実施することが適切と 判断した。また、小児に対する開発については、日本人小児肺動脈性肺高血圧症(以下、「PAH」)患 者を対象とした適切な計画の臨床試験を速やかに立案・実施し、日本人小児PAHに対する本剤の有効性 及び安全性並びに用法・用量について検討するよう指示したところ、申請者は

旨回答した。

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表49:医薬品リスク管理計画(案)における安全性検討事項及び有効性に関する検討事項 安全性検討事項

重要な特定されたリスク 重要な潜在的リスク 重要な不足情報

・低血圧

・出血

・肺静脈閉塞性疾患(PVOD を有する患者

・甲状腺機能異常

・網膜障害を含む眼障害 ・小児

・肝機能障害のある患者

・腎機能障害のある患者

・長期投与時の安全性

有効性に関する検討事項

・使用実態下における長期投与時の有効性

表50:医薬品リスク管理計画(案)における追加の医薬品安全性監視活動 及びリスク最小化活動の概要

追加の医薬品安全性監視活動 追加のリスク最小化活動

・市販直後調査

・特定使用成績調査(全例調査)

・製造販売後臨床試験a

・市販直後調査による情報提供

a:本剤の承認取得後にAC-065A201試験(継続中)を製造販売後臨床試験に読み 替えて、各医療機関で本剤が使用可能となるまで実施予定。

表51:特定使用成績調査計画の骨子(案)

目的 使用実態下における長期投与時の安全性及び有効性の検討 調査方法 全例調査方式

対象患者 PAH患者

観察期間 1年間(最長3年間)

予定症例数 安全性解析対象症例数として1000 主な調査項目 低血圧、出血、頭痛等

2. 審査報告(1)の訂正事項

審査報告(1)の下記の点について、以下のとおり訂正するが、本訂正後も審査報告(1)の結論に影 響がないことを確認した。

訂正前 訂正後

31 20 日本人健康成人6 日本人健康成人4

51 9-10 クラスⅡが16例(本薬群14例、プラセボ群

2例)

クラスⅡが17例(本薬群15例、プラセボ群 2例)

72 46 クラスⅡ NS-304/-02 試験 有害事象 本薬 93.315

クラスⅡ NS-304/-02試験 有害事象 本薬 93.314

72 46 クラスⅣ AC-065A302 試験 凝固障害 薬群12.51 プラセボ群00

クラスⅣ AC-065A302 試験 凝固障害 薬群00 プラセボ群12.51

3. 機構による承認申請書に添付すべき資料に係る適合性調査結果及び機構の判断 3.1 適合性書面調査結果に対する機構の判断

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の規定に基づき承認申請書に添 付すべき資料に対して書面による調査を実施した。その結果、提出された承認申請資料に基づいて審査 を行うことについて支障はないものと機構は判断した。

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