3.4 結果
3.4.4 臨床データを用いた評価
AutoRefが推定した各クラスタの形状をPET画像に重ねた典型例をFig. 15に示す。
Figure 15: AutoRefが設定した参照領域をPET画像に重ねた結果。背景のPET画像中の 小脳領域の赤色及び黄色の領域は小脳白質で、白質の周辺の黄緑及び水色の領域が参照領域で ある小脳灰白質である。AutoRefで設定した参照領域は、灰白質に設定されていることが分 かる。[11, Fig. 4]
PET画像の下部には、左右の小脳が抽出されている。小脳白質は黄から赤で示したクラスタ と一致しており、小脳の大半を占めている。参照領域である小脳灰白質は、小脳白質の外側に ある細長い構造であり、黄緑色で示したクラスタと一致している。AutoRefで設定した参照領 域は、小脳灰白質に設定されていることが分かる。
次に、AutoRefで設定した参照領域と手動で設定した参照領域から得られたtTACをFig. 16 に示す。
Figure 16: AutoRefで設定した参照領域と手動で設定した参照領域中の平均tTAC。黒色が AutoRefが設定した参照領域、灰色が医師が手動で設定した参照領域。[11, Fig. 5]
両者のtTACの形状が殆ど一致していることが確認できる。また、参照領域である小脳灰白 質のtTACの形状は、PiBが結合する結合サイトが組織中に存在せず速やかに静脈に排出され るため曲線は急勾配になる。両者のtTACの形状が、これらの生理学的背景に一致しているこ
とが確認できた。
Fig. 17に典型的な陰性症例と陽性症例のBPND画像を示す。
Figure 17: AutoRefで設定した参照領域と手動で設定した参照領域からアミロイド定量化ア ルゴリズムであるLogan graphical analysisを用いて、BPNDを推定した。上段が手動で設 定した参照領域から推定したBPND画像、下段はAutoRefで設定した参照領域から推定した BPND画像。アルツハイマー病においてAβの集積が一般的に認められる前頭葉及び後頭葉 (左)、頭頂葉(右)を示す。AutoRefによる画像は従来法と一致しており、いずれもnegative ではAβの集積が無い。一方で、positiveでは灰白質への集積が認められる。[11, Fig. 6]
上段が手動で設定した参照領域から推定したBPND画像、下段がAutoRefで設定した参照領 域から推定したBPND画像である。BPNDの値は両者の間で一致している。また、集積のパター ンは、手動、AutoRef間で一致している。negativeでは、Aβの集積が無いため脂質が多い白質 領域がBPND値が高くなる、また、positiveでは、Aβの集積があるため白質領域だけではなく 灰白質領域もBPND値が高くなるが、今回の両者の結果はそれらのことを反映していることが 分かる。
次に、手動及びAutoRefでそれぞれからの参照領域を使ったBPND値の比較をFig. 18に示 す。Fig. 18より、BPNDの差は0.099±0.21(標準偏差)、95%限界値の範囲は下限値−0.31上 限値0.51となり、系統誤差は検出しなかったが、比例誤差は検出された(y = 0.17x – 0.050
r2 = 0.86)。
Figure 18: 手動で設定した参照領域から推定したBPNDとAutoRefで設定した参照領域か ら推定したBPNDの比較。健常からアルツハイマー病を含む86症例に対して、アルツハイマー 病の診断読影で使用する後部帯状回と前頭葉から得られたBPNDをBland-Altman plotで 示した。両BPNDの差の平均及び、95%限界値と回帰直線を併記した。系統誤差は検出しな かったが、比例誤差は検出した。[11, Fig. 7]