4.5 結果
4.5.1 シミュレーション結果
シミュレーションを用いてノイズの影響を考慮しない検討を行うため、ダイナミックデータ に対して、ノイズの重畳せずにBPNDを推定した結果がFig. 22である。Fig. 22 (a)はLogan Graphical Analysis法を用いて推定したBPND画像、reffg:NFBP(b)はLogan Graphical Analysis 法とCAKSを組合わせて推定したBPND画像である。視覚的にFig. 22(a), (b)の両手法間BPND
画像に大きな差はなく、両者ともに各スライスの中心の白質領域、及び白質領域を覆う灰白質 領域においてもBPND値の推定が行われていて、白質と灰白質の境界面も判断できることが分 かる。また、BPNDの真値に対する推定値の偏差は、10−8のオーダーであったことから、十分 に小さかった。
Figure 22: シミュレーションを用いて作成したノイズを重畳していないダイナミックデータに
対してBPNDを推定した結果。(a)Logan Graphical Analysis法を用いて推定したBPND
画像。(b) Logan Graphical Analysis法とCAKSを組合わせて推定したBPND画像。
次に、ノイズがBPND値の推定へ与える影響を検討するために、ダイナミックデータに対し て、臨床相当のノイズを重畳してBPNDを推定した結果をFig. 23に示す。Fig. 23の(a)では、
ノイズの影響でBPND値の大きい灰白質スライスでは、白質領域との境界の判断が難しいが、
(b)ではCAKSによってノイズは低減され、又中央の白質領域の境界が描出されている。
Figure 23: シミュレーションを用いて作成した臨床相当のノイズを重畳したダイナミックデー
タに対してBPNDを推定したBPND画像。(a)Logan Graphical Analysis法のみを用いて 推定したBPND画像。(b) Logan Graphical Analysis法とCAKSを組合わせて推定した BPND画像。CAKSによってノイズは低減され、又中央の白質領域の境界が描出されている。
次に、両手法を用いて臨床相当のノイズを重畳したダイナミックデータから推定したBPND 値を纏めた結果をFig. 24に示す。
Figure 24: シミュレーションを用いて作成した臨床相当のノイズを付与したダイナミックデー
タに対してBPNDを推定した結果。横軸はBPNDの真値、縦軸はBPNDの推定値を示し、薄 灰色はLogan Graphical Analysis法のみの結果(y = 0.68x–0.01(r2 = 1.00))、 濃灰色は Logan Graphical Analysis法とCAKSを組み合わせた結果(y = 1.01x–0.01(r2 = 1.00
))で、それぞれのエラーバーを示し、その上に回帰直線を重ねて表示した。CAKSの濃灰色 では推定値が殆ど真値と一致しているが、従来法の薄灰色ではtTAC中のノイズによる影響で 真値に対する過小評価が発生している。
横軸はBPNDの真値、縦軸はBPNDの推定値を示しており、BPNDの値が高い程Aβの集積 量が高いことを意味する。薄灰色はLogan Graphical Analysis法のみの結果、 濃灰色はLogan
Graphical Analysis法とCAKSを組み合わせた結果で、それぞれのエラーバーを示し、その
上に回帰直線を重ねて表示した。また両者の線形関係は、Logan Graphical Analysis法のみで は(y = 0.68x–0.01(r2 = 1.00))、Logan Graphical Analysis法とCAKSを組み合わせた結果 (y= 1.01x–0.01(r2 = 1.00))である。従来法では、真値に対する過小評価が発生している。こ れは、tTAC中のノイズによるLogan Graphical Analysis法の欠点でもある過小評価によるも のだが[24]、一方CAKSを用いてノイズを低減することで直線関係から殆ど真値に近い推定値
を得られ、また、従来法と比べて過小評価が最大で14%改善した。