液面が安定しないといったデメリットがある。容量 10ml で霧化を行った条件におい て、30秒間の成膜を 10回行った際の膜厚を求めたところ、膜厚誤差は 32.8%であっ た。これは Roll to Roll での連続成膜を想定した場合に、送り方向の膜厚誤差になる ことから、装置安定性が極めて悪いと考えられる。以上の結果より、溶液使用量が 100~40%の範囲内で成膜を行うことが有効であると考えられる。
4.3.4 膜物性
フレキシブル基板への成膜を行うために、耐熱上限 105℃の PET 基板、耐熱 上限 150℃の PEN 基板、耐熱上限 400℃の不透明のフイルム基板であるポリイミド (PI)基板について成膜を行った。得られた膜を以下の項目にて評価した。
4.3.4.1 電気伝導性
PET フィルム上に ITO 粒子を成膜した際の、成長初期形態を 観察した結果、凸 ITO 粒子については基板表面での乾燥時にも凝集することなく密に膜を形成する。
すなわち粒子膜中の空間が少なくなり、面内方向の電気伝導性が向上すると考えら れる。SAXS 測定で記述したように水分散性の凸 ITO 粒子は分散液における分散状 態をミスト内においても維持しており、単分散の状態で基板表面へ到達することが できる。一方で C ITO 粒子においては溶液内での分散状態をミスト中で維持するこ とが困難であり、飛来した時点で平均 100nm 前後の凝集体となっていることが考 えられる。これより粒子膜の形成初期において、空孔生成量に大きな差が生じてい ると考察される。
4.3.4.2 光学特性
透明フィルムへの成膜が可能であった焼成温度 105℃、および 150℃の成膜結果 について、分光光度計による透過率測定を行った。可視光域である 400nm~800nm の測定範囲において、どちらの膜も 90%以上の透過率を示した。
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4.3.4.3 フレキシブル耐性
R5mm,60rpm の条件で折り曲げ試験を行った結果を示す。試験回数を 10万回ま
でに設定し、各試行回数の桁において試料を取り外し比抵抗を測定した。抵抗値の 顕著な低下は確認されず、膜構造は維持されていると考えられる。
4.4 本章のまとめ
本章では Roll to Roll 装置を見据えた基板搬送型の成膜装置を開発した。基板搬
送時の課題としては成膜速度が著しく低下することが挙げられる。そこで霧化機を 増設することにより、超音波による発熱の影響を抑えつつ、成膜を行えるようにし た。連続 3 時間の稼働において中の分散液評価を行ったところ、分散状態は維持さ れていることから設計通り動作していることが確認される。霧化機から発生するナ ノ粒子含有ミストについては Spring-8 において SAXS測定を行った。結果ナノ粒子 は分散状態を維持したまま基板まで搬送されていることが確認されており、300nm の膜厚に対して導電性を有する。折り曲げ試験によりこれらの膜を評価したところ、
抵抗値は大きく変化せず実用可能な水準にあると考えられる。
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参考文献
[1] R. Suzuki, Y. Nishi, M. Matsubara, A. Muramatsu, K. Kanie, ACS Appl. Nano Mater., 2020,3, 4870.
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