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本研究が対象とするコミュニケーション

ドキュメント内 1.2 研究の概要 (ページ 59-64)

第 3 章 思考状態推定に基づく

3.1.1 本研究が対象とするコミュニケーション

本研究はコミュニケーションの進行・記録の支援を目指すものである.ここではまず,

本研究が対象とするコミュニケーションの定義を明確にする.

コミュニケーションは,それが同期的に行われるか否かで同期コミュニケーションと非 同期コミュニケーションに分類できる.対面して行う会話や電話は同期的コミュニケー ション,電子メールや手紙は非同期コミュニケーションの代表例である.同期コミュニ ケーション・非同期コミュニケーションのどちらも人間が社会生活を営む上で不可欠なも のであるが,その性質は両者で大きく異なり,それゆえ内包する問題や解決方法も異なる 場合が多い.このうち,本研究では同期コミュニケーションを対象とする.なお,非同期 コミュニケーションに関しては,コミュニケーションを円滑に進めるための手法[138]や,

コミュニケーションのログを解析する手法[82, 83]等が近年においても多数提案されてい るので,そちらを参照されたい.

次に,コミュニケーションを目的という観点から分類するために,深田によるコミュニ ケーションの分類を再掲する[9].

(1) 課題解決

解決が必要な課題に関して相手から情報や援助を求める,相手との間で解決すべき 課題に関して交渉や取り引きを行う等のことを目的としたコミュニケーション.

(2) 情報・知識の伝達

自分が知っている情報や知識を相手に伝達することを目的としたコミュニケーション.

(3) 情報・知識の獲得

自分自身に関する情報,相手に関する情報,他者・状況・環境等の外界に関する情 報の獲得を目的としたコミュニケーション.

(4) 相手に対する影響力行使

相手の態度や行動を変えようと説得する,命令や強制等で相手を支配する,相手を 騙す,相手を援助する等のことを目的としたコミュニケーション.

(5) 対人関係の形成・発展・維持

相手との間に友好的な対人関係を形成する,発展させる,維持する等のことを目的 としたコミュニケーション.

(6) 娯楽の享受

退屈や孤独の気持ちを晴らすことを目的としたコミュニケーション.

本研究では,上記定義の中で“課題解決”,“情報・知識の伝達”および“情報・知識の獲 得”を目的としたコミュニケーションを研究の対象とし,これらの進行・記録を支援する 手法の提案を行う.これらのコミュニケーションは課題解決のための方法を思案する,知 識を伝達・獲得するために頭を働かせる等,思考を行うことに重きが置かれているという 特徴がある.一方,“相手に対する影響力行使”,“対人関係の形成・発展・維持”,“娯楽 の享受”のコミュニケーションでは自分の欲求を満たす,会話することを楽しむ等に重き が置かれているという違いがある.本研究の位置付け,および関連研究との関係を図3.1 に示す.また,コミュニケーションの円滑な進行・記録の活用を支援する研究事例と本研 究の比較をそれぞれ表3.1,表3.2に示す.

コミュニケーションの種類

娯楽の 享受 対⼈関係 の形成・

維持・

発展 相⼿への 影響⼒

⾏使 情報・

知識の 獲得 情報・

知識の 伝達 課題解決

コミュニケーションの種類

娯楽の 享受 対⼈関係 の形成・

維持・

発展 相⼿への 影響⼒

⾏使 情報・

知識の 獲得 情報・

知識の 伝達 課題解決

Montage(2.4.2節) SCACS (2.4.1項)

MAJIC(2.4.5項) Valentine(2.6.1.3項)

Hydra(2.4.3項), cAR/Pe!(2.4.4項) e-MulCS(5.1節)

MeetBall (2.4.7項)

(2.4.8項)Paw2

MeetingBrowser (2.5.3項)

CMINER, 反響特性分析

(2.5.9項)

ToolEGI (2.5.10項)

FXPAL conference Room(2.5.3項)

本研究

個⼈体験映像の記録(2.6.3.3項)

図 3.1: 本研究の位置付け

表 3.1: 円滑な進行を支援する研究事例との比較 システム名 主に利用する情報 特徴

MAJIC 視線 遠隔環境において,対面環境と同等の視線一致・

(2.4.5項) 位置関係 位置関係を構築することで,同一空間にいる

ような一体感・臨場感を提供する.

VirtualActor ジェスチャ ユーザの発話に対してアバタがジェスチャ・

InterActor 頷き 頷きを行うことで,ユーザの発話意欲を高め

(2.4.6項) コミュニケーションに引き込む.

MeetBall 音声 発言内容を映像で補足したり,ユーザ間の

(2.4.7項) 発言の偏りを補正して各ユーザに発言機会を

与えるたりすることで,コミュニケーションを 活性化させる.

本研究 脳波 思考状態を提示することで,ユーザは相手の 頭の働き具合に応じた行動をとることができる.

また,自分の頭の働き具合の低下に気付くこと ができる.これにより,コミュニケーションが 停滞せず円滑に進むことを支援している.

表 3.2: 記録の活用を支援する研究事例との比較

システム名 主に利用する情報 特徴

MeetingBrowser 音声 発話量と会議記録を関連付けて記録することで,

(2.5.3項) 映像 議論が活発に行われた会議シーンを効率的に

参照することができる.

個人体験映像の 脳波 ユーザの日常生活の映像と脳波情報を

記録 映像 関連付けて記録することで,ユーザが興味を

(2.6.3.3項) 持ったシーンを発見できる.

本研究 脳波 コミュニケーション中の映像と参加者の脳波・

音声 発話情報を関連付けて記録することで,

映像 コミュニケーションの重要シーンを把握できる ダイジェストの生成を支援する.

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