A case of perforated sigmoid colon treated with conservative therapy.
鳥取県立中央病院(Department of surgery)
河野 友輔(Yusuke Kono)、木原 恭一、遠藤 財範、鈴木 一則、中村 誠一、澤田 隆、
清水 哲
症例は46歳、生来健康な男性。2015年5月突然の下腹部痛にて当院救急外来を受診した。腹部レントゲン、CTでは
明らかなfree air は認めず、S状結腸の壁内に8mm大のアーチファクトを引く高吸収結節を認め、壁外には線上の高吸
収域を認めた。S状結腸周囲には脂肪織混濁を認めるも、明らかなcavityの形成は認めず、腹水も認めなかった。また、
異物の内容としては異物の誤飲や直腸内への挿入のエピソードなどはなく、3週間前の検診での上部消化管造影のみで あり、バリウムの憩室内濃縮が最も考えられた。血液検査ではWBC 14870/ȝ/&53PJ/G/で、その他異常は見られ なかった。全身状態良好でバイタル安定しており、腹部所見も下腹部に限局した腹膜炎所見であったため、腸間膜内へ のS状結腸穿通を疑い、厳重経過観察で保存的加療とした。発症当日よりMEPM3g/day、絶飲食として加療開始した。
第二病日にはWBCの低下を認めるも、第四病日にはWBC 15840/ȝ/ CRP 29.76と上昇を認めた。第二病日のCT所見 では異物は腸管外に認め、第四病日には腸間外に高吸収が限局して離散しており、もとの結節が崩壊したと考えられた。
また骨盤内に腹水を認めるも、S状結腸周囲への明らかなcavity形成は認めず、脂肪織混濁もやや減少してきているよ うで、反応性の腹水と考えられた。腹部所見も軽快傾向であり保存的加療を継続した。第八病日に水溶性造影剤にて注 腸造影検査施行したところS状結腸に外に凸の1cmほどの腔を認めるが、腹腔内への造影剤の拡散は認めなかった。同 日より流動食開始し、現在も腹部症状軽快し経過している。上部消化管造影検査後のバリウム停滞による大腸穿孔の症 例報告は散見される。原因としては停滞による血流障害の誘発と、腸管脆弱部の内圧上昇による損傷とされており、大 半は汎発性腹膜炎にて緊急手術となっている。今回、厳重経過観察にて保存的に加療した大腸穿孔を経験したため報告 する。
P08-8
大量下血をきたした非特異性多発性小腸潰瘍の 1 例
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1)大阪府三島救命救急センター(Osaka mishima emergency critical care center)、2)医療法人 明和病院、
3)大阪医科大学付属病院 臨床研修センター
富岡 淳(Atsushi Tomioka) 1)、松野 潤 3)、根来 孝義 1)、竹中 雄也 2)、秋元 寛 1)
【症例】78歳、男性 【主訴】下血【既往】開腹虫垂切除術(右傍腹直筋切開)、縦隔膿瘍、ヨードアレルギー【現病歴】
悪寒戦慄を伴う発熱を契機に前医へ入院し、focus不明であったため抗菌薬投与で経過観察とされていた。前医入院1日 目(入院翌日)の夕方より持続的な下血を認め、RBC6単位輸血後も貧血の改善を認めなかったため、前医入院2日目 の朝に当院搬送となった。来院時、血圧92/60mmHg 心拍数114bpm SpO2 100%(酸素/) 体温37.1度、Hb5.8g/
dl Ht16.9% であった。ヨードアレルギーのため、ヒドロコルチゾン500mgを静脈注射し、30分後にダイナミックCTを
施行したが、H[WUDYDVDWLRQを認めなかった。輸血を行った上で、バイタルは安定していたため経過観察目的にICUへ入 院とした。しかし、入院5時間後に、比較的新鮮血の大量下血を認め、再度ダイナミックCTを施行したところ、回盲 部から約30cm口側の回腸内にH[WUDYDVDWLRQを認めた。小腸出血の診断で緊急手術を施行した。20cmの中腹部正中切開 で開腹すると回腸末端から口側100cmまで、漿膜面に点状出血、漿膜のひきつれ、腸間膜リンパ節腫大、腸間膜の肥厚・
短縮を散見した。回腸100cmを含む回盲部切除術を施行した。標本の粘膜には円形の浅い境界明瞭な潰瘍と潰瘍瘢痕が 多発しており、回盲部から30cm程度までは血腫も伴っており、出血の原因になっていたと考えられた。潰瘍の所見か らは非特異性多発性小腸潰瘍として矛盾しなかった。また発熱は腸粘膜からbacteremiaを起こしたものと考えられた。
小腸潰瘍の中で同疾患は比較的頻度が高いが、小腸潰瘍自体がまれである。さらに大量出血が起こる頻度は高くない事 を考慮すると、同疾患で緊急手術が必要な症例は比較的まれであり、若干の文献的考察を加えて報告する。
教育講演
シンポジウム
パネルディスカッションワークショップ
シンポジウム 関連演題 パネルディスカッション関連演題 一般演題
P08-9
小腸穿孔を契機診断し得た肺癌小腸転移の 1 例
A case of lung cancer with metastasis to small intestine causing perforative peritonitis
小牧市民病院(Department of Surgery, Komaki City Hospital)
上嶋三千年(Michitoshi Uejima)、神崎 章之、村上 弘城、横山 裕之、望月 能成、谷口 健次
原発性肺癌の遠隔転移は、肝、脳、骨、副腎などに多く認められ、消化管への転移の頻度は少ない。特に生前に診断 される肺癌の小腸転移は比較的稀で頻度は0.5% と報告されている。多くの発見契機は穿孔による腹痛によって診断さ れることが多い。診断時には腹膜播種を伴うことが多く、予後は3ヶ月程度と非常に悪い。
症例は79歳男性。扁平上皮癌T2N0M0stageⅢAに対して当院呼吸器内科で化学療法施行中。突然の腹痛を主訴に来
院され、CT上free airを認め、消化管穿孔疑いにて当科紹介となる。診察時、腹部板状硬であり、採血上WBC
5600,CRP29.93とCRPの上昇、CTでは下腹部中心にfree airと腹水を認めた。下部消化管穿孔の診断で同日緊急手術。
Treitz靭帯より約110cmの小腸に穿孔を認め、小腸部分切除 + 開腹ドレナージ術施行。病理診断にてsquamous cell
carcinoma、肺癌の小腸転移の診断。術中その他腹腔内転移、腹膜播種は検索し得る限りでは認めなかった。穿孔の原因
としては、血栓、腫瘍塞栓などが原因での腸管虚血や腫瘍壊死など鑑別に挙がるが、腸管壁への腫瘍浸潤ではないかと 考えられる。術後1ヶ月よりレジメン変更し化学療法開始、術後6ヶ月生存中である。
今回われわれは小腸穿孔を契機に診断し得た肺癌小腸転移の1例を経験したため若干の文献的考察を加え、報告する。
P09-1
急性胆嚢炎に対する治療戦略と手術成績
The strategy and performance of surgery for acute cholecystitis
市立池田病院(Ikeda City Hospital)
瀧内 大輔(Daisuke Takiuchi)、森本 修邦、児玉 紘幸、松本 遼太、森 総一郎、足立 真一、
酒田 和也、平尾 隆文、太田 博之、柴田 邦隆
急性胆管炎・胆嚢炎ガイドライン(TG13)では、急性胆嚢炎に対して軽症であれば早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術を、中 等症であれば早期の胆嚢摘出術または胆嚢ドレナージを推奨している。当院では中等症に分類される壊疽性胆嚢炎を含 めて軽症・中等症の急性胆嚢炎に対しては腹腔鏡下胆嚢摘出術を第一選択としている。また胆道損傷に対する対策とし
て、Critical View of safetyの確認以外に術中胆道造影を施行している。術中胆道造影は手術時間が長くなるという欠点は
あるが、緊急手術のため術前にMRIやDIC-CTで胆道の評価ができなかった症例でも術中に胆道の走行を確認でき、術 中に総胆管結石や胆道損傷を評価できるといった利点があるため、当院では悪性を疑う所見を認めない場合は原則全例 に施行している。2007年1月から2014年12月までに当院で施行した急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術症例160 例の手術成績について検討したところ、腹腔鏡下胆嚢摘出術の完遂率は78.8% で、平均手術時間は2時間0分、平均出 血量は10mlであった。術後平均在院日数は8日で、術後合併症を発症した症例は23例(14.4%)、このうち胆道系合併 症は4例(2.5%)で、胆管炎と胆汁漏が各2例ずつ認められた。また術中に総肝管を一部損傷した症例が1例あったが、
術中胆道造影にて漏出が確認されたため修復してCチューブを留置することができた。当院における急性胆嚢炎に対す る治療戦略は妥当であり、術中胆道造影を施行することでより安全な手術を施行できる可能性も示唆された。
教育講演
シンポジウム
パネルディスカッションワークショップ
シンポジウム 関連演題 パネルディスカッション関連演題 一般演題
P09-2
急性胆嚢炎に対する緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応について
福岡徳洲会病院 外科
棟近 太郎、川元 俊二、永尾 修二、前野 博、柳澤 純、柴田 亮輔、岡本 辰哉、石井 泰、
能美 昌子、米満 候宏、田中 敬太、平野 陽介
【目的・方法】TG13では、急性胆嚢炎に対しGrade分類に基づき、治療方針を決定することが推奨されている。今回過 去5年間の腹腔鏡下胆嚢摘出術のうち、TG13急性胆嚢炎診断基準で確診を得られた95例を対象に、緊急手術群(E)、
待機手術群(P)ならびに両群間において、手術時間、出血量、術後合併症の結果について、術者(Op: スタッフvs後 期研修医)、Grade(G:GradeI vs II)、発症から手術までの時間(T: ≦24hr vs 72hr<、≦48hr vs 72hr<、≦72hr vs 72hr<)
の因子が与える影響について後方視的に検討した。
【結果】症例の内訳はE群32例(GradeI 28/II 4)、P群63例(GradeI 41/II 20 /III 2)であった。E群において、G・T因 子は結果に影響を与えず、Op因子ではスタッフが術者の場合、手術時間が短い結果であった。P群においてGradeIIで 手術時間が有意に長かった。E/P群間では手術時間、出血量において差は認めず、術後合併症数はE群0例、P群4例 であった。その他の結果において影響する因子は認めなかった。
【考察】緊急手術はT因子に影響を受けず、積極的に検討してよいと考えられた。また術者間で手術時間で差は出たも のの、安全性に関して差はなかったため、後期研修医が術者となることは問題ないと思われた。
P09-3
急性胆嚢炎に対する緊急手術後合併症の予後因子の解析
Prognostic factors of complications after emergent operation for acute cholecystitis
川崎医科大学 消化器外科(Department of Digestive surgery)
上野 太輔(Daisuke Ueno)、安藤 陽平、河合 昭昌、遠迫 孝昭、窪田 寿子、村上 陽昭、
東田 正陽、中島 洋、松本 英男、平井 敏弘
【初めに】当科における急性胆嚢炎における緊急手術の周術期成績を解析し、術後合併症の予後因子を検討した。
【対象と方法】2007年1月〜2015年5月までに当科で緊急手術を行った患者182例を対象とした。術後合併症はClavien
Dindo分類を用いて評価し、grade III以上の合併症に関して検討した。患者背景、術前血液検査所見、周術期成績、病理
学的所見について検討し、術後合併症における予後因子を単変量解析・多変量解析を用いて検討した。単変量解析は
:LOFR[RQ検定を、多変量解析はロジスティック回帰分析を用い、p<0.05を統計学的有意差ありと定義した。
【結果】合併症あり群(A群)が38例、合併症なし群(B群)が144例であった。合併症なし群の平均在院日数は10.7 日、合併症あり群の平均在院日数は27.8日であった(p<0.01)。単変量解析では、年齢(75歳以上)(p<0.01)、肝硬変 の既往歴(p<0.01)、腹部手術の既往歴(p=0.04)、担癌歴(p=0.01)、重症例(TG 13より)(p<0.01)、開腹症例(conversion を含む)(p<0.01)、出血量(100ml以上)(p<0.01)、術中輸血例(p<0.01)、ICU入室例(p<0.01)、APACHE II高値(score
≧10)(p<0.01)、壊疽性胆嚢炎(p=0.04)が有意な予後因子となった。多変量解析では、肝硬変の既往歴(p=0.03)、開 腹症例(p<0.01)が独立した予後因子であった。
【結語】術後合併症の予測因子は肝硬変、開腹症例であった。上記に該当した症例の場合、ドレナージ後の待機手術や、
手術を行った際にはより一層合併症発症に注意する必要があると考えられた。