労働時間 Ⅷ 労働時間
2 育児・介護休業法
育児・介護休業法では、育児又は家族介護を行う労働者の雇用継続等に対す る保護・支援のための制度を定めていますが、その中心にある育児・介護休業 の取得については、一定の条件付で契約社員等の有期雇用労働者にも適用され ます。
(1) 育児休業 ①育児休業の取得
育児休業は、原則として1歳に満たない子を養育する労働者からの申出 により、子の1歳の誕生日の前日までの期間で、一人の子につき原則1回 取得することができます。
有期契約労働者(ただし、日々雇用される者は含まれません。(育児・
介護休業法2条1号))についても、以下の(ア)(イ)の両方を満たせ ば、育児休業の取得の申出が可能です(同法5条1項)。
(ア) 同一の事業主に引き続き1 年以上雇用されていること
(イ) 子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、
更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
※(イ)を満たさないケースについては、次のようなものが考えられます。
◦労働契約の更新回数の上限が明示されていて、その最後の契約期間満了日が、子 が1歳6か月に達する日より前である場合
◦労働契約を更新しない旨が明示されていて、その期間満了日が、子が1歳6か月 に達する日より前である場合
ただし、このようなケースでも、(1)雇用の継続の見込みに関する事業主の言 動、(2)同様の地位にある他の労働者の状況、(3)当該労働者の過去の契約の更 新状況等の実態を見て判断することがあります。
また、(ア)(イ)に該当するか否かにかかわらず、形式上は期間の定め があっても、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となってい る場合には、育児休業の対象となります(子の養育又は家族の介護を行 い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活の両立が図られるよ うにするために事業主が講ずべき措置に関する指針)。
②1歳6か月までの延長
また、以下の場合などには、子の1歳6か月の誕生日の前日まで育児休 業を延長することができます(育児・介護休業法第5条第3項、同法施行 規則第6条)。
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母性保護・育児休業・介護休業
・子の養育を行っている配偶者であって、1歳以降子を養育する予定で あった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難 になった場合
有期契約労働者についても、以下の(ア)(イ)の両方を満たせば、延 長が可能です。
(ア) 同一の事業主に引き続き1 年以上雇用されていること
(イ) 子が1歳6か月に達する日までに、契約期間が満了し、更新がされな いことが明らかでないこと
③2歳までの再延長
さらに、以下の場合などには、子の2歳の誕生日の前日まで育児休業を 延長することができます(育児・介護休業法第5条第4項、同法施行規則 第6条の2)。
・保育所に入所を希望し、申込みをしているが、入所できない場合
・子の養育を行っている配偶者であって、1歳6か月以降子を養育する予 定であった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが 困難になった場合
有期契約労働者についても、申出時点において、以下の(ア)(イ)の 両方を満たせば、延長が可能です。
(ア) 同一の事業主に引き続き1 年以上雇用されていること
(イ) 子が2歳に達する日までに、契約期間が満了し、更新がされないこと が明らかでないこと
④労使協定による適用除外
有期契約労働者が次の(ア)〜(ウ)のいずれかに該当する場合には、使 用者が労働者の過半数を組織する労働組合との間の、そのような労働組合 がない場合には、労働者の過半数を代表する者との間の協定(労使協定)で 育児休業を認めないと定めれば、使用者は育児休業の申出を拒否すること ができます(育児介護休業法6条1項ただし書き、同法施行規則8条)。
(ア) 雇用されて1年に満たない者
(イ) 休業申出の日から起算して1年以内、休業延長の日から起算して6か 月以内に雇用契約が終了することが明らかな者
(ウ) 1週間の所定労働日数が2日以下の者
母性保護・育児休業・介護休業
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また、育児休業と同様に、(ア)(イ)に該当するか否かにかかわらず、
期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、
介護休業の対象となります(子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこ ととなる労働者の職業生活と家庭生活の両立が図られるようにするために 事業主が講ずべき措置に関する指針)。
(3) 休業期間の給与・給付
育児・介護休業期間を有給にするか、無給にするかは、就業規則等の定め に従います。
(2) 介護休業 ①介護休業の取得
介護休業は、負傷、疾病、身体上もしくは精神上の障害により、2週間 以上にわたって常時介護を必要とする状態(「要介護状態」といいます。)
にある家族を介護するための休業です。対象となる家族1人につき、要介 護状態に至るごとに1回、通算93日休業することができます。3回まで 分割して取得することが可能です。介護休業の対象となる家族は、その労 働者の配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
有期契約労働者(ただし、日々雇用される者は含まれません。(育児・
介護休業法2条1号))についても、以下の両方を満たせば、介護休業の 取得の申出が可能です(同法5条1項)。
(ア) 同一の事業主に引き続き1 年以上雇用されていること
(イ) 介護休業開始予定日から93日経過する日から6か月を経過する日ま でに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了す ることが明らかでないこと
※(イ)を満たさないケースについては、次のようなものが考えられます。
◦労働契約の更新回数の上限が明示されていて、その最後の契約期間満了日が、介 護休業取得予定日から起算して93日経過日から6か月経過する日より前である場 合
◦労働契約を更新しない旨が明示されていて、その期間満了日が、介護休業取得予 定日から起算して93日経過日から6か月経過する日より前である場合
ただし、このようなケースでも、育児休業の場合と同様に実態を見て判断するこ とがあります。
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母性保護・育児休業・介護休業
また、雇用保険に加入している労働者には、育児休業中、育児休業給付金 として、原則として休業開始時賃金月額の67%、育児休業の開始から6か 月経過後は50%が支給されます。また、介護休業中、介護休業給付金とし て、原則として休業開始時の賃金月額の67%が支給されます。
(4) その他の有期契約労働者にも適用される制度
育児・介護休業法で定める、育児・介護と仕事の両立支援に関する規定は、
一部例外を除き、契約社員を含む有期労働者にも適用されます。
◆子の看護休暇(育児・介護休業法16条の2)
◆介護休暇制度(同法16条の5)
◆3歳までの子を養育する労働者の所定時間外労働の免除(同法16条の8)
◆介護をする労働者の所定時間外労働の制限(同法16条の9)
◆育児・介護を行う労働者の時間外労働の制限(同法17条・18条)
◆育児・介護を行う労働者の深夜業制限(同法19条・20条)
◆勤務時間短縮等の措置(同法23条、24条)
◆労働者の配置に関する配慮(同法26条)
雇用保険と社会保険