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図4.11〜4.16を見ると、空間周波数の特徴として大きく2つのグループに分けることが できる。それは「さらさら」や「つるつる」と言った濁音を含まないオノマトペとその他 の濁音を含むオノマトペである。さらに以下の箇条書きで示すことも考察できる。

「さらさら」と「つるつる」は水平方向・垂直方向のみの低〜高空間周波数を多く 含む。

「さらさら」と「つるつる」の違いは、高空間周波数帯のパワースペクトルの分布 の違いによって生じる。

「ごつごつ」はパワースペクトル画像で見られた灰色の四角形を描くような空間周 波数を含む。

「ざらざら」は、パワースペクトル画像で見られた灰色の円のように波の方向が違 う空間周波数を多く含む。

「でこぼこ」は、振幅が大きい低空間周波数を多く含む。

「つぶつぶ」は、「でこぼこ」と同じようなパワースペクトル分布をしているが、低

〜中空間周波数まで含んでおり、振幅も大きい。

図 4.25: 「さらさら」に属する凹凸画像のパ ワースペクトルの加重平均グラフ

Spatial Frequency (cycle per image)

100 101 102 103

Power Spectrum

102 103 104 105 106 107

Weighted Ave Dekoboko

図 4.26: 「でこぼこ」に属する凹凸画像のパ

ワースペクトルの加重平均グラフ

Spatial Frequency (cycle per image)

100 101 102 103

Power Spectrum

102 103 104 105 106 107

Weighted Ave Tsubutsubu

図 4.27: 「つぶつぶ」に属する凹凸画像のパ

ワースペクトルの加重平均グラフ

Spatial Frequency (cycle per image)

100 101 102 103

Power Spectrum

102 103 104 105 106 107

Weight Ave Tsurutsuru

図 4.28: 「つるつる」に属する凹凸画像のパ

ワースペクトルの加重平均グラフ

以降の文章は、箇条書きで触れた点について解説する。

まず、「さらさら」や「つるつる」のパワースペクトル画像に注目してみる。図4.13、

4.16に見られる共通点として、水平周波数軸と垂直周波数軸上に白い線が見られ、十字模 様を描いている。パワースペクトル画像は、空間周波数と波の方向そして明度がその空間 周波数のパワースペクトルを表している。したがって、軸上で十字模様を描いているとい うことは、水平方向のみの空間周波数と垂直方向のみの空間周波数が低〜高周波数まで含 んでおり、それらが重なり合わさることで平面に近い2次元波になる。しかし、図4.29、 4.30で示すように、凹凸の全くない平坦な画像、つまり濃淡がないと図4.30のように中 央のみにパワースペクトルが見られる分布となる。したがって、色の濃淡の変化はあるが 極めてゆっくりであると「さらさら」もしくは「つるつる」と感じる。

「さらさら」と「つるつる」を感じる差を確かめるためにパワースペクトルの加重平 均グラフである図4.25と図4.28を見る。すると、図4.25の赤丸内の高空間周波数帯のパ ワースペクトルに盛り上がりが見られる。対して、図4.28の高空間周波数帯に盛り上が りは見られない。つまり、この高空間周波数帯の盛り上がりによって、高空間周波数帯の 振幅が強まり、高空間周波数の色の濃淡変化が強調されることで、「さらさら」と感じる と考える。「つるつる」は、図4.28で示すように高空間周波数に盛り上がりがなく、平坦 であるため「つるつる」と感じると考える。

次に、濁音を含むオノマトペのパワースペクトル画像に注目する。「ごつごつ」のパワー スペクトル画像を見ると、十字模様と図4.31のように灰色の四角形がうっすらと表れて いるのがわかる。「ごつごつ」に属する凹凸画像の図4.5を見ると、パワースペクトル画 像で見られた灰色の四角形の大きさに対応して、図4.32のように凹凸の粒の大きさが異 なることがわかる。図4.32の画像10と42を見ると、凹凸の粒の大きさや形状が類似し ている。それに対応するパワースペクトル画像も似たような灰色の四角形が見られる。パ ワースペクトル画像で見られた灰色の四角形が小さくなると、凹凸の粒も小さくなってい る。つまり、パワースペクトル画像で見られる灰色の四角形の大きさと凹凸の粒の大きさ が関連し、高空間周波数を含むと凹凸の輪郭が強調される。それが色の濃淡に反映される ことによって「ごつごつ」と感じると考えられる。

「ざらざら」のパワースペクトル画像を見ると、図4.33のように灰色の円が見られる。

これは波の方向が異なる空間周波数が重なることによって、色の濃淡変化がない箇所に濃 淡変化が加わったため、凹凸の密度が高くなったと考える。「ざらざら」に属する凹凸画 像の図4.6を見ると、凹凸は細かい。6つのオノマトペのパワースペクトル加重平均グラ フを重ねた図4.34を見ると、他の加重平均グラフよりも、青色の実線で表示される「ざ らざら」のパワースペクトルの減衰が緩やかである。つまり、高周波数帯のパワースペク トルが強いため、濃淡変化が激しくなることによって凹凸の密度が高くなり、「ざらざら」

と感じると考えられる。

「でこぼこ」と「つぶつぶ」の2つに注目する。それぞれ属する凹凸画像である図4.8、 4.9を見ると、「つぶつぶ」である画像は画像46を除いて「でこぼこ」にも属している。

「でこぼこ」に属する凹凸画像に注目すると、凹凸の粒が大きい。そして、「でこぼこ」

のパワースペクトル画像を見ると、図4.35のように低周波数帯の明度が上がり、白くなっ ている。つまり、低周波数の影響を強く受けている。低空間周波数は色の濃淡の変化が ゆっくりであるため、凹凸の間隔が広く、粒が大きく感じられる。これによって、「でこ ぼこ」と感じられるのではないかと考えられる。

また、「でこぼこ」と「つぶつぶ」を見比べると、「つぶつぶ」の凹凸画像の方が凹凸の 密度が高く感じられる。「つぶつぶ」のパワースペクトル画像を見ると、図4.36のように

「でこぼこ」よりも低〜中周波数帯までの明度が高く見られる。つまり、その周波数帯の パワースペクトルが大きいため、色の濃淡の変化がより激しくなる波となる。これを確か めるために、「でこぼこ」・「つぶつぶ」のそれぞれのパワースペクトルの加重平均グラフ を重ねた図4.37を見る。すると、青色の実線で表される「つぶつぶ」に属するパワース ペクトルの方が低〜中空間周波数帯でのパワースペクトルが大きい。「つぶつぶ」は、低

〜中空間周波数の影響を強く受けることで色の濃淡の変化が「でこぼこ」よりも激しくな ることによって中周波数帯の凹凸の密度が高くなり「つぶつぶ」と感じるのではないかと 考える。

図 4.29: 「さらさら」や「つるつる」に属す るパワースペクトル画像

図 4.30: 濃淡なしの凹凸の全くない平坦な画

像のパワースペクトル画像

図 4.31: 「ごつごつ」に属するパワースペク

トル画像に見られる灰色の四角形

図 4.32: 「ごつごつ」に属する凹凸画像にお

ける凹凸の粒の大きさ

図 4.33: 「ざらざら」に属するパワースペク トル画像に見られる灰色の円

Spatial Frequency (cycle per image)

100 101 102 103

Power Spectrum

102 103 104 105 106 107

Weighted Ave Zarazara Weighted Ave Gotsugotsu Weighted Ave Sarasara Weighted Ave Dekoboko Weighted Ave Tsubutsubu Weighted Ave Tsurutsuru

図 4.34: 6つのオノマトペのパワースペクト

ル加重平均グラフ

図 4.35: 「でこぼこ」に属するパワースペク

トル画像に見られる低周波数帯の明度の上昇

図 4.36: 「つぶつぶ」に属するパワースペク

トル画像に見られる低〜中周波数帯の明度の 上昇

Spatial Frequency (cycle per image)

100 101 102 103

Power Spectrum

102 103 104 105 106 107

Weighted Ave Dekoboko Weighted Ave Tsubutsubu

図 4.37: 「でこぼこ」と「つぶつぶ」のパワースペクトルの加重平均グラフ

5

まとめと今後の課題

5.1 まとめ

本研究は、凹凸を構成する物理量の一つである空間周波数に注目し、感性値と空間周波 数の特徴の関連性を探った。また、視覚刺激用の凹凸画像群としてインターネットから画 像を収集し、それらの印象評価を行うための感性値としてオノマトペを用いた。これらを 用いて実験を行い、結果から凹凸画像群をオノマトペごとにグループ化し、2次元フーリ エ変換を用いて空間周波数空間に変換した。空間周波数空間を分析するために、スペクト ル解析を用いて各オノマトペにおける空間周波数の特徴を考察した。

結果として、それぞれのオノマトペごとに空間周波数の特徴を発見することができた。

具体的には、「さらさら」と「つるつる」は水平方向・垂直方向のみの低〜高空間周波 数を多く含んでおり、それらが重なり合わさることで色の濃淡変化は生じるが極めてゆっ くりな変化となる。これによって、「さらさら」もしくは「つるつる」と感じると考えら れる。「さらさら」と「つるつる」の違いは、高空間周波数帯のパワースペクトルの分布 の違いによって生じている。

また、「ごつごつ」はパワースペクトル画像で見られた灰色の四角形を描くような空間 周波数を含むと感じ、その灰色の四角形の大きさによって凹凸の粒の大きさが変わる。

「ざらざら」は、パワースペクトル画像で見られた灰色の円のように波の方向が違う空 間周波数を多く含んでおり、パワースペクトルの減衰が緩やかであるから高空間周波数の 振幅の影響を強く受ける。これによって、「ざらざら」と感じると考える。

「でこぼこ」は、振幅が大きい低空間周波数を多く含む。低空間周波数の影響を強く受 けることによって、色の濃淡変化がゆっくりになり、凹凸の間隔が広く、粒が大きく感じ られる。これによって、「でこぼこ」と感じると考える。

「つぶつぶ」は、「でこぼこ」と同じようなパワースペクトル分布をしているが、低〜

中空間周波数まで含んでおり、振幅も大きい。「でこぼこ」よりも中空間周波数の影響を 強く受けるために、色の濃淡変化が激しくなることで凹凸の密度が高くなり「つぶつぶ」

と感じると考える。

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