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2.10 考察

件」が他の条件と比較しスコアが高いのは, 視点と身体のずれを修正するために多く首を 振った結果, 顔の動きによる前庭覚と視覚の不一致がより多くもたらされたためと考えら れる.

SubScoreのOculomotor(眼精疲労)に有意な効果が認められたのは,「ずれあり条件」と

「オート条件」がスコアが高かったためと考えられる. 「ずれあり条件」では, 視点のみが本 来の位置より左に15cmずれた状態で作業を行ったため視点と自己受容感覚のずれからスコ アが高くなり, 「オート条件」では, 左右の視点移動の切り替わりが被験者の意思とは無関 係で急に行われたためスコアが高くなってしまったと考えられる.

TotalScoreSubScoreDisorientaion(めまい), グラフが横ばいになっているため, 有意な効果が認められなかったと考えられる. SubScoreのDisorientation(めまい)が横ば いなグラフになったのは, ブロックコピー課題では自身の体を大きく動かす動作や運動は必 要ないため, Disorientationに関連するような体全体の視覚と前庭覚の不一致は生じなかっ たためと考えられる.

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まとめ

近年安価なHMDが発売され, 多くの人がHMDを用いてバーチャルリアリティ(VR)を 楽しむことが可能になっている. VRを用いることで, 現実では不可能な事象を体験するこ とも可能である. その1つとして, HMDとカメラを用いることにより自身の視覚のみを身 体から切り離すことが可能である. また、今後はロボットを用いた救急車内での医師による 遠隔治療や, 防護服なしでの危険区域での活動など複数の分野においてVR上で自身の視覚 のみが身体から切り離された状態で作業を行うことが考えられる. そこで本実験では, VR 環境において, 身体と視点が不一致な状態で作業を行う際の自己身体に及ぼす効果について 検討した.

今回の研究からVR環境における視点操作により, 自己身体に異なる影響を及ぼすことが 示された. 受動的に視界が変化する条件では課題完了時間が長くなった. 身体と視点に物理 的なずれがある条件では, 多く首を動かしてしまう効果が見られた. また身体と視点の不一 致により気持ち悪さや眼精疲労の映像酔いの症状がより大きく引き起こされ, 人差し指の位 置判断にも影響があった. しかし, SSQのトータルスコアと映像酔いで発生するめまいにつ いては, 条件ごとにおける視点操作の影響を受けなかった.

謝辞

本研究を進めるにあたって, 多くのご指導と多大な助言を下さった高知工科大学情報学群 の繁桝博昭先生に深く感謝いたします. またお忙しい中で副査を努めご指導いただきました 任向實先生と中原潔先生に感謝いたします. 自分たちの研究や講義などで忙しいにもかかわ らず被験者として実験に参加いただいた繁桝研究室のみなさん, 友人たちに感謝いたします. 本当にありがとうございました.

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