第 6 章 提案手法の検証実験 40
6.5 考察
6.5.1 QoS 設定プログラムの性能調査に対する考察
QoS
設定プログラムの性能調査ではQoS
情報取得の処理はどちらのQoS
設定サービス でも同じ処理を行うため同様の時間で返答が返ってきた。QoS設定処理では有線LAN
で は情報取得と比較して160 ms
程度の増加とあまり時間の増加がないが、無線LAN
では 返答までの時間の差が1
秒以上と大きな差が出た。これは有線
LAN
の設定ではスイッチに命令を送る通信にシリアル通信を利用するためス イッチに命令を一方的に送るだけで設定が可能なのに対して、無線LAN
の設定はWeb
イ ンターフェースを利用するため、HTTP
通信時にTCP
での相互通信の処理が必要となり、シリアル通信と比較して処理に時間がかかることが原因だと考えられる。また、
Cube-Lite
とThinkpadX32
との差は今回のケースでは最大でも200 ms
程度と小さく、プログラム の動作がPC
の処理能力の依存しにくいと考えられる。この結果から、内部で設定変更を 行う処理ならば、非常に短い時間でQoS
の設定が可能であり、またQoS
設定用PC
は処理能力が高くないものでも処理にかかる時間に大きな変化がなく、Cube-Liteほどの性能 の
PC
でも処理能力に問題がないといえる。6.5.2 QoS 設定プログラムの負荷の検証に対する考察
無線
LANQoS
設定時は全体的にCPU
使用率が低く、プログラムの処理が行われている間においても
CPU
使用率が10
%台前半と非常に低い値を示した。QoS設定時の送受 信データ量はQoS
設定命令の受信は非常に小さいが、QoS設定処理時はHTTP
を用いて 無線LAN
アクセスポイントにQoS
設定を行うためQoS
設定命令より大きい値であった。だが、その場合においても約
17.5 KB/秒 程度と送信されるデータは小さくネットワーク
に対する負荷も非常に低い値を示した。これらのことから、今回使用したアクセスポイン トのQoS
設定時の設定用PC
のCPU、ネットワークの負荷は非常に低く、他の処理やト
ラフィックに与える影響は小さいといえる。有線
LANQoS
設定時のCPU
使用率はQoS
の設定処理を行っている時は40
〜70
%と 比較的負荷が高い値を示した。これはQoS
設定にシリアル通信を用いるため、この通信 を行うために利用したライブラリがHTTP
の処理をするライブラリに比べて負荷が大き いことに起因すると考えられる。送受信データ量は無線LANQoS
に比べて設定項目や設 定に対する応答のデータが大きいが、それ以外のUPnP
の必要な処理の影響からか差は 小さく、送受信データ量に影響が見られなかった。このことから今回作成したQoS
設定 プログラムはUPnP
の処理に関しては負荷は非常に低く、低い処理能力でも問題が生じ にくいものであった。実際にこのプログラムの機能がネットワーク機器に搭載される場合 にはUPnP
の処理以外は内部で設定変更を行うだけであり、今回の実験のように外部の ライブラリを利用するケースは少なく、CPUとネットワークに与える負荷は非常に小さ いものになると考えられる。6.5.3 メディア再生時の QoS 設定時間の検証に対する考察
メディア再生時の
QoS
設定時間では有線LAN
と無線LAN
のUPnP
の処理時間は平均 して19.6
秒ほどの時間を要した。QoS設定を行わない場合の処理時間との差からQoS
設 定処理に要した時間は平均で13.2
秒となった。処理時間のばらつきは大きく、25秒ほど かかってしまう場合から10
秒程度で終了する場合もあるなど差が出た。今回作成したプ ログラムはQoS
の設定を行うタイミングでブリッジのQoS
設定サービスの検索し、発見 後QoS
設定命令を送る動作を行う。このサービス検索ではUPnP
でrootdevice
とされる デバイスの検索を行うことで実現される動作のため、複数のUPnP
デバイスでUPnP
サー ビスが動作している環境では検索に対するレスポンスがUPnP
デバイスの数だけ返って くるため、ネットワークのデバイス状況やUPnP
デバイスの返答の順序が大きく影響し たと考えられる。それ以外に、QoS制御を行わない場合の処理時間もばらつきがあることから、今回の実験システムでの処理時間のばらつきは
DLNA
の再生処理も起因すると 考えられる。6.5.4 提案手法を用いた場合の品質改善の検証に対する考察
まず、実験結果で一定の通信速度に安定しないのは、DMRが無線
LAN
で接続されて いることに起因する。これは実験環境の周辺で多くの無線LAN
機器が使用されているた め、他の機器の通信の影響を受けやすいからである。またQoS
設定の有無による差が小 さいのは、今回の実験環境ではこのメディア再生以外の通信はほとんど行われてなく、優 先度制御型のQoS
保証では効果が出にくい環境であったことに起因すると考えられる。また、実験システムに機器を追加し、他のデバイスで動画の再生を行っている状況で の検証を試みたが、QoSの設定変更を行うと図
6.10
に示すように設定変更のために無線LAN
アクセスポイントの通信が停止し、その通信の接続が切断されてしまうため検証を 行うことができなかった。使用可能なDMR、DMP
を用いて同様の検証を行ったところ、表
6.9
のようになり、再生が継続できない場合が多数を占めた。そのため、この実験シス テムは今回使用した機器では同じデータリンク内で他の通信が行われている状況において 他の通信に影響なくQoS
の変更をして通信を行うことは難しく、単一のストリームのみ のQoS
設定が可能なものであった。これらのことから、ネットワーク内で他のストリー ムを検出し、それが使用予定の経路を利用しているかどうかの判別を可能にすることで、実験システムにおいて提案手法の動作が問題なく行われると考えられる。
表
6.9:
メディア再生時のQoS
変更によるDMR、DMP
の動作DMR, DMP QoS
設定変更後の動作PlayStation3
ファイルサーバから切断され、再生が強制終了されるWindows Media Player 12
バッファ分がなくなると再生が停止し、エラーが発生Intel AV Renderer
バッファ分がなくなると停止し、再度接続されると再生が継続DiXiM Digital TV plus
バッファ分がなくなると停止し、再生が終了する図
6.10:
メディア再生時にQoS
変更を行った場合
ドキュメント内
JAIST Repository
(ページ 60-64)