それは提示刺激に対する背景色の影響が他の組み合わせとでは異なるためだと考えられる. 中でも赤を含む組み合わせでは,値こそ収束しているものの動く方向が混色論理値とは別 の方向に動いていたり(提示刺激が赤,背景色が灰の場合),低速回転時の動く方向(若干背景 色より)と高速回転時の動く方向(背景色と低彩度よりに大きく動く)が大きく変化すること がわかった.赤は他の色に比べ背景の影響を受けやすいと考えられる.
また,青,緑の組み合わせは回転によって混色していると判断し辛いらしく,平均値を取る 前の測光データを見ても,値は不規則に動いている.これは,青と緑が両方見えている状態で, 被験者がどちらの色をマッチングするかはその時々で変化していたためだと考えられる.こ の組み合わせでは,混色論理値方向へは動いているが,その値の分布は大きく分散している.
4.3 考察のまとめ
回転速度が低速の場合では,背景色方向への変化は少ないが,回転速度が高速になるにつ れ,背景色方向に動くことがわかった.まず,低速回転時は提示刺激を眼で追うことができ, 視界に入る時間が長く,背景色との区別をしやすいため,混色率は低くなる.一方高速回転時 は,提示刺激と背景色が短時間で交互に見え,背景色との区別がつかなくなることで背景色の 影響を強く受けるため,混色率が高くなる.
いくつかの色の組み合わせでは,理論値とは別の方向へ動いており,それは提示刺激に対 する背景色の影響が他の組み合わせとでは異なるためだと考えられる. 中でも赤は背景色の 違いによる値の変動が大きく,他の色に比べ背景の影響を受けやすいと考えられる.また,青, 緑の組み合わせは双方の色が別々に知覚されるため,マッチングのタイミングによって値が 青方向,緑方向に動いてしまう.このため値は分散しているが,近似線をとると混色論理値に 近くなるため,特定の範囲内で分散しているようである.
第 5 章
結論
本研究では,提示刺激を15段階の決められた速度で回転させ,提示刺激と背景色を組み合 わせることによって,回転速度による背景からの影響の変化を被験者4人にカラーマッチン グしてもらい,その測光データをxy色度図上にプロットして検証した.その結果,各色の提 示刺激が背景色と混色するまでの変化過程が得られた.
提示刺激が回転することもあり,カラーマッチングで得られたデータには数値的なバラつ きはあったが,傾向としては被験者4人共近いデータが得られた.
これらにより,回転速度が低速の場合では,提示刺激が見えている時間が長く,背景色との 区別をしやすいため,背景色方向への変化は少ないが,回転速度が高速になるにつれ,提示刺 激と背景色が短時間で交互に見えるため,背景色との区別がつかなくなることで背景色の影 響を強く受け,背景色方向に動くことがわかった.
また,色の組み合わせによっても色の見え方が変わることがわかった.青,緑の組み合わせ は回転によって混色していると判断し辛いらしく,平均値を取る前の測光データを見ても,値 は不規則に動いている.これは,青と緑が両方見えている状態で,被験者がどちらの色をマッ チングするかはその時々で変化していたためだと考えられる.
謝辞
本研究を行うにあたり,指導教員である篠森敬三教授には細かいご指導を頂き,本当に感 謝をいたしております. 多忙でいらっしゃるにも関わらず,研究の進み具合を気にかけて下 さり,私のために貴重なお時間を割いて相談に乗って頂き,ご指導いただいたことで,無事に 卒業研究を終わらせることができました.相談に乗っていただいた際の篠森教授のご指導は とても的確で,そのお陰で自分では気づかなかった研究の盲点に気づけ,改善することもでき ました.篠森教授のご指導がなければ,無事に研究を終わらせ,論文を書き上げる事ができな かったと感じています.篠森教授には心より感謝をいたしております.
そして,今回快く副査を引き受けてくださった岡田守教授,大変参考になるアドバイスを頂 いた繁桝博昭講師,そして高知工科大学情報システム工学科の先生方皆様,大変感謝をいたし ております.
本研究の被験者として快く協力して頂いた今井純也さん,篠田匠一さん,安田光輝さん多忙 にも関わらず長時間におよぶ実験に時間を割いて頂き,ありがとうございました.そして,本 研究を進めるにあたり,親身になって相談に乗って頂いた先輩の稲本和也さん,高須賀英二さ ん,お二人が私の先輩であり大変心強く思いました.本当に感謝しております.卒業研究とい う壁を,研究室一丸となり乗り越えることができ,達成感と共に絆の深さを再認識いたしまし た.本当にありがとうございました.