平成
21
年度
学士学位論文
色刺激回転速度の変化による色マッチング
の刺激・背景への影響
Effects of background stimuli by changing speed
color matching color stimulus
1100274
岡林 拓美
指導教員
篠森 敬三
2010
年
3
月
1
日
要 旨
色刺激回転速度の変化による色マッチングの刺激・背景への
影響
岡林 拓美
日常的に目にする色物体は,常に静止している状態とは限らない.例えば,動物や乗物など, 身の周りでは様々な色が動きを伴う.物体の動きが高速になるほど輪郭がはっきり認識でき なくなり,本来の色とは変化して見えてしまう.その際,背景の色の影響も物体の色の変化に 関係することが考えられる.そこで,本研究では物体の動く速度と背景色が色の見え方に及ぼ す影響について着目し,色刺激を回転させ,その回転速度を変化させていくことで,背景色に よる影響を含めて回転体の色の変化を検証した. 実験は,外部の光を遮断した実験室に,色評価用蛍光灯(東芝 FL10N-EDL)を照明として 行った.提示刺激は十字型 (直径10cm,ブレード幅 2cm)のプロペラ状のもので,青,赤,緑 の3色を用いた.背景には,青,赤,緑,灰の 4色の色画用紙を用いた.この提示刺激を,モー ター(オリエンタルモーター MSS206-402W2J)を用いて回転させ,回転速度表示計 (オリ エンタルモーター SDM496)を目安に回転速度を制御した.提示刺激の回転速度は,仮実験 の結果1200r/minで提示刺激色と背景色が混色するということがわかったため,1200r/min までを10段階に分け,120,240,360,480,600,720,840,960,1080,1200として,更に1200r/min 以降の,1320,1440,1560,1680の回転数と停止時を加え,計15段階で検証を行った.被験者に は提示刺激の中心より4cm上方の視覚2度の範囲をカラーマッチングしてもらった. 提示刺激と背景色の組み合わせは,同じ色の組み合わせを除く,提示刺激3種類,背景色3 種類の計9パターンで,それぞれ上記の15段階の回転速度について,3回のカラーマッチン グをCRT(三菱 Diamondtron RDI7GR)上で行った.そして,得られたマッチング結果を測光し,3回分の測光値データを平均した値を結果とした.得られたデータはxy色度図として プロットした.実験には色覚正常な被験者4人が参加した. 本研究の結果,提示刺激が背景色と混色するまでの変化過程が得られた.これにより,回転 速度が低速の場合では,背景色方向への変化は少ないが,回転速度が高速になるにつれ,背景 色の影響を強く受け,背景色方向に動くと共に彩度が低くなることがわかった. キーワード xy色度図,混色
Abstract
Effects of background stimuli by changing speed color
matching color stimulus
Takumi Okabayashi
Body color is seen on a daily basis, and not always in a quiescent state. For example, vehicle or other animals around the body moves with a variety of colors.No longer be recognized as a clear outline of the object moves fast, the original color and would look to change. At that time, considered to be related to changes in the color of the object also affects the color of the background. So In this paper we focus on the way people see the effects of color and background color of an object moving speed, and rotate the stimulus color, they will improve their speed by changing the color of the body of revolution, including the impact of background color Examined the changes.
The experiment was conducted in laboratories outside the block light. fluorescent color evaluation (Toshiba FL10N-EDL) was the lighting.cross-shaped(Diameter10cm,Blade width2cm) stimulus was presented.Blue, red, green 3, using the colors.In the back-ground, blue, red, green and gray-colored construction paper using four.Presented stimuli, the motor (Oriental Motor MSS206-402W2J) is rotated using a rotation speed meter display (Oriental Motor SDM496) an indication of the speed control.Rotational speed of the stimulus presentation, the results of preliminary experiments that showed that 1200r/min mixture for color and background color is present in stimulation, 1200r/min up 120,240,360,480,600,720,840,960,1080,1200 of 10 separate stages. More 1200r / min later, when 1320,1440,1560,1680 addition to speed and stop, and a total
of 15 were tested in stages. The patients presented 4cm from the center of the visual stimuli above 2 degrees and a range of color matching received.
Presented stimuli and background color combinations, excluding the combination of the same color, three types of stimuli presented, and three types of background patterns 9, above 15 for rotational speed of each stage, three times the color matching CRT (Mitsubishi Diamondtron RDI7GR) went on.
Results of this study was obtained through the process to change the background color and color mixing presented stimuli. This is the case of slow speed, background color change for the small but, as speed becomes faster , was strongly influenced by the background color, saturation was found to be lower with a move in the background.
目次
第1章 はじめに 1 1.1 研究背景 . . . 1 1.2 実験目的 . . . 1 第2章 実験方法 2 2.1 実験手法 . . . 2 2.2 実験環境 . . . 2 2.3 実験刺激 . . . 3 2.3.1 提示刺激 . . . 3 2.3.2 回転速度 . . . 3 2.3.3 背景 . . . 4 2.3.4 被験者 . . . 4 2.4 実験手順 . . . 4 第3章 実験結果 6 3.1 計算方法 . . . 6 3.1.1 測光値の平均を求める . . . 6 3.1.2 混色の計算. . . 7 3.2 xy色度図の結果 . . . 8 第4章 考察 29 4.1 回転速度による影響 . . . 29 4.2 背景色による影響 . . . 29 4.3 考察のまとめ . . . 30目次
第5章 結論 31
謝辞 32
図目次
2.1 実験室内の概略図 . . . 3 3.1 被験者J.I:刺激(青),背景(灰) . . . 9 3.2 被験者J.I:刺激(青),背景(赤) . . . 9 3.3 被験者J.I:刺激(青),背景(緑) . . . 10 3.4 被験者J.I:刺激(赤),背景(灰) . . . 10 3.5 被験者J.I:刺激(赤),背景(青) . . . 11 3.6 被験者J.I:刺激(赤),背景(緑) . . . 11 3.7 被験者J.I:刺激(緑),背景(灰) . . . 12 3.8 被験者J.I:刺激(緑),背景(青) . . . 12 3.9 被験者J.I:刺激(緑),背景(赤) . . . 13 3.10 被験者T.O:刺激(青),背景(灰) . . . 14 3.11 被験者T.O:刺激(青),背景(赤) . . . 14 3.12 被験者T.O:刺激(青),背景(緑) . . . 15 3.13 被験者T.O:刺激(赤),背景(灰) . . . 15 3.14 被験者T.O:刺激(赤),背景(青) . . . 16 3.15 被験者T.O:刺激(赤),背景(緑) . . . 16 3.16 被験者T.O:刺激(緑),背景(灰) . . . 17 3.17 被験者T.O:刺激(緑),背景(青) . . . 17 3.18 被験者T.O:刺激(緑),背景(赤) . . . 18 3.19 被験者S.S:刺激(青),背景(灰) . . . 19 3.20 被験者S.S:刺激(青),背景(赤) . . . 19 3.21 被験者S.S:刺激(青),背景(緑) . . . 20 3.22 被験者S.S:刺激(赤),背景(灰) . . . 20図目次 3.23 被験者S.S:刺激(赤),背景(青) . . . 21 3.24 被験者S.S:刺激(赤),背景(緑) . . . 21 3.25 被験者S.S:刺激(緑),背景(灰) . . . 22 3.26 被験者S.S:刺激(緑),背景(青) . . . 22 3.27 被験者S.S:刺激(緑),背景(赤) . . . 23 3.28 被験者K.Y:刺激(青),背景(灰) . . . 24 3.29 被験者K.Y:刺激(青),背景(赤) . . . 24 3.30 被験者K.Y:刺激(青),背景(緑) . . . 25 3.31 被験者K.Y:刺激(赤),背景(灰) . . . 25 3.32 被験者K.Y:刺激(赤),背景(青) . . . 26 3.33 被験者K.Y:刺激(赤),背景(緑) . . . 26 3.34 被験者K.Y:刺激(緑),背景(灰) . . . 27 3.35 被験者K.Y:刺激(緑),背景(青) . . . 27 3.36 被験者K.Y:刺激(緑),背景(赤) . . . 28
第
1
章
はじめに
1.1
研究背景
私達が日常生活において知覚している色物体は,常に静止しているとは限らない.色物体に 動きが加わることによって,色の見え方が変化する.その変化の度合いは,色物体の動く速度 と背景色が影響していると考えられる. 色物体が高速で動くほど,その輪郭ははっきり知覚できなくなり,背景色の影響を受けやす くなる.これによって,色物体と背景色との混色が起こる.では,どのような色の変化を経て 混色していくのか,本研究ではその点に着目し,色物体と背景色の組み合わせと,それぞれの 場合の色物体の移動速度を変化させることで,色物体における移動速度と背景色から受ける 影響の過程について検証を行った.1.2
実験目的
本研究では,十字型の提示刺激を,赤,青,緑の3種類,背景に赤,青,緑,灰の4種類を使用 して,同じ色の組み合わせを除く9通りを,モーターを使用して予め定めた15段階の固定の 回転速度で回転させて,それぞれの回転速度でカラーマッチングを行った.そこで得られた データを xy色度図上にプロットすることで,回転速度と背景色による影響の過程を検証す ることを目的とする.第
2
章
実験方法
2.1
実験手法
本研究では, カラーマッチング法を実験手法として採用した. カラーマッチング法とは, 被験者がマッチング刺激とテスト刺激が同じ色に見えるまで実験者が色相 (Hue)・彩度 (Saturation)・明度(Brightness)を調節する実験手法である. これにより,被験者の知覚した提示刺激の色を抽出した.なお,被験者に調節してもらった 色相, 明度, 彩度の意味は以下の通りである. • 色相:赤, 黄, 青といった「色合い」 • 彩度:色の「鮮やかさ」 • 明度:色の「明るさ」 なお,今回実験にはphotoshopを使用した.2.2
実験環境
本研究の実験室は, 黒色のダンプレートを用いて外部の光を遮断し, 色評価用蛍光灯(東 芝 FL10N-EDL)を照明とした.実験室の大きさは,奥行き:150cm×幅:90cm×高さ180cm となっており, 実験室内にはカラーマッチング用 CRTディスプレイ (三菱 Diamondtron RDI7GR),提示刺激回転用のモーター(オリエンタルモーター MSS206-402W2J),回転速 度を調整する際に目安となる.回転速度表示計(オリエンタルモーター SDM496)を設置し た.実験室内に収まらなかったPC本体は実験室外に設置した.2.3 実験刺激 被験者の眼と提示刺激までの距離は57cmとした.実験室内の概略図を図2.1に示す. 図2.1 実験室内の概略図
2.3
実験刺激
2.3.1
提示刺激
提示刺激は厚紙に色画用紙を貼った十字型(直径10cm,ブレード幅2cm)のプロペラ状の もので,赤,青,緑の3種類を用意した.被験者には提示刺激の中心より4cm上方の視覚2度 の範囲をカラーマッチングしてもらった.カラーマッチングにはHSBモデルを使用した.2.3.2
回転速度
提示刺激の回転速度は,仮実験の結果1200r/minで提示刺激色と背景色が混色するという ことがわかったため,1200r/minまでを10段階に分け,120,240,360,480,600,720,840,960,1080,12002.4 実験手順 として,更に1200r/min以降の,1320,1440,1560,1680 の回転数と停止時を加え,計15段階 となった.
2.3.3
背景
背景には,赤,青,緑,灰の色画用紙を用い,提示刺激とモーターの間に固定した.この時,提 示刺激と背景が接触しないように,約2cmの間を設けた.2.3.4
被験者
実験に参加した被験者は以下の4名である. • J.I : 22歳の男性で色覚正常 • T.O : 22歳の男性で色覚正常 • S.S : 22歳の男性で色覚正常 • K.Y : 22歳の男性で色覚正常 なお,被験者 4名は他研究の被験者として参加した際に色覚検査を受け, 色覚正常である ことが確認されているため,本研究では色覚検査を実施していない.2.4
実験手順
本研究では,以下の通りに実験を行った. 1. 5分間の暗順応を行う 2. 照明を点けた後,5分間の明順応を行う 3. モーターを任意の回転速度に調節する 4. 提 示 刺 激 と マッチ ン グ 刺 激 が 同 じ 色 だ と 判 断 で き る ま で マッチ ン グ 刺 激 の Hue,Saturation,Brightnessの数値を調節 5. 上記で同じ色になったと判断した場合,そのデータを保存する.2.4 実験手順
6. 3∼5の過程を,回転速度15段回分繰り返す.
第
3
章
実験結果
本章では,実験で得られた実験結果を示す. 提示刺激とマッチングを行ったマッチング刺激の結果を,CRTCHROMAMETER CS-200(MINOLTA) を用いて測光し,3試行分のLv(輝度),x,y値の平均値を計算し,色度図上に プロットした.計算方法は以下に示す通りである.3.1
計算方法
3.1.1
測光値の平均を求める
実験では3試行分のデータを取り,その測光値の平均を求めることでカラーマッチングの 精度を向上させた.そこで,ここでは測光値の平均の値を求めるための計算式について以下に 示す.まず,CRTCHROMAMETER CS-200(MINOLTA)で測定した値を式(3.1)のように X1, Y1, Z1の値で表すため, 式(3.2)を用いて計算する. X2, Y2, Z2,X3, Y3, Z3も同様にして 計算する. x1 x1 L1 x2 y2 L2 x3 y3 L3 → X1 Y1 Z1 X2 Y2 Z2 X3 Y3 Z3 (3.1) X1 = xy11L1 Y1 = L1 Z1 = 1−x1−y1y 1 L1 (3.2) 次に,求めた X,Y,Zの値から,3回の平均データを取るために,X,Y,Zの平均を式(3.3)よ3.1 計算方法 り計算する. XAV E = X1+X32+X3 YAV E = Y1+Y32+Y3 ZAV E = Z1+Z32+Z3 (3.3) そして,計算したXAV E, YAV E, ZAV E を式(3.4)を利用して,xAV E, yAV E, LAV E の値に 変換する. xAV E = X XAV E AV E+YAV E+ZAV E yAV E = X YAV E AV E+YAV E+ZAV E LAV E = YAV E (3.4)
3.1.2
混色の計算
本実験では,プロットした結果が混色方向に動いているか分かり易くするために,計算で混 色論理値を求め,目安としてプロット図に書き加えた.ここでは今回使用した混色論理値の計 算を示す. 混色の計算は提示刺激と背景色を測光し,得られたLv,x,yの値によって行う.こ こでは提示刺激をx1, y1, L1,背景色をx2, y2, L2 として扱う. まず,x1, y1, L1 をX1, Y1, Z1 の形にするため式(3.5)の計算を行う. X1 = x1y1L1 Y1 = L1 Z1 = 1−x1−y1y1 L1 (3.5) 背景色x2, y2, L2 も同じように計算する. 次に,導き出されたX1, Y1, Z1 とX2, Y2, Z2 を式(3.6)の通りに足し合わせる. Xsum = X1+ X2 Ysum = Y1+ Y2 Zsum = Z1+ Z2 (3.6)3.2 xy色度図の結果 xsum= X Xsum
sum+Ysum+Zsum
ysum = Xsum+YYsumsum+Zsum
Lsum= Ysum (3.7)
3.2
xy
色度図の結果
xy色度図の結果では,提示刺激が背景色と混色するまでの変化過程が得られた.これによ り,殆どの場合回転速度が低速の場合では,背景色方向への変化は少ないが,回転速度が高速 になるにつれ,背景色の影響を強く受け,背景色方向に動くと共に彩度が低くなることがわ かった.その中で,提示刺激が赤色で背景色が灰色の組み合わせでは,背景色方向とは全く別 の方向に動くことがわかった. 全体的には回転速度が低速の場合,値は拡散しているが,回転速度が上がるに連れて値が収 束していく傾向にある. また,回転速度が1680r/minになると,提示刺激の方向に引き寄せられる結果が得られた. これは,回転速度が1680r/min付近に達すると,元々の提示刺激の色に近い筋が現れるため である.3.2 xy色度図の結果
図3.1 被験者J.I:刺激(青),背景(灰)
3.2 xy色度図の結果
図3.3 被験者J.I:刺激(青),背景(緑)
3.2 xy色度図の結果
図3.5 被験者J.I:刺激(赤),背景(青)
3.2 xy色度図の結果
図3.7 被験者J.I:刺激(緑),背景(灰)
3.2 xy色度図の結果
3.2 xy色度図の結果
図3.10 被験者T.O:刺激(青),背景(灰)
3.2 xy色度図の結果
図3.12 被験者T.O:刺激(青),背景(緑)
3.2 xy色度図の結果
図3.14 被験者T.O:刺激(赤),背景(青)
3.2 xy色度図の結果
図3.16 被験者T.O:刺激(緑),背景(灰)
3.2 xy色度図の結果
3.2 xy色度図の結果
図3.19 被験者S.S:刺激(青),背景(灰)
3.2 xy色度図の結果
図3.21 被験者S.S:刺激(青),背景(緑)
3.2 xy色度図の結果
図3.23 被験者S.S:刺激(赤),背景(青)
3.2 xy色度図の結果
図3.25 被験者S.S:刺激(緑),背景(灰)
3.2 xy色度図の結果
3.2 xy色度図の結果
図3.28 被験者K.Y:刺激(青),背景(灰)
3.2 xy色度図の結果
図3.30 被験者K.Y:刺激(青),背景(緑)
3.2 xy色度図の結果
図3.32 被験者K.Y:刺激(赤),背景(青)
3.2 xy色度図の結果
図3.34 被験者K.Y:刺激(緑),背景(灰)
3.2 xy色度図の結果
第
4
章
考察
本章では,本実験で得られた結果を元に,回転速度,背景色の影響が実験データにどのよう に表れているか考察した.4.1
回転速度による影響
提示刺激の回転速度が低速の場合は,提示刺激が見えている時間が長く,背景色との区別を しやすいため,提示刺激の色に近いと考えられる.そして,回転速度が高速になるにつれ,提 示刺激と背景色が短時間で交互に見えるため,背景色との区別がつかなくなり,提示刺激と背 景色が混ざって見えると考えられる. また,回転速度が1680r/minで表れる提示刺激の色に近い筋は,本研究で使用した照明が 交流電圧であり,その特性上高速で点滅しているため,1680r/minから提示刺激と背景の交互 の刺激と照明の点滅の早さが重なり,見える色が変化したと考えられた.本実験で使用した照 明は100Hzほどで,1680r/minの回転数は112Hzに相当する.この比が丁度刺激に筋が現れ る状態であると考えられる.実際に,点滅の無い直流電圧である懐中電灯を照明として実験し たところ,色の筋が現れなくなった.4.2
背景色による影響
精度は異なるが,殆どの組み合わせで,計算で求めた混色論理値方向に色の見え方が動いて いることがわかった.これにより,回転速度が高速になるに連れ,徐々に混色が起こっている のがわかる.しかし,いくつかの色の組み合わせでは,混色理論値とは別の方向へ動いており,4.3 考察のまとめ それは提示刺激に対する背景色の影響が他の組み合わせとでは異なるためだと考えられる. 中でも赤を含む組み合わせでは,値こそ収束しているものの動く方向が混色論理値とは別 の方向に動いていたり(提示刺激が赤,背景色が灰の場合),低速回転時の動く方向(若干背景 色より)と高速回転時の動く方向(背景色と低彩度よりに大きく動く)が大きく変化すること がわかった.赤は他の色に比べ背景の影響を受けやすいと考えられる. また,青,緑の組み合わせは回転によって混色していると判断し辛いらしく,平均値を取る 前の測光データを見ても,値は不規則に動いている.これは,青と緑が両方見えている状態で, 被験者がどちらの色をマッチングするかはその時々で変化していたためだと考えられる.こ の組み合わせでは,混色論理値方向へは動いているが,その値の分布は大きく分散している.
4.3
考察のまとめ
回転速度が低速の場合では,背景色方向への変化は少ないが,回転速度が高速になるにつ れ,背景色方向に動くことがわかった.まず,低速回転時は提示刺激を眼で追うことができ, 視界に入る時間が長く,背景色との区別をしやすいため,混色率は低くなる.一方高速回転時 は,提示刺激と背景色が短時間で交互に見え,背景色との区別がつかなくなることで背景色の 影響を強く受けるため,混色率が高くなる. いくつかの色の組み合わせでは,理論値とは別の方向へ動いており,それは提示刺激に対 する背景色の影響が他の組み合わせとでは異なるためだと考えられる. 中でも赤は背景色の 違いによる値の変動が大きく,他の色に比べ背景の影響を受けやすいと考えられる.また,青, 緑の組み合わせは双方の色が別々に知覚されるため,マッチングのタイミングによって値が 青方向,緑方向に動いてしまう.このため値は分散しているが,近似線をとると混色論理値に 近くなるため,特定の範囲内で分散しているようである.第
5
章
結論
本研究では,提示刺激を15段階の決められた速度で回転させ,提示刺激と背景色を組み合 わせることによって,回転速度による背景からの影響の変化を被験者4人にカラーマッチン グしてもらい,その測光データをxy色度図上にプロットして検証した.その結果,各色の提 示刺激が背景色と混色するまでの変化過程が得られた. 提示刺激が回転することもあり,カラーマッチングで得られたデータには数値的なバラつ きはあったが,傾向としては被験者4人共近いデータが得られた. これらにより,回転速度が低速の場合では,提示刺激が見えている時間が長く,背景色との 区別をしやすいため,背景色方向への変化は少ないが,回転速度が高速になるにつれ,提示刺 激と背景色が短時間で交互に見えるため,背景色との区別がつかなくなることで背景色の影 響を強く受け,背景色方向に動くことがわかった. また,色の組み合わせによっても色の見え方が変わることがわかった.青,緑の組み合わせ は回転によって混色していると判断し辛いらしく,平均値を取る前の測光データを見ても,値 は不規則に動いている.これは,青と緑が両方見えている状態で,被験者がどちらの色をマッ チングするかはその時々で変化していたためだと考えられる.謝辞
本研究を行うにあたり,指導教員である篠森敬三教授には細かいご指導を頂き,本当に感 謝をいたしております. 多忙でいらっしゃるにも関わらず,研究の進み具合を気にかけて下 さり,私のために貴重なお時間を割いて相談に乗って頂き,ご指導いただいたことで,無事に 卒業研究を終わらせることができました.相談に乗っていただいた際の篠森教授のご指導は とても的確で,そのお陰で自分では気づかなかった研究の盲点に気づけ,改善することもでき ました.篠森教授のご指導がなければ,無事に研究を終わらせ,論文を書き上げる事ができな かったと感じています.篠森教授には心より感謝をいたしております. そして,今回快く副査を引き受けてくださった岡田守教授,大変参考になるアドバイスを頂 いた繁桝博昭講師,そして高知工科大学情報システム工学科の先生方皆様,大変感謝をいたし ております. 本研究の被験者として快く協力して頂いた今井純也さん,篠田匠一さん,安田光輝さん多忙 にも関わらず長時間におよぶ実験に時間を割いて頂き,ありがとうございました.そして,本 研究を進めるにあたり,親身になって相談に乗って頂いた先輩の稲本和也さん,高須賀英二さ ん,お二人が私の先輩であり大変心強く思いました.本当に感謝しております.卒業研究とい う壁を,研究室一丸となり乗り越えることができ,達成感と共に絆の深さを再認識いたしまし た.本当にありがとうございました.参考文献
[1] 色彩ハンドブック第2版,p.119∼p.123 ,p.1385