いうケースも多かった.さらには,曲がり角において,今回は交差点のみで作っているが,実 際は三叉路や突き当りという場合もある.そこで,マップを複雑にし,さらに階段を採用する など障害物への考慮も取り入れると良いと思われる.
6.1.2 既存手法
今回,R1ボタンで「歩きスマホ」を実現した.これは,被験者がR1ボタンを押すことによって,
カメラを切り替えて,別に作成した道案内アプリ用マップを見せることで実現している.しかし,現 実では「歩きスマホ」中でも周りが多少見えている.そのわずかな視界で歩行者や障害物に気づく場 合もあり,この点を考慮していないとのコメントも被験者より頂いた.
将来課題
これを踏まえて修正する必要がある.カメラの位置を変えプレイヤーの手元が映るようにし,そこ に別に作成した道案内アプリ用マップを表示することで,現実世界における「歩きスマホ」に近づけ ることができると思われる.
6.1.3 提案手法
提案手法では,既存手法での「歩きスマホ」をすること無く,さらに常に周りを見ながら操作でき たという結果やコメントが得られた.しかし,提案手法1では目的地に着かなかったというケースが 発生した.これは,自分と同じ方向に行く歩行者がたまたまいなかったことで,誘導が出来なかった ためだ.この事から,提案手法は人の多さによって信頼性が変わるという特徴があることがわかった.
ここで,「歩きスマホ」によって事故が起こる状況を考えると,その多くが本論文の第2章にあるよう に,人通りの多いところで起きている.よって,人通りが多ければ「歩きスマホ」による事故が起き やすく,本手法も使いやすい.逆に人通りが少なければ,「歩きスマホ」による事故は起きにくく,同 時に本手法は使いにくいということがわかる.しかし,人通りが少なくても事故は起きているため,
人通りには左右されず,本手法の信頼性を上げる必要がある.
将来課題
本手法の信頼性を上げるために考えたものが補助ライトである.これは曲がり角に設置し,曲がる 方向をユーザーに教えるもので,実験ではこれも用いた提案手法2によって誘導ミスがなくなった.
しかし,人を見て避けることに必死になり,補助ライトはよく見えなかったというコメントを頂いた.
そこで,人の流れを再現するなどして修正したゲームにおいて,補助ライトがしっかり見えるのかど うかを確かめる必要がある.
6.2 現実世界での実現
提案手法を現実で再現するためには,自分の周囲に自身の経路情報を送れなければならない.それ に適しているのがiBeacon[7]である.これはBluetooth Low Energy(BLE)を用いて周囲の複数端 末に情報を送る事ができる.iBeaconでは,自身のユニークなIDや,major・minorといった任意の データを送ることができる.しかし,送ることができる任意のデータは容量が少ないため,それを考 慮する必要がある.そこで,ユーザーは自身の経路全てではなく,直近の曲がり角とその方向を送信 することにする.受信した歩行者は自分の経路とマッチングを行い,合っていればライトを光らせる.
ユーザーに曲がり角が近いことを知らせるときには,歩行者がその曲がり角までの距離をGPS等を 使って測り,ある一定の距離になったらそれをユーザーに知らせる.iBeaconは常にデータを送信し 続ける特性があるために,曲がり角を曲がったらすぐに次のデータを送ることができ,さらにその範 囲も限られる.この方法で実現する際の課題点を以下に示す.
6.2.1 使用者が複数人数の場合
今回はユーザーが1人であるという前提で提案しているが,近くに他のユーザーがいた場合に,光 が自分に対してのものなのか,他のユーザーに対してのものなのかを判別しなければならない.その ためには,光の色を変えることが考えられる.そして,ユーザーに曲がり角が近いことを知らせると きには点滅,曲がる方向を知らせるときには点灯,ゴールが近いことを知らせるときには別の点滅パ ターンを用いるなど,ライトの点灯パターンを変えると,複数ユーザーに対応出来る可能性がある.
しかし,色の種類には限度があり,ユーザーの数によっては動的に色を変えていかなければならず,
そしてそれをユーザーにどのように伝えるかが問題となる.
6.2.2 補助ライト
補助ライト用に,各曲がり角にiBeaconを設置する.そして,そこでも経路のマッチングを行って,
補助ライトを光らせる.iBeacon端末にはユニークなIDがあるために,それが住所のような役割を する.よって,曲がり角のマッチング自体は簡単にできるだろう.しかし,現実世界で実際に補助ラ イトを点けても,看板などの装飾に使われている電飾にまぎれてしまって,よく見えなくなる恐れが あり,適切な設置位置と光量などを今後の研究で明らかにしなければならない.