第 3 章 設計方法の展開 44
3.2 線形パラメータ変動 (LPV) システム
以 下 の 離 散 型LPVシ ス テ ム で 記 述 で き る 宇 宙 機 の 姿 勢 変 更 制 御 を 考 え る (付 録B.1).
x ∗ (k + 1) = F (θ k )x ∗ (k) + E(θ k )u(k)
(3.1)ここで,
x ∗ ∈ R n
は状態変数,u ∈ R m
は制御入力,θ k ∈ θ
はk
ステップにおける 既知の変動パラメータである.そして,(F (θ k ), E(θ k ))
はすべてのθ k
において可制 御であり,F (θ k ), E(θ k )
はいずれも有界で,端点数p
のポリトープ表現を用いて,つぎの表記が可能であると仮定する.
F (θ k ) =
p
X
i=1
ρ i (θ k )F i , E(θ k ) =
p
X
i=1
ρ i (θ k )E i
(3.2)ここで,スカラ関数
ρ i (θ k )
はp
X
i=1
ρ i (θ k ) = 1, ρ i (θ k ) ≥ 0 ∀i
(3.3)を満たす.本章では姿勢変更制御問題を,定数の目標値
x r
と状態量の偏差x = x ∗ − x r
で記述したシステム,x(k + 1) = F (θ k )x(k) + E(θ k )u(k)
(3.4)のレギュレーション問題として考える.状態量は
x(k) ∈ Ξ ⊂ R n
であり,状態制 約を課す場合はΞ
を状態制約集合とよぶ.また制御入力u(k)
は次の入力制約集合Υ
を持つものとする.u ∈ Υ = {−1, 0, 1} m ⊂ Z m
(3.5)本章の目的は,上記の式(3.4),式(3.5)から構成される宇宙機を考え,平衡点
x = 0
の閉ループ安定性を保証するオンオフモデル予測制御系を構成することである.3.2.1
予測状態軌道
現在の状態量
x(k)
から導出される予測状態軌道をX (k) = [x(k + 1) T , . . . , x(k + N ) T ] T
,同様に,u(k)
からu(k + N − 1)
までの入力列をU (k) = [u(k) T , . . . , u(k + N − 1) T ] T
と表現する.また,評価関数の最適化によって得られる最適入力列をU o (k) = [u o (k) T , . . . , u o (k + N − 1) T ] T
とする.実際にシステムに加える入力は,上記の最適入力列のうち,現在のステップに対応する入力
u(k) = u o (k)
とする.本 章で提案するオンオフモデル予測制御は,この手順を各サンプリングごとに繰り 返して実現する.このとき,状態軌道
X (k)
は,式(3.1)と現在の状態量x(k)
を用いてX (k) = F (θ)x(k) + E (θ) U (k)
(3.6)で与えられる.ここで,拡大行列
F (θ), E (θ)
は,次式となる.F (θ)=
F (1)
F (2) F (1)
.
.
.
F (N ) F (N−1) . . . F (1)
,
E (θ)=
E (1) 0 · · · 0
F (2) E (1) E (2)
... ....
.
.
.
.
.
.
.
.
0
F (N ) . . . F (2) E (1) · · · F (N ) E (N −1) E (N)
ただし,簡略化のために
F (i) = F (θ k+i−1 ), E (i) = E(θ k+i−1 )
と表記した.定理1を用いることで終端評価行列
P
と式(2.14)を満たす行列K
は,つぎのよ うに行列不等式を解くことで設計できる.注意1 システム(3.1)とポリトープ表現(3.2)に対する,終端評価行列
P
のLMI条 件は以下のLMIから求められる1
.
S i T P S i −P +Q + K T RK ≤ −γI n ∀i = 1, . . . , p, x N ∈X f , u N (x N )∈ Υ
(3.7)1
ここで
p = 1
のとき,式(3.7)はLTIシステムに対する安定性を保証するLMI条件(2.13)を満証明4 証明は前章の証明(2)の
S
をS(θ)
と置き直すことで同様に証明できる.注意2 システム(3.1)とポリトープ表現(3.2)に対して,式(3.7)を満たす行列
K
はつぎのLMIより得られる."
W (F i W + E i V ) T (F i W + E i V ) W
#
, W > 0 ∀i = 1, . . . , p
(3.8)ここで,
K = V W −1
である.3.2.2
アルゴリズム
ここまでをまとめて制御アルゴリズムは以下のように記述できる.
オフライン設計:
R 1.
評価関数の設計パラメータ行列Q, R > 0
を設定する.R 2. F (θ) + E(θ)K
のスペクトル半径を1以下とするゲインK
を設定する2
.
R 3.
LMI(3.7)を解くことで終端評価行列P
を得る.R4.
予測ステップ数に対応して拡大した設計パラメータ行列Q, R
を構成する.オンライン最適化:
S 1.
現在のパラメータに基づく状態方程式(3.4)より予測ステップN
先までの予 測状態軌道X
(3.6)を計算する.S 2.
現在の状態量x(k) ˆ
を取得し,最適化問題(2.5)を解く.S 3.
最適化し得られた入力列U o
のうち最初のステップをシステムの入力u(k)
と して加える.S 4. S 1
に戻る.2
第2章と同様にゲイン
K
をできる限り小さく設定することで,端点ごとの終端状態制約集合X ¯ f
を大きくすることができる.その積集合も拡大する,そのため仮定を満たしやすくすることが できる.
ドキュメント内
電気通信大学大学院 情報理工学研究科 博士
(ページ 49-52)