Action for Greening Sahel 代表 岡本敏樹
FAOの使命は「人類の飢餓からの解放と世界経済の発展に貢献すること」です。
そのために「FOOD for ALL(すべての人に食料を)」というスローガンを掲げてテレフード・キャンペーンを行っています。
ディゲットとは、等高線に沿って石を積み上げる技術。表土流 亡が防止されるため、穀物の良好な成育が期待できる。
FAO の活動にご協力いただいている団体
緑のサヘルは、地域環境の劣化が進むアフリカ・サヘル 地域※で生活する住民への支援を目的に、1991年、東 京で設立された民間国際協力団体です。1992年にチャ ド共和国、1996年にはブルキナファソにおいて、環境 回復・保全、生活改善のプロジェクトを開始しました。
現場に携わっていると、環境と支援は対立するものとし て現出することがあります。しかし、両者の間には「住 民の生活」が共通項として存在します。緑のサヘルでは、
この「生活」という視点を重視して、活動を行っています。
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FAOとのつながりとしては、例えばチャドの現地で、当 団体が2004年から2006年まで実施したスーダン難民 支援事業において、活動地であるアベシェでFAOの調 査に協力したり、情報や意見の交換を行ったりしました。
一方国内では、2008年から、「世界食料デー月間」の 取り組みに参加しています。2008年10月9日には、「砂
30SUMMER 2010
難が重くのしかかっているため、実行に移せるだけの「ゆ とり」がありません。
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現在、ブルキナファソにおける事業では、地域環境に配 慮した農業生産の向上を図る活動を行っています。ここ では穀物栽培地の地力を保全・回復するために、現地 でよく知られている「ザイ」や「ディゲット」と呼ばれる 技術を導入しています。森林資源については、利用に関 して規制や制約を設けることが保全のひとつの方法です が、これがかえって住民の生活には負荷となってしまうこ ともあります。そのため住民自身による継続を考慮し、
受益を通じた自発的な保全意識と活動を進めるため、養 蜂を導入しました。また植林では、成長しやすい樹種や 人間にとって都合のよい樹種が選ばれる傾向にあります が、住民は、これまで生活を成り立たせてきた在来樹種 への関心を強く持っています。養蜂は、在来樹種の保護 と生活にとっての環境保全を両立させます。
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これらの活動によって、住民生活に「ゆとり」を生み出 すことを狙いとしています。環境回復・保全の取り組みは、
生活回復・改善と同じことなのです。緑のサヘルは、こ れからも、生活の視点に立脚した環境活動や生活支援 を行っていくつもりです。
※サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地帯
関連ウェブサイト:緑のサヘル:http://sahelgreen.org FAO日本事務所や関係NGOが中心となって2008年
から始まった世界食料デー月間。緑のサヘルも2008 年から参加し、ホームページなどで広報を行っている。
上:在来樹種である野生ブドウ(ラネア・ミクロカルパ)の 果実。いわゆる「ブドウ」とは異なるため、実をつける ためには昆虫による受粉が必要となる。右:周囲に残 っている植生の程度によって、採取できる蜂蜜の量は 大きく変わる。蜂蜜は自家消費されるだけではなく、傷 薬や病人食としても利用される。
漠化に直面する人々にとっての食料価格高騰問題」と題 して、公開セミナーで話をさせてもらう機会を得ました。
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さて、環境分野の活動となると、一般的には植林と思わ れがちです。植林は確かに大切なのですが、当団体が 活動を行っているサヘル地域では、食料をはじめとして 水や燃料などが不足し、生活が基盤から脅かされていま す。現地では、地域環境の劣化は、地下水位の低下や 森林資源の減少となって顕在化し、水や薪の不足をもた らして住民の生活を圧迫しています。また、地力の弱く なった土地での穀物栽培は、地域によっては30年前と 比較して、収穫量が4分の1にまで減少しています。こ の結果、食事は1日2食が普通で、食料事情の厳しい 時期には1食でしのいでいます。したがって、植林の大 切さは充分に意識しているものの、現実には生活上の困
31SUMMER 2010
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1-1-1
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■ウェブサイト
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N E W
FAO寄託図書館は(社)国際農林業協働協会(JAICAF)が運営しています。
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Food Security In Africa
アフリカの食料安全保障
アフリカで長年にわたり課題と なっている食料安全保障の改 善の鍵を握る主要食料の貿易・
市場政策に関する、複数の専 門家の論文集。東部・南部ア フリカに焦点を当てている。
FAO and Edward Elgar 2010年3月発行
423ページ 23.5×15.5cm 英語 ISBN:978-92-5-106221-0
Adding Value to Livestock Diversity
家畜の多様性に価値を付加する 牧畜民は、世界のさまざまな 場所で、長い時間をかけて在 来の家畜を地域の環境に適応 させる工夫を重ね、生計を立 ててきましたが、こうした家畜 は近年、外来種や近代的な生 産方法の影響で、存続の危機 にさらされています。本書は、
そうしたなかで、在来種の希 少性を生かした畜産物の販売 に成功している、インドをはじ めとする8つのケースを紹介し ます。FAOウェブサイトでも全 文をご覧いただけます。
www.fao.org/docrep/012/i1283e/
i1283e00
FAO,IUCNほか 2010年1月発行 142ページ 25.0×17.5cm 英語 ISBN:978-92-5-106453-5
N E W
32SUMMER 2010
日本政府は、2005年12月に開催されたW TO香港閣僚会議に先立ち、貿易を通じた開 発途上国の持続的な開発への支援策を発表 しました。開発途上国が輸出能力をつけるこ とを支援し、自由貿易制度の恩恵を相応に 受けられるようにすることが狙いです。この一 環として、農林水産省からの拠出により、FA Oを事業実施主体とし、JICA、CARD(アフ リカ稲作振興のための共同体)、アフリカ稲セン ター、ASEAN事務局等の協力を得て、サハ
ラ以南アフリカ諸国を対象とした「途上国の 生産能力向上等のための南南協力促進事 業」を実施しています。
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本事業では、日本やアジア諸国において知 見の蓄積がある「稲作」と「水産養殖」の 生産性向上に焦点を当て、それぞれの分野 の重要性と地理的観点からサハラ以南アフリ カにおける対象国を選定しました。これを「西」
と「東」のグループに分けたうえで、それぞ
タンザニア・モロゴロ州の水産養殖池。水源の上流にあり、下流にはかんがい水田がある。
タンザニアのかんがい水田で働 く女性。男は働かない……?
FAO技術協力局事業調整官 安原学
FAO のアフリカ農業開発への 日本の貢献
――サハラ以南アフリカの稲作・水産養殖の生産性向上を目指して P h o t o J o u r n a l
33SUMMER 2010
中国
(旧首都)ヤンゴン ミャンマー ギニア
リベリア セネガル
モーリタニア マリ
マダガスカル ガンビア
ギニアビサウ
シエラレオネ コート ジボワール
ブルキナファソ
ガーナ
トーゴベナンナイジェリア ニジェール
チャド
カメルーン
中央アフリカ
コンゴ民主共和国 ブルンジルワンダ
ウガンダ エチオピア
ケニア
タンザニア
ザンビア マラウイ モザンビーク
本ワークショップを通じて、多くのサハラ以 南アフリカ諸国において、収入増、都市化、
栄養パターンの変化に伴う急激なコメの消費 増があることが明らかになりました。このため 国内生産が需要に追いつかず、結果として 大量の輸入を招き多くの外貨を消費するとい う状況が生じていますが、一方で土地資源 を活用する余地があることや、総じて反収が きわめて低いことから生産性向上の余地が大 きくあることも明らかになりました。水産養殖 れのグループ地域で「生産性向上及び市場
開発のための稲作及び水産養殖に関する地 域ワークショップ」を2008年10月から20 10年1月にかけて計6回実施しました。
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ワークショップでは、稲作と水産養殖に関す る各国の状況の報告、稲作と水産養殖国家 戦略の発表、ASEAN諸国からの参加者によ るアジアにおける経験の発表および討議を行 いました。
ブルキナファソの稲作農家グループ。ここでは雨季の天水を 利用した稲作が行われている。その際、水田にワニが入って くることもあるとのこと。
美しい夕刻のダルエスサラーム湾(タンザニア)。 タンザニア・キサラウエ県にあ
る集落単位の水産養殖池。こ こでは移動式焼畑キャッサバ栽 培から定着式水産養殖経営に 移行した。
ワークショップ概要
■開催地
西グループ地域で3回 ブルキナファソ・ワガドゥグー(2 回)、ベナン・コトヌ(1回)
東アフリカ地域で3回 ウガンダ・カンパラ(2回)、タン ザニア・ダルエスサラーム(1回)
■参加国 西グループ
ベナン/ブルキナファソ/ガン ビア/ガーナ/コートジボワー ル/ギニア/ギニアビサウ/リ ベリア/マリ/モーリタニア/
ニジェール/ナイジェリア/セ ネガル/シエラレオネ/トーゴ 東グループ
ブルンジ/カメルーン/中央ア フリカ共和国/チャド/コンゴ 民主共和国/エチオピア/ケ ニア/マダガスカル/マラウイ
/モザンビーク/ルワンダ/タ ンザニア/ウガンダ/ザンビア
水産養殖池について説明する 役場担当者。
SUMMER 2010