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こ れ まで の三つ の 事 例研 究同 様、最後に 、村落 構造類型 論 の視角 から 北 村・ 原村の 社会 構 造の特 色を 総括して みたい 。

① 指 標と なる畑作 物 :

「 A. 調査 地の 概況 」で 確認 し たよう に、当 地で は、小 豆、大 豆、 ア ワ 、ヒ エ、 キビ、 ソバ、 大 麦、小 麦、モロ コ シ等を 主と して焼 畑で栽 培 して きた他、 サト イ モ、 サツ マイモ、大 根を 比較的多 く作 って きた歴史 を 有 してい る。主 食は 前者で 、 儀礼的 に重 要と思 われ るのは アワと キビ であ ること もすで に確 認し た。 豆類、雑 穀類、 麦類、 イモ類 、 根菜類と 多 様 な畑作物 が栽 培 、利 用さ れ る事実 に、中 部地方 の畑作の特 色を 垣間

見 ること がで き る。

②共 有財産:

当 地 の伝統的 な生 業 は、 農林業 と硯石 の生産で あっ たが、 こ れらの主 要な舞 台とな る ムラの周 囲の 山林 が共 有地で あった。 突 出し た経済力を 有 す る地主は 存在 せず 、限 ら れた山の資 源を 各戸 が巧 みに 分か ち合って 暮らし て きたのだ った。 残 念なが ら、筆者 はこ れら共有地 の 規模や利 用 方 法の詳 細につ いて 把 握 に及 んで いない。 参考 に、 かつて「 上湯 島型 」 親分子 分関 係設定 のモ デ ル村 となり 、北 村・ 原村と同 じ 早川町 の早川 上 流 域にあ って 、焼 畑を 主生業 とし、「 拡 散的構 造」 の親分子 分関 係が み られ る上湯 島で は、「 旧 湯 島村 には共有 林が あり、 そ れが村民 の経 済生 活 に大 きな助け と な ってい る のであるが 、各戸平 等 の権利を もって おり、

系 譜 上の 本家 が 特に 力を もつ こと はない 。上 湯島 の荒居 ムキで は地 域的 に も系 譜的に も近い もの が、 他の家より 戸 数 が多 いので 、山 林の共 同経 営を 可 能な らし め るので あろ う。 」 (13) と 紹介さ れて い る。お そらく 類 似し た状 況と考 えて よ いで あろ う。

③ 共同 労 働:

かつて の調 査に お いて、 筆 者はこの指 標に関 するデ ータの収集を 行え な か った。 そこで 、 筆 者の 調 査に先立つ こと 約30 年 前 に当地を 調 査し

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た 青柳 清孝の記 述を 参考とし てご紹 介して おく ことと したい。 こ の点 に つ いて 青柳は、「 山・畑 の 仕事に は村人 の協同 労働 の機会 が限ら れてい る。 山 の仕事 のため には、契 約を もとと した 村人個人 と業 者の雇用関 係 が成立し ており、 畑 は小規 模耕作で 茶摘 み時な どを除 いて はさし たる人 手を 必要 としな い。 」、 また 、「 数例の 本 分家 が認 められ る。 し かし分 家 創出 に当た って 本家 の財産 分与 は概し て貧弱 であ る。 本 分家 の ステ ー タ スは特 定の 役割に 支え ら れていな い。 」、「 村の 経済的 発展 は限られ て いるよ うに思 われ る。 伐木 の余地 も近 い将来 でなく なると 懸念 して い る心理が ある。 現在階層 差を 積極的 に生 ぜしめ るよう な余地 はこ の村自 体の経 済、 社 会、 文化 体系 にはない。 」(19   6 に 「 親 分・ 仲人・ 名 付親の慣 習につい て 一山 梨県 南巨摩 郡早 川町雨 畑本 村−」、 『日 本民 俗 学 会報 』20 、日 本民 俗学 会)と も記して い る。 要 するに、 当地で は生 業 に従事 する人 の基 本的 単 位は家族で あり 、各戸 が限 られ た私有地と 共 有 地を 利 用して、 自家 が必要 とす る生産 に携 わって きたと みられ るので あ る。 すで に紹 介のよう に、当 地 には今 なお水 田 は全 くない。 当然 水利 の管理や 稲作を めぐ る共 同 はあ りえ ない。 さ らに、 本分家 の財産を めぐ る関係 も青柳 の報告 のご とくで あ って、 両者 間での労 働交換 や分家 によ る労働奉 仕が もたらす共 同 も限定的 な ものであ ったと 考え られる。

しかし ながら、「 ②共 有 財産」と 同様 に上湯 島、否、 そ れを 含 む西山 村 全体 の場合を 参照す ると、「 以上 の各 作業( 焼畑耕 作の仕 事: 立柳注)

において 、一家 に労 働力 三人以 上あ るこ と は少 ない から、い ずれ の作業 にお いて も、 ほと んど ユイガエ シによる 共同作業 が必 要であ る。 し か も、

播 種、収 穫など は時 期的 に 制限があり 、 部落全 体が、 播種な らば七 一一

〇日間内、 収穫な ら二週 間内 に終 わる必 要があり 、各戸 は互 いに共同 作 業を やり ながら順 に仕上 げて ゆくので あ る。 し たがって一 戸 につ いて は 一時 的にで きるだけ多 く の労力を 得 ようと し、 それが 各家 と も同 じ条 件 と なるので 労働力を いか に確 保す るかが、一 つ の問題とな る のであって 、 す なわ ちユイガエ シを 頼 む相手 が多 け れば 仕事が 楽となり 、 その関係 相 手を 定めてお くこと が必 要とな る。 ユイガエ シを 頼むに易 い関 係を 見 る

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と 、 (1 ) 親 戚( 兄 弟 、 イ ト コ まで )  (2 ) 親分 子 分( 相 互 )  (3 ) 近 隣  (4 ) 友 人 仲 間  (5 ) 本 家 と 分 家( 相 互) と な る 。 こ こ で 注 意 す べ き は(2 ) 、 (5 ) の ば あ い 、 子 分 が 親 分 、 分 家 が 本 家 の 作 業 を や

る の みで は な くて 、 親 分 が 子 分 の 、 本 家 が 分 家 の作 業 もす るの で あ っ て 、 一 方 的 な 関 係 で は な い こ と で あ る○ `゜`ユ イ ガ エ シ は 焼 畑 作 業 以 外 ( た と え ば ガ イド 畑 の 下 肥 運 び な ど ) に もあ り 、 ま た 、 播 種 に テ マを 借り て 山 畑 の 草 取 に 返 し た り 、 ソ バ マ キ に 手 伝 っ て 貰 っ て 粟 マ キ に 手 伝 っ て 返 す こ と も あ る が 、 同 一 作 業 に お い て 返 す の が 原 則 と な っ て い る 。 … 以 上 見 る ご と く 、 主 と し て 焼 畑 耕 作 に お い て 労 働 力 確 保 の た め 、 各 家 相 互 の緊 密 な 結 束 が 必 要 で あ る が 、 そ の た め に 有 利 な 条 件 と な る の は 、 姻 戚 関 係 、

親 分 子 分 関 係 で あ る。 前 者 の 関 係 を 結 ぶ に お い て は 年 齢 的 に 制 限 が あ り 、 ま た 本 人 の 意 志 も関 係 す る の で 容 易 で は な い が 、 後 者 の 場 合 は 前 者 よ り は 比 較 的 容 易で あ る 。 こ の 手 段 に よ っ て 労 働 力 の 確 保 を は か る も の と 考 え る。 」 (1 <) と あ る 。 こ れ ま た北 村 ・ 原 村 に お い て も 類 似し た状 況 は 十 分 想 定 さ れ る も の と 思 わ れ る 。 一 応 留 意 す べ き と 思 わ れ る。

④ 家 族 :

こ の 指 標 に 関 す る デ ー タ の 収 集 も十 分で はな い 。 ま た 、 先 の 青 柳 も こ の 点 に つ い て は 何 も 報 告 し て い な い 。 限 ら れ た デ ー タ か ら の 立 論 と な る こ と を お 断 り し た う え で 話 を 始 め た い。

家 族 構 成 が わ か る10 戸 ( す で に 報 告 の よ う に 、 ム ラ の 総 戸 数 は5  4 ) の 場 合 で み る と 、 直 系 家 族 類 型 に 属 す る も の は4 例 、 夫 婦 家 族 類 型 は5 例 、 残 り の 一 つ は 単 身 戸 で あ る 。 直系 家 族 の4 例の 内 、 女 子 が 相 続 者 と な っ て い る 例 は1 例 の み ( 長 女 ) で あり 、 そ の 理 由 は、 キ ョ ウ ダ イ に 男 子 が い な か っ た た め で あ る 。 後 述 の 背 景 か ら 考 え て 極 め て 例 外 的 な 事 例 と 思 わ れ る。 ま た 、 男 性 が 相 続 し て い る 場 合 、 そ の キ ョ ウ ダ イ 構 成 に は 十 分 な 調 査 が 及 ん で い な い が 、 イ ン タ ビ ュ ー の 会 話 か ら 察 す る に み な 長 男 と 思 わ れ る。 「E  . 仮 親 子 関 係 の 構 造 原 理 」 で 触 れ た よ う に 、 当 地 の 相 続 慣 行 は 、 男 子 が い な け れ ば 養 子 、 婿 養 子 を 得 て も 男 子 に よ る 相 続を 図 る と す る ほど 、 少 な く と も理 念 的 に は 男 系 重 視 の 価 値 観 が 認 め ら れ 、

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特に長男 によ る一 元的な 家 財産の 相続が 最高 の理想と さ れて きた。 一方 次男以 下の男 子は ムラ 外に 職出し 、女子 は嫁出 す るのが一 般的 であった。

従って 、お そらく拡 大 指向 型の家 族は歴 史的 に もほと んど成 立したこと はな かった と推測さ れ る。 なお、 分家 の原 則 につ いては、残 念ながら全 く未 調査で ある。

夫 婦家族 の5 例は、1 例を 除い て、 すべて老 齢 の一組 の夫 婦か らのみ な る事例で ある。急 激 な過 疎化 の進行 によ って、 相続対 象とさ れる子供 も含 めて、 子供達 が 次 々に離村し てい った結 果で あり 、近 く絶家と なる か、 相続対 象であ った 子供 の所 へ転居 する かとい う選択 に迫ら れて いる。

本来 的に は、理想 とす る家 の継承 と存 続= 長男夫 婦との同 居を体 現する こと が望 まれて いたこ とを ご報 告してお きた い。

以 上を 総 括す ると、 当地 の家 族の特 色は、 基 本的に蒲 生の言う「 現状 維 持型」 に合致し てい る ものと 判断で きよう。

⑤ 婚姻体系 :

家 族の 特色を 考察す る 過程で もはや 明ら かなよ うに、 当地 の婚 姻体系 もヨ メイリであ る。 すで に「D.    仮 親子関 係の 諸相 」の中で 、婿養子の 場 合 の婚 姻 の事例を ご紹 介し たが、 青柳が より一 般的 な嫁入り の事例を

前掲論文 の中で 報告 して い るので、 参考 にみて おく ことにし たい。

「 本 村 の場 合 に は 、 <婿 側 が嫁 の 親 分を 頼 む >、婿 養子 の場 合 には

<嫁側か 婿養子 の 親分を 頼 む>とい うこと が非 常 に明 確な一点で ある。

婚姻 儀礼は まず <婿 入り >それから <嫁入り >の 二度の儀 礼によって特 徴付け ら れて いて、 婿養 子 の場 合は そ れが反対 の 順序で 行 われる。 わず かな がら <足 入れ > も同 地 域に認め られて い る。 ただしこ の場合の足入 れは、 秋の収 穫後 にで も正式 の嫁入り を 行うこ とを 前提とし て、ひとま ず足入 れをして 婿 の家 に住 めるよう にす るため だとい う。経 済的理由で、

正式 の嫁入り はしば しば 省 略さ れて い る。 まず 、 嫁の家 へ婿 側の仲人、

ソエ 婿、 ムカイ女、 婿及 び嫁の親分 と 親類 一人 二人 が出掛け る。 嫁側の 仲人 の家 で ひと まず 休 んで から嫁の家 に 行き <婿 入り >が 行われる。こ の席 上嫁側 には嫁、 ソ バ嫁 、仲人、 嫁の 名付親 、 親類代表 が並ぶ。 <婿

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