~ 6.1 総括
~ 6.2 今後の課題
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第6章 総 括
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6.1 総括本論文は,コンクリート充填角形鋼管短柱の耐力と変形性能を評価する基礎的な研究について示した もので,中心圧縮性状からはじめて,順次,複雑な荷重条件下での部材の挙動を推測できる簡単でかつ 現実的な力学モデルを提案し,合理的な設計法の確立を目的とした研究である。本論では,第2章にお いて中心圧縮性状,第
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章で一定軸力下における等曲げ実験,第4章において単調等曲げ解析,第5
章 において柱の繰り返し荷重一変形関係解析について述べた。本論文で得られた結果を列挙して総括とす る。第2章では,文献調査によって得られた112体の既往の試験体と日米共同研究において行われた48体 の試験体の中心圧縮実験結果の概要について示し,これらを基に角形CFr短柱の中心圧縮耐力算定式 の提案と中心圧縮性状のモデル化を行った。これらの実験結果は,大きな幅厚比の鋼管や高強度材料を 用いた試験体に関する実験結果も含んでおり,提案した中心耐力算定式および中心圧縮性状のモデル化 は,
C
Fr指針の適用範囲を超える試験体の実験結果に関しても適用可能なことが特徴として挙げられ る。中心圧縮耐力に関しては,鋼管の拘束による充填コンクリートの強度上昇の有無に関して様々な考え 方があるが,コンクリートの強度上昇が中心圧縮耐力に及ぼす影響はあまり無く,むしろ鋼管の局部座 屈による耐力低下の評価が重要であることを示し,中心圧縮耐力の低減率を一般化幅厚比の関数として 示した。また,日米共同研究の円形CFr柱の中心圧縮実験において得られた知見と同様に,角形CFr 柱にもコンクリートの寸法効果が耐力に及ぼす影響が認められたので,これを米国開拓局の実験結果を 用いて評価した。提案した設計式においては,コンクリートの圧縮強度に関する低減係数として従来の SRC規準やRC規準と同じ0.85を採用したが,これを寸法効果による補正係数として取り扱うとする提 案を行っている。文献調査によって得た実験結果及び、日米共同研究の実験結果に対して,提案する中心 圧縮耐力式はやや安全側であるものの精度良くその耐力を予測できることを示した。実験結果と提案式 による計算値の比の平均および標準偏差は,日米共同研究の実験結果に関しては,それぞれ1.032と 0.058で,文献調査によって得た実験結果に関しては,それぞれ1.062と0.076であった。提案する中心 圧縮耐力式が実験耐力を安全側に評価する理由としては,鋼管のひずみ硬化が主な原因として挙げられ るが これは設計上の余力と考え,中心圧縮耐力の評価式を構築した。
中心圧縮性状に関しては,中心圧縮耐力算定式の提案の際に得られた知見を基に充填コンクリートお よび鋼管の断面内において平均的な応力一ひずみ関係のモデル化を行った。充填コンクリートの応力一 ひずみ関係は,崎野・孫の提案による応力一ひずみ関係を基に,鋼管の拘束によるコンクリートの耐力
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上昇は無視するが拘束による靭性改善効果を考慮に入れたモデルの提案を行った。鋼管の応力一ひずみ 関係に関しては,その最大応力が,ひずみ硬化により降伏応力に比して大きくなる場合,局部座屈によ り小さくなる場合,降伏応力と等しい場合の
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通りに区分して,この判別を鋼管の一般化幅厚比のによ り行う方法を提案した。また,日米共同研究の実験軸圧縮挙動と提案した充填コンクリートの応力一ひ ずみ関係から,鋼管の応力一ひずみ関係を誘導し,これを多線形モデルで表現した。これによって,鋼 管の応力一ひずみ関係は, 鋼管の局部座屈による耐力下降域,その後の相互拘束効果による耐力の安定 域を表現できるモデルとすることができたロ提案した応力一ひずみ関係を用いれば,鋼管および充填コンクリートの強度や鋼管の幅厚比によらず精度良く実験の軸圧縮挙動を評価できることを示した。
第3章では,最も基礎的な複合応力である軸力と曲げモーメントを受ける柱の実験を行い,一定軸力 下での曲げモーメントー曲率関係について考察したO また,曲げ実験と共にC町試験体の軸圧縮試験
と試験体に用いた中空鋼管の軸圧縮試験も行っており,それらを等曲げ実験における耐力と破壊現象の 考察用の資料として本章に示した。
この章では,異なる研究目的を持つ
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つの実験について述べている。1
つは高強度コンクリートを用 いた角形C円短柱の単調等曲げ実験で,もう 1つは一般的に用いられている強度の組み合わせを持つ 角形C
Ff短柱の一定軸力下における繰り返し等曲げ実験である。前者の実験は,日米共同研究の個別プロジェクトに含まれる研究で,鋼管の強度と幅厚比と軸力比を 変数として,それらが高強度コンクリート
( 1 1 9 M P a )
を用いた角形C
Ff短柱の曲げ挙動に与える影響 を調べることを目的としている。この実験には,非常に大きな一般化幅厚比を持つ鋼管を用いた試験体 も含まれており,高強度コンクリートと大きな幅厚比の実験データを日米共同研究に追加する目的で 行った。具体的には,それぞれのパラメーターに関して鋼管の降伏強度( 3 ∞ MPa
,7 8 0 M P a )
,幅厚比( 3 0
,6 0 )
,軸力比( 0 ム 0
.4)を設定し,合計1 0
体の試験体を作成して実験を実施している。各試験体 の曲げモーメントー曲率関係より,軸力比および鋼管強度が高くなるほど最大耐力後の劣化が激しくな ることが分ったロまた,最大耐力に関しては,コンクリートの圧縮強度に関する低減係数を1.0 0
と0 . 8 5
とした2
つの場合で計算した一般化累加耐力との比較を行ったoその結果,荷重一変形関係において最 大耐力後の顕著な劣化が観測された軸力比が高い試験体については累加耐力を大きく下回る結果が得ら れた。本実験で,CFf指針で示す幅厚比制限値を大きく超える試験体は勿論,幅厚比制限値以内の試験 体も,高軸力を受ける試験体は全塑性耐力を発揮するに至らなかった。これらの実験観測より,曲げ耐 力および変形性能の評価には,高強度コンクリートの脆性的な挙動を考慮する必要があることを示した。一方,後者の実験は,せん断力の影響を含まない断面の曲げ履歴性状を観察することを目的とした実
験で,このような実験は過去に例が無く,より基礎的な実験資料を得るために現実の
C
Ff柱に用いら れると考えられるコンクリート強度と鋼管強度を組み合わせた試験体を作成した。また,鋼管の塑性加 工の影響をできるだけ取り除くために,溶接組立により鋼管を作成した後に残留応力除去焼鈍を施した。‑ 2 8 0 ‑
この実験もコンクリート強度を実験定数として,鋼管の幅厚比と軸力比をパラメーターとした実験であ る。また,コンクリートおよび鋼管の応力一ひずみ関係における除荷および再負荷則の資料を得るため に,大振幅で一回繰り返し載荷する方法と漸増振幅で繰り返し載荷する方法の2通りの加力を行ってい る。コンクリートシリンダーの4週強度および鋼管の降伏強度についての計画強度は,それぞれ,
50MPa
と240MPa
である。実験は,鋼管の幅厚比を3
種類( 3 0
,5 0
,1 0 0 )
と軸力比を2
種類( 0 ム 0
.4) として,合計11体の試験体を作成して実験を行った。実験より得られた最大曲げモーメントは概ね一 般化累加耐力で評価することができるが,変形能力に関しては鋼管の幅厚比と軸力比と載荷方法によっ て異なる性状が観察され 応力一ひずみ関係の除荷および、再負荷則のモデルを検討する資料として適切と考えられるデータを得た。
第4章では,第2章で提案した充填コンクリートおよび鋼管の応力一ひずみ関係を用いて,断面の等 曲げ挙動を予測する解析的な研究について述べた。解析対象とした試験体は,日米共同研究において行 われた偏心圧縮実験の試験体
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体と第3章で示した漸増振幅繰り返し載荷の試験体を除く,等曲げ実 験の試験体1 6
体である。また,本章では,高強度材料および大きな幅厚比の鋼管を用いた試験体にも 適用が可能な終局曲げ耐力式の提案も行った。曲げ挙動の解析においては,実験と解析の比較より,断面のひずみ勾配の影響と引張側の鋼管が2軸 引張状態となる影響を取り入れる必要があることが示され,中心圧縮実験を基に得られた応力一ひずみ 関係モデルに,この2つの影響を取り入れる簡便な方法を示した。このようにして得た充填コンクリー トおよび鋼管の応力一ひずみ関係を用いた解析によれば,載荷方法,材料強度,鋼管の幅厚比に関わら ず実験挙動を精度良く予測できることを示し,提案モデルの妥当性を検証した。
終局曲げ耐力式の提案においては,せん断力が曲げ耐力に及ぼす影響や実験の際に加力冶具等の拘束 の影響が入らない材中央部が危険断面となる等曲げ実験の結果を用いて,終局曲げ耐力式の提案を行っ た白「日米共同研究」の「個別プロジ、エクトjに含まれる米国サイドの担当校であるLehigh大学で行わ れた8体の実験データと近年九州大学で松井らにより行われた
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体の偏心圧縮実験の試験体と第3
章 で示した漸増振幅繰り返し等曲げ試験体5体を上に示した等曲げ挙動解析で対象とした試験体に加えて,合計
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体の実験データベースを作成し,提案した終局曲げ耐力の精度の検討を行った。終局曲げ耐力 式の作成にあたっては 第2章で提案した充填コンクリートおよび鋼管の応力一ひずみ関係を基に,コ ンクリートについては孫・崎野の提案1.31)によるストレスブロックを用いている。また,鋼管について は座屈による耐力低下を考慮した応力状態を仮定して,両者の累加によって計算する方法を提案した。この方法により簡便に角形