• 検索結果がありません。

6. 考察

6.3 総合的な考察

量的調査である質問紙調査と質的調査であるインタビュー調査で得られた結 果は共通する点が多く,どちらの方法でも同じ結果が得られたことは,

PICU

看 護の現状と特徴を示すことができたと考える。そこで

PICU

で働く看護師の目 指すべき看護として,必要とされている看護の特徴と

PICU

看護の展望につい て質問紙調査とインタビュー調査の結果をあわせて以下に考察する。

6.3.1

必要とされている看護の特徴

救命や治療に関連する業務については,質問紙調査の小児病棟との違いで救 命や治療に関連した業務が最も必要とされることが再確認され,ICU との違い では『与薬時の患者の体重確認』『患者にあわせた用手人工呼吸』の技術がより 必要とされていることがわかった。インタビュー調査では,〈細かい調剤が求め られる〉などの《救命に関連することが最も必要である》ことがあげられた。両 調査結果から,

PICU

は救命や治療に関連する業務が最も必要とされ,小児患者 であることで成長発達は様々であり,薬剤量や投与方法は特に慎重さが求めら れていると考えられる。宍野ら62が,

NICU

および

GCU

での薬剤師による注

27

射剤調整開始後に病棟でのインシデント報告が減少したと述べていることから も,細かい調剤は業務量として大きいことがうかがえ,薬剤師による調剤業務の 軽減が重要である。『患者にあわせた用手人工呼吸』が求められることについて は,志馬63が小児患者の呼吸管理は成人に比べて,胸郭コンプライアンスが高 いことや下側肺に対する過重の影響が低いことなど勘案すると述べており,

Wilson

64らは小児患者ではその留置困難性や侵襲性を考えて人工呼吸の有無に

関わらず,動脈ラインが留置されないことも多いと述べている。これらのことか ら

PICU

では呼吸への管理に対する高度なアセスメントを要し,呼吸管理に対 してより慎重さが求められていると考えられる。以上のことから,

PICU

の看護 師は救命や治療に関連する業務が最も必要とされ,成長発達によって異なる薬 剤投与の慎重さと呼吸に対する技術の習得が特に必要であると考えられる。

患者に対する看護については,質問紙調査の小児病棟との違いで

PICU

看護 師は患者の『個人の尊重』ができているかに注目しており,

PICU

環境が与える 患者への影響に対する看護が必要であるが,十分に行えていないと感じている と推察された。また,

ICU

との違いでは,患者の成長発達にあわせて主体的に 覚悟して治療に臨める支援を行いたいと思っているもののできていない現状が あると考えられ,看護師は集中治療の場に置かれた患者に対する心理的支援を 十分に行えていないと感じていることがわかった。また,患者が自ら動くことが 出来ず,言葉で表現できないことを

PICU

看護師は汲み取って支援していると 推察された。インタビュー調査では,《患者の人権を尊重する》《患者の気持ちを 支える》《患者の成長発達を止めない支援を行う》ことが示された。ピアジェ65 は人間の思考について発達によって質的に違う,感覚-運動期,前操作期,具体 的操作期,形式的操作期という

4

段階があると示しており,両調査の結果から

PICU

環境が与える影響について発達により物事の捉え方に違いがある小児患 者にあわせて支援方法を検討していく必要があると考えられる。そこでは,《救 命に関連することが最も必要である》なかで患者の人権を尊重した視点が大切 である。以上のことから,患者に対する看護として,

PICU

環境が与える患者へ の影響を成長発達にあわせて検討し,患者の人権を尊重した支援が必要である と考えられる。

患者と家族に対する看護としては,質問紙調査の小児病棟との違いで,

PICU

看護師は『母子分離への配慮』と『愛着形成促進への援助』に対する意識が高い

28

ことがわかった。

ICU

との違いでは,

PICU

では家族への情報提供を意識して 行っていることがわかり,きょうだい支援に課題があることが推察された。イン タビュー調査では,《家族の機能がおびやかされる場である》《患者と家族が共に 過ごせるよう支援する》《患者にできることを家族に提案する》ことがあげられ た。山勢ら66は,救急医療やクリティカルケアを受ける患者の家族は,予期せ ぬ出来事によって,心身・社会的に翻弄され,家族システムの揺らぎが生じると 述べており,両調査の結果から,

PICU

での家族の分離は,患者ときょうだいを 含む家族に大きな影響を与え,《救命に関連することが最も必要とされる》

PICU

であるからこそ,患者と家族が共に過ごすための支援が必要であると考えられ る。以上のことから,患者と家族に対する看護として,

PICU

入室に伴って起こ る家族の分離と家族機能の危機に対して,患者と家族が共に過ごせるための支 援が必要であると考えられる。

家族に対する看護としては,質問紙調査の小児病棟との違いで救命や治療に 関連した業務が多く必要とされていることが再確認された。

ICU

との違いでは 家族への情報提供と情報共有が

PICU

ではより求められていることがわかった。

インタビュー調査では《家族が特殊な治療を理解するのが難しい》《情報を得る 機会が少ない家族と情報共有する》《家族の意思決定を支援する》ことがあげら れた。

Cameron

67は,

PICU

の回診において親が同席することは回診時間を 長引かせない上に,むしろ家族の医療スタッフへの信頼が増し,家族が子供につ いての新しい情報を医療スタッフに提供できると報告しており,

Ashleigh

68

PICU

で子供に面会制限なく親が子供に会えることは必要で,どんな子供の ケアにも家族が参加することを提案している。両調査の結果から,患者の病状や 治療,今後について医療者と家族が同じ方向を向いていけるための支援が必要 であるといえる。以上のことから家族に対する看護として,情報を得る機会が少 ない家族への情報提供と医療者との情報共有が必要であると考えられる。

6.3.2 PICU

看護の展望

PICU

看護師がおかれている環境としては,質問紙調査の小児病棟との違いで 救命や治療に関連した業務が多く必要とされていることが再確認され,ICU と の違いでは『与薬時に患者の体重確認』『患者にあわせた用手人工呼吸』の技術 が重要であるといった生命維持に関連した業務が多く求められていることがわ

29

かった。そして,質問紙調査において,

PICU

が小児病棟と

ICU

との違いのあ る項目で,

PICU

経験を積んだ看護師は看護が行えている意識が低いことがわか った。インタビュー調査では〈医療行為を多く請け負う〉〈細かい調剤が求めら れる〉ことなど《診療の補助が多いため,看護独自の機能を十分発揮できない》

PICU

看護師が感じていることがわかり,《多職種連携の可能性を検討する》

ことが展望としてあげられた。また,PICU看護師は,《看護の成果を実感する 機会が少ない》ものの,《看護をした実感を持つとやりがいを感じる》ことも示 された。両調査の結果から,救命に関連する業務が最も必要とされているものの,

臨床工学士や薬剤師などの多職種と連携することで業務整理を行え,メディカ ルソーシャルワーカーやチャイルドライフスペシャリスト,保育士,理学療法士,

緩和ケアチームなどの院内の医療チームと連携することで継続看護に繋げてい ける可能性があると考えられる。川名ら69は,組織と外部環境との相互作用が あることや組織内で知識や情報が自由に語られること,組織内の知識や情報が 繰り返し語られることが小児看護の知の共有と創造に必要であると報告してい る。継続看護に繋げていくことや多職種から退室後の患者と家族の様子を知る ことは,看護師のやりがいにつながると考えられる。以上のことから,多職種と 連携し看護独自の機能を発揮できる環境を整え,

PICU

看護師が看護の成果を感 じることでやりがいを維持できる環境を整える必要があると考えられる。

今後確立すべき

PICU

看護としては,質問紙調査の小児病棟との違いで

PICU

環境が与える患者への影響に対する看護が必要とされていること,『母子分離へ の配慮』と『愛着形成促進への援助』が重要であることがあげられた。また,

ICU

との違いでは,家族への情報提供と情報共有がより求められていること,集中治 療の場に置かれた患者に対する心理的支援が求められていること,きょうだい 支援に課題があることがあげられた。インタビュー調査では,《救命後の生活を 視野に入れた支援方法を確立する》《患者の生命と成長を同時に支える看護を確 立する》《PICUにおける終末期看護を確立する》《PICUにおける家族看護を確 立する》《家族が共に過ごせる方法を確立する》《きょうだい支援を確立する》が あげられた。両調査の結果から,

PICU

看護師は患者と家族に支援できているこ ともあるが,看護師は

PICU

看護が確立しているとまでは感じられず,模索し ていることがうかがえた。川名ら69は,小児看護の知を共有・創造するために は,スタッフ間で目標が共有されること,目標を追求するための自由な行動が認

関連したドキュメント