本研究では、角型比の高い Tb28Co72、Tb23Co77におけるスピン・軌道・元素別の磁化課 程を観測し、ミクロなスイッチングプロセスについて考えることを目的とした。SQUIDに よる全磁化測定と磁気コンプトン散乱実験によるスピン選択磁化曲線の比較、また得られ たMCPの元素別寄与を求めることにより、いかの結果を得られた。
試料1 Tb28Co72（保磁力：小）
・報告と同様にスピン選択磁気モーメントと軌道選択磁気モーメントの比が変化する
・元素別磁気モーメントの磁場依存性が異なり、スピン選択磁気モーメントと軌道選択磁気 モーメントの磁化反転プロセスは元素別磁気モーメントの磁化反転プロセスに対応して いる
試料Tb23Co77（保磁力：大）
・報告と異なり、スピン磁気モーメントと軌道磁気モーメントの比が一定である
・元素別磁気モーメントの磁場依存性の違い以外にも磁化反転プロセスの要因は存在する
2つの試料の測定結果から、TbCo薄膜は保磁力が大きいと、スピン・軌道・元素選択磁 気モーメントは安定した挙動をとり、安定した磁化反転を起こす。また保磁力が小さくなる に従い、元素別磁気モーメントの磁場依存性が異なるようになり、元素別磁気モーメントの 挙動に依存した磁化反転プロセスを有するようになる。
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参考文献
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6) A.Agui et. al. JAP, 114(2013)183904 7) 橋爪博雄他，放射光X線磁気分光と散乱
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学会発表および論文
[学会発表]
[1] Fe/MgO多層膜の磁気コンプトンプロファイルの磁場依存性
田久保翔太、加藤忠、江本駿、鈴木宏輔、櫻井浩、本間佳哉、伊藤真義、櫻井吉晴 第37回日本磁気学会学術講演会、2013.09.03-06、北海道大学工学部
[2] 角型比の高いTb28Co72垂直磁化膜のスピン・軌道・元素選択ヒステリシス測定 田久保翔太、鈴木宏輔、櫻井浩、安居院あかね、劉小晰
第38回日本磁気学会学術講演会、2014.09.02-05、慶應義塾大学日吉キャンパス
[3] Perpendicular magnetic anisotropy in Fe/MgO multilayer film measured by magnetic Compton scattering
Shota Takubo, Tadashi Kato, Kosuke Suzuki, Yoshiya Homma, Masayoshi Itou, Yoshiharu Sakurai, Hiroshi Sakurai
AMDE2013, 2013.12.19, Kiryu City Performing Arts Center
[4] Spin/Orbital/Element specific hysteresis curve of Tb28Co72 perpendicular magnetic anisotropy film with a high squareness ratio
S.Takubo, A.Agui, X.Liu, K.Suzuki, H.Sakurai
AMDE2014, 2014.12.05 Kiryu City Performing Arts Center
75 [論文]
Magnetic Switching Behaviors of Orbital States With Different Magnetic Quantum Numbers in Au/Fe/MgO Multilayer System
Kosuke Suzuki, Shota Takubo, Tadashi Kato, Masatoshi Yamazoe, Kazushi Hoshi, Yoshiya Homma, Masayoshi Itou, Yoshiharu Sakurai, Hiroshi Sakurai
Appl. Phys. Lett. 105, 072412 (2014)