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本研究は、 日本語に存在し 交替によって 時間関係を標示する  形式 

‑(,)u/ 

㍉  が 関係する多様な 言語現象のうちのひとっ、  動詞 十 接辞 ‑te‑i‑ と 形式「とき」と  の間、  という統語上の 位置でこの交替が  起きる場合の 意味解釈上の 異なりにつ  いて、 説明を試みるものであ  った。 この研究対象は、 先行研究が説明の  提示を  試みてこなかった  現象のひとつであ  る。 その説明を試みたわけであ  る。 本研究  0 分析が批判されることにより、  現象自体に対する  理解が深められていくこと 

を願ってやまない。 

分析においては、 説明のためのモデルの  一 要素として移動する「参照  点 「 ef‑ 

erencepoint) 

」を仮定し、 説明に積極的に 用いた。 これは、 先行研究にもすで 

に 用いられていた 概念を発展させたものであ  ったが、  日本語の諸現象を 説明す  るのに特に役立つものであ  るという印象を 持った。 

研究対象とした 現象は、  形式 

‑(r)l@ 

Ⅰ ‑ta を狭義のテンス  あ るいは、 絶対的  テンス  と位置付ける 先行研究多数 説 に対する反証となるものであ  る。 予想さ  れていたことではあ  ったが、  研究対象の分析を  進めながら、 この多数 説 自体を  見直す必要にせまられた。  本研究の提示した  代案は、  対象を限定した  考察にも  とづくものであ り、 多数 説 全体に対して 代わりとなるものではけっしてない。  し  かし、  この見直しをとおして、  先行研究が現象説明のためのモデルとして  用い 

一 53  一 

ている印欧語の 時制体系と日本語の  現象との相違点に 

関し、 

有用な指摘を 行え  たものと考える。 

今後、 

本研究で行った  考察の延長上で  研究を進めて い 

くとすれば、 

本文中に  述べた研究対象の 拡張ということ 以外に 、  次のような方向性が  考えられる。 

・「参照 点 」を心理学実験で 観察可能な現象に  対応付ける可能性の  追究 

・  topic  persistence と形式 ‑  ( 「Ⅰ・ノ ー ta の交替との相関関係の  追究 

・タイ語などいわゆる tenseless  

languages 

の分析への応用 

最後に、 

この研究テーマを・「素朴な 

疑問」として、 

筆者に対して 発してくだ  さった複数のタイ 人日本語教師の 

同僚に、 感謝申し上げる。 

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Ⅰ tp     //WW.ge0cltles.  c0 Ⅱ 

て 

し Ⅱ ⅡⅡⅠ et ち l/paDer/marco/lunch 一 rev.pdf 

吉田一彦 

(forthcoming) 

「状態の変化を  伝える言語形式の 日・タイ対照研究」 

『言語・地域文化研究』 

7, 

東京外国語大学大学院 

注 

,本稿で用いる「発話 時 」  という語は、  当該言語形式が 話された時点のみを  指  すものではなく、  言語表現として  発信された時点全般を  指すものであ る。 これ 

は、 先行研究における・ 慣例に倣ったものであ る。 たとえば、  「語り」のテクスト 

注 19 参照  に関して言う 場合は 、  書かれた文章を 読むという現実世界のコミュ  ニケーションの 際に発信者  書き手ないし 書かれた文章  が話し手として 受け  手 読者  に対して一方通行的に  出来事の描写を 語って聞かせるような  仮想的  な会話が受け 手の認識世界の  中に起きている 時点のことを 言う。 

,本稿では、 「指示する」を 英語の toindicate の意味で用いろ。 また、 特定の語  によって指示されるものやことがらを「指示対象」  と呼ぶ。 

,研究の大前提として、 この ょう な差異が存在するか  否かを問わなければなら  ない。 身近なところにいる  日本語母語話者十数人に、 

(l a) 

と 

(l b) 

との間  に 違いがあ るかどうか尋ねてみたところ、  回答は全員「あ る」であ った。 これ  は 、  もちろん差異があ  ることを証明するものではないが、  研究の開始に 意義を  与えるのに十分な 結果であ ると思われる。 

。  これは、  日本語母語話者や  日本語研究者にとってだけではなく、  日本語の テ  クストを深く 読み込んだり、  日本語によって 自己表現しょうとする  日本語使用 

一 57  一 

者 すべてにとって  同様であ る。 

。  同様に 、  「とき」に「は」「も」「さえ」「でも」等が  付く形式も、 研究対象と  する。  これらの形式は、  もちろん同じ 意味・機能を 持っものではないが、  「〜 と 

き 」  と主文の述語との 関係においては 共通のものであ  ると考える。 

。  「標示する」 

ことの下位区分のひとっ。  「排他的に標示する」とは、 

特定の形  式 が特定の特徴を 示す形式的手がかりとなり、  かっ、 それ以外の形式が  同じ特  徴を示すことがな  い 、  ということであ る。  この概念規定に 関する議論は、  吉田 

(2000: 3)  

の論述を参照されたい。 

,三原 (1992) 、  岩崎  (2000) 等多くの先行研究にみられる「  ル形 /  タ影」  とい  う二項対立を 単に用いるだけでは、  「とき」に連なる  文全般を論じることはでき  ない。 たとえば、  名詞句述語の 場合、 「出張であ るときⅠ出張であ  ったとき」と  いう対立のほかに、  「出張のときⅠ出張だったとき」  という対立もあ  る。 この 

「出張の」  という形式は、 現在・過去・  未来の区別に 関して何も限定を 行って い 

ない。 また、 「社長がご出張のとき」という 形式は、  「社長がご出張なさるとき」 

「社長がご出張なさったとき」が 用いられる場面で  同様に使われ 得る。 こうした  形式同士の使い 分けの問題もあ  るのであ る。 

,筆者やその 他の研究者の 直観と合致しない  例は 、  次のものなど、  多数存在す  る。 以下の用例に 付いている文法性判断を  示す記号は原典のままであ  る。 

い  m? 父がテレビを 見ている時、 太郎は勉強し 始め るところだっ た 。 

井島 

(1991) 

、  例文 

(41a)) 

b  .  , 花子は,太郎が 勉強したとき、  ジュースを持ってきてやる。 

町田  (1989) 、  例文  (46N 

.  この間、  ミケ が逃げたⅠ , 逃げるときは、 君が窓をあ けたんだ る    

        

  

三原・濱田  (1996 。  例文  (18b)) 

上記  (ia) は、  なぜ問題のあ る 文 なのか、  筆者には理解できない。  この例文の  ように言い表すことのできる  事態は実際に 生起し得るし、  この形式を用いてそ  れを表現することも  特に変ではないと  思われる。 

(ib) 

は、 「勉強する」が「『 ョ戸  限界的』事象を  表示する」動詞であ  るから非文法的なのだという。  しかし、 確  かにそうであ  っても、  太郎が勉強したということが  事実として確認でき、  それ 

に 

花子が満足すれば、  ジュースを持ってきてやるのだ、  とい う  と を言 う こと  はあ り得るのではないか。  また、 (ic) であ   るが、 「逃げる」と 言 う  としたら 話 

し 手も さケ が外へ出ていく 現場に居合わせただろうということが  推測される。 そ  して、  そうであ れば、 話し手は ミケ が出ていくのを 容認したのであ って、  「逃げ 

る 」という語を 用いて聞き手の  過失を非難することとは、  文の意味内容の レベ  ルで矛盾が生じるということではないか。  文法の問題ではないように  思 う 。 

このように、 

あ る母語話者が 文法性の判断を 行ったのに対し、 別の母語話者  が異論を唱えれば、  結局は水掛け 論にしかならないのであ  って、 これを何らか  の形で議論を 先へ進めるための  論拠とすることはできない。  したがって、  本研  究では、  このような作例をデータとして  採用しないのであ る。 

。  新潮社  (1995) CD  一 ROM  版  『新潮文庫の 100 冊 』新潮社 

第一の研究対象の  用例として、 著者名が「 あ 」行から「 た 」  行 までの 40 冊分  に 表れている全用例、  約 200 にあ たった。  また、 そのうちの 冊分に表れている  形式「〜とき」の  全用例、  約 1000 のにあ たった。 

この母語話者の 直観に関しては、  日本語において 実際に異なる 体系を切り替 

えて使 う 場合、  たとえば、 会話における 丁寧 体と 尊敬語・謙譲語の  切り替えと  比較・対照されたい。 

たとえば、 この場合、 用例データを 統計的に処理して  結果を論拠とする、  と 

いう方法が考えられる。  先行研究の言 う 、  形式 ‑(r)u/‑ta  を「基本的」に「 テ 

ンス」「時制」の  形式だとする 主張には、 これまでこのような 統計的な裏 付けは 

一 59  一 

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